不動産売買の仲介手数料は誰が払う?売主・買主どちらがいくら払うか解説
不動産会社に仲介してもらった上で不動産売買や賃貸を行う場合、売主と買主、貸主と借主は不動産業者へ仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は成約した時点で媒介契約書に記載された手数料を報酬として支払うことになりますが、売買価格に応じて上限金額が設定されています。
そのため不動産売買で必ずかかる費用として予算確保しておくべきですが、具体的なサービス内容や支払いタイミングを知っておくことで納得した上で支払うことができます。
また個人間売買を選択することで仲介手数料を無料にすることができますが、リスクが高いためおすすめできません。
この記事では不動産売買における仲介手数料の仕組みや支払いタイミングについて、解説します。
個人間売買のリスクについても紹介しますので、これから不動産売買を検討している人は参考にしてください。
- この記事で分かること
- 仲介手数料の支払いが発生するケース
- 仲介手数料を支払うタイミング
- 仲介手数料の計算方法
不動産の仲介手数料は仲介を依頼した人が払う
そもそも不動産取引は不動産会社の仲介をしなくても進めることができ、売買契約時に書類を取り交わす必要もありません。
しかし内容の確認不足や勘違い、引渡し時にトラブルが発生しやすくなり、さらに急速な市街化によって土地や建物の形状が複雑になることで専門知識のない当事者間での取引が難しくなりました。
そこで昭和27年に宅地建物取引業法が施行され、法律に沿った円滑な売買契約が推奨されることになり、不動産会社が仲介に入ることが一般的になりました。
不動産の売買では売主、買主ともに仲介手数料の請求を受けることになりますが、納得した上で支払うためにもそれぞれのサービス内容を知っておくことが大切です。
この章ではどのようなサービスに対して仲介手数料が発生するのかについて、解説します。
売主から見た仲介手数料
不動産売却を検討する売主にとっては、手間をかけることなくスピーディーかつ高値で物件を売却することが重要なポイントとなります。
立地が良い中古住宅や土地であれば看板を置いておくだけでも売却できるかもしれませんが、実際には多くの人に検討してもらうため広告を出さなければなりません。
さらに不動産を売却する際には告知書の作成や契約不適合責任の設定、確定測量や解体実施の有無など売主にとって決めなければならないことは多いです。
不動産会社は売主に対して売買価格の相場となる査定額と売却プランを提案し、多くの反響を得るために紙媒体やインターネットを通じて物件を広告します。
値引き交渉や契約条件の交渉もサービスに含まれていますので、売主は不動産会社に仲介を依頼することで安心して売却できることが分かります。
なお、依頼する不動産会社は媒介契約の種類によって変わり、たとえば専属専任媒介契約や専任媒介契約を選んだ場合は1社しか選択できません。
どの媒介契約を選んでも売却時の仲介手数料や売却価格は変わりませんので、次の特徴をチェックした上で判断することをおすすめします。
媒介契約の種類 | 同時依頼できる不動産会社の数 | 自己発見取引 | 契約の期間上限 |
---|---|---|---|
専属専任 | 1社 | 不可 | 3ヶ月 |
専任 | 1社 | 可能 | 3ヶ月 |
一般 | 制限なし | 可能 | 制限なし |
買主から見た仲介手数料
不動産会社が買主に行う仲介業務として情報の提供と安全に購入するための段取りがあります。
具体的には広告を見て問い合わせした買主への物件紹介や案内の誘致、値引きの交渉、契約の調整が主な業務となっています。
住宅ローンの斡旋や税金を含めた諸費用の確認、資金計画の作成も業務に入っていることから、買主にとっても不動産会社の仲介は重要です。
このように買主は不動産会社に仲介を依頼することでスピーディーな情報収集だけでなく契約成立までに必要なアドバイスを受けることができ、仲介手数料に含まれているサービスといえます。
同じ不動産会社が仲介を行う場合
売主と買主が依頼する不動産会社が全く同じとなった場合、どちらかが仲介手数料無料になったり半金になるのではなく1つの会社に対して双方とも満額の手数料を支払うことになります。
ただし売主と代理契約を締結している場合は買主の仲介手数料はゼロになり、負担が軽減されるケースもあります。
こうした取引態様は物件ごとに設定されておりSUUMOやアットホームでも確認することができますので、買主は物件選定時にチェックしておくことがポイントです。
不動産の仲介手数料を払うタイミングはいつ?
不動産売買において仲介手数料は売買契約が締結された時点で支払い義務が発生することになり、契約時や決済のタイミングで支払うケースが多いです。
地域や不動産会社によって「契約時に半額、決済時に半額」や「決済時に全額」というように支払いタイミングが変わり、媒介契約書に明記されることになります。
そのため支払いタイミングは事前に知ることができますが、契約時に支払う場合は住宅ローンに仲介手数料を組み込むことができませんので注意点といえます。
不動産の仲介手数料はいくら?
不動産売買の仲介手数料は国土交通省によって上限が設定されていますが、計算式がありますので不動産会社と媒介契約を締結する前に調べることが可能です。
また売却価格が一定以下の空き家や空き地については特例が設けられていることから、空き家の所有者にとっては注意点といえます。
この章では仲介手数料の上限額を計算する方法について解説します。
不動産仲介手数料の計算方法
仲介手数料の上限額は売買代金によって計算式が異なり、「200万円以下」「200万円超400万円以下」「400万円超」の3段階で次のようになります。
200万円超400万円以下の部分:売買代金×4%+消費税
400万円超の部分:売買代金×3%+消費税
たとえば100万円の不動産を取引する場合、税抜きで5万円が仲介手数料の上限となり、500万円の場合は200万円×5%+ 200万円×4%+ 100万円×3%=21万円です。
このように価格帯を超える部分に応じた計算式を使って算出することになりますが、間違えやすいため次のような速算式がよく使われます。
売買代金が200万円超400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円超:売買代金×3%+6万円+消費税
上記の速算式を使うと売買代金500万円の場合は500万円×3%+ 6万円=21万円と簡単に計算できるようになります。
低廉な空き家等の仲介手数料の特例
不動産会社は特別な事情がない限り仲介手数料の上限額で請求しますが、売買代金によって変動するため、安価な不動産の取引は赤字になる可能性があります。
物価や人件費高騰の影響を受けることで儲けが少ない不動産の売却を断られるケースも増えており、特に山奥や郊外にある空き家や空き地は査定すらしてくれないこともあります。
このような状況に対応するため国土交通省は売買・交換特例に係る低廉な空家等の取引については特例を設けており、800万円以下の空き家、空き地の売買では30万円+消費税が上限となっています。
そのため800万円以下の空き家や空き地を取引する際には注意が必要です。
【参考サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し】
仲介手数料がかからない個人間売買の注意点
売主と買主が知り合いだったり親族の場合は不動産会社に仲介を依頼せず取引するケースがあり、個人間売買と呼ばれています。
この方法は当事者間で話し合いをして取引をするため、契約書や重要事項説明書、告知書などを作成せずに取引完了するケースも少なくありません。
売主と買主は仲介手数料をコストカットできるというメリットがある一方、思わぬトラブルが起きたり司法書士や土地家屋調査士などの手配を全て当事者が行うことになるというデメリットもあります。
場合によっては仲介手数料以上の費用負担が発生することもありますので、個人間売買はなるべく避け不動産会社に依頼することをおすすめします。
まとめ
不動産売買は不動産会社に仲介を依頼し、契約の成功報酬として仲介手数料を支払うのが一般的です。
仲介手数料を支払うサービスとして、売主は売却する不動産の査定や物件の公開、価格の交渉対応があり、買主は物件の紹介や内覧の準備、住宅ローンの斡旋があります。
また仲介手数料は円滑に契約を締結し所有権移転登記をするための必要経費として考える必要がありますが、仲介手数料の計算式は国土交通省から公開されているため事前にチェックすることができます。
そのため不動産取引をする際にはどのくらい仲介手数料がかかるのかを調べておき、売買にかかる費用を正しく把握することがポイントです。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!