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汲み取り式トイレから浄化槽へリフォームする費用はいくら?工事相場・補助金・維持費まで完全解説

空家ベース編集部

格安で買えるのに、トイレのせいで借り手がつかない。汲み取り式トイレの物件は、そんなジレンマを抱えやすい投資対象のひとつです。

汲み取り式トイレは都市部ではほとんど見かけない設備です。汚水の回収にはバキュームカー作業員が必要なため、人件費高騰の影響を受けやすく、維持費が高くなりやすい傾向にあります。

加えて、水洗トイレしか知らない世代が大多数を占める今、汲み取り式への馴染みのなさが入居者募集のネックにもなります。

安定した賃貸経営を実現するには、入居者に長く住み続けてもらうことが重要です。そのためにも、快適な住環境を整えることが欠かせません。

そこで、この記事では汲み取り式トイレを水洗トイレに切り替えるための費用相場や、利用できる補助金制度を紹介します。

切り替え工事が高くなる理由や切り替え費用の回収が可能かどうかについても解説しますので、汲み取り式トイレの物件購入を検討している方は、ぜひ費用判断の参考にしてください。

この記事で分かること

  • 汲み取りから水洗化への3つの方法と費用相場
  • 浄化槽設置費用の内訳
  • 浄化槽の設置で利用できる補助金制度
  • 浄化槽を設置した際の回収シミュレーション
  • 浄化槽が高すぎる場合の「2つの代替戦略」

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ボロ戸建て投資の壁!汲み取りから水洗化への3つの方法と費用相場

築古の戸建ては現在の高機能住宅にはないトラブルを抱えていることが多いですが、その中でも汲み取り式トイレは何かしらの対策を講じなければならないケースが多く見られます。

なぜなら近年は汲み取り式トイレを使ったことがある人は少なく、衛生面安全面で不安を感じやすいからです。

汲み取り式トイレは便槽からの臭いがしやすく、さらに不慣れな人が使用すると便槽に落下する危険があります。

こうした不安は借り手が見つからない原因になりますので、できるだけ早く対応することをおすすめします。そのためにも汲み取り式トイレを水洗化するための方法と相場について、正しく理解しておくことが大切です。

この章では汲み取り式トイレを水洗化するための3つの方法と費用相場について解説します。

1. 浄化槽設置型:100万〜200万円

浄化槽設置型とは、下水道が整備されていない区域において、家庭から出る汚水を敷地内に設置した浄化槽で処理する方式です。微生物の働きで汚水を浄化したうえで河川等に放流する仕組みで、使用感は通常の水洗トイレと変わりません。

浄化槽には個別浄化槽集中浄化槽の2種類があります。集中浄化槽は地域全体の汚水をまとめて処理する施設であり、自治体や事業者が管理するものです。

そのため個人が自宅に設置できるのは個別浄化槽に限られ、汲み取り式から切り替える際もこちらを選ぶことになります。設置費用の相場は100万〜200万円です。

なお、定期的な「保守点検」、「清掃」、「法定検査」浄化槽法で義務付けられており、次のような維持費が別途かかります。

項目 内容 費用目安
保守点検費 浄化槽の機器が正常に動いているか点検し、薬剤の補充や清掃を行う。年3~4回実施。 約2~3万円/年
清掃費 槽内に溜まった汚泥をバキューム車で汲み取る。年に1度実施。費用は浄化槽の大きさによって異なる。 約2〜5万円/年
法定検査費 指定検査機関による水質検査を受検する費用。年に1度実施。 約5,000円/年

維持費の水準は自治体によって異なるため、物件所在地の自治体に必ず事前確認を取りましょう。

【 参考:浄化槽法│e-Gov 法令検索 】

2. 簡易水洗設置型:30万〜60万円

簡易水洗トイレは汲み取り式トイレの便槽を活かしており、厳密には水洗トイレではありませんが費用を抑えられるため注目されています。

便槽に洋風の便座を設置することで水洗トイレのような見た目にすることができ、ふたをすれば便槽からの臭いを抑えられるというメリットもあります。

費用も30万〜60万円と浄化槽設置型に比べて安価ですので、比較検討する投資家も多いです。

ただし汲み取り作業自体は必要となりますので、汲み取り費用を支出として考慮しなければなりません。

3. 下水道接続型:50万〜100万円

前面道路に下水道本管がある場合のみ可能な工法で、都市部の多くはこの下水道接続型です。

浄化槽設置型の区域も、将来的に公共下水が整備されれば下水道接続型への切り替えが必要になります。対象物件が公共下水の整備区域になる可能性があるかどうかは、購入前に自治体へ確認しておきましょう。

仮に浄化槽を設置した後に公共下水の区域となった場合、原則として下水道に接続しなければなりません。そのため浄化槽の設置費用と下水の接続費用が両方かかることになり、場合によっては収益計画に大きな損害を与えることもあります。

こうした背景から、対象物件に将来公共下水が整備されるかどうかの確認は、賃貸経営における重要なチェックポイントといえます。

費用相場は50万〜100万円と、簡易水洗トイレより高く、浄化槽設置よりは安い水準です。公共下水は自治体が維持・管理するインフラであるため、個人でのメンテナンスが不要になるという安心感があります。

また、将来売却する際にも査定額が高くなることもあります。

なぜ高い?浄化槽設置費用(100万〜200万円)の詳しい内訳

浄化槽設置型下水道直結型簡易水洗トイレよりも高いため、収益計画が悪化しないように注意する必要があります。

しかし投資物件が下水道が整備されたエリアではない場合は浄化槽設置型が現実的な対策になることが多く、高額になっても工事をしなければならないことも多いです。

さらに注意すべき点として、浄化槽の設置では想定外の追加費用が生じるケースがあります。予算を超えないよう設置のポイントを調べておくことが大事です。

この章では浄化槽リフォームの工事内訳と、想定される追加費用について解説します。

浄化槽リフォームの工事内訳

工程 工事の内容 費用の内訳
1 既存便槽から汚水などを汲み出し、便槽を重機を使って撤去する。 20万円前後
2 便槽があった空間を造成して浄化槽を設置し、家屋内に便器の本体を設置する。 15~50万円
3 給排水管を接続し、問題なく排水されることを確認する。 20~40万円
4 自治体に申請書を提出し、法定点検を委託する業者を選定する。 10万円前後

浄化槽は住宅の延床面積に応じて槽が異なり、一般家庭の130㎡以内なら5人槽ですが二世帯住宅になれば10人槽となり、設置費用が大きく変動します。

ただし、申請費用や法定点検料自治体によって異なるため、事前確認が欠かせません。

以上を踏まえ、物件購入前に浄化槽の費用をできる限り正確に把握し、収益計画への影響を慎重に判断することが求められます。

投資家泣かせ!想定外の追加費用が発生するケース

投資物件のメンテナンスにかかる費用には給湯器やエアコンの交換、外壁や屋根塗装など予算が立てやすい内容が多いですが、浄化槽の設置工事の場合は事前調査をしても想定外の追加費用が発生することがあります。

代表的な例ではコンクリートや杭、産業廃棄物などが地中から発掘されるケースがあり、これらの地中埋設物を運搬、処理する費用が追加でかかります。

また、撤去部分からアスベストが発見されることもあり、その場合は飛散対策や除去作業に費用が発生します。
アスベストの飛散リスクレベルによっては追加で数百万円かかることもありますので、アスベストの含有については事前に調査しておくことをおすすめします。

これ以外にも前面道路が狭く作業が難航するケースや、土地に高低差があり重機の搬送が難しく、手作業になってしまうケースでも追加費用は発生します。

購入時点では想定できなかった要因によって、設置費用が想定を超えるケースがあります。余裕を持った予算設定が不可欠です。

なお、後述する浄化槽関連の補助金は浄化槽本体の設置にかかる費用が対象となることが多く、こうした突発的な費用は自己負担で対応しなければならないケースがほとんどです。

ある程度、余剰資金を用意した上で工事をしなければならないのが、浄化槽のデメリットといえます。

リフォーム費用の見込み違いなど、ボロ戸建て投資で失敗しないための全体的なポイントはこちらで解説しています。
参考 : 「ボロ戸建て投資はやめとけ」と言われる理由と成功へのポイントを徹底解説 │ 空家ベース

利回りを守る!投資家が使える補助金・助成金と注意点

補助金

汲み取り式トイレから浄化槽に変更することで入居者が快適に生活できるようになると、退去率低下の効果も期待できます。

ただし、投資家にとって利回りの確保は最重要課題のひとつです。水洗化コストによる利回り悪化は、できる限り抑えなければなりません。

そこで注目したいのが、自治体による補助金制度です。自治体側も衛生・管理の観点から浄化槽への転換を推奨しており、設置費用の一部を補助する制度を設けているケースがあります。

この章では、浄化槽の設置に活用できる補助金・助成金について紹介します。

自治体の「浄化槽設置整備事業」などの補助金

自治体からは「浄化槽設置整備事業」といった補助金が公開されており、汲み取り式トイレから浄化槽へ変更する工事費用の一部を補助金で補填することができます。

補助金は自治体によって異なり、数万から数十万円と幅広いことから、自治体HPなどで事前に確認しておくことをおすすめします。

なお、助成金は要件を満たせば原則受給できますが、補助金<は自治体があらかじめ予算総額を設けているため、予算に達した時点で申請受付が終了します。終了の事前告知はなく、自治体のホームページに突然「受付終了」と掲載されるケースがほとんどです。

補助金の活用を検討しているのであれば、予算が残っているうちに申請を完了させることが鉄則です。

投資物件で補助金を使う際のハードル

補助金制度は浄化槽の設置費用を抑えられるため必ず利用しておきたい制度ですが、自治体によっては「所有者の居住が必須」等の条件が設けられていることがあります。

そのため賃貸用住宅に適用できるかをチェックすることが必須です。

また、工事前の写真が必要になるケースもあり、撮影し忘れると申請ができなくなってしまいます。必要書類は工事着工前に漏れなく確認することが、補助金の申請失敗を防ぐことに効果的です。

補助金を受ける際に必要となる書類は、一般的に次のようになります。

補助金申請に必要な書類

■ 基本書類

  • ・自治体が公開している交付申請書
  • ・審査期間を経過した浄化槽設置届出書
  • 設置場所の案内図

■ 図面関係

  • ・縮尺と施工部分を明示した、既設のみなし浄化槽 または くみ取り便槽の配置図
  • ・縮尺と施工部分を明示した、補助対象浄化槽の配置図および排水経路図

■ 写真関係

  • ・施工前写真
  •  -みなし浄化槽 または くみ取り便槽
  •  -排水経路
  •  -接続する居宅

■ 契約・見積書

  • ・補助対象浄化槽の工事請負契約書
  • ・補助対象浄化槽の設置工事見積書
  • 宅内配管工事見積書
  • ・くみ取り式トイレ撤去費用の見積書

■ その他

  • ・(借家の場合)賃借人の承諾書
  • ・施工業者の浄化槽設備士免状の写し ※資格取得時期によっては追加書類が必要になる場合があります。詳細は申請先の自治体へご確認ください。

なお、補助金は工事費用の全額を賄えるものではなく、自己資金との併用が前提となります。加えて、適用条件の確認必要書類の準備という2つのハードルをクリアしなければなりません。

早め早めに動き出すことが受給の成否を分けます。

浄化槽を設置して「元は取れる」のか?

浄化槽は地中にあるため工事前と工事後では見た目の変化が少なく、資産価値がアップしたようには見えません。

しかし浄化槽の設置によって汲み取り式トイレのデメリットを解消でき、収益改善につながるケースも多いことから、費用対効果に優れた工事といえます。

その観点からも、収益計画と折り合いがつくのであれば、切り替え工事を前向きに検討する価値があります。

この章では浄化槽を設置するメリットと、費用の回収時期について解説します。

水洗化による客付け力と家賃アップ効果

ここでいう「客付け力」とは、入居希望者からの問い合わせ数や、内見から契約に至る成約率を指します。

汲み取り式トイレは汚水の臭いがするだけでなく、衛生上の問題があります。安全面における懸念もあり、子どもや高齢者、ペットが便槽に転落するリスクは無視できません。その観点から浄化槽に変更する投資家も多いです。

浄化槽を設置することで一般的な水洗トイレとして利用することができ、臭いや衛生面、安全上のリスクから解放されることになります。

これにより借り手からの問い合わせが増えやすくなり、家賃を高く設定できる可能性があります。

さらに汲み取り式トイレよりも退去率が下がるケースも多く、安定した賃貸経営につながりやすいといえます。

このように、浄化槽の設置は収益面を大きく改善できる可能性があるといえますので、浄化槽の設置を検討する投資家は多いです。

費用対効果のシミュレーション

たとえば浄化槽の設置費用が150万円、設置によって月額賃料が1万円アップした場合、年間の回収額は12万円となります。

150万円÷12万円=約12.5年

つまり12年6ヶ月で設置費用を回収できる計算です。

家賃を据え置きにすると回収タイミングは遅くなってしまうことから、浄化槽の設置は短期的な費用対効果は見込めないことが分かります。

しかし、浄化槽で水洗化すれば住環境が改善され、退去率の低下入居者募集時の反響増加といった効果も期待できます。
さらに将来売却する際には、汲み取り式トイレのままの場合と比べて査定額が上がるケースもありますので、長期的な目線で費用回収できるのか検討することがポイントです。

なお、前述した浄化槽の補助金制度を活用することで回収時期を早めることができますので、賃貸経営を成功させるうえでも重要な制度といえます。

補助金の適用条件や申請手続きの詳細は、物件所在地の自治体窓口へ事前にご確認ください。

浄化槽が高すぎる場合の「2つの代替戦略」

補助金制度を活用することで浄化槽の設置費用は抑えることができるものの、自己費用を使わなければならないケースがほとんどです。

また、賃料上昇や問い合わせ数の増加、出口戦略の改善といったメリットもありますが、短期集中で利益をあげたい投資家には不向きな設備投資といえます。

そのため、浄化槽の設置がどうしても割に合わない場合に備え、代替戦略を把握しておくことが大切です。

この章では、浄化槽の設置費用が高すぎる場合におすすめの代替戦略として、「簡易水洗+ウォシュレット」と「汲み取り式トイレのまま貸し出す方法」を紹介します。

戦略1:簡易水洗+ウォシュレットで初期費用を抑える

簡易水洗トイレは30~60万円で設置することができ、ウォシュレットも10万円前後と浄化槽の設置に比べて安価です。

そのためなるべく早く利益を回収したい投資家であれば、簡易水洗トイレ+ウォシュレットという選択がおすすめです。

出口戦略の面でも有利で、将来下水エリアに指定された場合でも浄化槽の設置費用がかかっていないことから、トータルの支出を抑えられるというメリットがあります。

これらの点を総合すると、簡易水洗トイレ+ウォシュレットの組み合わせは、条件次第で効果的な代替戦略になり得ます。

戦略2:汲み取り式のまま貸し出せるターゲットを狙う

簡易水洗トイレを設置する費用も抑えたい場合、汲み取り式トイレのまま借り主を探すことになりますが、その場合は借り手を限定させることがベターです。

たとえば、ブリーダー業など動物の飼育を主目的とする場合であれば、実際に居住する訳ではないためトイレの快適性への優先度が低く、汲み取りのままでも支障がない場合が多いです。
また、そもそもトイレを使わない倉庫ガレージとして使用するのであれば、わざわざ浄化槽を設置する必要はありません。

このような用途で物件を探している人にとって、トイレの快適性の重要性は低く、家賃や広さなどの重要性が高い傾向にあります。

水洗トイレに切り替えて家賃を上げるよりも、現況のまま家賃を据え置く方が、借り手が見つかりやすい傾向があります。
そのため、ケースによっては汲み取り式トイレのままにしておく方が適している場合もあります。

ただし、汲み取り式特有の維持管理の負担や衛生面のリスクは、内覧時および重要事項説明書で必ず借主に説明しておきましょう。事前の丁寧な説明が、入居後のトラブルを防ぐ鍵です。

これ以外にも、DIY可能物件として借主を募集することで、一からDIYしたい借り手をターゲットにすることできるという方法もあります。
この方法で契約した借り手は居住目的である場合が多く、長期間入居してくれる可能性も高いです。

だからこそ、汲み取り式トイレのまま借り手を探す場合はターゲット像を明確にしたうえで、興味を持ってもらえるような広告戦略を取ることが成功のコツといえます。

まとめ

汲み取り式トイレの物件は販売価格の安さから人気がある一方で、そのまま借主を探すと入居者募集で苦戦するケースが少なくありません。
なぜなら、現代では汲み取り式トイレを使ったことがない入居者がほとんどであり、独特の臭いや衛生面への不安が、問い合わせをためらわせる要因になりやすいからです。

安全面にも懸念があり、子どもやペットが便槽に転落するリスクは無視できません。こうした衛生・安全上の課題を解消するために、浄化槽簡易水洗トイレへの切り替えを選ぶ投資家は少なくありません。

特に浄化槽は通常の水洗トイレと同等の使い心地であるため、入居者が安心して暮らせる環境を整えやすく、家賃の設定幅が広がったり、将来の売却時に査定額が上がるケースもあるなど、長期的なメリットが期待できます。

一方、浄化槽は設置費用が高く、利回りが悪化することで収益計画が破綻する可能性もありますので、注意が必要です。

こうしたリスクを避けるためにも、補助金制度の活用や代替案の検討を、物件購入の段階から視野に入れておくことをおすすめします。

空家ベースでは、汲み取り式個別浄化槽の物件も販売しています。汲み取り式トイレの物件購入を検討している場合や、浄化槽設置の費用相場を物件ごとに確認したい場合は、専門家への相談を活用するのが近道です。

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空家ベース編集部 編集部
空家ベース編集部です。 空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。 空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!