コラム

本記事では、「空き家賃貸」に興味があるけど、利回りの面で不安を抱いている人や、空き家賃貸のメリットやデメリットを知りたい人向けに、空き家賃貸の利回りをよくする方法や、空き家賃貸のメリットと注意点について解説します。

この記事でわかること

不動産賃貸経営・不動産投資とは?


不動産賃貸経営とは、相続や購入などで取得した土地や住宅を資産運用する方法のひとつです。土地だけを取得した場合は、賃貸を目的とした住宅を新たに建築します。住宅がすでにある場合は、リフォームやリノベーションをして貸し出し、家賃収入を得ます。賃借人からインカムゲイン(運用益)を得ることを目的とした不動産投資を指します。

現在は空き家賃貸・空き家投資が注目されている

現在、日本国内では空き家が増加傾向にあり、全国の空き家問題が深刻化しています。そこで、すでに住宅を所有しているけれど利用することがなく空き家になっている物件を賃貸にして運用する「空き家賃貸(空き家投資)」という不動産賃貸経営の方法が注目されています。
かなり老朽化が進んでいて、そのままでは住めないような空き家物件を安く買い取り、リフォームを施し、収益を生み出す物件に再生させて賃貸に出すという方法です。
空き家として放置していたとしても、不動産を所有しているだけで固定資産税や都市計画税が課税されるため、空き家の有効活用の手段としてこの方法を選択する方が増えています。
空き家や古い建物のなかには、接道義務を果たしていないことから解体すると再び建築することができない「再建築不可物件」や、用途変更のできない都市計画制限を受けた物件なども多くみられます。
このような物件は、通常の価格では買い手が付かず、相場よりも安い値段で売られているケースが多いため、これらを利用して収益を狙う空き家投資の方法もあります。

空き家賃貸のメリット

空き家賃貸の主なメリットを見ていきましょう。

長期的な家賃収入が見込める

空き家を賃貸に出す最大のメリットは、長期的な毎月の家賃収入を得られる点です。空き家賃貸は、賃貸アパートやマンションと比較するとファミリー層の入居者を想定するため、一度入居すると入居期間が長くなる傾向があります。そのため、長期的に安定した収入が得られやすくなります。

入居者が決まりやすい

賃貸アパートやマンション一室の賃貸は供給量が多いですが、戸建て賃貸はそもそも供給量が少ないため、競合が少なく入居者が決まりやすいというメリットがあります。また、駐車場が付いている土地の広さの空き家であれば、賃貸アパートやマンションに比べ、駐車場代がかからないという点も入居者が決まりやすい要因になります。

立地に左右されにくい

賃貸アパートやマンションの場合は、駅からの距離など立地条件の良さが家賃収入に大きな影響を与えます。例えば、駅から10分以上の距離だとそもそも借手の探している条件に当てはまらず、候補から外れてしまうことがあります。しかし、空き家などの戸建て賃貸の場合は、立地条件よりも学校やスーパーなど生活環境の良さが優先されるケースが多いです。

空き家賃貸のデメリット・注意点

空き家賃貸にもデメリットや注意点があるため、それらも視野に入れなければなりません。

隣人トラブルが起こる可能性がある

戸建て賃貸はアパートやマンションに比べ、隣人との関係性が近くなることから借主と隣人との関係が悪くなるとトラブルに発展する可能性があります。その場合、オーナーである貸主自身がトラブルの対応を求められる場合もあります。

メンテナンスやリフォームに費用がかかる

例えば、区分マンション一室の賃貸であれば、面積が狭く室内のみのメンテナンスやリフォーム費用しかかかりませんが、戸建て賃貸の場合、長期入居者が退去した後や、自然災害で建物が破損した場合は、建物全体のメンテナンスやリフォームが必要になるため費用が高くなる傾向があります。

空き家をリフォームする際の費用相場と、お得にリフォームする方法を解説

収入の増加に時間がかかる

空き家賃貸は、入居者が決まれば安定した収入が見込めますが、初期投資金額が小さい分、家賃収入も少なくなります。アパート賃貸の場合であれば、空室がなくなれば大きな収入を得られますが、空き家賃貸の場合は、一住戸一組からの家賃収入となるため、一定金額の収入から増えることはありません。

空き家賃貸の利回りを知ろう

空き家賃貸の利回り
賃貸経営や投資と聞くと、気になるのは「利回り」でしょう。ここからは、利回りとは何か、具体的な計算方法をご紹介します。

利回りとは?

不動産の利回りとは、物件購入価格に対して家賃収入で得られた収益がどれくらいの割合かを示したもので、戸建て賃貸の場合は、1年間の家賃収入から計算します。利回りは、その物件の収益力を判断する要素の一つとなります。

利回りには、主に、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。それぞれの計算方法と特徴を見ていきましょう。

表面利回りの計算方法

表面利回りは、年間の家賃収入を不動産の購入にかかった費用で割って計算します。 

計算式:表面利回り =(年間家賃収入 ÷ 物件価格)× 100

例えば、不動産の取得に4,000万円かかった物件で、家賃が月10万円の戸建賃貸の場合の表面利回りは以下のようになります。

年間家賃収入 = 10万円 × 12カ月 = 120万円
表面利回り =(120万円 ÷ 4,000万円)× 100 = 3.0%

この戸建て賃貸の表面利回りは3.0%になります。

ここで注意すべき点は、表面利回りには、不動産の維持費などの諸経費が含まれていないため、確実に得られる利益ではないという点です。

実質利回りの計算方法

実質利回りは、表面利回りに、購入時の諸費用、年間運営費、固定資産税、火災保険料、修繕費などを加味して計算します。

計算式:実質利回り ={(年間家賃収入 − 年間支出)÷ 物件価格}× 100

例えば、不動産の取得に4,000万円かかった物件で、家賃が月10万円の戸建賃貸で、年間の支出が20万円の場合の実質利回りは以下のようになります。

年間家賃収入 = 10万円 × 12カ月 = 120万円
実質利回り ={(120万円 − 20万円)÷ 4,000万円}× 100 = 2.5%

この戸建賃貸の実質利回りは2.5%になります。実質利回りは、表面利回りと比較してより正確な収益が把握できる点が特徴です。

利回りの相場

不動産の表面利回りには相場があります。地方部での理想の利回りは10%、都市部では7%といわれています。
利回りは、諸費用となる物件購入価格が低いほうが高くなるため、物件購入価格が高めの都市部と比較して、地方都市のほうが利回りが高くなるのが特徴です。
上記の数値は理想の利回りですが、実際の利回りの相場としては、築年数にも影響されるため、新築物件で5〜6%、中古物件で6〜8%が相場とされています。

利回り計算における注意点

空き家投資をはじめる際に、数字だけで利回りを判断することは避けたほうがよいでしょう。表面利回りは多くの物件を比較する際のひとつの目安とすることをおすすめします。

物件を決める場合には、現地に足を運んで周辺の家賃相場や賃貸ニーズについて調べるのと同時に、諸費用がどれくらいかかるのかを把握したうえで、実質利回りやキャッシュフローを計算して、損をしない不動産投資をしましょう。

空き家賃貸の利回りをよくして成功させるためには

空き家賃貸 利回り 成功
不動産投資は、計算上では利回りがよいはずだったのに、実際はそれほどでもなかったというケースも少なくはありません。そこで、利回りをよくして、空き家賃貸を成功させるためのポイントをおさえておきましょう。

リフォームを行う

空き家の場合、設備が壊れていたり室内が汚れていて借手候補からの印象が悪く見える場合があります。例えば、築年数が経っている空き家でも、設備を変えたり室内のクロスの張り替えなどリフォームするだけで綺麗な住宅にすることで借り主がつきやすい物件にすることが可能です。

DIYでリフォーム費用自体を抑える

リフォームを行うことで物件の印象を良くすることができますが、リフォーム業者に工事の依頼をするとその分、費用がかかってしまいます。水回りの工事や間取り変更を伴うような専門の知識を要しない工事であれば、DIYでリフォーム工事を行うことで、諸費用を抑え、利回りをよくする方法もあります。

地域の需要にあわせたリノベーションを行う

リフォームと合わせて検討したいのが、リノベーションです。地域によって住まいに対するニーズが異なるため、どのような層が戸建て賃貸を希望しているのかを把握し、リノベーションすることも利回りをよくする方法の一つです。リノベーションでは、間取りの変更をすることも可能なため、例えばファミリー層向けの戸建て賃貸であればリビングの広い間取りに変更したり、近隣に大学が多く、学生のシェアハウス向けの戸建て賃貸であれば間取りを増やした戸建てにするなど、地域のニーズに合わせたリノベーションも検討するとよいでしょう。

優良な空き家物件を探す

空き家賃貸を始める際は、空き家になっている理由を知るようにしましょう。相続や税金対策など、所有者個人の事情によって空き家になっているのか、物件の立地や再建築不可などの制限により売却できずに空き家になっているのか、その理由によって投資の判断が異なってきます。物件の立地や再建築不可物件の場合は、投資物件として利用できるのかどうか、出口戦略まで考えて慎重に判断しなけばなりません。また、空き家のリフォームにかかる費用を回収できるだけの賃貸収益や売却益が期待できるかどうかも考える必要があります。
空き家物件の情報は空き家の取扱い実績豊富なポータルサイトやマッチングサイトから検索することをおすすめします。「空家ベース」では、全国の空き家を掲載し、空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐサポートをしています。空き家賃貸に興味のある方は是非お気軽にご相談ください。

まとめ

空き家賃貸で成功するためには「利回りを意識すること」「利回りをよくするための工夫をすること」「優良な空き家探しをすること」が大切になります。アパートやマンション賃貸とは違った賃貸投資のアプローチの仕方次第では、安定した家賃収入を得ることができ、賃貸投資を成功させることができます。空き家賃貸を始めたい場合は、なるべく多くの物件を見て現地調査を行ったり、空き家の取り扱い実績が豊富な不動産業者に相談するなどして知識や経験を積んでいきましょう。

空き家をリフォームしたいが費用の相場が分からない人や、空き家のリフォーム費用を安く抑えたい人は多いのではないでしょうか。

本記事では、空き家のリフォーム工事の費用相場とお得にリフォームする方法を解説します。

この記事でわかること

空き家リフォームの費用相場

一言で「リフォーム」といっても、工事にはさまざまな種類があります。

一般的に、リフォーム工事は建物の修繕など原状回復のために行うものを指します。下記でリフォームの種類や、リフォーム業者に依頼した場合の工事費用相場について、実際の見積書や請求書などを参考にしながら確認していきましょう。

外装リフォームの費用相場

代表的な外装リフォームは、以下の4つです。

・外壁塗装
・屋根塗装
・防水加工
・耐震加工

一般的に、外壁塗装・屋根塗装の耐用年数は約10年〜15年とされています。

築年数から15年以上経過し、外壁・屋根塗装が新たに施されていない場合は、外装リフォームを検討しましょう。

そのほか、外装リフォームには、築年数の古い戸建ての瓦屋根を、軽量で強度のある金属屋根などに葺き替えたり、ベランダやバルコニー部分などの防水加工も行うことも含まれます。

外装リフォームは、足場を設置したり大規模な工事になることが多いため、比較的工事費がかかります。

リフォーム工事の費用相場(外装)

【事例】外装リフォーム

ポリカーボネート屋根の板金工事費用は、4.2万円でした。
ポリカーボネート屋根の板金工事費用見積もり

水廻りリフォームの費用相場

代表的な水廻りリフォームは、以下の4つです。

・キッチン
・浴室
・トイレ
・洗面所

水廻りの設備は、毎日使用するものです。汚れや傷みが発生しやすく、かつ、構造部分の腐食や劣化に気付きにくいです。

また、設備自体を新調することだけでなく、水道の配管の位置を変えたり、給湯機器の交換を行うケースも含みます。

リフォーム工事の費用相場(水廻り)

【事例】水廻りリフォーム

トイレの和式から洋式への改修工事の費用は、26万円でした。

トイレの和式から洋式への改修工事の費用

給水給湯設備や排水設備などの工事費用は、8.6万円でした。

給水給湯設備や排水設備などの工事費用

内装リフォームの費用相場

代表的な内装リフォームは、以下の3つです。

・床フローリング貼り替え
・壁紙、天井クロス貼り替え
・建具の交換

床フローリングはメーカーによって色や木目の幅などが異なり、種類が豊富です。壁紙と天井のクロスは色やデザイン性の高いものなどさまざまな種類があります。

床や壁紙は目に付きやすい箇所です。貼り替え工事を行うだけで、新築のような内装の仕上がりになります。

また、建具の交換工事も内装リフォームに含まれます。建具自体は壊れておらず、表面だけに傷がある場合には、建具シートを貼り替えて見栄えを良くすることもあります。
リフォーム工事の費用相場(内装)

【事例】内装リフォーム

2階建の戸建物件のフロア貼り替え、キッチン周りの下地補修などの工事費用は、約17.5万円でした。

2階建の戸建物件のフロア貼り替え、キッチン周りの下地補修などの工事費用

別物件のクロス貼りを含む、フロア貼り替え工事の費用は、約18万円でした。

クロス貼りを含む、フロア貼り替え工事の費用

外構リフォームの費用相場

外構リフォームとは、門扉、アプローチ、カーポートなどの建物の外側にある構造物や庭部分全体の工事を指します。

外構リフォームは、住宅の印象を変えるだけでなく、施し方によっては防犯性の高いものにすることも可能です。

リフォーム工事の費用相場(外構)

お得に空き家をリフォームする方法

ここでは、お得に空き家リフォームする方法を紹介します。

補助金制度を活用する

国や自治体では、地方の活性化や定住を促進するために、間取り変更や耐震工事、バリアフリーの導入などの空き家のリフォーム工事を行う場合に、補助金や助成金を用意している場合があります。補助金制度を利用できる要件は自治体によって様ざまですが、補助金や助成金を活用することで、リフォーム費用を抑えることができます。

可能なところはDIYする

電気・給排水設備・ガス関連を扱う工事は難易度が高いため、リフォーム業者への依頼をすることをおすすめしますが、壁紙の交換や、門塀・木部の塗装など、住宅の耐久性やライフラインに影響のない部分は、DIYでも出来ることは多く、リフォーム費用を安く抑えることが可能です。

火災保険を活用する

自然災害で被害にあった箇所があれば、火災保険を活用することも可能です。

例えば、台風で雨どいが外れてしまったなどの被害があった場合、火災保険を申請して審査が下りれば、足場を組み立てて交換工事をする事が出来ます。そのタイミングで足場の組み立てが必要な他の工事も一緒に行なえば、雨どい交換の費用だけでなく、足場費用も節約することができます。

ただし、火災保険の申請条件には期間が定められているケースが多いため、火災保険を申請する際は早めに手続きを行うようにしましょう。

空き家のリフォーム業者選びの注意点

リフォーム工事は、基本的に「人工(にんく)と資材費」で決まります。

多重請負構造にあるため、広告を出している有名な事務所ほど、工事費用は高い傾向にあります。

一方、リフォーム業界は、特別な資格が不要な工事もあり、技術が高ければ独立しやすい業界であるため、個人事業主の職人が非常に多く存在します。

「では、個人事業主に発注した方がいいのでは?」と思われがちですが、そうとはいえません。たしかに工事費用は安くなる傾向にありますが、工事後に不備が発覚した際の対応がいい加減であったり、資金繰りの関係で廃業したりするリスクがあるからです。

そのようなことを想定するなら、割高でも信頼できる有名な事務所に依頼したほうが質的にも費用的にも正解、という見方もできます。

また、屋根の葺き替えや、下水の接続工事といったリフォーム工事の内容によっては、対応可能な業者が限られるため、ある程度費用相場が固まっていることも事実です。

そのため、リフォーム業者を選ぶときは、すべてを依頼するのではなく、自力でできる箇所はDIYや補助金を活用し、必要な箇所だけ業者に依頼するようにしましょう。そうすることで、工事費用を極力抑えることができます。

特に、小規模な工事を行う場合は、リフォーム業者をマッチングサイトで探すのがおすすめです。

空き家リフォーム業者はマッチングサイトで探すのがおすすめ

今回はおすすめのマッチングサイトとして、くらしのマーケット、ミツモア、家仲間コムの3つを紹介します。

くらしのマーケット

くらしのマーケットは、引っ越しやハウスクリーニング、不用品回収や家事代行など暮らしに関わる業者を簡単に比較・予約できるマッチングサイトです。運営元は、みんなのマーケット株式会社です。

提携している店舗・業者の数は約40,000店存在します。さまざまな業者の料金を比較しながら、各地域に存在する業者に対してWebやアプリ上で申し込みできます。

ミツモア

ミツモアは、暮らしからビジネスまで幅広くプロに見積依頼できるプラットフォームです。運営元は株式会社ミツモアです。

「この仕事、誰にお願いすればいいかわからない」という悩みを持つ依頼者と悩みを解決できるプロをつなぐ架け橋として、多くの利用者から高い評価を得ています。リフォームのほか、便利屋や庭の手入れ、ハウスクリーニングなど住宅に関連するカテゴリーも豊富で、必要項目を入力すれば複数業者から一括で見積もりを取れる点が特徴です。

家仲間コム

家仲間コムは、1,700以上のリフォーム業者が登録し、希望の工事内容にマッチする地元のリフォーム業者を無料で紹介してくれるサービスです。運営元は、株式会社マッチングジャパンです。

「家のリフォームや修理をお願いしたいけど、おすすめの業者を知らない」という方におすすめします。匿名で業者を紹介してもらえ、住所や電話番号も不要で、いきなり家を下見される心配もないため、安心して利用できます。

空き家リフォームのメリット

空き家をリフォームするメリットは、主に以下の3つです。

空き家をリフォームするメリット

  • 資産価値の増加
  • 倒壊や犯罪のリスク軽減
  • 特定空き家に認定されにくい
  • 特に、賃貸用物件として不動産投資を検討している方にとっては、「資産価値の増加」が重要でしょう。

    どれだけ立派なリフォーム工事を施しても、借り手が見つからなければ意味がありません。また、固定資産税やメンテナンス費用などは継続的に負担しなければならないため、資産価値を高め、「この家に住みたい」という需要を満たす必要があります。

    空き家リフォームのデメリット

    空き家をリフォームするデメリットとして、以下が挙げられます。

    費用がかかる

    先述したとおり、簡単なリフォーム工事であれば数万円程度で済みますが、全体的なリフォームを工事業者に依頼する場合には、数十万円〜数百万円かかる点を念頭に置いておきましょう。

    まとめ

    空き家をリフォームする際は、費用相場を把握し、リフォーム業者に依頼する部分やDIYをする部分を判断するようにしましょう。また、小さい工事であれば、リフォーム業者のマッチングサイトを活用すると、費用も抑えられお得です。「空家べ―ス」は、全国の空き家情報を掲載し、空き家を売りたい人と買いたい人を繋げるためのポータルサイトです。空き家の売買や古民家、古家付き土地などの利活用に興味ある方はお気軽にご相談ください。

    「住宅セーフティネット」という言葉をご存じでしょうか。

    住宅セーフティネット制度は、住宅セーフティネット法に基づく制度で、場合によっては住宅の改修費に対する助成を受けることも可能です。

    本記事では、住宅セーフティネット制度の概要や、活用方法、デメリットと注意点を解説します。

    この記事でわかること

    住宅セーフティネットとは?

    住宅セーフティーネットとは
    住宅セーフティネットとは、住宅確保要配慮者の住宅確保を支援する制度です。

    この制度には、住宅確保要配慮者に限定した登録住宅(セーフティネット住宅)のリフォーム費に対する補助金や助成金などが用意されています。

    住宅確保要配慮者とは?

    住宅確保要配慮者とは、低所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などのことです。

    住宅セーフティネット制度の利益を享受する人、と認識すると良いでしょう。

    住宅セーフティネット制度が改正された背景とは

    住宅セーフティーネットができた背景
    住宅セーフティネット制度は、住宅セーフティネット法(正式名称:住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)に基づく制度です。

    本法律が改正された背景を見ていきましょう。

    空き家の増加を抑えるため

    現在日本では空き家・空室が増加傾向にあり、平成25年7月の段階で820万戸に上っています。全国の820万戸の空き家・空室などのうち、駅から1km圏内にあり、かつ耐震性が備わっている賃貸用の物件は137万戸存在し、全体の約52%です。

    これでは住宅ストックが適切に活用されているとは言い難い状況です。これは、空き家の増加を抑える目的が本法律の改正された背景の一つです。

    住宅確保要配慮者の増加を抑えるため

    住宅確保要配慮者に該当する「低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者」の数は、増加しています。

    一方で、住宅確保要配慮者は、孤独死や家賃滞納の可能性があるとの理由により、大家から賃貸物件の入居を拒否されてしまう場合が多い、という問題があります。

    このような問題を解決するため、空き家の活用を通じて、住宅のセーフティネット機能を強化するという方針が定められました。

    住宅セーフティネット制度を利用した空き家・古民家の活用方法とは?

    古民家活用
    住宅セーフティネット制度を利用した空き家や古民家の活用方法として、低所得者向け賃貸住宅経営があります。

    全国的に空き家や古民家が増え続けているなか、相続や贈与によって手に入れた空き家や古民家を再活用しながら住宅確保に苦戦する層に住宅を提供できるため、二重の意味で社会貢献につながります。

    空き家は物件価格が非常に低くなっているため、物件を購入する初期費用の抑制が可能です。賃貸住宅の整備に要する費用に対する助成や家賃の減額に対する助成を行う制度(地域優良賃貸住宅制度)を活用してさらに低廉な家賃を導入すれば、住宅確保要配慮者向けの住居提供がしやすくなるでしょう。

    そのほか、空き家や古民家の再活用を促すために、独自の補助金制度や支援事業を実施している以下のような自治体もあります。

    東京都:貸主応援事業(補助金)
    兵庫県:空き家活用支援事業
    大阪市:空家利活用改修補助事業

    各自治体によって、毎年このような補助金や支援事業の制度があるとは限りませんが、制度が更新されれば、空き家の性能を向上する工事や地域まちづくりに資する工事に対して補助金を受けることができます。ただし、この後に紹介する空き家再活用の補助金と地域優良賃貸住宅の制度が併用できるかは、各自治体に確認が必要です。

    セーフティネット住宅として登録するためには

    物件をセーフティネット住宅に登録する場合、「セーフティネット住宅の情報提供システム」から申請する必要があります。

    セーフティネット住宅の登録手順は以下のとおりです。

    ・登録窓口への事前確認
    ・事業者のアカウント登録
    ・登録申請
    ・登録情報の公開

    上記の流れを通して、物件情報を公開できます。

    物件を登録するには、耐震性を有すること、住戸の床面積が25㎡以上であることなど登録基準に適合する必要があります。

    また、「セーフティネット住宅情報提供システム」では、自分の所有する賃貸物件を無料で登録し、広く情報公開することが可能です。登録には2種類あり、要配慮者のみが入居可能な専用住宅と、要配慮者以外でも入居可能な登録住宅のどちらにするかを選べます。

    一般の賃貸住宅の登録基準は都道府県によって異なる場合がありますが、主な基準は2つあり、耐震基準を満たすこと、および、一つの住戸の床面積が25㎡以上であることです。

    登録は1部屋から可能で、入居者が決まりにくい部屋だけ登録することや、現在空室の1部屋だけ登録することもできます。

    登録した場合も、全ての要配慮者を受け入れなければならないわけではなく、対象者を「高齢者のみ」「子育て世帯のみ」などと限定することも可能です。

    住宅セーフティネット制度のデメリットとは?

    住宅セーフティーネットデメリット
    住宅セーフティネット制度には、デメリットがあることも念頭に置いておきましょう。

    例えば、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に関して、主なデメリットは「入居者トラブルの発生の可能性が高い」という点です。高齢者であれば孤独死、低額所得者であれば家賃の不払いなどのトラブルが考えられます。

    起こりうるケースを想定しつつ、セーフティネット住宅を活用した不動産投資を行うかを考えていきましょう。

    住宅セーフティネット制度を利用する際の注意点

    空室の解消など賃貸経営に効果的な住宅セーフティネット制度ですが、利用するにあたっては注意点もあります。

    ここでは、住宅確保要配慮者向けの賃貸経営を行う際の注意点について説明しておきます。

    入居可能な住宅確保要配慮者の範囲は法令主旨に沿った内容にする

    住宅を登録する際、住宅確保要配慮者の範囲を自由に選択できますが、例えば「70歳以上の高齢者の入居は認めない」など、法令の主旨に反するような制限を加えることはできません。

    また、家賃低廉化措置を受けた場合、入居者は月収15.8万円以下の世帯のみが認められることになるため、反対に一般の入居者を受け入れられなくなり、空室が発生してしまうリスクもあります。

    家賃滞納のリスクがある

    住宅確保要配慮者向けの住宅として登録した場合、生活保護費受給者や低所得者などの層の入居が考えられるため、家賃滞納のリスクが高まります。そのため、家賃債務保証や代理納付の制度を活用して、このリスクを適切に管理する必要があります。

    家賃の制限がある

    要配慮者の入居を拒まない住宅として登録する場合や改修費補助などを受ける場合、家賃に対して制限が加えられることがあります。登録住宅の家賃基準は、近隣住宅の家賃と同額レベル以下、改修費補助・家賃低廉化措置を受ける場合には、公営住宅の家賃以下となるため、収益がプラスになるような家賃収入が望めるのか計算する必要があります。

    利用するためのハードルが高い

    国がセーフティーネットの制度を定めているのに対し、運用をするのは自治体(市町村)であるため、国の方針に各自治体の動きが伴っていない現状も事実です。

    制度の理解だけではなく、自治体窓口への確認、利用要件の詳細確認には手間を惜しまず取り組むことが必要になります。制度の利用で不安がある方は、不動産会社や専門家への相談も検討しましょう。

    まとめ

    空き家などを活用した住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅経営は、不動産投資を行う場合の選択肢の一つになり、また、空き家を再活用しながら住宅確保に苦戦する層に住宅を提供できるため社会貢献につながります。

    しかし、通常の賃貸経営に比べ、居者トラブルの発生の可能性が高い点や、国の定めた制度とそれを運営する各自治体の連携が上手くできていない部分もあり、賃貸経営のハードルが高いなどの注意点があることも事実です。

    住宅セーフティネット制度を利用して空き家や古民家の活用を検討している場合は、メリット・デメリットを考慮し、自身に適した方法で行うようにしましょう。

    「空家ベース」では、全国の空き家情報を掲載しています。空き家や古民家の利活用でお困りの方や、利活用に少しでも興味のある方は、是非お気軽にご相談ください。

    日本国内では、空き家が年々増加しており、空き家問題が深刻化している一方で、空き家をリフォームして再利用する人や、投資用物件として活用する人も増えています。

    しかし、そういった場合、多くの空き家や古民家では、より魅力的で快適な住環境を実現するためにリフォーム工事が必要です。空き家のリフォーム工事は、場合によっては大きな費用が発生し、高額な初期投資が必要になることもありますが、自治体によっては補助金が給付されているケースがあります。

    本記事では、空き家のリフォーム工事に関する補助金制度について詳しく解説します。空き家の購入や活用をご検討中の方は是非参考にしてみてください。

    空き家対策が求められる理由

    空き家対策が必要な理由

    空き家は、少子高齢化の進展や人口移動の変化などを背景に、年々増加傾向にあります。

    管理が行き届いていない空き家は、防災や衛生、景観などの面で人々の生活環境に悪い影響を及ぼすため、社会問題の一つとなっています。

    また、地方では少子高齢化や過疎化が進み、有効的な利活用がうまく行えないまま放置された空き家や古民家などが多く見受けられるようになりました。

    国と自治体の連携による空き家対策

    2015年5月に施行された「空き家対策特別措置法」に伴い、国と自治体の連携による空き家対策に向けた取り組みが強化されました。

    2018年、総務省の「住宅・土地統計調査」によると、国内の空き家は過去最高となる849万戸となり、2013年時点と比較して26万戸の増加、そして、その割合は全国の住宅数の13.6%に及ぶと報告されました。

    そして、空き家問題の解決促進を目的として、自治体はリフォーム工事に対する補助金制度を設けました。

    参考:平成30年住宅・土地統計調査 特別集計 | 総務省統計局

    相続登記の義務化が開始

    2024年4月1日から、所有者不明の土地をなくすために相続登記の申請義務化がスタートします。

    以下の期限までに相続登記を申請しなければ、10万円以下の過料の適用対象となります。

    ・相続によって不動産を取得した場合、その所有権の取得を知った日から3年以内に
    ・遺産分割が成立し不動産を取得した場合、遺産分割が成立した日から3年以内に

    空き家リフォームの補助金制度|市区町村【事例】

    空き家リフォームの補助金制度
    ここからは、具体的な空き家リフォームの補助金の種類を市区町村の事例で紹介します。

    空き家リフォームの補助金制度は、その自治体に移住することを前提に助成されるケースも多く見受けられますが、自治体の中には移住しなくても補助金制度を利用できるケースもあります。

    空き家リフォームの補助金制度|改修

    自治体が空き家のリフォーム工事を支援する目的は、移住・定住の促進による地域の活性化や、地域の魅力向上を目的とする場合が大半です。

    自治体が設けている、改修工事に対する補助金制度の事例を見ていきましょう。

    八王子市空き家利活用促進整備補助金|東京都八王子市

    八王子市では、空き家の利活用等を促進するため、空き家の所有者又は空き家を利用して活動を行う団体等が行う改修工事の費用の一部を補助しています。また、市内の登録施工業者がリフォーム工事を行うことで、地域経済の活性化も図っています。

    【補助対象者】
    補助対象者の主な要件は、以下のとおりです。

    ・市内に所在する空き家の所有者、管理者又は市内の空き家を利用して活動を行う個人、法人及びその他の団体
    ・八王子市空き家マッチング支援事業に登録していること
    ・市税を滞納していないこと

    【補助金の主な交付条件】
    ・建築基準法その他関係法令に適合した建築物である
    ・昭和56年6月以降の新耐震基準により着工したもの(既に地震に対する安全性に係る建築基準法等の規定に適合することが証明されている場合又は耐震改修工事を合わせて行う場合を含む)
    ・10年以上(補助金額が50万円以下の場合は5年以上)地域活性化施設として使用すること
    令和5年(2023年)2月末日までに工事が完了すること
    ・指定団体から推薦された市内の登録施工業者が行う工事であること

    【補助対象となるリフォーム工事の費用】
    集会・交流施設、ベンチャービジネスの拠点等で、地域の活性化に資する施設として市長が認める、地域活性化施設として活用するための改修工事

    【補助額】
    補助対象工事費の3分の2 以内とし、上限100万円(1戸当たり)

    その他の要件や、補助金申請の流れについては、八王子市の公式ホームページを参照してください。

    参考:八王子市空き家利活用促進整備補助金「地域活性化施設改修」のご案内|八王子市

    兵庫県の空き家活用支援事業|兵庫県

    兵庫県では、一戸建ての住宅の空き家や共同住宅の空き住戸を住宅、事業所又は地域交流拠点として活用するために改修する際、改修工事費の一部を助成し、空き家の活用を促進しています。

    【補助対象となる空き家の要件】
    次の全てに合致する空き家です。

    ・一戸建ての住宅の空き家又は共同住宅の空き住戸で、申請時点で空き家であること
    ・空き家の期間が6箇月以上であること
    ・築20年以上経過したもの
    ・台所、浴室、便所の水回り設備のいずれかが10年以上更新されていないこと
    ・耐震性能を有する空き家であること(改修後において一定の耐震性を確保する場合も可)
    ・土砂災害特別警戒区域等に位置していないこと

    【補助対象者】
    空き家を住宅、事業所又は地域交流拠点(以下「住宅等」という。)として活用するために改修する者

    【補助対象となるリフォーム工事の費用】
    ・改修工事費
    ・事務機器取得費(地域交流拠点型でコワーキングスペースに活用する場合に限る)

    【補助額】
    用途が住宅型・事業所型・地域交流拠点型のいずれに該当するかで異なるため、要件や補助額の詳細などについては、兵庫県の公式ホームページより参照してください。

    参考:空き家活用支援事業|兵庫県

    富士市空き家リフォーム支援補助金(空き家バンク利活用支援)|静岡県富士市

    富士市では、富士市空き家バンクに掲載されている空き家が補助金の対象です。

    【補助対象となる空き家の要件】
    ・富士市空き家バンクに掲載されている空き家

    【補助対象者】
    ・空き家の所有者(売買契約または賃貸借契約により入居者が決定している場合に限る)、購入者又は賃借人(賃貸借契約により所有者の承諾を得ている場合に限る。)
    ・市税(市民税、固定資産税、都市計画税、国民健康保険税、軽自動車税など)を滞納していない方
    ・空き家の引き渡し以後、入居者が当該空き家に5年以上年以上居住する意思がある方(ただし、市外からの転入者は10年以上)
    ・賃貸借契約又は売買契約の相手が3親等以内の親族でない方

    【補助対象となるリフォーム工事の費用】
    補助の対象となる工事は以下のものとし、自ら行う工事(DIY等)の場合は、材料費のみ補助対象となります。

    ・水道、ガス又は電気設備の改修工事
    ・台所、トイレ又は風呂の改修工事
    ・内装、外装又は屋根の改修工事
    ・付帯物(家財を含む)の除却工事
    ・増築もしくは減築等の工事又は修繕工事

    【補助額】
    工事費の2分の1で上限80万円まで

    その他、補助金の制度の実施期間や対象地域などの詳細の情報については、富士市の公式ホームページを参照してください。

    参考:富士市空き家リフォーム支援補助金(空き家バンク利活用支援)|富士市

    まとめ

    国内の空き家問題対策として、国や地方自治体ではさまざまな対策や補助金制度を設けています。

    空き家を貸借させる場合も補助金の助成対象としている自治体も存在するため、空き家の利活用を検討している方は、各自治体の空き家リフォームの補助金制度を利用して、リフォームにかかる諸費費用をなるべく抑えることもご検討ください。

    「空家べ―ス」は、全国の空き家情報を掲載し、空き家を売りたい人と買いたい人を繋げるためのポータルサイトです。空き家の売買や古民家、古家付き土地などの利活用に興味ある方はお気軽にご相談ください。

    「物上げ」という言葉をご存じでしょうか。物上げとは、不動産の業界用語です。「土地や建物などを仕入れて、売り物件にする」という意味があります。

    物上げは、利益率が非常に高いため、興味を持っている方も増えています。しかし一方で、あまり認知されていないのも事実であり、「物上げで成功するために何をすればいいのかわからない」「物上げのコツが知りたい」という方も多いのではないでしょうか。

    そこで本記事では、物上げとは何か、物上げを成功させるための方法や注意点などについて解説します。

    この記事でわかること

    不動産の物上げとは?

    物上げとは、不動産の業界用語で、「土地や建物を仕入れ、売り物件にすること」を意味します。

    不動産の物上げの具体例には、次のようなものがあります。

    ・不動産の所有者から土地、戸建てやマンションなどの売却を依頼され、仲介手数料をマージン(利益)として得る
    ・不動産を安く仕入れ、お洒落にリフォーム・リノベーションを行い、物件価値を高めて購入希望者に再販する
    ・相続により得た空き家や老朽化した一軒家を持つ売却希望者を紹介してもらい、その不動産を売りに出す

    物上げの最も大きなメリットは、利益率が高いことです。不動産の仕入価格と売却額との差額がそのまま利益となるため、安く仕入れて高く売却できれば、その分利益は大きくなります。

    地方の古民家や都心の狭小空き家などもリフォームやリノベーションを施せば、物件の価値が高まり、売却益を得られる可能性があるため、不動産投資家の間では非常に注目されています。

    物上げ業者とは?

    物上げを専門または主として行う業者があります。それが「物上げ業者(物上げ事業者)」です。

    物上げ業者は、不動産の所有者に対して「不動産(土地や建物など)を売ってほしい」と
    営業をかけ、不動産を買い取ります。

    その後、買い取った不動産のリフォームやリノベーションを行い、中古販売業者や購入希望者に再販しています。

    信頼できる物上げ業者の見極めポイント

    不動産仲介業者に比べると少ないですが、少ないからこそ信頼できる物上げ業者を見極めることが大切です。

    ポイントは、以下の3点です。
    ・担当の営業マンが親身になってくれる
    ・自社ブランドの物件を販売または管理している
    ・賃貸や建物の管理をしっかり行い、売却相談にも応じてくれる

    物上げ業者に依頼する際は、上記ポイントに注目してみましょう。

    業者が行う物上げの方法とは?

    物上げ業者による物上げの方法として、主に以下の4つがあります。

    ・ダイレクトメールやチラシ
    ・飛び込み営業や訪問
    ・他業者からの紹介
    ・相続登記

    詳しく見ていきましょう。

    ダイレクトメールやチラシ

    分譲マンションや住宅街で「売り物件募集中」のダイレクトメール(DM)やチラシをポスティングする方法があります。

    インターネットで集客する方が効率的に思えますが、特にシニア層はインターネットを利用しないことも多いです。また、チラシは実際に手に取って見てもらえるため、印象に残りやすく、一定の効果が期待できます。

    飛び込み営業や訪問

    地主や物件オーナーに飛び込み営業をして、直接交渉するという方法もあります。

    ただし、やみくもに訪問しても断られてしまうため注意しましょう。例えば、中古でマイホームを購入したばかりの人と、身内の不幸で相続した戸建てを所有する人を比較したとき、後者の方が興味を示してくれることは明らかです。前者は取り合ってもくれないでしょう。

    そのため、事前に所有者の情報や属性をリサーチしたうえで訪問することをおすすめします。その方が成約率が高くなるでしょう。

    他業者からの紹介

    やはり確実に顧客を獲得しやすいのが、他業者から売却希望者を紹介してもらう方法です。同業他社と定期的にコミュニケーションを取っておくと、自社の顧客を紹介してもらえるかもしれません。

    また、相続に関連する不動産については、司法書士や税理士などから良い情報を得られることもあります。士業の方々とも日頃から信頼関係を構築しておくとビジネスに活かせる確率が高まるでしょう。

    相続登記

    不動産登記受付帳から相続物件へアプローチする方法もあります。法務局で相続された物件の登記情報を調べるという方法です。

    日頃から多くの相続情報が法務局には登録されており、物上げ業者によってはリスト化し、訪問営業をかけている場合もあります。

    不動産の物上げは個人でもできる?

    法人や事業者ではなく、個人でも物上げは可能です。

    ただし、不動産に関する知識と経験を備えている必要があります。不動産の市場価値を正しく理解し、立地条件や周辺環境などを加味したうえで、適切な売却方法で売却する必要があるためです。

    もしも、初心者で不動産の物上げに興味がある方は、物上げに強みを持つ不動産業者や弁護士などに相談しながら進めることをおすすめします。

    一般の人が不動産の物上げをする方法とは?

    一般の人が物上げを行う方法として、おすすめしたいのが「物件の謄本を取得して所有者に相談する」という方法です。

    例えば、近隣の空き家や老朽化した古民家などを見つけたら、謄本を取得し、その所有者に売却相談を持ちかけてみましょう。空き家や古民家を「手放したい」と考えている所有者は多いです。近年は、リフォームした空き家やリノベーションした古民家に対する需要が高まっているため、思わぬ売却益を得られるかもしれません。

    個人で行うことに不安がある場合は、「不動産会社に間に入ってもらい、所有者に交渉してもらう」という方法も検討しましょう。

    物件の謄本を取得できる「登記情報提供サービス」

    謄本の取得方法に、登記情報提供サービスがあります。

    有料ですが、登録することで、法務局へ出向かずに登記情報を取得できるサービスです。

    受付時間は、平日の午前8時30分から午後9時までで、土曜と日曜、国民の祝日および休日、年末年始(12月29日から1月3日まで)は利用できないためご注意ください。

    より詳しい利用方法や料金などについては、登記情報提供サービスの公式サイトより確認できます。

    不動産の物上げをするときの注意点

    不動産の物上げをするときは、以下の注意点を念頭に置いておきましょう。

    ・近隣の不動産相場をしっかりとリサーチする
    ・ダイレクトメールやチラシは失礼のない程度にする
    ・飛び込み営業はじっくりと信頼関係を築くことが重要

    ひとつずつ解説していきます。

    近隣の不動産相場をしっかりとリサーチする

    近隣の不動産相場や物件の市場価値をリサーチする理由として、以下のようなものがあります。

    ・物件の適正価格を把握できる
    ・適正価格を把握することで、物件を安く買い取れる
    ・売却額を見越して、リフォームやリノベーションを検討できる
    ・リフォームやリノベーションの結果、物件価値を高め、売却額を高められる

    ダイレクトメールやチラシは失礼のない程度にする

    一方的にダイレクトメールやチラシが届いていると、受け取り手によっては、ネガティブな印象を持たれてしまいます。

    ダイレクトメールやチラシを投函するときは、「こんな失礼なところには頼みたくない」と毛嫌いされない程度の頻度で行うようにしましょう。これは、業者に依頼するときも、個人で行うときも同様です。

    所有者とはじっくりと信頼関係を築くことが重要

    検討中物件の所有者を訪問するときは、迷惑にならない程度に訪問し、時間をかけて信頼関係を築くことが大切です。

    いきなり訪問してきた見ず知らずの人に不動産を売却してくれる人はとても少ないでしょう。一度で成約できるという期待は持たず、「所有する不動産でお困りごとがあればご相談ください」という姿勢で、訪問を繰り返し、信頼を積み重ねていきましょう

    まとめ

    本記事では、物上げとは何か、物上げを成功させるための方法や注意点などについて解説してきました。

    物上げは個人でも行えます。おすすめの方法は、物件の謄本を取得し、所有者に相談するという方法です。謄本は、登記情報提供サービスを利用すれば、個人でも簡単に取得できます。

    ただし、物上げをするときは、物件の適正価格や周辺環境などを入念にリサーチし、所有者との間に信頼関係を築きながら一歩ずつ進めていくことが大切です。

    「空家ベース」は、全国各地の空き家や古民家などの売り手と買い手のマッチングを、数多くサポートしてきました。物上げする物件をお探しの方や、所有する不動産でお困りごとがある方は、お気軽にお声がけください。

    「投資用に購入した古民家の利回りを高めたい」「相続した築古空き家を収益化したい」といった方々に、セルフリノベーションが注目されています。

    低予算かつ自由なデザインで建物をキレイにできるセルフリノベーションですが、実は、知識や技術がない方にはおすすめできません。利回りを高めるどころか、かえって損失を大きくし失敗に終わる可能性すらあるからです。

    本記事では、セルフリノベーション失敗のメリット・デメリットや失敗事例などを紹介しつつ、失敗や後悔をしないためのコツを解説します。

    この記事でわかること

    古民家や築古空き家のセルフリノベーションは増えているが注意が必要

    セルフリノベーションの注意点
    古民家や築古空き家をセルフリノベーションする方が増えています。

    セルフリノベーションとは、部屋や建物などのリノベーションを行う際、業者に依頼せず自分の手で設計・工事を行うことです。いわゆる、DIYでリノベーションすることです。低予算で建物や居室などを改装できるため、多くの古民家・築古空き家の所有者に注目されています。

    しかし、素人や初心者が行うと、時間や労力がかかったり、中途半端な仕上がりで借り手が見つからなかったりと逆効果になる可能性があるため注意が必要です。

    セルフリノベーションのメリット

    セルフリノベーションには、主に以下の4つのメリットがあります。

  • 業者や専門家に依頼するよりもリーズナブル
  • クロスの色味などを自由にデザインできる
  • 工期の制限がない設定できる
  • DIYの知識や技術が身に付く
  • 最も大きなメリットは、費用を安く抑えられる点です。趣味に近い感覚でDIY作業を行える方は負担に感じないかもしれません。

    セルフリノベーションのデメリット

    主に、費用面でメリットを受けられるセルフリノベーションですが、実はデメリットもあります。

    セルフリノベーションのデメリットは、主に以下の5点です。

  • DIY可能な範囲の区別が難しく、役所に申請が必要なケースもある
  • 専門資格保有者でないと行えない作業がある(電気工事士など)
  • 業者や専門家に比べて仕上がりに差が出やすい
  • 特に初心者は時間や体力が必要になる
  • 大怪我につながることがある
  • 時間や体力はどうにかなるかもしれませんが、専門資格を持たなかったり、役所への申請を怠ったりすると法律違反にあたるため注意しましょう。

    また、SNSやYouTubeで紹介されているケースと全く同じ物件・建物でDIYを行うことは極めて少ないため、仕上げた後に「満足できる品質じゃない」とやり直しを余儀なくされることも珍しくありません。

    例えば、塗装やクロスの張り替えなどは素人でも取り組みやすい部類のDIYですが、完成までにそれなりの時間がかかります。DIYの難度が高くなるほど、失敗とやり直しを繰り返すことになりますが、トータルの時間と労力を考えればプロに依頼した方が安く済むケースもあります。

    セルフリノベーションで失敗するとどうなる?

    SNSやYouTubeなどで「セルフリノベーションすると高利回りを狙える」と聞いた方などは、セルフリノベーションに興味をお持ちかもしれません。

    しかし実は、セルフリノベーションで失敗すると、高利回りどころか損する可能性すらあります。

    例えば、「中途半端な仕上がりで借り手が見つからない」「作業中に足を滑らせて大怪我してしまい作業が進められない」などにより、契約締結やDIY完成までに時間がかかると、空室期間が長くなります。空室期間が長引けば、その分機会損失は膨らむばかりです。

    また、DIY作業に費やす自分自身の人件費を考慮すると、熟練した技術と知識がない場合は、DIYで安くリノベーション・リフォームできるとは言い難いのです。

    セルフリノベーションで失敗した事例・体験談

    セルフリノベーションで失敗した事例は、以下のようにさまざまです。

  • 想像以上に作業日数がかかり、工数と費用が倍になった
  • 仕上がりが汚く、何度もやり直すことになった
  • 止水栓が折れてキッチン周りが大洪水になった
  • (マンションの)管理規約に違反してしまった
  • また、実際にセルフリノベーションで失敗した方の体験談もご紹介します。

    セルフリノベーション
    壁紙を雑に剥がして、剥がし方を知る
    パテ塗りして埋めて削って、粉塵で掃除機つまる
    とりま一面貼る
    下地処理が適当過ぎて、浮きまくる
    何事も下準備が大切だと実感
    失敗した経験が、次に繋がるハズ pic.twitter.com/5eFLRlKW56

    — くーちゃん's (@qoochantoosanpo) May 23, 2022

    セルフリノベーションを検討中の方は、比較的取り組みやすいクロスの張り替えでさえ、失敗する可能性があることを念頭に置いておきましょう。

    セルフリノベーションで失敗する前にプロに相談しよう

    実は、プロの業者がセルフリノベーションを手伝ってくれる「DIYサポート」という頼もしいサービスがあります。

    「DIYの知識や技術がなくて、不安」「セルフリノベーションに興味はあるけど、一歩が踏み出せない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

    リノルティ

    「リノルティ」は、立地の良いリノベ済みの既存物件の仲介と、機能性を高める小規模リノベーションをワンストップで提供する不動産デジタル仲介サービスです。

    既存物件に機能をプラスする小規模リノベーションを行い、自分のスタイルに合った、特別な物件・特別な住まい空間を作り上げることができます。

    リノベーションのカテゴリーはキッチン収納棚や洗面・トイレ収納の設置などを含む8つあり、マンションと戸建ていずれにも対応しています。

    LOHAS studio

    「LOHAS studio」はリノベーション・リフォームのほか、新築・注文住宅を提供しています。

    DIYで可能なこと、できないことをアドバイザーと相談しながら一緒に判断できるため、初心者でも安心です。また、DIYできない部分はLOHAS studioが工事の手配をしてくれます。

    ただし、サポート地域が一都三県(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)のみである点にご注意ください。

    toolbox

    「toolbox」は、DIYのデザインや設計、施工までをサポートしてくれ、塗装や床の張り替え、タイル貼りや解体など、幅広いニーズに対応しています。

    DIYの段取りや作業のやり方をはじめ、道具の使い方といったことまで丁寧に教えてくれるため、初心者やDIY未経験者でも安心してDIYに取り組むことができます。

    セルフリノベーションで失敗・後悔しないためには?

    古民家や築古物件のセルフリノベーションで失敗しないためには、事前準備が重要です。

    セルフリノベーションを成功させたとしても、そもそも需要がない物件では、収益化はおろか、リノベーション代すら回収できない可能性があります。

    そうならないためにも、リノベーションの「範囲」と「方法」をあらかじめリサーチし、「費用」の見通しを付けて、適切なプロの手を借りながら設計・施行することが大切です。そして、「借り手」または「買い手」を見つけておくと、なお安心です。

    借り手・買い手とのマッチングは「空家ベース」にお任せください

    プロの力を借りながらセルフリノベーションすることで、失敗を防ぎつつ、低予算で良質な仕上がりが実現できます。

    しかし、その古民家や築古空き家などの借り手や買い手が見つからなければ、機会損失は膨らみ、最悪の場合、赤字になってしまいます。そのため、肝心なのは、その物件を「借りたい」「買いたい」という方をいち早く見つけることです。

    「空家ベース」は、全国各地の古民家・空き家の豊富な売買実績を持つ不動産ポータルサイトです。借り手と貸し手、売り手と買い手の希望条件とマッチングする物件を紹介しています。

    物件掲載料や登録料は無料です。どなたでもお気軽に利用いただけます。「古民家を探している」「空き家を所有して困っている」など、お困りごとがある方はぜひ一度「空家ベース」にお声がけください。

    「築古物件を購入してリフォームして貸し出したい」「空き家投資で一定の不労所得を得たい」などの理由から、空き家の購入を検討している方も多いのではないでしょうか。

    空き家探しにはいくつかの方法があります。一般的な賃貸物件や戸建て物件の探し方とは若干異なるため、肝心の空き家の探し方がわからず、困っている方は少なくありません。

    そこで本記事では、空き家の探し方を中心に、空き家を探すうえでの注意点、購入前に考慮すべきポイントなどを解説していきます。

    この記事でわかること

    空き家の探し方を知る前に

    具体的な空き家の探し方を知る前に、価格の低い不動産(500万円以下など)は不動産会社が広告費をかけにくいため露出しにくい、ということを念頭に置いておきましょう。

    主な理由は、「価格の高い不動産=需要が見込まれる不動産」に比べて売却までの期間が長く、広告費をかけても費用対効果が悪いからです。

    空き家だからといって簡単に見つかるわけではない点に注意しましょう。

    空き家を手放したい人は多いのか?

    「空き家は売却しないでそのまま所有したい人が多いのでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。

    しかし、空き家を所有したまま放置するのはデメリットばかりであるため、「手放したい」「売却したい」という所有者は多いのです。

    さらに、国は空き家の増加を食い止めるため「空き家対策特別措置法」を設けました。適切に管理されていない空き家を「特定空き家」に指定し、所有者に対し、罰金や固定資産税の増税などの罰則を科せるようになったのです。

    このような背景から、「どうせなら空き家を売って現金化したい」と考える人が多くなり、市場に出回る空き家は今後も増えると考えられます。

    参考:「危険な空き家」税負担増、活用促進で歯止めを 法改正案を閣議決定|朝日新聞 DIGITAL

    空き家の探し方を知ろう

    ここからは空き家の探し方を紹介していきます。

    空き家の探し方には、以下のような方法があります。
    空き家の探し方

  • 空き家バンク
  • 不動産ポータルサイト
  • 地元の人や不動産会社
  • 各自治体の空き家募集ページ
  • 空き家の探し方|空き家バンク

    「空き家バンク」とは、自治体や民間企業が主体となって空き家の情報を提供しているサービスのことです。

    所有している空き家を貸したい人や、売りたい人が登録し、空き家バンクを介して自治体や民間企業が情報を提供しています。

    参考:長野市空き家バンク|長野県長野市

    空き家の探し方|不動産ポータルサイト

    不動産ポータルサイトは、SUUMOやアットホームなどのことで、不動産会社などが物件情報を掲載しているウェブサイトです。

    物件数も豊富で、物件情報も詳しく確認できるため、ほかの方法に比べて最も効率的かつより多くの空き家を探せる方法です。各種ポータルサイトで、無料の空き家や賃貸の空き家などが幅広く掲載されています。

    空き家の探し方|地元の人や不動産会社

    地元にある空き家を探したり、空き家のオーナーに直接交渉したりする探し方もあります。

    また、地域密着型の不動産会社や地元の物件情報に精通した不動産業者に「空き家を探している」ことを伝えるという方法も、地道ですが優良な物件が見つかる可能性があります。

    空き家の探し方|各自治体の空き家募集ページ

    自治体によっては、空き家バンク以外にも各自治体サイトに空き家の募集ページがあります。自治体の募集ページは利用者がそこまで多くないため、掘り出し物件や割安な空き家が見つかる可能性もあります。

    自治体の空き家購入やリフォームの支援制度を活用すると、とてもお得に空き家に移住できるかもしれません。

    参考:あまくさライフ|熊本県天草市

    空き家を探すなら不動産ポータルサイトを活用しよう

    いろいろな空き家の探し方をお伝えしてきましたが、最もおすすめしたい方法は不動産ポータルサイトの活用です。

    ここからは、具体的なポータルサイトとその特徴を紹介します。

    アットホームなら「割安な空き家」が見つかる

    割安な空き家を買いたい場合は、アットホームがおすすめです。なぜ、割安になるかというと、不動産会社の広告費が他の媒体に比べて安く、掲載のハードルが低いためです。

    自治体が運営する空き家バンクと提携したアットホームのサイトもあります。

    「掘り出し物件が見つかるかもしれない」不動産ジャパン

    不動産ジャパンは、不動産会社が加盟する4団体が運営するポータルサイトです。

    不動産会社の掲載料は無料であり、空き家情報掲載のハードルが低いです。また、そこまでメジャーではなく、見る人が少ないため、掘り出し物件が見つかる可能性があります。

    「個人間でのやり取りもある玄人向きな」空き家ゲートウェイ・家いちばなど

    そのほか、「空き家ゲートウェイ」「みんなの0円物件」「家いちば」なども活用すると、優良な空き家が見つかるかもしれません。

    ただし、個人間でやり取りする機会も多く、若干玄人向きな面がある点には注意しましょう。

    「空き家の売買実績が豊富な」空家ベースがおすすめ

    「空家ベース」は、空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐ、空き家に特化したポータルサイトです。

    これまでも数多くの空き家の売買をサポートしてきました。登録や掲載料は無料で、他の不動産会社や空き家バンクで売れなかった物件なども多数売買しています。全国各地で、空き家のほか、古民家や再建築不可物件なども取り扱っているため、「掘り出し物件を探している」「地方の空き家を買いたい」という方は、お気軽にお声がけください。

    「古家付き土地」という検索方法もある

    どれだけ探しても自分にぴったりの空き家が見つからない、という可能性もゼロではありません。

    そのようなときは、不動産ポータルサイトに限らず、検索条件を「土地」にして「古屋付き」で探してみるのもおすすめです。「建物がもう使えない」と不動産会社が判断して土地価格で売り出されている物件が見つかることがあります。

    仮に「古家付き土地」を購入して建物が使えなかったとしても、リフォーム・リノベーションをして賃貸物件として活用することも可能です。また、建物を解体して更地にした後、駐車場として収益化するという活用方法もあります。

    さらに、地方活性化や社会貢献にもつながることから、「再生された古民家空き家に住みたい」という買手や借手は増加傾向にあり、賃貸活用を希望する方にとっては追い風となっています。

    参考:築50年の空き家に入居者続々 空き家の新たな活用法とは?|NHK クローズアップ現代

    空き家探しにおける注意点

    空き家探しでは、以下のようなポイントに注意しましょう。

    ・空き家になっている理由がネガティブなものではないか
    ・空き家があるエリアに問題はないか(隣人トラブル、災害エリアなど)
    ・空き家となっている物件自体に問題はないか(設備、老朽化、シロアリなど)

    自身や家族で住むのであれば我慢すればやり過ごせるかもしれませんが、賃貸物件としての活用や将来的な売却を予定している場合は、借手や買手がつきにくくなるため、特に注意が必要です。

    空き家探しで見つけた物件を購入する前に考慮すべきポイント

    見つけた空き家の購入で失敗しないために、以下のポイントを十分に考慮しましょう。

    ・購入した空き家はすぐに売却できない
    ・無償譲渡や0円物件でも、贈与税や手続きにお金がかかる
    ・トラブル回避のため、個人間で契約せず、不動産会社や弁護士などに契約を見てもらう

    まとめ

    空き家の探し方は、大きく分類すると「空き家バンク」「不動産ポータルサイト」「地元の人や不動産会社」「各自治体の空き家募集ページ」の4つです。

    より多くの候補の中から、自分の希望条件にマッチする空き家を効率的に探したい方は、不動産ポータルサイトがおすすめです。

    そして、空き家探しでお困りの方や、空き家を買って再生したいという方は全国各地の空き家の豊富な売買実績を持つ「空家ベース」までお声がけください。

    TwitterやInstagramなどのSNSを通じて物件情報をイチ早く発信、公式LINEでは非公開物件情報を不定期で配信しているため、優良な掘り出し物件と巡り合えるかもしれません。

    登録料は無料です。自分にぴったりの空き家探しをご希望の方も、「どんな空き家があるのか気になる」という方も、お気軽に利用いただけます。

    売買取引や、契約書作成などの法律事務に携わる方にとって、債権・債務という用語は出くわす場面が多い重要な用語です。
    このコラムでは、そんな債権について詳しく説明します。債務との違い、双務契約と片務契約の違いなどわかりやすく解説します。

    この記事で分かること

    債権と債務の基本

    まずは、債権と債務の定義と、違いについて確認していきましょう。

    債権とは?

    債権とは、民法に定められる特定の人にお金や行為などを請求できる権利のことを指します。
    例えば誰かに金銭を貸す場合、貸している人は借りている人に対して「お金を返してもらう権利」を持っています。このように、誰かに何かを請求できる権利を債権と言います。
    なお、同じ「さいけん」と読む用語として「債券」がありますが、これば国や企業が発行する国債や社債などを購入し、利子を受け取る債券投資などで用いられる用語であり、今回説明する債権とは異なります。

    債務とは?

    債権の対義語が債務です。債務とは、特定の人にお金を渡したり、行為を行う義務のことを指します。上記の事例では、借りている人は「お金を返さなければならない義務」を持っています。この義務を債務と言います。
    債権を持っている人のことを「債権者」、債務を持っている人のことを「債務者」と呼びます。

    債権と債務の違いとは?

    債権と債務は、それぞれ権利と義務ということから、相対する関係にあります。例えばコンビニで商品を買うとしましょう。買主は金銭を引き渡すという債務を履行することで、商品をもらうという債権を得ることができます。コンビニは商品を引き渡すという債務を履行することで、金銭をもらうことができます。このように、多くの取引では、債権と債務をお互い保有しており、債務をお互いに履行することで債権を回収しています。

    債権と物権の違いとは?

    よく似た言葉として「物権」がありますが、物権は対象としているものが異なります。債権の対象は「人」であり、人に何かをしてもらう権利です。一方、物権の対象は「物」であり、ある物を支配する権利のことを指します。物権の具体例としては、所有権や占有権、抵当権などが挙げられます。いずれも特定の物を支配する権利です。

    契約種別別の債権債務関係

    先ほどコンビニの例では、顧客とコンビニがそれぞれ債務を履行することで債権を得るという説明をしました。このように、双方が債務を負担する契約のことを双務契約といいます。
    ここからは契約種別による債権と債務の関係を紹介していきましょう。

    双務契約と片務契約の定義と違い

    当事者の両方が債務を負う契約のことを「双務契約」、当事者の片方だけが負う契約のことを「片務契約」と言います。
    双務契約の具体的な契約例は以下の通りです。いずれも、片方がお金を払うという債務を履行することで、物や労力の提供という債権を得ています。

  • 売買契約:お金を払う代わりに、物をもらう
  • 雇用契約:お金を払う代わりに、働いてもらう
  • 賃貸借契約:お金を払う代わりに、物を貸してもらう
  • 請負契約:お金を払う代わりに、工事などを請け負ってもらう
  • 一方、片務契約の具体的な例は以下の通りです。いずれも、片方だけしか債務を履行しません。

  • 贈与契約:譲渡人が、物を渡すという債務を履行する契約です。
  • 消費貸借契約:借金など、金銭の貸し借りなどで用いられる契約です。借主が借りたものを返還するという債務を負います。
  • 使用貸借契約:使用貸借とは、物を対価なく(無料)で貸すことを指します。借主が借りたものを返還するという債務を負います。
  • 相殺とは?債権債務関係での役割

    債権債務は、相殺により消滅させることができます。相殺とは、当事者がお互い同じ種類の債権を保有している場合に、お互いの債権同士を帳消しにすることを指します。例えば、BさんがAさんに対して、金銭消費貸借契約1万円のお金を貸していたとします。その後、AさんがBさんに対して、売買契約を元とする1万円の金銭を受け取る債権を保有しました。この際、AさんとBさんはお互い、相手方に1万円を請求する債権を有していることとなります。この場合、相殺することで金銭の移動をすることなく、お互いの債権を消滅させることができます。

    相続時の債権債務

    債権や債務は、現金や預金と同じく、相続財産に含まれます。
    相続の際に対象となる遺産はプラスの財産とマイナスの財産の両方があります。プラスの財産には、現金や預貯金、株式などの有価証券、宝石、土地家屋などの不動産のほか、経済的価値のあるすべての資産が挙げられます。債権も、プラスの財産に含まれます。また、マイナスの財産としては、借金返済の債務などが挙げられます。例えば、相続財産を単純承認により全て相続する場合、被相続人が借金を有していた場合はその借金の返済義務を負わなければならないため、注意しましょう。

    債権者と債務者の権利と義務

    債権者には、債務者が債務を履行しない(債務不履行)の場合に備えて、権利がいくつか備わっています。ポイントを確認していきましょう。

    債権者が債務者にできる主な権利

    債務不履行の場合に備え、債権者には以下の権利が法律上認められています。

    ・給付保持力
    法的な手続きを介することで、債務者の所有する財産を債権者に移すことができる権利のことを指します。

    ・訴求力
    債務者が債務を履行しなかった場合に、訴訟などで債権があることを裁判所に確認してもらえる権利のことを指します。

    ・執行力
    裁判所の判決にしたがい、差し押さえなどの強制執行を申し立てる権利を指します。

    ・貫徹力
    債務不履行の場合に、債務者の意思によらず債権の内容を強制的に実現出来る権利を指します。

    ・掴取力
    債権がそのままの内容で実現できない場合、それに相当する金銭の支払いを強制する権利のことを指します。

    債務不履行が発生した場合の対応

    債務不履行が発生した場合、債権者は以下の対応を取ることができます。

    ・履行の督促
    債務を履行するよう、電話やメールなどで催促します。それでも効果がなければ、督促状を作成し、内容証明郵便で送付します。内容証明郵便は、内容や日付を郵便局が証明してくれるサービスです。法的手続きの際に証拠となるため有効です。

    ・訴訟
    再三の督促をしたにも拘らず履行がされない場合は、裁判所を介した手続きを取ることとなります。債権の金額や内容によって、少額訴訟や和解など負担の少ない方法をとりましょう。

    債権と第三者の関係性

    法律上、債権は一つの権利として、第三者に売却や譲渡を行うことが可能です。このような、債権と第三者の関係性についてチェックしていきましょう。

    債権執行とは?

    債権執行とは、債務者の務める会社や預金を預ける銀行に対して、その給料や預金を差し押さえ、取り立てる回収方法のことを指します。通常、債権は債務者から直接取り立てるのが原則です。しかし、債務者から直接の取り立てが不可能である場合は、履行不能である旨を証明し、かつ裁判所の判決をもらうことで、債務者へ債務がある第三者から取り立てることが可能となります。最終手段として覚えておきましょう。

    債権譲渡の手続きと効果

    債権譲渡とは、自らが保有している債権を譲り渡すことを指します。これは一般的に商業取引でよく利用されます。自社が取引先であるA社に対して100万円の未払いの金銭債務を負っており、かつB社に100万円の金銭債権を有しているとします。この場合に、B社から100万円を受け取る債権をA社に譲渡することで、A社の債務100万円を弁済することができます。実際の金銭の引渡しなく債務を弁済できるため、企業の資金繰りを良くするために重宝されています。

    債権者代位権の行使

    債権者代位権とは、債権回収を確実に実施するために、裁判所の判決や債務者からの許可なしで債務者が保有する債権を代わりに行使することを指します。実質的な差し押さえになりますが、この債権者代位権を行使するためには以下の要件を全て満たさなければなりません。

  • 保全しようとする債権が弁済期に達している
  • 債務者に資力がなく、債務が履行できない
  • 代位の対象となる権利について、債務者が権利を行使する前である
  • 代位の対象となる権利が債務者の一身専属(その人でなければ行使できないこと)ではない
  • 債権に関するよくある質問

    最後に、おさらいとして、債権に関する基礎的知識をQ&Aの形で見ていきましょう。

    Q1 債権とは何ですか?

    債権とは、特定の人にお金や行為などを請求できる権利のことを指します。

    Q2 債権と債務の違いは何ですか

    債権の反対にあるのが、債務です。債務とは、特定の人にお金を渡したり、行為を行う義務のことを指します。債権と債務は、それぞれ権利と義務ということから、相対する関係にあります。

    Q3 双務契約と片務契約の違いは何ですか?

    双務契約は当事者がお互いに債権を有している契約、片務契約は当事者の一方だけが債権を有している契約です。
    双務契約の例としては、売買契約、雇用契約、賃貸借契約、請負契約などが挙げられます。
    片務契約の例としては、贈与契約、消費貸借契約、使用貸借契約などが挙げられます。

    まとめ

    今回は、債権について解説しました。今回ご説明した通り、債権者には自身の債権を回収するために様々な手法や権利が法律上認められています。債務者がきちんと履行しなかった場合は、適切な対応を取るようにしましょう。

    土地の売却を考える場合、土地の価格を正しく知ることから始めましょう。

    土地の価格を算出する際は公的機関が公表する価格を基準にしますが、この価格は実際の売買価格と異なる点に注意が必要です。

    本記事では、土地の価格を決める3つの公的な価格(路線価・公示地価・基準地価)のうち、公示価格の概要と他の公的な価格との違いについて解説します。

    この記事でわかること

    公示価格の基本理解

    まずは、公示価格の基本的な知識について見ていきましょう。

    公示価格とは

    「公示価格」は、毎年1月1日時点の土地の価格を2人以上の不動産鑑定士が鑑定し、国土交通省が毎年3月下旬に公表します。
    基本的に対象は都市計画区域内ですが、都市計画区域以外でも不動産の取引が行われると予想される土地に関しては鑑定が行われます。

    公示価格の定義と概要

    公示価格は、1969年より施行された「地価公示法」に基づき、土地に適正な指標を示すことが目的です。

    評価対象の土地は以下のいずれかに分類されています。

    ・住宅地・商業地・宅地見込地・準工業地・工業地・調整区域内宅地

    土地取引をおこなう不動産仲介会社や公共事業が公示価格をもとに土地の価格を算定することで、土地価格の乱高下や市場崩壊を防いでいます。

    公示価格と実勢価格の違い

    「実勢価格」とは、市場で実際に売買された価格を指します。 売り手と買い手の間で実際の取引が成立する価格のことです。

    公示価格と実勢価格の差は、不動産の需要と供給のバランスによって異なります。不動産の需要が供給を上回っている場合は実勢価格は公示価格よりも高くなりますし、土地の供給が需要を上回っている場合は実勢価格は公示価格よりも低くなります。

    土地取引の指標として国土交通省が地価の目安となる公示地価を公開していますが、同じ価格で必ず取引されるわけではありません。

    公示価格とその他の価格指標の違い

    「路線価」とは、調査地点となる路線(道路)に面する土地1㎡あたりの価格のことです。

    税額を算出する際の指標に用いられる路線価は、「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つに分類できます。

    「相続税路線価」は、相続税や贈与税を算出する際に用いられる評価額となります。「固定資産税路線価」は土地の固定資産税評価額を決める際の基準となります。

    「基準地価」は、各都道府県が主体となって毎年7月1日の評価が9月20日頃に公表されます。基準地価の評価方法は公示地価とほぼ同じですが、都市計画区域内以外も含まれる点と、公示地価では鑑定する不動産鑑定士は2人以上であるのに対し、基準地価は1人以上という点が異なります。

    公示地価、路線価との関連性・違い

    路線価は公示地価を基に算定されています。

    公示地価と路線価の違いは、算定方法と用途です。公示地価は、地価公示法に基づいて算定され、適正な地価の形成に役立てるために用いられています。一方、路線価は、相続税や贈与税の課税評価のために設定され、税金の算定に用いられています。

    公示価格の調べ方

    では、ここからは公示価格の調べ方について見ていきましょう。

    公示価格の探し方

    各都道府県の公示価格の探し方は、国土交通省が掲載しているWEBサイトから閲覧することができます。

    公式な機関と資源: 国土交通省と土地総合情報システム

    国土交通省が運営する「土地総合情報システム」の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」は、不動産取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索して閲覧することができる国土交通省のWEBサイトです。

    地価公示の調べ方

    国土交通省地価公示・都道府県地価調査のページにアクセスしたら、土地の価格を調べたい地域を選択し、調査年や用途区分、地価などの選択条件を指定していきます。検索条件を指定すると、条件に当てはまる同じ市町村内の全ての公示価格が表示されます。
    公示価格は、更地として考えたときの価格なので、土地や家を売却する際の価格の参考にはなりますが、あくまで参考値となります。土地の売却を考えていて実際に売却額に近い価格を知りたい場合は、実勢価格を考えるとよいでしょう。

    路線価図の活用方法と見方

    路線価図とは、国税庁が毎年1月1日時点の土地の価格を、相続税や贈与税の課税評価のために設定したものです。路線価図は、都道府県や市区町村の役所で閲覧することができます。

    路線価図は、相続税や固定資産税の評価額を計算する際や、不動産の売却価格を決める際の参考となります。

    路線価の調べ方の手順は以下のとおりです。
    1.評価をする土地の所在地を確認する
    2.路線価を確認する
    3.借地権や貸付地の場合は、借地権割合を確認する
    4.地区区分を確認する

    公示価格の計算と解釈

    ここでは、公示価格をもとに実勢価格を求める方法や、公示価格の見方について解説します。

    公示価格と地価の算出方法

    公示価格は、地価公示法に基づいて2名以上の不動産鑑定士によって鑑定評価されたものです。 それに対して基準地価は、国土計画利用法に基づいて1名以上の不動産鑑定士によって鑑定評価されたものです。

    公示価格から実勢価格を算出する方法

    公示価格は、土地の適正な価格を反映していると考えられていますが、必ずしも実勢価格と一致するとは限りません。

    公示価格から算出する土地の実勢価格の目安の計算式は以下のとおりです。

    土地の実勢価格の目安=土地の公示価格 × 面積 × 1.1(または1.2)

    公示価格の検索結果を参考に、価格を知りたい土地に近い条件(住所、形状、道路状況、周辺環境、用途区分など)の地価を確認したら、実勢価格の目安を計算することができます。

    公示地価の見方と解釈方法

    公示地価の見方は以下のとおりです。

    STEP.① 公示地価は、標準地・基準地検索システムの「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のサイトにアクセスする。
    URL:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」

    STEP.② 調べたい不動産が所在する都道府県・市町村を選択する。

    STEP.③ 検索条件を選んでいく。
    該当する地域を指定したら、対象・調査年・用途区分・地価について、確認したい土地の条件を入力していきます。

    公示地価を確認したい場合、対象で地価公示のみを指定します。都道府県地価調査を含めると、基準地価も確認可能です。調査年は、こだわりがなければ最新調査年のみにチェックしても構いません。

    STEP.④ 表示された公示価格を確認する。

    条件を入力した後に検索をクリックすると、該当する土地の公示地価が表示されます。各不動産の「価格(円/m²)」の部分が公示地価です。

    公示価格と実勢価格の関係性

    「公示価格」と「実勢価格」はどちらも土地の価格を示すもので、不動産売買において土地の評価額を知りたい時に参考にする価格です。

    ここでは、公示価格と実勢価格にはどのような関係があるのか見ていきましょう。

    実勢価格とは何か

    実勢価格とは、土地を売買する際に、実際に取引が成立する価格(もしくは取引した価格)のことをいいます。その土地の特徴や当事者間の事情によって、実勢価格は適正価格より高くなることも低くなることもありえます。

    実勢価格と路線価との関連性

    路線価と実勢価格はどちらも土地の価格ですが、大まかに以下の2つの違いがあります。

  • 路線価:国税庁が発表する相続税・贈与税などの基準価格
  • 実勢価格:実際に土地を取引(売買)する際の価格
  • つまり、路線価が税金を算出するための金額なのに対し、実勢価格はその土地自体の金額になっています。

    公示価格を利用した実勢価格の見積もり

    実勢価格も路線価も、ベースとなるのは国土交通省が算出している公示価格になります。

    公示価格とそれぞれの価格の目安は、以下のとおりです。

  • 実勢価格:公示地価の1.1~1.2倍
  • 路線価:公示地価の0.8倍
  • つまり、路線価から以下の計算式で実勢価格を求めることができます。

    実勢価格=路線価÷0.8×1.1~1.2

    これはあくまで目安であり、実勢価格はその他の要素によって変化する可能性があります。

    実際の不動産の取引の場においては、公示価格を用いて土地売買を行うことはなく、実際の売却価格と公示価格には乖離性があります。

    実勢価格は、土地周辺の状況や土地の状態、面積、今後の需要バランスなど、様々な要素によって取引価格を増減させます。そのため実勢価格と公示価格の価格は一致しません。

    公示価格と不動産の取引・評価

    ここでは、公示価格と不動産売買の取引における評価方法について見ていきます。

    公示価格を活用した不動産取引の概要

    公示価格は、一般の土地取引に対して指標を与えるもので、不動産鑑定や公共事業用地の取得価格算定の規準となります。また、土地の相続税評価や固定資産税評価の基準としても活用されます。

    公示価格と不動産会社の査定

    公示価格は、土地を取引する際に国が示す土地の正常な価格を判定したものですが、全国すべての地点を調査しているわけではなく、全国に設定されている2万数千の標準地が対象になっています。そのため、地点以外の価格を知りたい場合は、実勢価格と同様に近くの標準地を参考にしなければなりません。

    公示価格と不動産の実勢価格の見積もり

    公示価格はその年の1月1日時点の価格ですが、不動産取引は毎日行われており、実勢価格は日々変化します。また、不動産の売買価格は、売主と買主双方の考え方に大きく左右されます。その他、物件の立地条件による需給バランスや、地勢や周辺環境などの条件も関係します。

    公示価格と実勢価格のどちらが重要であるかは一概にはいえませんが、公示価格はひとつの目安でしかありません。
    実勢価格は以下の計算式で求めることができます。

  • 路線価を基に計算する場合
  • 実勢価格=路線価÷0.8×1.1
  • 相続評価額を基に計算する場合
  •  実勢価格=相続税評価額÷0.8(公示価格)
  • 基準地価を基に計算する場合
  • 実勢価格=基準地価×1.1
  • 公示価格を基に計算する場合
  • 実勢価格=路線価÷0.8×1.1~1.2

    公示価格と不動産価格の過去の変動

    日本の地価は1991年のバブル崩壊をピークに下がり続け、2006年まで下がり続けます。その後、一旦は上昇するものの、2008年のリーマンショックによって再び下落します。その後、2013年頃から始まった日銀の異次元金融緩和政策により、住宅ローン金利が低下したことで、住宅取得需要が増加し不動産価格が上昇に転じていきました。

    公示価格と固定資産税評価、相続税評価額の関係

    ここでは、公示価格と固定資産税評価額および相続税評価額の関係について見ていきしょう。

    公示価格と固定資産税評価の関連性

    固定資産税路線価で求められる固定資産税評価額は、固定資産税や、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出根拠となります。また、固定資産税路線価は公示価格の70%程度とされています。

    公示価格と相続税評価額の関連性

    相続税路線価で求められる相続税評価額は、相続税や贈与税の算出根拠となります。価格水準は、相続税路線価が公示価格の80%程度とされています。

    不動産価格と税金評価の特徴と相談

    不動産の売り出し価格や納税額には、不動産の価値を示す評価額が関わっています。一方、実際の不動産売買の取引に影響するのは、不動産市場の需要と供給のバランスを反映した時価です。しかし、納税額も不動産売買ほど時価の影響を受けることはないとはいえ、時勢によっては公的機関による評価の影響が及ぶ場合があると考えられます。

    不動産を売却したい、自身の不動産の評価額を詳しく知りたい場合は、不動産仲介会社などに相談しましょう。

    公示価格の活用と注意点

    最後に、公示価格の活用方法と注意点について見ていきましょう。

    公示価格の活用法とそのメリット

    公示価格のメリットは、次のとおりです。

  • 不動産の市場価値を把握することができる
  • 相続税や固定資産税の評価額を計算することができる
  • 不動産の売却価格を決めることができる
  • 不動産の投資判断をすることができる
  • 公示価格を活用する上での注意点

    公示価格は、不動産の市場価値を把握するための有効な指標ですが、あくまでも市場価格の一時点の値であり、実際の取引価格とは必ずしも一致するとは限りません。

    公示地価を参考にする際には、他の指標も併せて確認するようにしましょう。

    公示価格に関するよくある誤解とその解説

    公示価格に関するよくある誤解は、次のとおりです。

  • 公示価格は、実際の取引価格と同じである。
  • 公示価格は、相続税や固定資産税の評価額と同じである。
  • 公示価格は、不動産の価値を表す唯一の指標である。
  • 公示価格は、不動産の市場価値を反映した価格であり、相続税や固定資産税の評価基準としても使用されますが、実際の取引価格や不動産の価値を表す唯一の指標ではありません。

    公示価格は、不動産の市場価値を把握するための有効な指標ですが、あくまでも一つの指標として活用することが大切です。

    まとめ

    公示価格や路線価は不動産の価値や評価額を算出するのに参考の数値となりますが、実際の不動産売買取引においては、物件の立地条件や、その時の需要と供給のバランス、地勢や周辺環境などの条件なども物件の価格に影響してきます。

    不動産売却を検討されている方や、所有する不動産の市場価値を知りたい人は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

    「空家ベース」では、空き家と売りたい人と買いたい人を繋ぐお手伝いをしております。全国の様ざま物件の取引実績があるため、処分に困っている不動産についてお気軽にご相談ください。

    不動産取得税は、不動産を取得したときに課される税金です。

    また、不動産取得税は不動産取得後60日以内に申告する必要があり、条件に当てはまれば税額の軽減措置を受けられますが、うっかり不動産取得税の申告を忘れた人もいるはずです。

    不動産取得税は、一定の期間内であれば納税後でも申告により払いすぎた税金を還付してもらえます。

    本記事では、60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応方法や、還付を受ける流れなどについて解説します。

    不動産取得税の軽減措置について理解し、還付請求をして節税していきましょう。

    この記事でわかること

    不動産取得税とは?

    はじめに、不動産取得税の基本をおさえておきましょう。

    不動産取得税の基本的な概念

    不動産取得税は、土地や家屋の購入、贈与、交換、家屋の建築(新築・増築・改築)などによって取得した時に納める税金です。

    毎年納めなければならない固定資産税とは違い、取得時に一度だけ支払えば済みます。

    税率と計算方法

    不動産取得税の計算方法は原則、下記のとおりです。

    不動産取得税 = 固定資産評価額 × 税率4%

    なお、基本税率は4%ですが、軽減税率として土地と家屋については3%が適用されます。

    課税対象となる不動産

    課税される不動産(土地・家屋)の種類は下記のとおりです。

    不動産 種類
    土地 住宅地、田んぼ、畑、山林、牧場、原野など
    家屋 住宅、店舗、工場、倉庫などの建物

    不動産取得税が発生するケース

    不動産の取得とは、その不動産の所有権を現実に取得することをいい、登記の有無や有償・無償は問いません。不動産所有権を現実に取得することをいいます。

    不動産取得税の軽減措置とは?

    不動産取得税の軽減措置とは、住宅を取得した際に、条件を満たせば不動産取得税の課税標準額から一定額を控除し、不動産取得税の税負担が軽減される制度です。

    軽減措置の基本的な考え方

    不動産取得税は土地や家屋の取得の際に、3%の軽減税率が適用されます。これに加えて、新築住宅や中古住宅を取得した場合は、さらに、それぞれに対して課税標準額から一定の金額を控除する軽減措置があります。

    新築住宅と中古住宅に対する軽減制度

    不動産取得税の軽減税率は、新築住宅と中古住宅の建物の種類で要件や軽減内容が異なります。それぞれの適用要件と手続きの方法について見ていきましょう。

    軽減措置の適用条件

    軽減措置の適用要件については、各都道府県によって異なります。

    ここでは、東京都の軽減措置の適用要件を例に記載しています。

    【新築住宅の場合】

    控除額は、1,200万円となり、算出額は、(固定資産税評価額-1,200万円)× 税率3%となります。

    【中古住宅の場合】
    中古住宅の場合は、各要件のすべてを満たしている必要があります。

    ア:個人が自己の居住用に取得した住宅であること(住宅以外であった家屋を住宅にリフォームする場合は、取得前に当該リフォームが完了している必要がある)

    イ:一戸の床面積が50㎡以上、240㎡以下であること

    ウ:耐震基準について、①昭和57年1月1日以降に新築されたものであること、もしくは、②昭和56年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの(ただし、当該証明に係る調査が取得日前2年以内に終了しているものに限る。)

    控除額は、下記の表のとおりとなります。

    建築された日(新築時) 控除額
    平成9年4月1日以降~ 1,200万円
    昭和元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
    昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
    昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
    昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
    昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
    昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円
    昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 100万円

    算出額は、(住宅の価格ー控除額) × 税率3%となります。

    軽減措置の申請方法と必要書類

    軽減措置を受ける場合は、申告又は申請が必要になります。

    STEP.1
    不動産取得日から60日以内に、不動産取得申請書を提出する
    STEP.2
    納税通知書が届いたら、税事務所や金融機関・コンビニエンスストア等で支払いをする
    STEP.3
    不動産取得税減額申請書と必要書類を提出し還付を受ける

    不動産を取得した日(登記が済んだ日)から、原則60日以内に所轄する都道府県税事務所へ不動産取得申告書及び必要な書類を提出します。一般的には各自治体が税額を算出して、納税通知書が送られてくることが多いです。

    申請時の必要書類は、以下のとおりです。

    など

    土地取得に対する軽減制度

    住宅用の土地を取得し、一定の要件を満たす場合は土地の税額から一定額が軽減されます。
    新築住宅用の土地と中古住宅用の土地とで要件や計算方法が異なります。

    適用条件と申請方法

    【新築住宅用の土地の場合】
    以下のアもしくはイに該当する場合が適用条件を満たしています。
    ア:土地を先に取得した場合
    土地を取得後3年以内に、当該土地上に住宅が新築されていること。ただし、次の①②のいずれかに該当する場合に限る。
    ①土地の取得者が、住宅の新築までその土地を引き続き所有していること
    ②土地の取得者からその土地を取得した方(譲渡の相手方)が、住宅を新築したこと

    イ:新築住宅を先に取得した場合(同時取得を含む)
    土地を取得後3年以内に、当該土地上に住宅が新築されていること。ただし、次の①②のいずれかに該当する場合に限る。
    ①住宅を新築した方が、新築後1年以内にその敷地を取得していること
    ②新築未使用の住宅とその敷地を、新築後1年以内(同時取得を含む。)に同じ方が取得していること

    【中古住宅用の土地の場合】
    以下のアもしくはイに該当する場合が適用条件を満たしています。
    ア:土地を先に取得した場合(同時を含む)
    土地を取得した方が、当該土地を取得した日から1年以内(同時取得を含む。)にその土地上の中古住宅を取得していること

    イ:中古住宅を先に取得した場合
    中古住宅を取得した方が、当該住宅を取得後1年以内にその敷地を取得していること
    適用条件を満たし、軽減制度に該当する場合は、「不動産取得税申告書」を記載し、添付書類と併せて、所管の都税事務所(都税支所)・支庁に申告することで軽減措置を受けることができます。

    60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応策

    不動産取得税の申告と同時に軽減措置の申告をし忘れたという場合でも、一定期間内であれば、払い過ぎた税額を還付してもらうことが可能です。

    ここからは、60日を過ぎてしまった場合の不動産取得税の対応方法について解説します。

    60日以内の申請が原則とは?

    都道府県ごとに決まりは異なりますが、基本的に不動産取得税は不動産取得後60日以内に申告する必要があります。

    60日を過ぎた場合の軽減措置可能性と手続き

    申告を忘れて納税してしまった際、あとで還付請求する場合の期限は、不動産取得から5年以内のため、申告忘れに気づいたら早めに対応を行いましょう。
    申告を忘れて納税してしまった場合でも、後日還付請求をすることができます。 「不動産取得税減額申請書」と必要書類を提出し、各都道府県税事務所に還付請求を行います。

    納税遅延によるペナルティ

    不動産取得税の納税の遅延をしてしまうと、ペナルティが発生する場合があります。

    追徴税と延滞税の適用

    不動産取得税を納税期限までに納付しなかった場合、延滞税が課されます。延滞税は、税金の納付期限の翌日から納付する日までの期間に応じて、年7.3%または14.6%の割合で加算されます。

    延滞税を納付しなかった場合、さらに督促手続きが取られ、最終的には差し押さえなどの強制執行が行われることもあります。

    過料の対象となる行為

    不動産取得税を納税期限までに納付しなかった場合は延滞税が課されますが、過料の対象となる行為もあります。

    申告の遅延や虚偽の申告

    過料とは、法律に定められた義務を守らなかった場合に課される罰金のことです。不動産取得税の過料の額は、10万円以下です。

    正当な事由なく不動産取得税の申告をしなかったり、虚偽の申告をした場合などに過料の対象となります。

    不動産取得税の過料を防ぐためには、不動産取得税の納税期限を守り、正しく申告することが大切です。

    過去の納税猶予措置の実例

    不動産取得税の納税猶予措置は、経済情勢や災害などの状況に応じて実施されます。

    過去の実例として、リーマンショック後の景気悪化や2011年の東日本大震災の被災者を支援するため不動産取得税の納税猶予措置が実施されました。

    不動産取得税の納税猶予措置を受けるためには、都道府県の税務署に申請する必要があります。

    不動産取得税の還付について

    ここでは、不動産取得税の還付について見ていきましょう。

    還付とは?還付を受ける流れ

    不動産取得税の還付とは、不動産取得時に支払った税金の一部または全部を返還してもらうことです。

    不動産取得税の還付を受ける流れは、以下のとおりです。

    STEP.1
    都道府県の税務署に不動産取得税の還付申請書を提出する
    STEP.2
    税務署が申請書の内容を審査する
    STEP.3
    申請書の内容が認められれば、税務署から不動産取得税の還付がされる

    不動産取得税の還付を受けるためには、申請書の内容を正しく記載し、必要書類を添付することが大切です。また、申請期限を過ぎると、不動産取得税の還付を受けることができませんので注意しましょう。

    必要な書類とその準備方法

    還付請求の際に添付する必要書類は以下のとおりです。

    不動産の登記事項証明書と固定資産税評価証明書は、法務局と市役所、区役所などの役所で取得することができます。軽減措置の適用要件を満たしていることを証明する書類は、軽減措置の種類によって異なるため、各都道府県の税務署に問い合わせましょう。

    還付制度の適用条件

    不動産取得税の還付を受けられる場合としては、以下のとおりです。

    還付請求の方法と必要書類

    不動産取得税の還付を受けるためには、都道府県の税務署に申請する必要があります。

    不動産取得税の還付申請書は、都道府県の税務署のホームページからダウンロードすることができ、不動産取得税の還付申請書に必要書類を合わせて手続きをします。

    不動産取得税が免除される特例について

    不動産を相続した場合は、相続税の対象となるので不動産取得税がかかることはありません。
    また、その他に、不動産取得税が免除されるケースがあります。

    不動産取得税が免除されるケースは下記のとおりです。

    不動産取得税の具体的なケーススタディ

    最後に、不動産取得税の具体的な計算方法を種類別に見ていきましょう。

    新築住宅の取得ケース

    例えば、建物の固定資産税評価額が1,600万円の新築住宅だとします。

    軽減措置を受けないときは、

    「不動産取得税額=固定資産税評価額×税率」

    で、居住目的の場合の税率は3%でしたので、1,600万円×3%=48万円です。

    しかし、新築住宅の軽減措置を受けると、(1,600万円–1,200万円)×3%=12万円となります。

    認定長期優良住宅なら、1,300万円の控除を受けられるので、不動産取得税額は(1,600万円–1,300万円)×3%=9万円となります。

    中古住宅の取得ケース

    例えば、延べ床面積140㎡の建物で、建物の固定資産評価額が1,500万円であった場合の中古住宅だとします。

    「不動産取得税額=固定資産評価額×税率」

    で、1,500万円×3%=45万円です。

    延べ床面積は140㎡で、「50㎡以上かつ240㎡以内」の条件を満たし、「昭和57年以降に建てられ」ており、さらに「新耐震基準に適合」している場合は、軽減税率が適用されて、以下のように計算することが可能です。

    不動産取得税額=(1,500万円-建築された年月日に応じた控除額)×3%

    の計算式になります。

    土地の取得ケース

    例えば1,700万円で土地を購入した場合、売買価格の1,700万円に税率をかけるのではありません。固定資産税評価額は時価の7割程度が多いので、ここでは固定資産税評価額1,200万円の前提で計算してみましょう。
    軽減措置を受けないと、「

    不動産取得税額=固定資産税評価額×1/2×税率」ですから、1,200万円×1/2×3%=18万円

    となります。
    土地の軽減措置を受けると、

    「不動産取得税額=固定資産税評価額×1/2×税率-軽減額」=1,200万円×1/2×3%-軽減額

    となります。

    まとめ

    不動産取得税は固定資産税評価額の3%と言っても大きな金額です。したがって不動産を取得したら、不動産取得の申告を忘れずに行い、同時に軽減措置の手続きも行うようにしましょう。もし、軽減措置の手続きをし忘れてしまっても、納税通知書に記載された金額を納め、後で申告をすれば還付を受けられるため、手続きをし忘れたからといって還付を諦めるのではなく、きちんと節税をしていきましょう。

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