コラム
固定資産税 免除
税金

固定資産税の免税・減免とは?適応される条件や固定資産税節約のコツ

空家ベース編集部

戸建てやマンションを購入して家賃収入を得る不動産投資にとって、固定資産税や都市計画税といった税金は避けることができないランニングコストです。
新型コロナウイルスが蔓延していた時期には様々な減免措置が公開されていましたが、制度が終了した今でも申告することで固定資産税を減額できる方法はあります。
こうした軽減制度を利用することはキャッシュフローを改善し賃貸経営の安定化に繋がることから、投資物件のオーナーは必ず知っておくべきポイントといえます。
この記事では固定資産税の軽減措置に使える制度について、解説します。

この記事で分かること

  • 固定資産税の概要
  • 固定資産税が免除もしくは減免となるケース
  • 固定資産税を減税させられる特例

空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。固定資産税の負担があるから手放したい、次の物件購入の資金にするために売却したい、など空き家の売却を考えている方はぜひお問い合わせください。

固定資産税とは

固定資産税とは
固定資産税は1月1日時点で「固定資産」を所有している人に対して課税される税金となっており、該当する固定資産は次のように定義されています。

  • 土地:田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野など
  • 家屋:住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
  • 償却資産:会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

これらの資産に対して5月頃に自治体の固定資産税課から納付書が発送されますので、記載されている期限までに支払うのが義務です。
固定資産税額は固定資産税評価額に税率1.4%をかけ合わせて税額を計算することになり、3年に1度評価額は変更されます。
次回の評価額変更は令和9年となりますので、対象となる所有者は課税額をチェックしておくことをおすすめします。
なお、固定資産税の起算日は1月1日もしくは4月1日のどちらかになり、地方によって異なります。

参考:総務省|地方税制度|固定資産税

固定資産税の免除・減免とは

不動産を所有している限り固定資産税は支払い続けることになるため、税額が高すぎると生活を圧迫しかねません。
不動産投資においても家賃を高く設定する原因になってしまい、不動産の流通性が低下してしまう可能性もあります。
このような事態を避けるために固定資産税の減額措置や課税免除といった制度が用意されており、要件を満たすことで固定資産税の負担を減らすことができます。
このことからも不動産投資において固定資産税の減免制度は必ず押さえておくべきポイントといえ、必要書類や適用要件を早い段階で確認しておくことが大切です。

固定資産税が免除になる条件

固定資産税は自治体にとって大きな税収となっていますが、特別な条件を満たすケースでは免除されることもあります。
非課税にするためには証明書や申告書、必要書類を提出し自治体の許可を得る必要がありますので、自動的に免除となるわけではありません。
そのためどのような条件であれば免除となるのかを知っておくことが重要です。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。

災害にあった

台風や地震、津波などによって被害を受けた不動産は居住が難しくなるケースも多く、家賃収入が途絶えてしまうこともあります。
このような災害による損害は回復するまでに時間を要することから災害発生日以降の納期未到来分の固定資産税が減額され、損害の状況によっては免税となります。
被災状況は自治体から罹災証明を発行してもらうことで確認できますので、なるべく早い段階で手続きすることをおすすめします。

生活保護など扶助を受けている

生活保護法では「困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、最低限の生活を保障する」と定義されており、困窮の度合いによって固定資産税が減額されます。
自治体によって規定されている減額の割合は異なるうえに申請の許可がおりた以降の固定資産税が対象となりますので、注意が必要です。

課税標準額が免税点未満

固定資産の価値が低く評価額が一定額未満の場合、固定資産税は免税となります。
免税となる評価額は次のように規定されており、条件を満たせば自動的に固定資産税は免除されます。

土地:30万円
家屋:20万円
償却資産:150万円

参考:総務省|地方税制度|固定資産税の概要

固定資産税が減免される場合や特例

固定資産税は被災や生活保護、一定未満の評価額を理由に免除されるケースがありますが、このような条件以外にも特例によって減免措置を受けられます。
この章では固定資産税を節税できる特例を紹介します。

住宅用地の特例

住宅用地や特定市街化区域農地は特例によって評価額を減額させることができ、特例率と呼ばれる割合をかけあわせて計算します。
特例率は次のように決まっています。

小規模住宅用地
(200平方メートル以下)
小規模住宅用地
(200平方メートルを超える)
特定市街化区域農地
6分の1 3分の1 3分の1

また対象となる住宅用地は居住部分の面積によって定められており、専用住宅と併用住宅でも異なります。
こうした対象となる条件は自治体によって個別に規定されていますので、注意が必要です。

新築住宅に対する減額措置

新築の戸建てとマンションを購入した場合は一定期間固定資産税が2分の1に減額され、戸建ては3年間、マンションは5年間優遇措置を受けることができます。
適用期限は令和8年3月31日となっており、現行法令では期限超過後は元の課税額に戻る予定です。
また、認定長期優良住宅の場合は戸建てで5年間、マンションで7年間に延長されることから、より節税効果が高くなるといえます。
ただし建築されるエリアが災害レッドゾーンに該当している等、適用外となる条件もありますので、購入しようとしているエリアのハザードマップや条例を確認しておくことをおすすめします。
参考:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省

空き家を解体した場合

家屋が存する土地の場合、家屋を解体してしまうと固定資産税が増額されてしまいます。
これは前述した住宅用地の特例が受けられなくなるからであり、空き家であっても更地にせずに放置しておく方が税金対策に向いているケースもあります。
管理されていない空き家は倒壊する危険性が高く、害虫や犯罪の温床になりやすいことから自治体は所有者に対して管理もしくは解体を勧告することもありますが、解体することで固定資産税が増額されることを懸念する所有者も少なくありません。
このような問題を解決するために固定資産税を増額せずに据え置きし、所有者が解体しやすい特例を設けている自治体もあり、双方にメリットがある制度といえます。

省エネ改修を行った場合

省エネリフォームや長期優良住宅化リフォームを行った場合、令和8年3月31日までの工事を対象として翌年度分から固定資産税が3分の1に減額されます。
次にあげる工事が対象となっており、組み合わせによって工事費用の最低額が異なります。
そのため工事費用と工事内容の事前チェックは必須といえます。

  • 窓の断熱改修工事
  • 床等の断熱改修工事
  • 壁の断熱改修工事
  • 天井等の断熱改修工事
  • 高効率空調機の設備設置工事
  • 高効率給湯器の設備設置工事
  • 太陽熱利用システムの設備設置工事
  • 太陽光発電設備の設置工事

これ以外にも床面積が登記簿表示上で50㎡以上280㎡以下であること等、個別の要件があります。
参考:省エネ改修に係る固定資産税の減額措置

バリアフリーリフォームを行った場合

一定の個人が築10年以上居住した家屋をバリアフリー工事した場合、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されます。
適用を受けるためには主に次のような要件を満たす必要があり、工事内容と合わせて事前に相談しておくことがポイントです。

適用要件 内容
個人
  • 「65歳以上の者」あるいは「要介護認定又は要支援認定を受けている者」あるいは「障害と持っている者」であること
  • 新築されてから10年以上が経過した家屋に居住していること
工事内容
  • 賃貸住宅ではない家屋であること
  • バリアフリー改修工事に要した費用から補助金等を差し引いた額が、50万円(税込)を超えていること
  • バリアフリー改修後の床面積が登記簿表示上で50㎡以上280㎡以下であること
  • 店舗等併用家屋の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 改修工事を令和8年3月31日までに行っていること
  • 参考:バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置

    耐震・省エネ改修工事を行った場合

    地震大国である日本では耐震性の高い住宅の普及が重要課題となっており、築年数が古い不動産であっても耐震改修工事を行うことで安心して住み続けられる家屋となります。
    こうした不動産は入居者が長く住んでくれるというメリットだけでなく固定資産税を減額させられるという効果もあり、キャッシュフローの改善という点からもおすすめです。
    耐震改修に係る固定資産税の減額措置を受けるためには次の要件を満たす必要があります。

    • 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
    • 現行の耐震基準に適合する耐震改修であること
    • 耐震改修工事費が、50万円(税込)を超えていること
    • 店舗等併用家屋の場合、床面積の2分の1以上が居住用であること
    • 改修工事を令和8年3月31日までに行っていること

    なお、上記以外にも自治体によって個別の要件を設定しているケースもあり、注意が必要です。
    参考:耐震改修に係る固定資産税の減額措置

    固定資産税を節税する方法3つ

    固定資産税を節税することで収益性の高い不動産投資となり、将来売却する際にも高値で売ることができます。
    そのため、不動産投資を成功させるためには固定資産税をできる限り節税することが必須だといえます。
    この章では固定資産税を節税する代表的な方法について、解説します。

    分筆で固定資産評価額を下げる

    敷地の形状によっては有効活用できていないスペースが発生することもありますが、固定資産税は一筆で課税計算されるため有効活用できている部分と同様の課税額になってしまいます。
    そこで有効活用できていない土地を分筆によって切り分けることで適正な課税額にすることができ、大きな土地を所有している場合に有効です。
    また、切り分けた部分を隣地に売却することで固定資産税額を削減させることも可能です。
    そのため土地の全てを有効活用できていない場合は隣地の所有者に購入の相談をもちかけ、分筆登記するのがおすすめです。
    ただし分筆するためには確定測量と分筆登記費用がかかるため、固定資産税の減額に見合った支出になるのか検証する必要があります。

    公益性の高い土地として申告する

    どのような土地であっても固定資産税が発生するわけではなく、たとえば公園や道路、調整池などに使われている土地は非課税になるケースもあります。
    こうした土地は公益性が高く効率の良い街づくりを形成する観点からも所有者の負担を減らし、維持管理しやすい環境を整えることが優先されます。
    これにより固定資産税額は大きく減税され、場合によって非課税になります。

    小規模住宅用地の特例を利用する

    小規模宅地の特例は200㎡以下の土地に対する優遇措置となっており、適用されれば課税額が6分の1になります。
    また200㎡を超える部分については一般住宅用地となり、課税額は3分の1になります。
    賃貸についても200㎡×住戸数の面積が対象になることから不動産投資という点からも利用しやすく、ランニングコストを下げる方法としておすすめです。

    まとめ

    不動産投資において収入と支出のバランスは大切ですが、主な収入源である家賃収入は相場よりも極端に高くすることは難しいことから、支出をできるだけ抑えることが重要だといえます。
    特に固定資産税は投資ローンのように返済終了時期はなく、不動産を所有している間支払い続けることになります。
    つまり固定資産税を少しでも減らすことで大きなコストダウンになり、健全なキャッシュフローとなります。
    そのため不動産投資を始める際には、まず購入する不動産で利用できる固定資産税の減税措置を調べ、事前に準備をしたうえで投資をスタートさせることがポイントだといえます。
    なお、固定資産税に係る減税措置の多くは税制大綱によって決められており、次回の大綱で措置が中止もしくは撤廃される可能性もあります。
    このことからもなるべく早く制度を活用し、コストダウンに繋げることをおすすめします。

    空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。固定資産税の負担があるから手放したい、次の物件購入の資金にするために売却したい、など空き家の売却を考えている方はぜひお問い合わせください。