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空き家に潜む「害虫・害獣」完全対策ガイド|購入前に知るべき駆除・再発防止のポイント

空家ベース編集部

空き家は人が住んでいない期間が長いほど経年劣化が進み、資産価値が低下してしまうと同時に、害虫や害獣が住み着いてしまうという問題もあります。

こうしたトラブルは悪臭の原因になるだけでなく入居者に健康被害が出てしまったり、対策しなければ賃貸経営に影響が出てしまうことも考えられます。そのため害虫や害獣が発生していることが判明した場合、なるべく早く対応する必要がありますが、自分で駆除できるケースもあれば専門家に依頼しなければならないケースもあります。

本記事では空き家を購入して賃貸物件として活用したい人向けに、空き家に住む害虫・害獣対策について解説します。

この記事で分かること

 ・空き家が害虫・害獣の巣になりやすい理由
 ・空き家購入前にチェックすべきポイント
 ・害虫・害獣が発生してしまった時の具体的な駆除・絶滅ステップ
 ・賃貸活用するなら知っておきたい“運用中の管理対策”

なぜ空き家は“害虫・害獣の巣”になりやすいのか

人が住んでいる建物に害虫や害獣が発生することもありますが、空き家の方が発生しやすいことはご存知でしょうか。なぜなら空き家には害虫・害獣にとって都合の良い環境が整っており、繁殖に向いているからです。

つまり、空き家を害虫・害獣から守るためには発生する原因について知っておく必要があると言えます。

この章では、空き家で害虫・害獣が発生しやすい理由について解説します。

空き家ならではの害虫・害獣の発生条件

虫や動物の多くは人の気配に敏感で、人が居住している家屋だと屋根裏やキッチンの下側、床下収納などに身を隠していることがあります。

その点、空き家は誰も住んでいないので家全体を活動範囲とすることができ、害虫・害獣にとって住み心地の良い環境になってしまいます。

また、定期的に換気されていない空き家は湿気がこもりやすく、ダニやカビが発生してしまうとそれを餌とする害虫や害獣が住み着いてしまいます。

このように管理が不十分な空き家は害虫や害獣にとって自然界よりも安全で生活しやすい環境になってしまいますので、注意が必要です。

代表的な害虫・害獣の種類と被害内容

代表的な害虫としてシロアリ、ゴキブリ、蜂、害獣としてネズミやハクビシン、アライグマ、蝙蝠(こうもり)がいます。駆除するためにはそれぞれの特徴と被害内容について把握しておく必要があります。

以下のチェックポイントをぜひ参考にしてください。


シロアリ…木部を食い、家の耐久性を低下させる

シロアリは空き家だけでなく居住中の家屋でも対処しなければならない害虫です。放置しておくと重要な木部などを食べてしまうので耐久性が劣化し、構造耐力上問題が生じる可能性が高まります。屋根裏や床下、壁の中に潜んでいることが多く、音もしないので気づきにくいという特徴があり、定期的にチェックしなければならない害虫と言えます。


ゴキブリ…衛生面のリスクが高く、不快感を与える

ゴキブリはシロアリよりも人の生活圏内で見かけることが多く、見ただけで不快な思いをする人も多い害虫です。また、病原菌などを飛散させることから入居者に健康被害が及ぶ可能性もあります。


蜂…巣を作り、攻撃性が高いこともある

スズメバチやアシナガバチ、ミツバチなどは空き家の外壁や床下、屋根裏に巣を作ることがあります。蜂の種類によっては、近づいただけで攻撃してくることもあり、入居者だけでなく近隣住民のリスクにもなり得る害虫です。


ネズミ…騒音・悪臭・設備破損を引き起こす

ネズミは屋根裏や床下に住み着く傾向があり、足音や鳴き声が騒音となるだけでなく、糞尿が悪臭の原因になることもあります。また、柱や壁をかじって耐久性が劣化することもあり、場合によっては配管に穴を空けたり電線をかみ切ることもあります。


ハクビシン…夜行性で騒音・悪臭をもたらす

額から穴にかけて白い線のある害獣です。夜行性のため人が寝静まった時間帯に活動することが多く、足音が騒音になります。また同じ場所で糞尿をする習性があるため悪臭や天井にシミができることもあります。ダニやノミを家屋内に持ち込む可能性が高いため、早急に対処する必要がある害獣です。


アライグマ…繁殖力が高く、空き家が巣窟になりやすい

ハクビシンと同様に糞尿が悪臭の原因となり、ダニやノミを飛散させる害獣。繁殖能力が高いことから空き家全体がアライグマの巣窟になることも多くあります。鳥獣保護管理法により、適法に許可を得た捕獲事業者でないと殺処分ができないことから、駆除は専門家に依頼することがおすすめ。


蝙蝠(こうもり)…換気口・屋根裏に住みつき病原菌をまく

蝙蝠は換気口や屋根裏に住み着く傾向があり、糞尿が病原菌発生の原因になります。なお、蝙蝠は鳥獣保護管理法で保護対象となっており、許可なく捕獲・殺処分することはできません。そのため巣を作らないように対策することが重要。

空き家購入前にチェックすべき“住み着きリスク”のサイン

害虫・害獣の有無は物件購入の重要な判断材料であることから、空き家を内見する際には必ずチェックすべきポイントと言えます。なぜなら購入後に発覚した場合、想定外の駆除費用や工数が発生収益計画に影響が出てしまうからです。

このような失敗を避けるためにも、害虫・害獣が住み着いている兆候を知っておく必要があります。

この章でチェックポイントについて詳しく解説します。

内覧時:外観・屋根・床下・換気口の状態をチェック

害虫・害獣は湿気が多く暗い場所で繁殖する傾向があるため、屋根裏や床下などは必ずチェックすることをおすすめします。

外から侵入しやすいかどうかも確認する必要があり、外壁や換気口のチェックも大切です。特に換気口が開いた状態で放置されていると害虫が侵入しやすいことから、注意が必要です。

過去の管理履歴(清掃頻度・通水・換気)・前所有者の利用状況を確認

空き家といえど、適切に管理されていたり空き家の期間が短い場合は害虫や害獣が住み着きにくいです。そのため空き家の購入を検討する際にはこれまでの清掃、通水や換気の頻度、所有者の利用状況をチェックすることも大事です。

過去の所有者が積極的に害虫・害獣対策をしていた物件であれば、安心して購入することができると言えます。

購入契約時:“害虫・害獣”に関する説明の有無と修繕履歴を確認

不動産売買契約において買主に渡される「物件状況告知書」には、シロアリ被害や修繕履歴の有無について記載されている項目があります。ここから過去の被害内容や修繕履歴をチェックすることができ、入居者募集前の修繕工事費用をイメージしやすくなります。

ただし、一般的な告知書にはシロアリ被害についてのみ記載されていることから、前述した代表的な害虫・害獣の被害がないか、直接売主に確認することをおすすめします。

発生してしまった時の具体的な駆除・絶滅ステップ

害虫や害獣は、できるだけ発生前に抑制することが重要です。しかし万が一発生してしまうと、繁殖してしまうため早めに駆除しなければなりません。駆除を専門家に依頼すると費用がかかってしまうため、自分で駆除しようとする所有者も多いのが現状です。

しかし、攻撃的な害獣や法律によって駆除できない害獣もいることから、駆除が難しい場合は専門家や自治体に相談することがポイントです。

この章では発生してしまった害虫・害獣の駆除について、ポイントを解説します。

軽度(ゴキブリ・小ネズミ)なら自分でできる駆除術

ゴキブリや小さなネズミ、巣が大きくない蜂であれば、ホームセンターで販売しているグッズで対策することが可能です。空き家に合った駆除グッズを使うことで、効率よく駆除することができます。

自治体によっては「蜂の種類」「巣の大きさ」「防護服の使用義務」についての規定がありますので、その場合は自治体の方針に沿う必要があります。

なお、ホームセンターでは蝙蝠に関するグッズも多く取り扱っていますが、前述したように蝙蝠は殺処分することができないため注意が必要です。

中度~深刻(シロアリ・ハクビシン、屋根裏侵入)なら専門業者へ依頼すべき理由

シロアリは視認できない場所に生息しているだけでなく、家全体に住み着いていることも多いです。自分で駆除することが難しいため、専門家へ相談することをおすすめします。

ハクビシンやアライグマは屋根裏に住み着くため、駆除がしにくいだけでなく、動きが素早いうえに爪や牙でケガをすることもあります。ケガから病原菌が体内に入って健康被害が起きることもありますので、これらの害獣は自分で駆除することなく速やかに専門家に相談することをおすすめします。

駆除後の再発防止策:侵入口封鎖・清掃・換気・通水・定期点検

「害虫や害獣が住み着いていた」ということは、駆除してもまた住み着く可能性が高いと言えますので、再発防止策が重要なポイントになります。再発を防止することで空き家を良好な状態で維持することができ、入居者も安心して住み続けられるようになります。

害虫や害獣が二度と住み着かないようにするためには、まず侵入口を全て封鎖し、清掃や換気、通水を定期的に行うことが大切です。湿度と温度が適切で、外から侵入できない場所には、害虫や害獣が住み着く可能性は低くなります。

また、こうした対策を一度実施するだけでなく、期間を決めて定期的にチェックし管理することが大事です。

賃貸活用するなら知っておきたい“運用中の管理対策”

空き家を活用して賃貸経営するのであれば、空き家の資産価値を維持しつつ入居者が住みやすい環境を整えることが大切です。こうした管理を行うことで収益は安定し、イメージ通りの賃貸経営を実現することができます。

そのためにも空き家の管理方法と害虫・害獣のリスクについて、正しく知っておくことが重要です。

この章では空き家を賃貸活用するうえで知っておきたい管理対策について解説します。

入居前チェックと定期巡回

入居者が住み始めてから害虫・害獣が発生すると印象が悪くなり、短期間で退去してしまうことも考えられます。そのため入居前には物件に害虫・害獣が発生していないか入念にチェックし、問題がないことを入居者に伝えることが大切です。

また、入居後も物件を定期的に巡回し、害虫・害獣がいないか確認することもポイントです。そうすれば万が一害虫・害獣が発生しても早期発見できるため、少ない費用と工数で対処することが可能です。

契約書に「害虫・害獣条項」を組み込む

賃貸借契約書に害虫・害獣が発生した場合の対処方法について記載できますので、具体的な対処方法を決めておくことでスピーディーに駆除することができます。

入居者としても事前に対策内容を把握できるため、安心して住むことができます。

被害発生時の収支影響・最悪シナリオ(賃料減・退去・修繕費)の想定

どれだけ再発防止や定期的なチェックをしていても、突然害虫・害獣が発生することもあります。そのような事態になった場合を想定し、賃料の減少や退去リスク、修繕費用についてイメージしておくことも賃貸経営において重要です。

収益計画の下振れが想定内であれば、慌てることなく次の入居者を募集することができ、安定して利益を得ることができます。

まとめ|空き家購入で安心運用を実現するために

この記事では空き家購入で安心運用を実現するためのポイントとして、害虫・害獣対策について解説しました。

ポイントをまとめましたので、参考にしてください。

“チェック→駆除→管理”の3ステップを習慣化すること

定期的に空き家をチェックして害虫・害獣を見つけ次第駆除し、再発しないよう管理するのが賃貸経営を安定させるコツです。

ハクビシンやアライグマなどは自分で駆除することが難しいため、あらかじめスピーディーに対応してくれる専門業者に相談しておくこともポイントです。

価格の安さだけで判断せず、リスクを数値で把握すること

すでに害虫・害獣が住み着いている空き家は価格が安く、買いやすい一方で修繕費用や駆除費用が高くなる可能性があるため注意が必要です。空き家を活用した賃貸経営は、購入費用だけを初期コストとするのではなく、「購入費用+修繕・管理費用」が初期コストとなると考えておくことが大切です。

駆除費用や管理費用がどのくらいになるのかを具体的な数値として算出し、収益計画に組み込むことでリスクの少ない賃貸経営を実現することができます。なお、害虫・害獣のおおまかな駆除費用は次の通りです。

おおまかな駆除費用シロアリ:15〜35万円(30坪相当の住宅想定)
ゴキブリ:2.5~5万円(3LDK)
蜂:1.5~4万円
ネズミ:10~30万円
ハクビシン:5〜30万円
アライグマ:10~30万円
蝙蝠:2〜8万円

早めの対応が大きなコストを防ぐ鍵

害虫・害獣は放置すればするほど被害が大きくなりますので、発見したらできるだけ早く対応することがポイントです。入居者も害虫・害獣がいる家に安心して住み続けることは難しいことから、オーナーとして迅速な対応が求められます。

害虫・害獣から空き家を守り、入居者の生活を守ることで、安定した家賃収入を得ることができます。

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