コラム
Cannot-be-rebuilt
リフォーム不動産投資
  • DIY
  • リフォーム
  • 不動産の見方
  • 戸建て投資

再建築不可物件でリフォームは可能?リフォームできる範囲・費用・注意点を解説!

空家ベース編集部

再建築不可物件は、再建築や増改築を行うことはできない物件ですが、既存の建物をリフォームして住み続けることは可能です。

ただし、リフォーム工事の内容にも制限があります。

今回は再建築不可物件にリフォーム工事を行う場合の、工事可能な範囲や費用、リフォームする時の注意点について解説します。

この記事で分かること

    • 再建築不可物件とは
    • 再建築不可物件でリフォーム可能な範囲
    • 再建築不可物件のリフォーム費用
    • 再建築不可物件をリフォームする時の注意点

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは、現在建っている建物を一度取り壊すと、再び建物を建てることができない土地のことをいいます。

接道義務を果たしていない土地

建築基準法では、接道義務について「幅員4m以上の建築基準法上の道路に、2m以上接していなければならない」と定められています。

再建築不可物件は、この接道義務を果たしていない物件のことです。

接道義務を果たしていない再建築不可物件にはいくつかのパターンがあります。以下で詳しく説明します。

そもそも道路に接していない

まず、そもそも道路に接していない土地は再建築不可物件になります。

例えば、他の土地に囲まれていて建築基準法上の道路に通じていない土地や、土地と道路との間に河川や著しく高低差があるような土地のことを指し、一般的に袋地や準袋地といいます(図1・図2)。

【図1】袋地袋地
【図2】準袋地準袋地

接道の幅が2m未満である

建築基準法で定められる幅員4m以上の道路に接しているが、接道の幅が2m未満の場合も再建築不可物件となります。よくあるケースは旗竿地です。土地の形状が旗竿に見えることから、旗竿地と呼ばれています。

旗竿地は、土地の出入り口の部分が細長くなっており、土地の奥にまとまった建物が建てられる敷地がある土地のことをいいます(図3)。

【図3】旗竿地旗竿地

接する道路が建築基準法上で定められた道路ではない

見た目では、幅員4m以上の道路に2m以上接道している土地でも、その道路が建築基準法で定められる道路ではない場合は、その土地は再建築不可物件となります(図4)。

【図4】前面道路が建基法上の道路でない前面道路が建基法上の道路でない

再建築不可物件は建築確認申請が不要なリフォーム工事しかできない

建物を新築・改築・増築する場合には、基本的には建築確認申請を行い、建築の許可を得てからでないと、それらの行為を行うことはできません。

建築確認申請では、建築物の建築や大規模な修繕をする際、計画している建築物が建築基準法に適合するかを検査機関や自治体が審査し、建築の許可を出します。

再建築不可物件は、接道義務を果たしていないことで、建築確認の許可が下りないために、建物の再建築・改築・増築はできないのです。

反対に、再建築不可物件は再建築などの行為はできませんが、建築確認申請が不要な範囲のリフォームであれば工事を行うことができます。

再建築不可物件でできるリフォームの範囲とは

ここからは、再建築不可物件で可能なリフォームの範囲について解説します。

再建築不可物件でも、建築確認申請が不要な範囲のリフォームであれば、工事を行うことができます。ただし、建物の構造の条件と可能なリフォームの範囲には制限があるので、注意が必要です。

建物の構造と工事内容に制限がある

再建築不可物件は、築年数の古い、木造建築物の「小規模建築物」であるケースが多いと見受けられます。

「小規模建築物」とは、建築基準法第6条第1項第四号建築物に示された、①2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」もしくは、②平屋建て、延べ面積200㎡以下の「非木造建築物」、いずれかに該当する建築物のことです。

「小規模建築物」の場合、建物の主要構造部の過半(2分の1)の範囲を超えない程度の修繕・模様替えであれば、建築確認申請は不要となります。

ここでいう主要構造部とは、壁・柱・床・梁・屋根・階段のことを指し、この部分の修繕を行う場合、通常は建築確認が必要になりますが、上記の①および②に該当する「小規模建築物」であれば、2分の1の範囲を超えない程度の修繕・模様替えであれば建築確認が不要になるのです。

繰り返しにはなりますが、再建築不可物件は、築古で木造建築物の「小規模建築物」であることが多いです。そのため、再建築不可物件でも建築確認が不要な範囲である程度の修繕・模様替えのリフォーム工事は可能となります。

なお、建物の主要構造部に該当しない水廻り設備の交換や、壁紙のクロス貼り替え工事、屋根の塗り替えなど、見栄えを良くするための内装・外装リフォームであれば、そもそも建築確認は不要です。

再建築不可物件のリフォーム費用

再建築不可物件のリフォーム費用はいくらくらいかかるのでしょうか。

一般的な中古戸建よりもリフォーム費が高額になる傾向があります。

以下で、理由とあわせて費用を詳しく見ていきましょう。

一般的な中古戸建よりも高額になる傾向

再建築不可物件は、建築確認の許可がおりず再建築が出来ないため、リフォームなどの修繕工事を繰り返して建物の状態を保っていくしかありません。

そして、再建築不可物件は、建築基準法で接道義務が定められる以前に建てられたものが多く、築年数が古い建物が多いです。そのため、再建築不可物件を購入した場合、建築確認申請の不要な範囲内でも大掛かりな修繕や補修が必要になる可能性があります。

これまで全く手入れがされていなかった再建築不可物件で、スケルトンリフォームに近いような構造主要な部分のリフォームを行なうとすると、1,000万円〜2,000万円かかる場合もあります。

再建築不可物件では、建物のリフォームをする際に、通常の中古戸建の倍以上のリフォーム代がかかる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

以下の記事も参考にしてください。

空き家をリフォームする際の費用相場と、お得にリフォームする方法を解説
空き家リフォームの補助金制度について解説|市区町村【事例】あり

再建築不可物件をリフォームする時の注意点

再建築不可物件をリフォームする時の注意点がいくつかあります。あらかじめ注意点を把握して、再建築不可物件のリフォームを失敗しないようにしましょう。

住宅ローンの借り入れが難しい

不動産を購入する場合、住宅ローンを借り入れることが多いと思いますが、再建築不可物件の購入では住宅ローンの借り入れができません。

通常、住宅ローンを借りるときの借り入れの審査は購入する不動産を担保にして判断されますが、再建築不可物件は資産価値が少ないと判断され、多くの金融機関で住宅ローンの利用を断られる場合が多いです。

そのため、不動産を購入してリフォームするためのリフォーム一体型の住宅ローンの利用は難しいと考えたほうが良いでしょう。

ただし、借り入れが難しいのは、住宅ローンであって、一般的なリフォームローンであれば再建築不可物件でも借り入れることは出来ますので、リフォームローンと住宅ローンの違いを理解しておきましょう。

住宅ローンが借りられないとなると、再建築不可物件を購入するときは、現金での購入のみになるため、ある程度の蓄えが必要になります。

工事できない場合がある

再建築不可物件は、狭い道路に接道していたり、旗竿地などの奥まった敷地の形状であることが多いため工事車両の行き来が可能かどうか、建物同士が隣接している場所などであれば、足場を組むことは可能かなどを事前に確認しておく必要があります。

敷地を行き来できる重機に変えたり、人員を増やす必要がある場合は、その分の工事費がかかったり、そもそも工事ができる環境でない場合は、工事自体を断れられてしまう可能性があります。

再建築不可物件のリフォーム工事を行う場合のリフォーム業者は、再建築不可物件などの特殊案件の工事実績がある業者に依頼し、事前に希望の工事が可能かどうかをきちんと確認しておきましょう。

まとめ

再建築不可物件では、建築確認申請が必要な工事はできませんが、建築確認を要しないリフォーム工事であれば可能だということが分かりました。

ただし、再建築不可物件にリフォーム工事を行う場合、一般的な中古戸建とは異なり、住宅ローンが借りられない、工事できない場合があるなどの注意点があります。

再建築不可物件は、注意点さえ気を付ければ、新築を購入するよりも安く不動産を購入することができます。再建築不可物件のメリットを最大限に活かしながら、上手に不動産活用をしましょう。