因縁の私道 #1問題の発端編
「私の道」と書いて私道。
築古戸建て投資家としては避けては通れない、私道トラブル。
僕はまさにボロ戸建て投資1軒目でこの問題にぶつかりました。
舞台は、愛媛県新居浜市。
問題の物件の購入経緯は、不動産投資クラブの講師とのこんなやりとりでした。
講師「FAPって四国出身だよね?」
FAP「そうですけど(香川出身)」
講師「愛媛の新居浜で安い物件あるけど買う?近いよね?資料一式送るわ」
FAP「買います!(物件まで実家から高速で3時間以上かかるんだけど・・・)」
今考えると恐ろしいのですが、私道の持ち分がない物件を、人生初のボロ戸建て投資第1号物件に決め、ノールックで購入しました(購入金額40万円)。
(僕はこれまでノールックで全国の物件を4軒ほど購入してきました。ノールックで買う時に気をつけるべきことや、調査対象、調査方法については別の記事でご紹介します!)
▼僕がどんな投資家か?については、こちらの記事をご参照ください!
本物件は旗竿地で、旗竿部分が私道。
これの何が問題なのか?
そう、「持分無し、通行掘削権無し。従って再建築不可。」なのです。
旗竿地でも、通行を許可されている場合もあるのですが、仲介さんによると、「売主さんのお父さんと、私道の持ち分の権利を持っている方のお父さんがお墓の件で揉めた事がある。」とのこと。なんとセンシティブな揉め事でしょう。。。
仲介さん「今も関係が悪い可能性があります…。」
FAP「・・・。」
しかし、私道について調べていくと、一筋の光が見えてきました。
それは、「囲繞地通行権」なる権利があることです。
まず「囲繞地」とは、公道に通じていない土地を囲んでいる周囲の土地を言います。
取り囲まれて公道に出れない土地を「袋地」と言います。
袋地の持ち主は、公道に出るために、最短のルートで囲繞地を通行する事ができる権利を持っており、それが「囲繞地通行権」です。
簡単にいうと、「公道へ続く最短の道は通らせてあげてね」という事です。
僕の物件が袋地で、公道(市道)に出るために私道(囲繞地)を通行できるのではないかと考えました。
図に表すと、下記のような形です。
囲繞地通行権を使えば何の問題もない!と小躍りしていると、法学部出身のFAP妻が待ったをかけてきました。
「そんな都合良い訳ないでしょ。」
妻の判例等調査を要約すると下記のものでした。(※詳細は、弁護士にご相談ください。)
- 賃貸物件など営利目的では認定されない=通れない
- 基本は徒歩での通行=車はケースバイケース
→あくまで生活を送る上で必要最小限通らせてもらえるだけ。
なんということでしょう・・・絶望的です。
- →僕は法人を立てて賃貸事業を営んでいるため、賃貸事業のための通行になりますし、
- →リフォームをするために車での通行も必要です。
また、通行ができたとしても,旗竿部分に排水や水道管が通っている場合は、水道管などが壊れたとしても掘削権がないと掘り出して修繕することができません(本物件は幸い無関係でした)。
したがって、囲繞地通行権なるものがあるとしても、公道に出るための私道の持分権のない物件を購入することはリスクを伴います。
僕のように無計画にこのような物件を買わないようにしましょう(笑)。
僕は今考えると恐ろしいことに、私道の問題も「なんとかなるだろう」という楽天的な予測の下、ノールックで購入するという暴挙に出ました(ビギナーズだからこそできた買い物かも知れません笑)。
買ってしまったからには悩んでいても仕方ないので、現地に行くことにしました(本来は買う前に現地調査に行くことを強くお勧めします)。
しかも、私道問題未解決のままでも簡易的にリフォームするくらいなら大丈夫だろう、と高を括り、連休中に東京→新居浜の夜行バスに乗り込みました。
現地に到着し、他の隣家の方にご挨拶がてら、私道の通行権について相談してみると、
お隣さんA・E「通行掘削権の証明書を持ってるよ!」
ご近所さんC・D「通行掘削権の証明書を持ってるよ!」
ご近所さんB 応答なし。
応答が無いBさん含め、FAP以外問題の私道に接する家にお住まいの方は全員通行掘削権を持っていることが判明しました・・・。強い因縁を痛感した瞬間です。
自分以外全員が通行掘削権を持っているなら、自分にも通行掘削権をもらえる可能性はあるだろうと思い直し、近隣の方から教えていただいた地主さんのお宅に伺いました。
しかし、まず目に入ったのは、なぜか家の窓からソファが半分飛び出している異様な光景。
さらに、長いリードをつけた番犬が吠え立てており、玄関にまでたどり着けない・・・。
そう、これがまさに近隣挨拶のコラムに出てきたお家です(笑)。
▼近隣挨拶の方法についてはこちら
インターホンを押す事ができず、大きな声で挨拶をしたのですが、応答なし。
その後、3回は訪問しましたが常に不在でした。
近隣の方も、「50~60代ぐらいの独り身のご婦人であると思うが、夜のお仕事をしているようで、素性はよく分からない」とのこと。
新居浜まで出向いたらなんとかなる、と考えていたのですが、甘かった・・・。
地主さんとはお話ができないままでしたが、折角現地にきたので、物件のクリーニング、門扉の撤去、帰宅後に作業をお願いするための便利屋さんや水道屋さんの開拓のための相見積もりを行いました。
作業依頼をする便利屋さんも決まり、一旦東京に帰宅しました。
しかし、その後、遠隔で便利屋さんに除草作業を依頼をしている時に事件は起こりました。
現地にいる便利屋さんと除草作業の打ち合わせの電話をしていると、急に謎の怒声が聞こえてきました。
「なんでここの道に止めてるのよ!!ここ私の道よ!
あそこの家は空き家なのになんで車止めてるの?
あなた誰に言われてきたの??
不動産屋に電話してここの道に柵を作ろうかしら!!」
便利屋さん「FAPさん、ちょっと待ってください。」
以降、通話状態のまま、便利屋さんのと女性の会話が聞こえてきました。
おばさん「あなた誰!?」
便利屋さん「いやわかんないっす、僕も言われて来ただけなので。」←?
おばさん「誰に言われてきたの!?」
便利屋さん「いや、わかんないっす・・・。」←??
この便利屋さん、デキる…。
必殺・「会話を成り立たない人を装う術」であろう。
機転のよさ・あしらい方もperfect。
ここまで「わかんないっす」の威力が証明される場面があっただろうか?
事情を何も知らない便利屋さんが、不用意なことを言って依頼主であるFAPが不利な立場に立たされないようにと機転を利かせてくれたおかげでその場はおさまりました。
除草作業は諦め、便利屋さんに足早にその場を立ち去ってもらう際に、怒声の主の名前を聞き出すこともできました。
この人こそが、因縁の私道の所有者であることは容易に想像できました。
いきなり怒鳴り込み、「柵を作ろうかしら」とは・・・。
突然始まった修羅場と発言内容に腰を抜かしましたが、無事に地主の存在を確認できたので、コンタクトを試みることにしました。
しかし、電話番号がわからない。
売買してくれた仲介さん経由で売主さんに番号を聞いてもらってもわからない。
104もダメ。
あの時、便利屋さんに名前だけでなく電話番号を聞いてもらえば良かった、、、!!と激しく後悔しました。
それから2〜3週間経過し、「こうなりゃ登記から調べてかたっぱしからローラーしか無いか…」と思っていると、地元の不動産会社から携帯に電話が。
この不動産には賃貸募集の準備をお願いしており、貸家にも不動産会社の看板を掲げてもらっていたので、FAPは小躍り。
FAP 「もしかして内見希望の連絡ですか??」
O不動産 「いえ、違います。物件の前の私道の売却の話が別不動産会社から来てますがどうしますか??」
FAP 「え・・・????」
このあと、FAPがどんな行動に出たのか?続きは次回、お楽しみに^^
白柴・妻と一緒にDIYしながら全国のボロ戸建てを再生するサラリーマン投資家。
300万円を握り締め28歳からボロ戸建て投資をスタート。3年目で10軒の賃貸物件購入を実現。
ボロ戸建てに潜む、涙あり笑いありの様々な壁に日々ぶち当たりながら獅子奮闘している経験を初公開します!