コラム
大家コラム

犬連れDIY

FAP

「あら、かわいいわね~!」
最近は、ボロ戸建てを買った後の近所のあいさつ回りがすごく楽になった。
もちろんこの褒め言葉は僕に対するものではなく、DIYに付き合ってくれている妻に向けられたものでもなく、僕の家族である愛犬へのご挨拶である。
犬が苦手な方も、僕の愛犬は「賢そう」・「きれい」に見えるようで、あいさつ回りの際に一緒に連れていくと相手の顔が柔らかくなる。
僕が手掛けるボロ戸建てがある地方では犬好きの方も多く、初めてのあいさつの時点で怪しまれることなく会話が弾むので、とても助かっている。

あまりニーズはないと思われるが、そもそも実際にトライしている人が多くはないからこそ、他ではなかなか読むことのできない「犬連れDIYのリアル」を注意点や工夫も含めてご紹介したい。僕のDIYの様子が伝わる写真も多いので、犬を飼っていない投資家の皆様も気休めに読んでもらえたらうれしい。

 

●DIYの様子
まず、普段僕が、犬を連れてどんな風にDIYしているかというと、犬がいてもいなくても同じようにDIYしているというのが実際のところだ。普段、愛犬は家の中を自由に歩き回れるように生活しているが、DIY中のボロ戸建て物件も基本的に自由に歩かせている。

僕はお構いなしに、工具を使って木材カットやビス打ちをする。

【丸のこを使う隣で作業が終わるのを待つ銀次】

 

妻も壁紙や床材を貼ったりしている。

基本的には寝て待ってくれているが、ベランダがある家だとひとりで景色を眺めながら楽しんでくれていたりもする。

愛犬はその家の一番居心地がいい場所を見つけるのが得意なので、住んでくれる人がどんな風に生活するかイメージさせてくれることもある。

 

【少し風が肌寒い日は家の中で一番日の当たる場所でくつろいでいた】

 

平らできれいな場所も好きなので、カット中の石膏ボードの上に居座ってボード貼りを邪魔することもままあるが、休憩のタイミングを教えてくれたり、何より苛酷な作業の現場の癒しになってくれている。

こんな風に自由に行動させているが、もちろん注意していることもある。

 

●犬連れDIYの注意点
① 知らない土地で脱走しないように、最初に網戸を直しておく・出入口に注意
→特にDIY中は外から資材を運んだり、途中で大工さんの見積もりや配達があって扉を開けっ放しにすることも多いので、妻が目を光らせている。

 

② 誤飲を防ぐため、現場をきれいに保つ
→残置物がある状態からは連れて行かず、残置物撤去後から連れていく。解体したごみや小さなビス等食べそうなものはゴミが出た時点ですぐにゴミ袋に入れる。工具にも興味を示すので、特に大工さんや電気屋さんがきてくれたときは慣れるまでは目を離さない。何でも口に入れてしまう4か月頃からDIYに連れまわしていたので、「現場をきれいに」は現場監督ならぬ愛犬家の妻の口癖になった。

 

③ ワクチンは七種混合ワクチンを打ち、フィラリア予防薬はノミ・ダニ予防効果があるものを飲ませる
→毎年狂犬病とセットで打つ混合ワクチンの中で五種混合ワクチンを打つ飼い主も多いと思うが、五種混合ワクチンでは予防できないのが、ネズミの糞等から犬が感染し、人にも感染するリスクがある「レプトスピラ症」。ボロ戸建てにネズミの糞は必ずと言っていいほど落ちているので、愛犬を連れてDIYをしようとするときに必ず気にしてほしいポイントだ。外で待たせたり、リフレッシュで庭に出たり散歩に行く際に、雑草が多いところにはノミ・ダニ予防もしておくと安心。

 

④ 夏の暑い日は熱中症に注意
もちろん人間もだが、特に犬は暑さに弱いと言われているので、水分補給の他、扇風機を向けてあげたり、氷ったペットボトルで遊ばせたりと、待たせている間に熱中症にならないケアが犬連れDIYの中で一番大変なところかもしれない。

 

⑤ マーキングしないように、最初にそこが「家」であると認識させる
初めて連れていく場所は不安でマーキングをすることもあるため、まず家全体のにおいをかがせて安心させた後、一緒にリラックスするようにしている。僕の愛犬の場合、半年を過ぎるまでは粗相をすることがあったが、成長してからは長時間待つ場所・寝る場所だとわかるとそれ以降はマーキングしたりしないようになったので、DIY物件が汚れてしまうことはない。

 

⑥ 物件の完成後・クリーニング後は家に入れない
特に換毛期の柴犬の場合は抜け毛の量が半端ではないので、クリーニング後は車や庭で待ってもらっている。ただし、僕の場合、「コンセプトを犬連れの方大歓迎!」との謳い文句で賃貸募集をすることも多いので、その場合は犬連れの方に生活のイメージを持ってもらえるような写真のモデルになってもらうこともある。

時には脱走を試みたり(笑)、「早く作業を終わらせろ」と圧をかけられたりすることもあるが、DIYをしながらでもいろいろな場所で一緒に過ごせるのは何よりの楽しみになっている。

 

●犬連れDIYの苦労ポイント
その他、吠える犬かどうか、壁紙を引っかいたり建具をかんだりしないかどうかなど、現場での注意点は愛犬の性格やしつけの程度によって異なると思われるが、共通する最大の犬連れDIYの苦労は現場以外にある。というのも、夏の暑い日は涼しいクーラーの下で、冬の寒い日は暖かい暖房の下でごはんの時くらいゆっくり休んで体力を回復させたいところだが、特に僕が所有する地方のボロ戸建ての近くに犬と室内で食事ができる店舗はほとんどない。かろうじて、「テラスOK」のお店を探し出し、暑い/寒い空の下でごはんを食べたり、クーラーをきかせた車内でコンビニ飯を食べることができる程度だ。ごくまれに犬も室内OKのドッグカフェを見つけると、食費はグッと上がるがDIY期間中は常連客になる。中でも希少価値の高い、「夜までやっている室内に犬OK」のお店は毎週末お世話になって家族のように温かく迎え入れてもらっていた。

【クーラー設置前の真夏のDIYは人間も辛い】

 

そんな中でも、最近の大型ホームセンターは大概カートで犬連れOKの場合が多いので、暑さに負けた時は避暑を兼ねて資材購入に行って一休みすることを勧めたい。

【愛犬・白柴犬の銀次。ホームセンターでの資材購入の様子】

 

●遠方DIYにも
FAP一家の犬連れ遠方DIYの最長記録は千葉から香川まで。
長旅過ぎるので愛犬のストレスを考え、大阪や京都で1泊して2日かけて移動していたのだが、1歳を過ぎたころには愛犬も慣れっこになり最近では12時間くらいかけて1日で目的地に到着できるようになった。
最近の高速道路はドッグラン付きの場所が多く、とても助かっている。

【資材をパンパンに詰め込んだ車内で居眠りできる銀次】

 

犬連れDIYerの仲間は果たしているかどうかわからないが、犬を飼う家庭は増えているので、「犬を飼っているからDIYは難しい」と思っている方がいれば、愛犬の個性にもよるが子供を現場に連れていく感覚で旅行みたいに連れていけるということを知ってもらうきっかけになったらうれしい。