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大家コラム

公庫融資―不動産投資家の登竜門―

FAP

「自己資金が減ってからでは借りにくくなるよ。」

3年前の12月。ボロ戸建て投資を開始後1年間で3軒の家を購入していました。
1軒は客付けが完了していましたが、2軒のDIYを抱えていた僕は、平日はサラリーマン、土日は遠方DIYと毎日多忙で「DIYが落ち着いたら」、と融資の準備を先送りにしていました。
そんなある日、鉄骨渡りが趣味の有名不動産投資家を中心としたベテラン投資家達の集まりで言われたのが冒頭のアドバイスでした。
自己資金300万で投資をスタートした僕は、もともと資金が心細かったにもかかわらず、1年間で物件購入費にリフォーム代と200万以上使っていました。
1年目でお金を使いすぎたという焦りと、融資の準備をもっと早くすべきだったという反省。
ベテラン投資家からのアドバイスを受けて、僕が急いで融資の準備を開始したのは言うまでもありません。

 

まずは公庫融資を受けるべく、1月から準備を開始し2月中旬に資料を提出・面談 の流れとなりました。提出した資料は以下の通りです。

●提出資料
I)面談前
・借入申込書
・創業計画書
・設備投資計画書
・業者の見積もり
・法人の謄本・財務諸表(1年未満のため、残高試算表)
・補足資料(keynoteで作成したスライド15枚位)

Ⅱ)面談時提出資料
・免許証(身分証明書)
・差替え版(修正版)の創業計画書+補足資料
・妻からの借入の契約書 (50万笑)
・GMOネット銀行の入出金明細
・個人+法人の銀行通帳
・新居浜物件の修繕の見積書
・公共料金の明細
・所有物件の領収書(購入がわかるもの)

Ⅲ)面談後提出資料
・物件所在地マップ(行政・商業・教育施設までの距離がわかるもの)

公庫の方から事前にメインバンクを聞かれます。そこで僕はネットバンクと答えたところ、 公庫の返済用の口座はネット銀行がNGと伝えられました。
普通銀行の法人口座が必要となるため、口座開設は必須!
これから開拓していく信金の口座開設がベストですが、もしそれが叶わない場合、審査に通りやすいみずほの口座開設がおすすめです。もちろん最寄りの信金でもOKです。

 

●面談
担当者:20代後半だった僕と同世代と思われる男性

面談の流れ:
まず、免許証等で本人確認。
次に、借入申込書の確認。希望金額は〇百万で間違いないか?
融資実行まで1ヶ月かかること、 融資年数・配偶者の経歴・年収などの確認。

続いて、創業計画書について。
前提として、サラリーマンをしながら事業を行っているので、本業の勤め先はどのような会社か?、どのような業務をしてきたのか? 等の確認から入りました。
知人の体験談によると、支店によっては、「(本業の)会社の兼業許可は出ているか?」なども聞かれるようです。
更に、以下のような内容が続いていきます。
・創業の動機は?
・創業を考え始めたのはいつ?
・物件の購入の順序は?桐生が先?新居浜が先?
・新居浜物件について(エリアはどう見ていた?なぜ新居浜?)
・借入とかは考えなかった?
・どこのエリアを見ていたのか?
・DIYの経験は?
・ターゲットは?客付できるの?
・運営経費の内訳は?
・物件の写真、修繕が必要な箇所がわかる写真はあるか?

これから公庫の融資を申し込みを予定している方は、上記のような質問にスムーズに回答できるように想定問答集を作成しておくことをお勧めします!

 

実のところ僕の場合は、創業の動機について、「正直にお話します。最初は金銭的な理由です。」とぶっちゃけました(笑)。
ただし、加えて、実家の空き家問題や客付けを完了していた1軒目成功体験を踏まえ、「不動産賃貸事業としてやりがいを感じた」というストーリーも具体的に話しています(事前に事業計画書にも記載していました)。

面談中は何度も、「実は…、」、「○○(担当)さんだからお話ししますと、…」と正直な気持ちを腹を割ってお話ししました。
それが功を奏したかどうかは分かりませんが、担当の方も率直な考えや気になっている点を率直に話してくれたと感じています。
実際、面談の最後に「融資していただくにあたり、何か懸念点はありますか?」と僕からお伺いしたところ、「立地や築年数が気になる。」と教えてもらえました。

 

僕が所有していた3軒は愛媛1軒、群馬2軒。
各種資料を用意し、率直に面談で客付けできると回答しても、設備資金の修繕対象が片田舎に所在しているだけで事業(賃貸客付け)に不信感をもたれてしまうのだなと痛感しました。
口頭では食い気味に「愛媛の物件1軒は客付けが完了しており、修繕対象の群馬の2軒も地方都市だが賃貸需要があり問題がない」と説明したのですが、担当者の方が納得した様子はありませんでした。

そこで、求められたわけではありませんでしたが、面談後翌営業日の朝一で下図のような立地マップを追加資料として自ら提出しました。

(※イメージ図)

 

群馬2物件は、保育園から高校、役所、スーパーまで徒歩10分程度で全てアクセスできる場所にあり、ゆりかごから墓場まで安心の、実際に田舎といえど立地の良い場所にありました。
追加資料提出した後、当日中に担当者から電話があり、感謝の言葉をいただきました。
(どうやら公庫ではメールへの返信が不可、必ず電話らしい。 )

 

こうした経緯を経て、創業融資の設備資金目的で融資承認を受けることができました!
金額:400万(希望通り)、利率2.04%、期間:10年

 

資金が枯渇してから公庫融資の準備を始めなくてよかった。
心から先輩のアドバイスに感謝しました。
あくまでサラリーマン・ボロ戸建て投資家のFAPの一例にすぎませんが、不動産投資を始めてまだ融資を受けたことがない皆様の参考になればうれしいです!