土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)とは?何ができる?使い方やレインズとの違いを解説
不動産売却を検討する際には土地や建物の価値を正しく把握する必要がありますが、土地総合情報システムは不動産の相場を知る上で便利なシステムとなっており、おすすめです。
不動産会社が売却査定の参考として活用するケースも多く、戸建てやマンションの相続税や贈与税を調べる際にも利用できます。
この記事では土地総合情報システムの概要と使い方、検索の方法について解説します。
- 土地総合情報システムの概要
- 土地総合情報システムを使った情報の調べ方
- 土地総合情報システムとレインズの違い
土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)とは?
土地総合情報システムは円滑な不動産取引を目的としており、取引価格やハザードマップ、周辺施設など価格決定において必要な情報を一元管理しています。
不動産は車や時計のように誰もが判断できる相場価格がなく、価格に影響する要素が多いことから売主が自由に価格設定できてしまいます。
そのため不動産に詳しくない人が相場よりも高い金額で購入したり相場よりも安い金額で売却してしまうトラブルが起きることもあり、不動産を安全に流通させるためには解決しなければならない問題です。
土地総合情報システムはこうした問題を解決すべく重要なオープンデータを簡単に検索できるようになっており、これにより不動産のプロから一般人まで同じデータを使って価格の検証をすることができるようになりました。
国土交通省が運営するWEBサイト
SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトは民間の企業が運営していますが、土地総合情報システムは国土交通省が運営しています。
そのため正確な情報が公開されており、公示価格や路線価といった不動産鑑定に必要な情報も確認することが可能です。
不動産売却における物件の価格設定にも役立てることから、不動産のプロだけでなく一般の売主も有効活用できるシステムといえます。
なお、土地総合情報システムは令和6年3月をもってサービス終了となっており、不動産情報ライブラリに統一されました。
【参考サイト:建設産業・不動産業:不動産取引価格情報提供制度 – 国土交通省】
【参考サイト:不動産情報ライブラリ】
地価公示・都道府県地価調査を確認できる
地価公示とは地価公示法に基づいて不動産鑑定士が全国にある標準地を毎年1月1日時点の価値として鑑定し、国土交通省土地鑑定委員会によって公示される指標です。
これに対して都道府県地価調査は7月1日を基準日とした標準価格を都道府県知事が公表する指標となっており、どちらも公共事業用地の取得や相続税、贈与税の算出に使用されます。
不動産を所有している所有者が不動産を相続したり贈与する場合、正確な税額が分からなければ迂闊に所有権を移転することができなくなってしまいます。
税理士や会計士に税額計算を依頼することもできますが費用がかかってしまうため、不動産情報ライブラリで公開されている情報を使って自分で計算するのがおすすめです。
不動産取引価格情報検索ができる
不動産を売却する際には売却価格を決める必要がありますが、成約価格が分からなければ適正価格で販売することは難しいといえます。
SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトでは販売中の物件価格をチェックできますが実際にいくらで売れたのかは分からず、価格交渉の落としどころで悩んでしまう売主もいます。
その点不動産情報ライブラリでは実際に取引された価格イメージを確認することができ、売却価格の重要な判断材料にすることができます。
価格の根拠としても効力がありますので、すぐに閲覧できるようホームページをお気に入り登録している売主も多いです。
不動産購入者がアンケートに回答した内容に基づいている
不動産情報ライブラリは不動産を実際に購入した人がアンケートに回答し、その内容をデータとして活かしています。
主な活用目的に「公示地価の判定」や「基準地価の判定」、「不動産取引価格情報の提供」があり、不動産鑑定士の算出結果と実際の成約事例を精査することで精度の高い価格データを維持しています。
公示価格や路線価の鑑定は取引事例が多ければ精度が高くなりますが、過疎地や山奥などは取引が少ないため、サンプリングデータが少ない状態で算出することになります。
そこで実際の取引情報を取り入れることで計算を補完し、信頼性の高いデータとして抽出している点が、不動産情報ライブラリの特徴です。
【参考サイト:アンケートの目的】
土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)では何ができる?
不動産情報ライブラリでは一般の人でも閲覧することができ、住宅や農地、山林の価格相場や戸建て、マンションの成約相場を調べることができます。
不動産の取得や売却において重要な情報となりますので、この章では具体的に知ることができる情報を紹介します。
土地単価の相場が分かる
不動産情報ライブラリでは地価公示・都道府県地価調査を確認することができ、さらに不動産取引価格情報を検索することができます。
これにより全国の土地単価を調べることができ、不動産売却の価格設定だけでなく相続税や贈与税の課税額を算出することも可能です。
不動産銃砲ライブラリは誰でも閲覧できるため、当事者間で価格や価額を判断する上で公平なデータとして共有するケースも多いです。
農地や林地の相場が分かる
農地や林地は取引事例が少ないものの面積が大きく、価格や課税額のイメージが持ちにくいという特徴があります。
たとえば500坪の農地を売却する場合、坪単価を2万円にすると売却価格は1,000万円ですが5万円にすると2,500万円です。
坪単価が3万円前後することは不動産取引においてよくありますが、面積が大きいとこのように価格へのフィードバックも大きくなってしまいます。
そこで不動産情報ライブラリを活用してなるべく精度の高い相場で売却価格を設定し、トラブルを起こすことなく売却することができるようになります。
戸建てやマンションの土地と建物の総額が分かる
不動産情報ライブラリは検索画面で宅地、土地、土地と建物、マンション、農地、林地を選択することができますので、気になるエリアの不動産種別相場を全てチェックすることができます。
この情報は不動産査定や売却価格だけでなく投資目的の物件を検討する際にも有効活用することができることから、投資家にもおすすめの検索方法です。
土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)の使い方
この章では実際の不動産情報ライブラリ画面を参照しながら、使い方を解説します。
調べたい用途別に紹介しますので、不動産情報ライブラリを使う際の参考にしてください。
土地の価格調査をする
土地の価格調査方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
価格情報を選択し、不動産取引価格情報を選択。
任意のエリアをズームして青い丸をクリックし、詳細表示を選択。
検索結果一覧に土地価格が表示される。上記のタグを開くと不動産種別や時期を変更することができる。
①インターネットで「不動産情報ライブラリ」を検索し、トップ画面から「地図から探したい方へ」を選択します。
特定の地域から探したい場合は「地域から探したい方へ」を選択します。
②日本の地図が表示されますので「価格情報」を選択し、プルダウンの中から「不動産取引価格」にチェックを入れて検索します。
③地図の中から任意のエリアをズームすると青い丸が表示されますのでクリックし、「詳細表示」を選択します。
④検索結果一覧で土地価格を確認できるようになります。
なお、上記画面の上部には「条件設定を開く」というボタンがあり、都道府県と市区町村、価格情報区分、不動産種別、時期を選択することができます。
ハザードマップの確認をする
ハザードマップの確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
防災情報を選択し、調べたいハザードマップを選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って危険度をチェック。
①日本地図の画面が表示されれば「防犯情報」をクリックし、ハザードの種類を表示して決定をクリックします。
②任意のエリアをズームすると、ハザードマップが該当しているエリアがハッチングされます。
たとえば洪水浸水想定区域(想定最大規模)を選択した場合は上記のような色で表示され、左側の凡例を開くと浸水想定の高さを確認できるようになります。
ただしハザードマップはある程度ズームしなければ表示されませんので、注意が必要です。
近隣の学校・病院・公園を調べる
近隣の学校・病院・公園の確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
周辺施設情報を選択し、調べたい施設を選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って施設情報や範囲をチェック。
①日本地図の画面が表示されれば「周辺情報情報」をクリックし、調べたい周辺施設を表示して決定をクリックします。
②任意のエリアをズームすると、調べたい施設が表示されます。
上記の表示は小学校と中学校のエリアが表示されており、クリックすると学区を表示することができます。
これ以外にも病院や福祉施設などを同時に表示することができますが、これらの施設は記号でマッピングされます。
都市計画情報を確認する
都市計画情報の確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
都市計画情報を選択し、知りたい都市計画や用途地域などを選び決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って情報をチェック。
①日本地図の画面が表示されれば「都市計画情報」をクリックし、知りたい情報を表示して決定をクリックします。
②下記のように該当する情報を地図にマッピングすることができますが、ハザードマップと同様にある程度ズームしなければ表示されませんので、注意が必要です。
周辺人口・将来推計人口を確認する
周辺人口・将来推計人口は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
人口情報等を選択し、知りたい情報を選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って必要な情報を確認。
①日本地図の画面が表示されれば「人口情報等」をクリックし、知りたい情報を表示して決定をクリックします。
②このデータは国土地理院の国勢調査などをベースにしていることから、確認時期によっては古い情報が使われていることもあります。
そのためあくまで参考情報として取り扱うことをおすすめします。
土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)とレインズは何が違う?
不動産の成約事例を調べるデータベースには不動産情報ライブラリ以外にもレインズがありますが、用途と利用の自由度に違いがあります。
レインズは公益社団法人が運営しているシステムのことで、販売中と成約済みの物件情報を閲覧、ダウンロードすることができます。
建ぺい率や容積率、面積、価格などが表示される点は不動産情報ライブラリと同じですが、レインズはさらに売主の属性や販売業者の連絡先の確認と資料のダウンロードが可能です。
また購入申し込みが入っている場合には左側に「申込あり」と表示されるため、物件がまだあるか一目で判断することができます。
このようにレインズは公開物件や成約物件を確認するのに特化しており、不動産情報ライブラリとの大きな相違点といえます。
ただしレインズは宅地建物取引業社しか利用できないという制限があり一般の人は使えませんので、注意が必要です。
まとめ
国土交通省が公開している不動産情報ライブラリは公示価格や路線価、不動産取引価格情報を調べることができ、誰でも利用することが可能です。
そのため不動産会社や司法書士だけでなく不動産を売りたい所有者もよく利用するシステムとなっており、不動産の価値を調べる上で必要な情報を簡単に検索できるという特徴があります。
また不動産の資産価値だけでなくハザードマップや都市計画情報、人口推移を調べることもできるため、購入を検討している人にとっても便利なシステムといえます。
無料で何度も利用できますので、不動産の取得や売却を検討している人はすぐに見れるブックマークしておくことをおすすめします。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!