日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受けるには?特徴や流れを解説
不動産投資をはじめる方のほとんどは金融機関からの融資を受けるのではないでしょうか。
融資といえば、民間の銀行や信用金庫をイメージしやすいですが、実は政府が出資する「日本政策金融公庫」でも、個人事業主に対して融資を行っていることをご存知でしょうか。
本記事では、日本政策金融公庫の特徴や条件、不動産投資向けの融資を受ける流れについて解説します。
- 日本政策金融公庫とは「政府が100%出資する金融機関」である
- 日本政策金融公庫は一般的に「民間の金融期間よりも金利が低く、借入期間が短い」
- 日本政策金融公庫では、不動産投資の中でも「不動産賃貸業」でなければ融資を受けられない
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は、国民生活の向上と民間の金融機関を補完する目的で設立された、政府が100%出資する金融機関です。「日本公庫」とも呼ばれています。
主に行われている事業は「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」の3つです。その中で、個人で行う不動産投資は、小規模事業とみなされるため、このうち「国民生活事業」にあたります。
日本政策金融公庫の特徴
日本政策金融公庫と民間の金融機関の主な違いとして、下記のような特徴が挙げられます。
ひとつずつ見ていきましょう。
金利が低い
日本政策金融公庫の金利は、融資制度や融資金額、担保の有無などによって異なりますが、一般的に、民間の金融機関の融資よりも金利が低くなっているのが特徴です。
国民生活事業融資で、担保を提供して融資を受ける場合で、年利0.4%~2.8%程度となっています。
借入期間が短く、融資金額に限度がある
返済期間は民間の金融機関より短く、最大でも20年です。借入額が大きくなればなるほど、月々の支払額は多くなるため、購入したい物件の価格によっては、ある程度の自己資金も必要になってくる場合があります。
また、融資額にも限度があります。日本政策金融公庫の場合、担保となる物件の評価が厳しいとされています。そのため、どのくらい融資してもらえるかは、物件の評価額によって決まるため、担保となる物件の不動産評価額が低いと融資額も低くなります。
日本政策金融公庫から融資を受けられる条件
不動産投資で、日本政策金融公庫から融資を受けるには、主に以下3つの条件が必要です。
・不動産を担保として設定できること
・税金や公共料金の滞納がないこと
それぞれ見ていきましょう。
条件1.不動産賃貸業であること
国民生活事業における貸付は幅広く、様ざまな事業で融資の利用が可能ですが、金融業・投機的事業・一部の遊戯娯楽業には融資されません。
つまり、投資家による投機的な利益を追求する事業に対しての融資は基本的に受けられません。
不動産投資は、主に「不動産売却益(キャピタルゲイン)」と「家賃収入(インカムゲイン)」の2つに分けることができますが、日本政策金融公庫は、前述したように国民生活の向上を目的としているため、キャピタルゲインを得るための不動産投資は投機的事業とみなされ、融資を受けることはできないと考えたほうがよいでしょう。
しかし、家賃収入(インカムゲイン)であれば、国民生活に寄与する事業なため、融資を受けることが可能です。そのため、あくまで不動産「賃貸」を前提として融資を受けなければなりません。
条件2.不動産を担保として設定できること
基本的には、不動産に担保権が設定できることが融資を受けるために必要な条件となることを念頭に置きましょう。融資の金額は、担保として設定された不動産の固定資産評価額によって定められ、多くの場合30%から高くて50%程度の評価となります。
優遇措置の中には、担保を必要としない融資もありますが、不動産賃貸に対する融資の場合、基本的には担保の設定が必須となるため、担保とできる物件を用意するように注意しましょう。融資を受けて購入する不動産そのものを担保とすることも可能ですし、他に不動産を所有している場合は、その不動産を担保とすることもできます。
条件3.税金や公共料金の滞納がないこと
日本政策金融公庫は政府が出資する金融機関であるため、民間の金融機関では年収や勤続年数が重要視されるのに対し、税金や公共料金の支払状況が融資の決定に大きな影響を及ぼします。
税金の滞納があれば、ローンの支払い能力が低いと判断され、融資の審査での評価が下がることに繋がります。融資を申し込む際には、税金や公共料金の支払いを滞りなく支払っておくように心がけましょう。
担当者や支店によって条件は異なる
支店や担当者によって、審査の通りやすさや、融資の条件は異なります。ただし、日本政策金融公庫の融資は、事業所在地を担当する支店に相談する必要があるため、まずは事業所在地を担当する支店を調べておきましょう。
日本政策金融公庫から融資を受けるときの流れ
日本政策金融公庫から融資を受けるときの流れは、以下のとおりです。
「事業資金相談ダイヤル」 に電話する
日本政策金融公庫では、融資に関する質問や相談を受け付けています。
融資に関する相談や質問がある方は、事業資金相談ダイヤルに電話で問い合わせてみましょう。
支店窓口を訪問する
日本政策金融公庫は都道府県ごとにいくつかの支店が設けられています。事業所在地を担当する支店窓口を訪問しましょう。支店での相談の際には、融資を希望する理由や融資の目的杞融資希望金額などについて担当者に説明することになるため、ご自身のなかでも情報を整理しておくとよいでしょう。
必要書類を提出する
相談の結果、融資を受ける可能性がある場合は、必要書類の提出をします。融資を受ける不動産や融資制度によって必要な書類が異なるため、事前に担当者や日本政策金融公庫のホームページで必要書類の詳細を確認し、必要書類を提出します。
主な必要書類は以下のとおりです。
担当者と面談する
必要書類を提出した後に、担当者との面談が行われます。面談では、提出した書類の内容や融資を受けた場合の返済計画ついて担当者から質問を受けます。
融資の審査を受ける
面談の後、審査を受けます。融資の審査では、面談や提出書類を参考に事業内容や返済能力などについて審査されます。審査の結果は、数週間〜数か月で通知されます。
融資の決定・融資の振り込みがされる
融資の審査に通った場合、日本政策金融公庫から融資契約をするのに必要な書類が送られてくるので、必要事項を記入し返送します。その後、融資契約が完了すれば、指定の口座に融資の振込がされます。
まとめ
不動産賃貸業を検討していて融資を受けたい場合、比較的金利が低い日本政策金融公庫を利用するのもお勧めします。ただし、最大の借入期間が短いなどの民間の金融機関との違いもあるため、自身の不動産投資に適した事業計画を立てるようにしましょう。
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