ボロ戸建て投資とは?注目される理由とリスクを解説
不動産投資の中でも、「ボロ戸建て投資」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
最近では、地方の築年数の古い「ボロ戸建て」を購入して、リフォーム工事を行い、賃貸物件として出す投資の手法が注目されています。
実際に、「ボロ戸建て投資」に成功した大家さんの紹介記事やブログを読み、興味を持っている人もいることでしょう。
ただし、「ボロ戸建て投資」にリスクがないとは言い切れません。
そこで本記事では、「ボロ戸建て投資」が注目される理由とリスクについて解説していきます。
この記事でわかること
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- 「ボロ戸建て投資」が注目される理由
- 「ボロ戸建て投資」に潜むリスク
- 「ボロ戸建て投資」で利回り20%は現実的か
今「ボロ戸建て投資」が注目される理由
なぜ、今「ボロ戸建て投資」が注目されているのでしょうか。注目されている理由についてひとつずつみていきましょう。
NHKのクローズアップ現代でも話題に
2022年9月20日に放送されたNHK番組の「クローズアップ現代」で、将来への不安から本業とは別に副収入を得るために戸建ての空き家投資をはじめた女性、サラリーマンを辞め専業で空き家投資をする男性や、空き家投資ツアーにサラリーマンや主婦の参加が殺到していることが紹介されました。
100万円以下で空き家を購入し自らリフォームを行い、利回り80%以上の運用をした投資家もいたという話も紹介されていました。
番組で実際に戸建て投資について取り上げられたことで、さらに「ボロ戸建て投資」が注目されるきっかけになったといえます。
資格などが不要で誰でも始められる
「ボロ戸建て投資」を始めるにあたって、特別な資格は不要です。
自己所有の土地や建物の不動産を業として売買や交換をする場合は「宅建業免許」が必要になりますが、自己所有の不動産を賃貸する場合は、この宅建業者に該当しないため免許を取得する必要がありません。
そのため、本業は不動産と関係のない会社員や専業主婦も含めて誰もが収入を得るために不動産投資を始めることができるのです。
社会貢献になる
空き家のボロ戸建てを再生して、再活用することは社会貢献にもつながります。
ボロボロになった空き家があると景観や治安の悪化につながるかもしれない、と空き家に対してネガティブなイメージを持たれることは多いです。
そのような中で、空き家を購入し、一軒家のレンタルハウス、古民家カフェの運営、地元住民のコミュニティの場、外国人観光客向けの宿泊所など、人が集まる場所に作り変えることで、近隣住民からのネガティブなイメージも払拭され、その地域の活性化にもつながります。
このように「ボロ戸建て投資」によって、収益を出しながら社会貢献につながる活動をすることも可能です。
高利回りを狙うことができる
築年数が古いボロ戸建ての場合、比較的物件を安く購入できることが多いため、運用次第では大きな利回りを狙えます。
すでにご存じの方もいるかもしれませんが、利回りについておさらいしておきましょう。そもそも利回りとは、投資した金額に対して得られる収益の割合のことです。
不動産投資においては、投資した金額は物件購入費用やリフォーム費用などのことで、収益とは家賃収入のことです。利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があり、それぞれの計算式と概要は以下の通りです。
計算式:表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
概要:物件価格に対してどれくらいの家賃収入を得られるかという表面的な収益性のこと
計算式:実質利回り(%)=(年間家賃収入–年間コスト)÷(物件価格+購入諸費用)×100
概要:物件価格や購入諸費用などを考慮し、購入時のコストに対して手元の現金をどのくらい効率よく得られるかという実質的な収益性のこと
それではここからは具体的な事例を見ていきましょう。
- 物件価格250万円(現金で購入)
- リフォーム費用100万円
- 年間コスト10万円
- 家賃5万円で賃貸物件として貸し出す
表面利回り=(5万円×12か月)÷250万円×100=24%
実質利回り=(5万円×12か月–10万円)÷(250万円+100万円)×100=14%(小数点以下切り捨て)
不動産投資を行うときは、コストを考慮した実質利回りで考えた方がよいのですが、今回の場合、実質利回りが14%と高い水準です。
このように、築古物件のボロ戸建てを相場より低い家賃で賃貸に出しても、そもそもの初期費用が安いため、事例のように高い利回りが実現できます。さらに、ローンを組まないで現金一括購入を選択すれば、よりキャッシュフローが高いため収益アップが期待できます。
銀行融資に頼らず開始できる
不動産を購入するとなると、通常は数千万円の住宅ローンを借り入れるイメージを持たれる人も多いと思います。
しかし、ボロ戸建ての場合、建物に対する価値はほとんど残っていません。地域にもよりますが、地方や過疎化が進む地域だと土地の単価も安く、建物と土地代を合わせても数十万〜100万円前後で購入できる場合もあります。
そうなると、銀行融資を頼らずに自己資金のみで投資を始めることも可能です。
ボロ戸建て投資に潜むリスク
投資には必ずリスクが伴います。
「ボロ戸建て投資」で失敗しないためにも、あらかじめリスクを押さえておきましょう。
リフォームが高額になる
ボロ戸建ての場合、リフォーム費用が高額になってしまう傾向にあります。
ボロ戸建てのリフォームには、さまざまなケースがあります。一例は以下のとおりです。
- 屋根の葺き替え工事
- シロアリ被害で床材がスカスカになっているため、土台の補修や床材の貼り替え工事
屋根の葺き替え工事の費用は、屋根の種類にもよりますが、最低でも100万円以上はかかります。屋根以外の部分のリフォームも必要な場合、リフォームだけで合計で数百万円単位の費用がかかる可能性があります。
「屋根ってどれくらいの期間で葺き替えすればいいの?」という疑問を解決するために、耐用年数を下記に整理しました。
- トタン屋根(金属屋根):10年~20年
- セメント瓦:20年~30年
- 日本瓦:50年~60年
- スレート屋根(コロニアル・カラーベスト):10年~30年
ボロ戸建ては築年数の古いものが多いため、購入と同時に屋根の葺き替え工事が必要になることも多いため、覚悟しておきましょう。
また、気を付けなければならないのが、シロアリの被害です。
シロアリは、常に高い湿度に保たれている場所を好みます。ボロ戸建てが長い間、空き家として放置されていたりすると、管理が行き届かず窓の開閉が行われていないことで室内の換気が十分にできていません。すると、湿気と湿度が高い状態になり、シロアリが棲み着きやすい環境になっている場合があります。
シロアリ被害にあっていた場合の土台の補修費や床の貼り替え工事費は、シロアリ被害の状況や面積によって異なりますが、特に土台部分の補修工事は、大掛かりな工事となり土台部分のリフォーム費用だけで数百万円以上かかる場合もあります。
リフォーム業者選びが難しい
「ボロ戸建て投資」はリフォーム費が高額になる可能性があるため、物件の購入価格を上回ることも少なくありません。
所有者が自らDIYでリフォームや補修をするだけで済めば安く抑えられますが、建物全体に関わるリフォームにはしっかりとした知識が必要です。そのため、程度によってはプロ業者に依頼することになりますが、なかには利益主義の業者もいるため、即断即決することは避けるべきです。
また、ボロ戸建てや築年数の古い物件のリフォームをしたことがない業者もいるため、見積もりの結果が予算内だったとしても、そのような未経験業者ではないかは冷静に見極めましょう。
依頼するリフォーム業者の過去のリフォーム実績や見積もりなどトータルで比較検討しましょう。
リフォームしたが入居付けができない
ボロ戸建て投資をはじめる前に、購入しようとしているボロ戸建ての立地が賃貸戸建ての需要のあるエリアなのかを調べておく必要があります。
駅やバス停などの、公共交通機関の利便性の高い場所にあるか、利便性の悪いエリアであってもファミリー層の多く賃貸戸建ての需要があるエリアかなどを確認しておきましょう。
いくら安くボロ戸建てを買い取り、コストをかけてリフォームを施しても入居付けができなければ収益を生み出すことはできません。
「利回り20%」は実現可能なのか?
ボロ戸建て投資は高利回りが高いという特徴を持っています。
「利回り20%」超えで運用可能な物件が存在することも事実です。自身でDIYをして「利回り20%」超えのボロ戸建て投資をしている投資家もいます。また、エリアによっては100万円程度で購入できるボロ戸建ても存在するため、現金一括購入できる場合には、ローンを組む必要がないため、高い利回りが実現できるかもしれません。
ただ、「利回り20%」超えは全てのボロ戸建てで実現できるわけではありません。
20%超えはハードルが高い
実際、「利回り20%」超えはハードルが高いです。
物件価格そのものが低ければ実現できる可能性はありますが、地方または駅から遠いエリアなどで需要が乏しいボロ戸建てでは、入居まで一定の時間がかかってしまうことも珍しくありません。この場合、入居までの一定期間のトータル収支で利回りを考えることが重要です。
利回りも大事だがリフォームも大事にするべき
そもそも住みやすい住居でなければ買い手はつきません。かと言って、特に築古のボロ戸建てでは、DIYで修繕できないほどの老朽化や汚れなども存在するため、必要に応じてプロ業者による清掃・リフォーム・補修を実施すべきです。
「お金をかけない方が利回りは高くなるんじゃないの?」と疑問を持つかもしれませんが、実際はそうとは言い切れません。なぜなら、リフォーム費用や補修費用などを安く抑えること自体は悪いことではありませんが、必要なリフォームや補修にお金をかけないでいると以下のリスクがあるからです。
- 建物の維持管理が不十分と判断され、入居がつかない
- 居住に適さないと判断され、早期退去につながる
投資用に購入したにもかかわらず家賃収入が得られないのであれば、本末転倒といえるでしょう。
したがって、「利回り」だけを優先するのではなく、あくまで入居者の住み心地を考えることが利益にもつながるということを念頭に置いておきましょう。
まとめ
最近、テレビ番組でも取り上げられ、注目を集めている「ボロ戸建て投資」。投資の中でも高利回りを狙いやすく、誰でも始められる点が魅力の一つだといえます。
しかし、「ボロ戸建て投資」にも思わぬリスクが潜んでいることを知っておく必要もあります。
どれくらいのリフォーム費用がかかるのか、冷静にリフォーム業者を選んでいるか、収益が見込めそうな立地にあるかなど、さまざまなリスクとメリットを十分に理解したうえで「ボロ戸建て投資」を開始しましょう。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!