オーナーチェンジ物件が売れない?理由と売れないときの対策を解説
オーナーチェンジ物件の売却が難しいという話を聞き、不動産事業への挑戦に不安を感じていませんか?
オーナーチェンジ物件は居住用とは異なる特性を持つため、売れにくいと言われる場合があります。しかし、その理由を理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな売却は可能です。
本記事では、オーナーチェンジ物件が売れないと言われる理由と、売却成功のための具体的な対処法、価格の決め方、売却の流れを解説します。
不動産事業にチャレンジしたい方が安心して進めるための手助けとなるので、ぜひ参考にしてみてください。
- オーナーチェンジ物件とは
- オーナーチェンジ物件が売れない主な理由
- オーナーチェンジ物件が売れないときの対処法
- オーナーチェンジ物件の売却価格の決め方
- オーナーチェンジ物件の売却の流れ
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。
オーナーチェンジ物件とは
賃貸中のまま売却できる投資用不動産が、オーナーチェンジ物件です。
入居中の賃借人がいる状態で売買され、購入者は賃貸借契約を引き継いだ上で家賃収入を得られます。空室で売却するケースとは異なり、すでに収益化されている点が特徴です。
特に初めて物件を売却する投資家にとっては、基本的な仕組みを理解しておくと売却計画を立てやすくなります。
一般的な居住用物件の売買とは異なり、オーナーチェンジ物件は収益性や契約条件が評価対象になります。「売れにくい」と感じる背景には、買主の判断材料となる情報不足や対応ノウハウの乏しさがあるため、あらかじめ把握しておくことがオーナーチェンジ物件を扱ううえで欠かせません。
オーナーチェンジ物件に関して、初心者でも分かりやすく以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
オーナーチェンジ物件とは?不動産投資初心者向けにメリットデメリット・注意点を解説
賃貸中でも収益物件を売却できる
賃借人が住んでいる状態でも、オーナーは自由に物件を売却することが可能です。
これは民法第605条の2により、貸主としての立場が新所有者に引き継がれると定められているためです。賃借人が実際に入居して生活していれば、賃貸借契約は法的に保護され、買主が契約を引き継ぎます。
売買成立後は、新所有者が家賃を受け取り、敷金の返還義務も引き継ぐため、貸主としての責任を新所有者が負うことになります。
物件の引き渡し後には、新旧オーナーの連名で通知書を送付し、家賃振込先や連絡先の変更点を賃借人に伝えるのを忘れてはいけません。この連絡によって、賃貸借関係が混乱なく移行します。
オーナーチェンジ物件売買の売主のメリット
売却中も家賃収入を得られる点が、売主にとって最大の利点です。
買い手がすぐ見つからなくても安定収入があるため、条件交渉に余裕が生まれます。空室物件のように、原状回復やリフォームにかかる費用や時間を削減できるのも強みです。
稼働中の状態であるため、実際の収益実績をもとに買い手へ訴求できます。加えて、立ち退き交渉や退去準備といった対応も不要なため、精神的・実務的な負担が軽くなります。
オーナーチェンジ物件売買の買主のメリット
購入直後から家賃収入が得られる点が、買主にとっての大きな魅力です。
家賃収入がすでに発生していることで、将来の収支計画が立てやすくなります。空室物件と違い、新たに賃借人を募集する手間や広告費、初期リフォームの出費を抑えられます。
空室リスクがない状態で運用を始められるため、不動産投資の初心者にも適しています。また、安定収入の実績がある物件は、金融機関の融資審査でも評価されやすい傾向があります。
オーナーチェンジ物件が売れない主な理由
オーナーチェンジ物件の売却は、通常の戸建てよりも買い手が限られるため、思うように進まないケースがあります。
特に、初めて売却を経験する戸建て投資家にとっては、計画通りに売れない状況が大きな不安になるかもしれません。売れにくくなる原因をあらかじめ理解しておくことが、冷静な判断と対策の第一歩です。
ここでは、買い手の層や物件の特性に起因する代表的な売却困難の要因を紹介します。
投資家が買主となるため市場が限定される
オーナーチェンジ物件を購入するのは、基本的に不動産投資家や法人などの限られた層です。
自宅用に購入したい人は、すでに入居者がいる状態を敬遠しやすく、対象外となります。
また、投資家は物件の収益性を重視し、利回りや将来の見通しが悪いと判断された物件には手を出しません。
金利上昇や景気不安が重なると、慎重になる投資家が増え、売却がさらに難航します。
内覧ができず物件の実態を把握しにくい
入居者がいるため、内覧できないのが売却の大きなハードルになります。
特に戸建てでは、劣化や修繕箇所を目視で確認したいと考える買い手が多いため、内部を見られないことは敬遠されがちです。
写真や契約書だけでは判断材料が足りず、購入判断を迷う原因となります。築年数が経過している物件ほど、この情報不足が売却の足かせになります。
住宅ローンが組みづらく買い手が少ない
オーナーチェンジ物件は投資対象とみなされ、一般的な住宅ローンを利用できません。
そのため、購入者は高金利の不動産投資ローンか、現金での一括購入を選ぶ必要があります。投資ローンは金利や審査条件が厳しく、融資が通らないケースも多くあります。
融資のハードルが上がるほど、購入希望者の数は減少しやすくなります。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
【戸建て投資家向け】住宅ローンと不動産投資ローンの違いを徹底解説
賃貸経営へのリスクを懸念されやすい
オーナーチェンジ物件は入居者との契約を引き継ぐため、買主が入居者を選べません。
家賃滞納や過去のトラブルがある場合、それを引き継ぐことがリスクと見なされます。売主には状況を説明する義務があり、隠すとトラブルになる恐れもあります。
また、老朽化に伴う修繕費や家賃下落といった将来的な支出が、買主の懸念につながるケースも多いです。
オーナーチェンジ物件が売れないときの対処法
売却が進まない原因を見極め、状況に合った対応を取ることが大切です。
特に戸建てのオーナーチェンジ物件では、収益性や現況の伝え方次第で評価が変わります。
戦略を調整すれば、売却の可能性は高められます。
物件の魅力を伝える
戸建てオーナーチェンジ物件の強みを明確に示すことが、売却の第一歩です。
たとえば「入居者付きのため購入直後から家賃収入が得られる」「自己管理が不要」といった利点を具体的に伝えるのがおすすめです。
築年数や立地、駐車場の有無、庭・外構の管理状況なども、投資家が重視する要素です。周辺環境や治安の傾向、入居者の属性や滞納歴の有無も、信頼性を高める情報となります。
空室対策を行う
空室のある状態では、収益性が低く見られやすく売却に不利です。
まずは近隣の戸建て賃料相場を調べ、家賃を見直すのが効果的です。古くなったキッチンやトイレ、外壁などを部分的に修繕すれば、入居希望者の印象が改善されます。
敷金・礼金の見直しや更新料の撤廃、家賃保証会社の導入も空室改善に有効です。実績のある管理会社に切り替えれば、客付け力が強化される可能性もあります。
販売戦略や不動産会社を見直す
売れない場合は、販売価格や依頼先の不動産会社を再検討してください。
近隣の戸建て売却実績や査定価格を確認し、現実的な価格に調整することが重要です。特に投資用戸建ての売買は、実需物件とは異なる販売ノウハウが求められます。
投資用戸建てに精通した会社へ依頼すれば、販路や買主層へのアプローチが強化されます。
賃借人に退去してもらう
空室にすることで、居住用物件としても売却が可能になります。
投資家以外の買主も対象にできるため、売却の間口が広がり高値売却も見込めます。ただし、普通借家契約の賃借人には正当事由と立ち退き料が必要です。交渉は自分で行うか、弁護士に依頼してください。
トラブルを避けるためにも、必ず退去後に売却活動を開始するのをおすすめします。
買取専門業者に相談する
すぐに現金化したい場合は、不動産買取業者の活用が効果的です。
仲介とは異なり、直接買い取ってもらえるため売却期間を短縮できます。戸建ては築年数や立地で評価が下がる場合もありますが、再販目的の業者であれば買取対象になるケースがあります。
価格は市場より下がる傾向がありますが、仲介手数料不要や契約不適合責任の免除などの利点があるので、買取専門業者に相談することも検討してみてください。
オーナーチェンジ物件の売却価格の決め方
売却価格をどう決めるかは、売れ行きに直結します。
戸建てのオーナーチェンジ物件を売る際には、収益性や将来性を正しく評価する必要があります。家賃収入がある状態で売却する物件は、通常の空き家とは価格のつけ方が異なります。収益をもとに算出する方法を知っておくと、希望価格と市場価格のズレを防ぎやすくなります。
ここでは、実際の現場でも使われている代表的な価格算出方法を紹介します。
収益還元法
家賃収入から物件の価値を割り出すのが、収益還元法です。
オーナーチェンジ物件は、将来得られる家賃収入をもとに売却価格を決めます。
たとえば、年間家賃150万円の戸建てを、利回り6%で評価する場合、売却価格は2,500万円になります(150万÷0.06)。
この利回りは「キャップレート」とも呼ばれ、周辺エリアの取引状況や築年数、立地などによって変動します。管理費や修繕費などのコストを差し引いた“手取り収益”で計算するのがポイントです。
シンプルで使いやすいため、個人投資家にも広く活用されています。
DCF法
将来の家賃や売却額まで織り込んで価格を出す方法がDCF法です。
この方法では、今後数年間の家賃収入と、最終的に売るときの価格(復帰価格)を予測し、それを割り引いて現在価値に直します。空室リスクや家賃の下落、修繕コストなども想定できるため、現実的な判断がしやすくなります。
ただし、計算はやや複雑で、割引率(3〜5%が一般的)などの前提設定も必要です。不動産鑑定士や投資に詳しい不動産会社に相談すれば、より正確な価格を把握できます。
とくに再販を前提とした出口戦略を考えるなら、DCF法の活用が役立ちます。
オーナーチェンジ物件の売却の流れ
オーナーチェンジ物件の売却では、通常の空き家とは異なる対応が求められます。
入居者が住んでいる状態で売却するため、事前に流れを把握しておくと、混乱を防げます。
税務や引き渡し後の責任も含め、段階ごとに進めるのが大切です。
査定を依頼する
最初に行うべきは、戸建て物件の価値を査定することです。
オーナーチェンジ物件は、家賃収入をもとに収益性から価格を決めます。
たとえば年間150万円の家賃で利回り6%なら、価格は2,500万円となります(収益還元法)。将来の空室や売却時の価格も考慮する方法(DCF法)もあり、より現実的な試算が可能です。
初心者であれば、不動産会社に相談し、立地や築年数、入居状況を反映した適正価格を算出してもらうのが安心です。
媒介契約を締結する
査定が終わったら、不動産会社と媒介契約を締結します。
契約の種類によって、売主ができることや報告の頻度が異なります。複数の会社に依頼できる「一般媒介」や、1社に任せる「専任媒介」などがあります。
自分で買主を探したい場合や、スピードを重視したい場合など、目的に合わせて選ぶのが大切です。
媒介契約に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
売却活動を開始する
媒介契約を結ぶと、不動産会社が売却活動を始めます。
購入希望者が収益状況を確認できるよう、家賃や入居者情報をまとめた「レントロール」を用意します。
空室がある場合は、家賃設定や広告費を見直し、入居者を確保することが売却成功につながります。
売買契約を締結する
買主が決まったら、売買契約を結びます。
契約前に不動産会社が物件の法的情報や契約条件を説明し、内容に合意すれば署名・押印をします。
買主からは手付金(価格の10〜20%が目安)が支払われ、以降は簡単に契約解除できなくなります。
物件を引き渡す
契約から1ヶ月ほどで、買主へ所有権を引き渡します。
残代金の支払いと同時に、司法書士が所有権移転登記手続きをします。入居者の敷金は、新オーナーに引き継がれるため、売買代金から相当額を差し引いて精算します。
固定資産税などの費用も、引き渡し日を基準に日割りで調整されます。
入居者にオーナーチェンジを通知する
引き渡し後は、入居者へオーナーが変わったことを知らせます。
「賃貸人の地位承継通知」として、旧オーナーと新オーナーの連名で通知書を送付します。新オーナーの連絡先や家賃振込先を記載し、契約条件に変更がないことを伝えるのが一般的です。
民法上の手続きとして入居者の同意は不要ですが、信頼関係を築くためにも丁寧な対応が求められます。
まとめ
本記事では、戸建てを含むオーナーチェンジ物件が売れにくいとされる主な理由と、状況に応じた対処法について解説しました。
投資目的の買主に限定される市場の狭さや、内覧不可による情報不足、住宅ローンの非適用、入居者との関係に伴う賃貸リスクなどが、売却を難しくする要因です。
一方、空室対策や入居率の改善、物件価値を伝える工夫、販売戦略の見直し、そして収益還元法やDCF法を活用した根拠ある価格設定によって、売却成立の可能性を高められます。
物件売却の知識を身につけて実行に移すことが、不動産事業にチャレンジする方にとって納得感のある売却と次の一手につながります。
空家ベースは空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐプラットフォームです。全国の物件が対象となっているため、都市部に限らず、郊外の不動産も公開・掲載ができます。不動産事業に興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
また、投資対象として空き家を探している方にも、空家ベースはおすすめです。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。

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