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不動産投資で法人化するメリットとは?方法や注意点を徹底解説

空家ベース編集部

不動産投資は、資産形成や収入源として人気の高い投資方法です。しかし、個人で不動産投資を行う場合、節税や社会的信用の面でデメリットが生じる可能性があります。

そこで、法人化して不動産投資を行うという選択肢があります。法人化には、主に以下のメリットがあります。

・節税効果が高い
・相続対策になる
・融資を受けやすい

本記事では、不動産投資で法人化するメリットを詳しく解説します。また、法人化する方法や注意点についても解説します。不動産投資で法人化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • 不動産投資で法人化することで得られるメリットは主に「節税対策になる」「相続対策になる」「融資を受けやすい」である
  • 不動産投資で法人化するときは「必要書類や印鑑の用意、法務局への申請」などの手続きがある
  • 不動産投資で法人化しても「維持費用がかかる」「長期譲渡所得の優遇税制が適用されない」といったデメリットがある

不動産投資で法人化するメリットとは?

不動産投資で法人化するメリットは、主に以下の6つです。

  • ・法人と個人の実効税率の差を利用して節税する
  • ・数人で所得を分散して節税効果を高める
  • ・相続時の節税対策になる
  • ・融資を受けやすくなる
  • ・会計上の赤字(欠損金)を10年間繰り越せる
  • ・減価償却を選択できる
  • ひとつずつ見ていきましょう。

    法人と個人の実効税率の差を利用して節税する

    個人と法人では、税率が大きく異なります。個人の所得税率は、所得が大きくなるほど高くなる累進課税方式ですが、法人税率は、所得金額に応じて段階的に上がる比例課税方式です。そのため、所得が大きくなるほど、法人化による節税効果は大きくなります。

    数人で所得を分散して節税効果を高める

    個人事業主で高額な所得がある場合、法人を設立して家族を役員にすると、所得を分散して節税できる場合があります。

    具体的には、家族を役員にすることで、一人当たりの課税所得額が下がり、個人所得税の税率も下がります。その結果、世帯の所得は変わらないにも関わらず、トータルの税額を下げることが可能です。ただし、安易に従業員を増やすと、社会保険料の負担が重くなる恐れがあるので注意が必要です。

    相続時の節税対策になる

    法人化することで、相続税の節税対策が可能になります。個人で不動産を相続した場合、相続税の課税対象となる金額は、取得費と評価額の差額となります。しかし、法人で不動産を所有していた場合、評価額を大きく減額できるため、相続税の負担を軽減することができます。

    融資を受けやすくなる

    個人に比べて社会的信用が高く、融資の審査に通りやすくなるというのも、不動産投資における法人化のメリットです。

    法人は、登記によって会社の情報が公示されているため、社会的信用が高くなります。また、個人に比べ、より厳密な会計処理が求められているため、金融機関は法人の財務状況を把握しやすく、安定した経営をしていると判断しやすくなります。

    融資を受けやすくなったり融資の金額が増えたりすれば、その分、投資できる不動産も増え、事業を拡大していくことにもつながるでしょう。

    会計上の赤字(欠損金)を10年間繰り越せる

    青色申告をしている法人は、赤字を10年間繰り越して、所得と相殺することができます。具体的には、以下のとおりです。

    ・黒字の期であっても、先期から繰り越した赤字(欠損金)を相殺すれば、所得が少なくなって節税につながります。
    ・今期が赤字なら、前期の黒字へも相殺することができます。その場合には、すでに前期で納めた黒字分の税金の一部を還付することもできます。

    個人の場合、欠損金の繰越は3年に限られるため、法人のほうが節税に関するメリットは大きいと言えるでしょう。

    減価償却を選択できる

    個人が不動産を売却する際には、建物の経年劣化分を減価償却する必要があります。そのため、売却益が大きくなり、譲渡所得税の課税対象となる金額も大きくなります。

    一方で、法人は建物に減価償却をするかどうか、また、減価償却をする場合に差し引く金額を自由に設定できます。そのため、減価償却費を小さく設定する、もしくは減価償却をしない場合、売却益が小さくなり、譲渡所得税の課税対象となる金額も小さくなるのです。

    つまり、法人化すると、減価償却費を調整することで、法人所得を調整して節税しやすくなります。

    不動産投資で法人化するデメリットとは?

    不動産投資で法人化することには、デメリットもあります。デメリットは、主に以下の3つです。

    ・設立手続きをする必要がある
    ・法人としての維持費用がかかる
    ・長期譲渡所得の優遇税制が適用されない

    メリットとデメリットを比較して、メリットが上回るかどうかという観点で判断することをおすすめします。デメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

    設立手続きをする必要がある

    個人事業主として開業する手続きは、税務署に開業届を提出するだけで、5分程度で完了します。一方で、法人設立の手続きは、書類の作成や印鑑作成、公証役場や法務局への提出など、さまざまな手続きが必要で、最短でも1週間はかかります。特に書類作成は初めて経験する方も多いため、複雑で面倒に感じる人も多いでしょう。

    法人としての維持費用がかかる

    法人の税務処理や会計処理は、個人事業主に比べて複雑です。そのため、ほとんどの場合は税理士に記帳代行や申告代行、または顧問契約をお願いすることになります。顧問契約を結べば、顧問料として年間50万円~70万円程度の費用が発生します。

    しかし、事業規模が大きくなればなるほど、税理士に任せた方が節税効果が高くなる可能性があるため、顧問料より節税効果が上回れば、デメリットとは言い切れません。

    長期譲渡所得の優遇税制が適用されない

    個人の場合、不動産を売却した場合の所得税は、所有期間によって税率が異なります。5年以内に売却した場合は39.63%、5年を超えて売却した場合は20.315%です。この制度を長期譲渡所得の優遇税制といいます。

    一方、法人の場合は長期譲渡所得の優遇税制は利用できません。そのため、期間の長短に関わらず一律に課税されます。法人税の最低税率は約22%であるため、5年を超えて物件を売却する場合は、個人に比べ税率が不利になります。

    参考:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁

    不動産投資で法人化する方法・手順

    本格的な不動産投資をスタートするにあたり法人化を検討中の方も多いことでしょう。しかし、法人設立の手続きは簡単ではなく、用意する書類も多いです。

    ここからは、法人化に向けた全体像のイメージを膨らませてもらうために、法人設立の方法や手順を具体的に解説します。

    社名を決める

    社名を決めましょう。ただし、特殊な記号や紛らわしい屋号、「◯◯銀行」のように誤解を招く表現は使えないため注意が必要です。

    所在地を決める

    自宅や登記可能なレンタルオフィスなど、法人の所在地を決めます。

    資本金を決める

    初期の運営コストを考慮し、数十万円から数百万円で設定することが一般的です。1円からでも設立は可能です。

    発起人を決める

    15歳以上であれば、1名でも複数名でもなることができます。家族や知人、自分自身でも問題ありません。

    取締役を決める

    株式会社を設立する場合は、必ず1名以上の取締役を選任する必要があります。取締役とは、業務執行に関する意思決定を行い、その会社を代表する存在です。

    印鑑を作成する

    会社実印が1本、会社銀行印が1本の計2本必要です。

    会社実印は、その会社を表すとても大切な印鑑です。法務局で登記申請を行う際、高額な取引を行う際などに必要となるため、設立前に用意しましょう。個人実印と同様で、会社実印として効果を持たせるためには印鑑登録が必要です。

    一方の会社銀行印は、法人の銀行口座開設や手続きの際に必要な印鑑です。会社の資金を移す、請求書を作成するなど、使用頻度が高いため事前に作っておくことをおすすめします。

    必要書類を用意する

    法人として登記するために必要な書類の作成を進めていきます。必要な書類は、主に以下のとおりです。

    ・定款
    ・登記申請書
    ・就任承諾書
    ・印鑑届出書
    ・資本金払込証明書
    ・取締役の印鑑証明書
    ・登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙

    書類作成にあたって不明な点がある場合は、法人化をサポートしてくれる不動産会社や、司法書士といった専門家に相談するとよいでしょう。

    必要書類を法務局に提出する

    必要書類を作成したら、まず公証役場で定款の認証を受けます。定款の認証とは、公証人が定款の原本に押印することです。定款の認証を受けることで、定款が真正なものであることを証明することができます。

    定款の認証を受けたら、法務局で設立登記の申請と会社印の登録を行います。設立登記とは、会社の情報を登記簿に登録することです。登記簿に登録することで、会社の情報が公に開示され、第三者から確認できるようになります。

    設立登記の申請や会社印の登録が終わり受理されると、約1~2週間程度で登記が完了します。設立後も、税務署や都道府県税事務所、市町村役場、年金事務所などに設立の届出が必要になりますので忘れずに行うようにしましょう。

    不動産投資で法人化するときの注意点

    不動産投資で法人化するときは、以下の点に注意しましょう。

    ・法人所得が赤字でも7万円の法人住民税がかかる
    ・代表者であっても法人のお金を自由に使うことはできない
    ・会社員の場合、就業規則で法人設立が認められないことがある

    まとめ

    本記事では、不動産投資で法人化するメリットや方法、注意点について詳しく解説しました。不動産投資で法人化を検討している方は、本記事を参考に、メリットとデメリットを十分に理解したうえで、慎重に判断するようにしましょう。

    不動産投資で法人化するメリットは、節税効果や融資の受けやすさなど、多岐にわたります。しかし、法人設立の手続きは複雑で、税務処理や会計処理も個人事業主に比べて複雑になるため注意が必要です。

    また、法人化の判断は、投資規模や投資スタイルによっても異なります。個人で投資を検討している方も、法人化のメリットやデメリットを理解しておくことで、より効果的な投資を行うことができるでしょう。

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