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60日を過ぎても不動産取得税の軽減措置は可能?詳細と手続きを解説
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60日を過ぎても不動産取得税の軽減措置は可能?詳細と手続き方法を解説

空家ベース編集部

不動産取得税は、不動産を取得したときに課される税金です。

また、不動産取得税は不動産取得後60日以内に申告する必要があり、条件に当てはまれば税額の軽減措置を受けられますが、うっかり不動産取得税の申告を忘れた人もいるはずです。

不動産取得税は、一定の期間内であれば納税後でも申告により払いすぎた税金を還付してもらえます。

本記事では、60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応方法や、還付を受ける流れなどについて解説します。

不動産取得税の軽減措置について理解し、還付請求をして節税していきましょう。

この記事でわかること

  • 条件を満たせば不動産取得税の軽減措置を受けられる
  • 軽減措置の適用条件は新築住宅、中古住宅、土地の種類ごとに異なる
  • 60日を過ぎても不動産取得税の還付請求をすることができる

不動産取得税とは?

はじめに、不動産取得税の基本をおさえておきましょう。

不動産取得税の基本的な概念

不動産取得税は、土地や家屋の購入、贈与、交換、家屋の建築(新築・増築・改築)などによって取得した時に納める税金です。

毎年納めなければならない固定資産税とは違い、取得時に一度だけ支払えば済みます。

税率と計算方法

不動産取得税の計算方法は原則、下記のとおりです。

不動産取得税 = 固定資産評価額 × 税率4%

なお、基本税率は4%ですが、軽減税率として土地と家屋については3%が適用されます。

課税対象となる不動産

課税される不動産(土地・家屋)の種類は下記のとおりです。

不動産 種類
土地 住宅地、田んぼ、畑、山林、牧場、原野など
家屋 住宅、店舗、工場、倉庫などの建物

不動産取得税が発生するケース

不動産の取得とは、その不動産の所有権を現実に取得することをいい、登記の有無や有償・無償は問いません。不動産所有権を現実に取得することをいいます。

不動産取得税の軽減措置とは?

不動産取得税の軽減措置とは、住宅を取得した際に、条件を満たせば不動産取得税の課税標準額から一定額を控除し、不動産取得税の税負担が軽減される制度です。

軽減措置の基本的な考え方

不動産取得税は土地や家屋の取得の際に、3%の軽減税率が適用されます。これに加えて、新築住宅や中古住宅を取得した場合は、さらに、それぞれに対して課税標準額から一定の金額を控除する軽減措置があります。

新築住宅と中古住宅に対する軽減制度

不動産取得税の軽減税率は、新築住宅と中古住宅の建物の種類で要件や軽減内容が異なります。それぞれの適用要件と手続きの方法について見ていきましょう。

軽減措置の適用条件

軽減措置の適用要件については、各都道府県によって異なります。

ここでは、東京都の軽減措置の適用要件を例に記載しています。

【新築住宅の場合】

  • (貸家以外の場合)一戸の床面積が50㎡以上、240㎡以下であること
  • (貸家の場合)一戸の床面積が50㎡以上(一戸建て以外の住宅の場合は40㎡以上)、240㎡以下であること

控除額は、1,200万円となり、算出額は、(固定資産税評価額-1,200万円)× 税率3%となります。

【中古住宅の場合】
中古住宅の場合は、各要件のすべてを満たしている必要があります。

ア:個人が自己の居住用に取得した住宅であること(住宅以外であった家屋を住宅にリフォームする場合は、取得前に当該リフォームが完了している必要がある)

イ:一戸の床面積が50㎡以上、240㎡以下であること

ウ:耐震基準について、①昭和57年1月1日以降に新築されたものであること、もしくは、②昭和56年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの(ただし、当該証明に係る調査が取得日前2年以内に終了しているものに限る。)

控除額は、下記の表のとおりとなります。

建築された日(新築時) 控除額
平成9年4月1日以降~ 1,200万円
昭和元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円
昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 100万円

算出額は、(住宅の価格ー控除額) × 税率3%となります。

軽減措置の申請方法と必要書類

軽減措置を受ける場合は、申告又は申請が必要になります。

STEP.1
不動産取得日から60日以内に、不動産取得申請書を提出する
STEP.2
納税通知書が届いたら、税事務所や金融機関・コンビニエンスストア等で支払いをする
STEP.3
不動産取得税減額申請書と必要書類を提出し還付を受ける

不動産を取得した日(登記が済んだ日)から、原則60日以内に所轄する都道府県税事務所へ不動産取得申告書及び必要な書類を提出します。一般的には各自治体が税額を算出して、納税通知書が送られてくることが多いです。

申請時の必要書類は、以下のとおりです。

  • 不動産取得税減額申請書(不動産取得税申告書を兼ねている場合が多い)
  • 売買契約書、最終代金領収書
  • 登記事項証明書(全部事項証明書)
  • 住民票

など

土地取得に対する軽減制度

住宅用の土地を取得し、一定の要件を満たす場合は土地の税額から一定額が軽減されます。
新築住宅用の土地と中古住宅用の土地とで要件や計算方法が異なります。

適用条件と申請方法

【新築住宅用の土地の場合】
以下のアもしくはイに該当する場合が適用条件を満たしています。
ア:土地を先に取得した場合
土地を取得後3年以内に、当該土地上に住宅が新築されていること。ただし、次の①②のいずれかに該当する場合に限る。
①土地の取得者が、住宅の新築までその土地を引き続き所有していること
②土地の取得者からその土地を取得した方(譲渡の相手方)が、住宅を新築したこと

イ:新築住宅を先に取得した場合(同時取得を含む)
土地を取得後3年以内に、当該土地上に住宅が新築されていること。ただし、次の①②のいずれかに該当する場合に限る。
①住宅を新築した方が、新築後1年以内にその敷地を取得していること
②新築未使用の住宅とその敷地を、新築後1年以内(同時取得を含む。)に同じ方が取得していること

【中古住宅用の土地の場合】
以下のアもしくはイに該当する場合が適用条件を満たしています。
ア:土地を先に取得した場合(同時を含む)
土地を取得した方が、当該土地を取得した日から1年以内(同時取得を含む。)にその土地上の中古住宅を取得していること

イ:中古住宅を先に取得した場合
中古住宅を取得した方が、当該住宅を取得後1年以内にその敷地を取得していること
適用条件を満たし、軽減制度に該当する場合は、「不動産取得税申告書」を記載し、添付書類と併せて、所管の都税事務所(都税支所)・支庁に申告することで軽減措置を受けることができます。

60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応策

不動産取得税の申告と同時に軽減措置の申告をし忘れたという場合でも、一定期間内であれば、払い過ぎた税額を還付してもらうことが可能です。

ここからは、60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応方法について解説します。

60日以内の申請が原則とは?

都道府県ごとに決まりは異なりますが、基本的に不動産取得税は不動産取得後60日以内に申告する必要があります。

60日を過ぎた場合の軽減措置可能性と手続き

申告を忘れて納税してしまった際、あとで還付請求する場合の期限は、不動産取得から5年以内のため、申告忘れに気づいたら早めに対応を行いましょう。
申告を忘れて納税してしまった場合でも、後日還付請求をすることができます。 「不動産取得税減額申請書」と必要書類を提出し、各都道府県税事務所に還付請求を行います。

納税遅延によるペナルティ

不動産取得税の納税の遅延をしてしまうと、ペナルティが発生する場合があります。

追徴税と延滞税の適用

不動産取得税を納税期限までに納付しなかった場合、延滞税が課されます。延滞税は、税金の納付期限の翌日から納付する日までの期間に応じて、年7.3%または14.6%の割合で加算されます。

延滞税を納付しなかった場合、さらに督促手続きが取られ、最終的には差し押さえなどの強制執行が行われることもあります。

過料の対象となる行為

不動産取得税を納税期限までに納付しなかった場合は延滞税が課されますが、過料の対象となる行為もあります。

申告の遅延や虚偽の申告

過料とは、法律に定められた義務を守らなかった場合に課される罰金のことです。不動産取得税の過料の額は、10万円以下です。

正当な事由なく不動産取得税の申告をしなかったり、虚偽の申告をした場合などに過料の対象となります。

不動産取得税の過料を防ぐためには、不動産取得税の納税期限を守り、正しく申告することが大切です。

過去の納税猶予措置の実例

不動産取得税の納税猶予措置は、経済情勢や災害などの状況に応じて実施されます。

過去の実例として、リーマンショック後の景気悪化や2011年の東日本大震災の被災者を支援するため不動産取得税の納税猶予措置が実施されました。

不動産取得税の納税猶予措置を受けるためには、都道府県の税務署に申請する必要があります。

不動産取得税の還付について

ここでは、不動産取得税の還付について見ていきましょう。

還付とは?還付を受ける流れ

不動産取得税の還付とは、不動産取得時に支払った税金の一部または全部を返還してもらうことです。

不動産取得税の還付を受ける流れは、以下のとおりです。

STEP.1
都道府県の税務署に不動産取得税の還付申請書を提出する
STEP.2
税務署が申請書の内容を審査する
STEP.3
申請書の内容が認められれば、税務署から不動産取得税の還付がされる

不動産取得税の還付を受けるためには、申請書の内容を正しく記載し、必要書類を添付することが大切です。また、申請期限を過ぎると、不動産取得税の還付を受けることができませんので注意しましょう。

必要な書類とその準備方法

還付請求の際に添付する必要書類は以下のとおりです。

  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 軽減措置の適用要件を満たしていることを証明する書類(必要に応じて)

不動産の登記事項証明書と固定資産税評価証明書は、法務局と市役所、区役所などの役所で取得することができます。軽減措置の適用要件を満たしていることを証明する書類は、軽減措置の種類によって異なるため、各都道府県の税務署に問い合わせましょう。

還付制度の適用条件

不動産取得税の還付を受けられる場合としては、以下のとおりです。

  • 住宅用地の取得税の軽減措置
  • 中古住宅の取得税の軽減措置
  • 障害者住宅の取得税の軽減措置
  • 被災地での住宅の取得税の軽減措置
  • その他、都道府県や市町村が定める軽減措置

還付請求の方法と必要書類

不動産取得税の還付を受けるためには、都道府県の税務署に申請する必要があります。

不動産取得税の還付申請書は、都道府県の税務署のホームページからダウンロードすることができ、不動産取得税の還付申請書に必要書類を合わせて手続きをします。

不動産取得税が免除される特例について

不動産を相続した場合は、相続税の対象となるので不動産取得税がかかることはありません。
また、その他に、不動産取得税が免除されるケースがあります。

不動産取得税が免除されるケースは下記のとおりです。

  • 土地の取得額が10万円未満であるとき
  • 家屋の新築や増改築が23万円に満たないとき
  • 売買、交換、贈与などにより取得した家屋が12万円に満たないとき

不動産取得税の具体的なケーススタディ

最後に、不動産取得税の具体的な計算方法を種類別に見ていきましょう。

新築住宅の取得ケース

例えば、建物の固定資産税評価額が1,600万円の新築住宅だとします。

軽減措置を受けないときは、

「不動産取得税額=固定資産税評価額×税率」

で、居住目的の場合の税率は3%でしたので、1,600万円×3%=48万円です。

しかし、新築住宅の軽減措置を受けると、(1,600万円–1,200万円)×3%=12万円となります。

認定長期優良住宅なら、1,300万円の控除を受けられるので、不動産取得税額は(1,600万円–1,300万円)×3%=9万円となります。

中古住宅の取得ケース

例えば、延べ床面積140㎡の建物で、建物の固定資産評価額が1,500万円であった場合の中古住宅だとします。

「不動産取得税額=固定資産評価額×税率」

で、1,500万円×3%=45万円です。

延べ床面積は140㎡で、「50㎡以上かつ240㎡以内」の条件を満たし、「昭和57年以降に建てられ」ており、さらに「新耐震基準に適合」している場合は、軽減税率が適用されて、以下のように計算することが可能です。

不動産取得税額=(1,500万円-建築された年月日に応じた控除額)×3%

の計算式になります。

土地の取得ケース

例えば1,700万円で土地を購入した場合、売買価格の1,700万円に税率をかけるのではありません。固定資産税評価額は時価の7割程度が多いので、ここでは固定資産税評価額1,200万円の前提で計算してみましょう。
軽減措置を受けないと、「

不動産取得税額=固定資産税評価額×1/2×税率」ですから、1,200万円×1/2×3%=18万円

となります。
土地の軽減措置を受けると、

「不動産取得税額=固定資産税評価額×1/2×税率-軽減額」=1,200万円×1/2×3%-軽減額

となります。

まとめ

不動産取得税は固定資産税評価額の3%と言っても大きな金額です。したがって不動産を取得したら、不動産取得の申告を忘れずに行い、同時に軽減措置の手続きも行うようにしましょう。もし、軽減措置の手続きをし忘れてしまっても、納税通知書に記載された金額を納め、後で申告をすれば還付を受けられるため、手続きをし忘れたからといって還付を諦めるのではなく、きちんと節税をしていきましょう。

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