コラム

不動産を所有している場合は年に一度固定資産税を支払うことになるため、固定資産税の課税額は所有する前に確認しておくことが大切です。
特に都市部の土地や新築住宅は固定資産税額が高額になってしまうことで家計が圧迫されてしまうことも多く、注意点といえます。
場合によっては固定資産税と都市計画税が支払えず、せっかく取得した不動産を手放す人も少なくありません。
このような失敗を避けるためにも、年間でどのくらいの税金がかかるのかを調べておく必要があります。
また固定資産税評価額は他の税金計算にも使われており、計算方法も含めて知っておくべきポイントです。
この記事では固定資産税評価額の調べ方と税額を算出する方法について解説します。
これから不動産を所有する予定がある人は、参考にしてください。

この記事で分かること

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とは総務省によって「固定資産」と定められる財産を1月1日時点で所有している人に対して課税される税金のことで、毎年5月頃に納税通知書が郵送されます。
3年に1度評価替えによって価額が見直され、令和6年度が評価替えの年でした。
固定資産は土地と家屋、償却資産に分けられており、次のように定義されています。

固定資産の種類 固定資産の例
土地 田んぼ、畑、住宅用地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

なお、固定資産税は国税ではなく地方税となっているため市区町村が納税された税金を管理しており、道路の修繕や街灯の設置などに利用されるケースが多いです。
このように快適な街を維持するために固定資産税は徴収されることになり、HPで利用用途を公開している自治体もあります。
【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税を計算するためにはまず固定資産税評価額を正しく知る必要があります。
一般的には時価の70%が固定資産税評価額とされていますが、あくまで目安であり正確な評価額ではありません。
また不動産を売却する際の価格を決める際にも固定資産税評価額は重要な判断材料となるため、評価額の調べ方は知っておくべきといえます。
固定資産税評価額を調べる方法はいくつかありますが、「固定資産税課税明細書」「固定資産評価証明書」「固定資産課税台帳」のいずれかを確認するのが一般的です。
それぞれ入手方法と閲覧できる人が異なりますので、この章で解説するポイントを押さえておくことをおすすめします。

固定資産税課税明細書で確認する

固定資産税課税明細書は5月頃に郵送される納税通知書に同封されており、土地と家屋の固定資産税と都市計画税の課税標準額と税率、税額、軽減額、賦課期限などが記載されています。
固定資産税評価額だけでなく税額も明記されているため計算する必要がなく、納税義務者の自宅に郵送されるため家族であれば誰でも閲覧が可能です。
ただし1年に1度しか送付されないうえに原則再発行はされませんので、紛失しないよう大切に保管する必要があります。

固定資産評価証明書で確認する

固定資産評価証明書は自治体で保管されている書類となっており、不動産の所在や地目、地積などが標準額と一緒に記載されています。
個人情報に関わる内容が多く含まれているため所有者でなければ確認することができず、家族であっても委任状がなければ取得できない書類です。
紛失しても何度でも発行できますが、1枚につき200円から400円の費用が発生します。
なお、住民票や印鑑証明書と違ってマイナンバーカードがあってもコンビニで取得できない書類となっています。
そのため平日に市役所や役場に行く必要がありますので、注意が必要です。

固定資産課税台帳で確認する

固定資産税評価証明書は非課税の固定資産についても明記されていますが、固定資産課税台帳は課税される固定資産のみが明記されます。
そのため固定資産課税台帳の閲覧でも評価額を確認できますが、所有者以外が閲覧するためにはやはり委任状が必要となり、本人であっても顔写真付きの身分証明書か2種類の身分証明書が必要です。
自治体によっては所定の書式以外の委任状を受付しないというケースもありますので、あらかじめ委任状の書式については確認しておくことをおすすめします。

固定資産税評価額を使って算出できる税金

固定資産税評価額は固定資産税の計算だけでなく、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の計算にも使われます。
それぞれの税金は支払うタイミングも異なりますので、不動産を取得する予定がある人は事前に計算しておくことが大切です。
この章では固定資産税評価額をベースとして計算する税金について、解説します。

固定資産税

固定資産税の計算式は次の通りです。
固定資産税評価額×1.40%
上記の計算式が基本となり、宅地や家屋によっては軽減措置が適用されます。
たとえば宅地の場合は200㎡以下の部分について課税額を6分の1、200㎡を超える部分について3分の1に軽減させることができます。
また家屋の場合は評価額を一定期間半分に軽減させられる制度があり、新築住宅で3年間、マンションで5年間です。
ただし、適用させるためには以下の条件を全てクリアしている必要があります。

上記以外にも自治体によっては独自のルールが設定されていることもありますので、事前に確認しておくことがポイントです。
なお、固定資産税の納税通知書は4枚1組となっており、4回に分けて支払うことも可能です。
期限は自治体によって異なりますので、遅れることなく支払えるよう準備しておくことが大切です。
 

都市計画税

都市計画税の計算式は次の通りです。
固定資産税評価額×最大0.3%
都市計画税の税率は自治体が自由に設定することができ、制限税率によって0.3%が上限となっています。
市街化区域の土地に課税されるため市街化調整区域の土地は非課税となりますが、自治体によっては市街化区域でも非課税になっているケースもあります。
そのため課税明細書をチェックしたり自治体に問合せし、課税の有無をあらかじめ把握しておくことが大切です。
税率は固定資産税課税明細書や固定資産税評価証明書で確認することができます。
なお、都市計画税も軽減措置が設けられており、200㎡を超えた部分の宅地は評価額の3分の2、賃貸マンションなどの小規模住宅用地は200㎡以下の部分で3分の1に軽減されます。
【参考サイト:総務省|地方税制度|都市計画税

不動産取得税

不動産取得税の計算式は次の通りです。

固定資産税評価額×4%

不動産取得税は不動産の所有権を取得したタイミングで発生する税金となっており、所有権移転登記から半年前後で納税通知書が届きます。
そのためあらかじめ税額を計算し支払えるよう資金を準備しておく必要がありますが、家を建てる目的で購入した土地であれば税率は3%に軽減され、評価額も2分の1です。
さらに土地面積に応じて以下の控除が適用されることになり、不動産取得税を大幅に軽減させることができます。

固定資産税評価額×3%÷土地面積×200㎡

たとえば土地面積が180㎡で評価額が2,000万円だった場合、宅地の不動産取得税は30万円ですが上記の計算によって約66万円まで控除できます。
つまり、このケースだと不動産取得税はかからないことになります。
また、家屋についても長期優良住宅の新築であれば課税額から1,300万円控除することができます。
このように、不動産取得税は高額になりやすい一方で軽減額も大きいことが分かります。
【参考サイト:総務省|地方税制度|不動産取得税

登録免許税

登録免許税の計算式は次の通りです。

固定資産税評価額×2%(売買の場合)

登録免許税は所有権移転登記を法務局に申請する際に発生する税金となっており、司法書士の報酬と合わせて不動産決済時に支払うのが一般的です。
税率は2%が基準ですが令和8年3月31日までに登記する場合は1.5%に軽減させることができます。
上記税率は売買のケースですが、相続や法人の合併または共有物の分割であれば0.4%となります。
なお、登録免許税は地域によっては買主が全額負担したり売主と折半することがありますので、司法書士に見積を依頼して確認しておくことをおすすめします。
【参考サイト:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

固定資産税評価額の決まり方

固定資産税評価額は土地と家を分けて計算することになり、それぞれ計算式が異なります。
特に家は設備の状態やスペックによって変動しやすく、ホームエレベーターなどの特殊な設備があると高くなりやすいです。
この章では固定資産税評価額の計算方法を具体例を交えて紹介しますので、参考にしてください。

土地の固定資産税評価額

土地の固定資産税評価額は国税庁が公開している固定資産評価基準をベースに地目別に定められた方法によって評価することになり、一般的には路線価方式が採用されます。
路線価方式は前面道路の固定資産税路線価を土地の資産価値として算出する方法となっており、計算式は次の通りです。

路線価×土地面積×評点

評点とは評価を調整する割合のことで、国税庁によって公開されています。
延長敷地などの不整形地は整形地よりも価値が下がりやすく、評点によって補正する必要があります。
つまり、同じエリアの土地であっても土地の形状次第では評価額が安くなる可能性があるといえます。
たとえば路線価が10万円/㎡で敷地面積が150㎡、評点0.8の場合、固定資産税評価額は1,875円です。
なお、路線価は路線価図・評価倍率表で調べることができます。
【参考サイト:財産評価基準書
【参考サイト:奥行価格補正率表

家の固定資産税評価額

家の固定資産税評価額は「再建築価格方式」で計算するのが一般的となっており、現在建築されている家を再建築する前提の評価額を算出し、そのうえで経年劣化の資産価値減少を補正するという方法です。
再建築価格方式の計算式は次のようになります。

家の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額

経年減点補正率は法務省で定められており、評点1点あたりの価額は1円であることが多いです。
たとえば再建築評価額が3,000万円で築11年が経過していた場合、評点を1円とすると1,440万円です。
ただし家の設備によっては評点が増加し、評価額が増えてしまうこともありますので注意が必要です。
【参考サイト:経 年 減 価 補 正 率 表

まとめ

土地や建物を所有している限り固定資産税は支払い続けることになり、税額によっては大きな負担になってしまいます。
そのため不動産を所有する前にはまず固定資産税評価額を調べ、固定資産税や都市計画税を計算しておくことが大切です。
固定資産税評価額は毎年送られてくる納税通知書で確認できますので、所有者に依頼して見せてもらうのが一番正確に把握できます。
また、不動産は固定資産税以外にも不動産取得税や登録免許税がかかるため、有効活用できない不動産を所有する場合にはあらかじめ売却を検討しておくのがおすすめです。
空家ベースは空き家を買いたい人専用のポータルサイトとなっており、有効活用しにくい不動産を所有している人に向いています。
全国を対象としていますので郊外にある不動産も物件として公開することができますので、固定資産税が高くて困っている人は是非お問い合わせください。
【参考サイト:空家ベース

投資用不動産の売却は居住目的の住宅やマンションと違って買い手は投資家になるため、投資家が買いたくなるような資産価値と価格のバランスにする必要があります。
そのため一般的な相場はなく、不動産会社でも物件の価格設定に悩むことも多いです。
また投資物件は売却タイミングによって手残り額が大きく変化するため、注意点の一つといえます。
この記事では不動産売却の時期について解説しますので、投資用不動産をいつ売るべきか悩んでいる人は参考にしてください。

この記事で分かること

相場の見極めはプロでも難しい

不動産 売り時 難しい
不動産売却は資産価値と需要が高い時期に売却するのが高値売却のコツとなっており、不動産会社は不動産市場の動向を常にチェックしています。
しかし投資用物件はこうしたトレンドをベースに売却価格を決めることが難しく、不動産会社も査定額の判断に悩むケースが多いです。
なぜなら投資用物件は投資家が買い手となるため、家賃収入と将来の売却想定価格が購入の決め手となり、通常の価格設定では売却できない可能性が高いからです。
そのため投資家にリスクが大きいと判断されてしまうと売却が難しくなり、販売が長期化することも少なくありません。
このように、投資用物件が確実に売れる金額を見極めることは難しく、売却時には複数の不動産会社に査定の相談をすることがポイントだといえます。

投資用物件を売った方が良いタイミング

不動産 売った方がいい
不動産投資において不動産価格と同じくらい売却タイミングが重要とされており、ベストタイミングで売却することで多くの資金を手元に残すことができます。
また損失を最小限に抑えられるというメリットもあるため、投資をスタートする時点で売却の要因になり得る状況を調べておくことが大切です。
この章では投資用物件を売却した方が良いタイミングについて、代表的な売却の理由を紹介します。

次の物件を購入する資金を作りたい

収益物件を購入して投資を継続しているものの、より利益率が高い物件が公開されることも多いです。
また現在所有している遠方の不動産を手放し、近くにある物件を購入するケースもあります。
このように他の物件を購入した方が良いと判断した場合は、売却のタイミングだといえます。

物件の管理が大変

物件の掃除や草むしりが大変で売却を決めるオーナーも多く、特に空き家の管理は大きな負担になるケースがあります。
空き家は放置していると火災や倒壊のリスクを抱えることになるため、自治体から特定空家に認定されてしまうと固定資産税の税制優遇撤廃などの措置を受けることもあります。
このようなリスクを抱える前に売却するのがおすすめです。
【参考サイト:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針 (ガイドライン)

入居者が決まらず空室が続いている

空室は利益を生まず維持費ばかりかかってしまい、収益が悪化する原因になります。
さらに空室が多い物件は買主が見つかりにくいため売却が長期化するリスクを抱えることになります。
そのため投資用物件は空室が増える前に売却するのがコツといえ、退去の申し出が増えたタイミングで売却するオーナーも多いです。

修繕費が賄えず維持が出来ない

投資用物件は入居者がある程度生活空間を管理してくれますが、設備の破損や修繕にかかる費用はオーナーが負担しなければなりません。
物件の管理は不動産投資にとって不可欠ですが、築年数が古い物件だと維持費が高額になってしまい、収益が悪くなる原因になります。
家賃収入と維持費のバランスが悪くなると健全な賃貸経営が難しくなるため、売却の検討を考えるべき時期といえます。

固定資産税など税金が払えない

不動産を所有し続けるには固定資産税を支払う必要があり、物件によっては都市計画税もかかります。
さらに購入時には不動産取得税と登録免許税、相続であれば相続税が発生することもあり、税金によって初期費用が予想以上に高くなるケースも少なくありません。
その結果、税金の支払いが原因で売却を余儀なくされることもあります。

ローンの返済が難しい

投資用ローンは住宅ローンよりも金利が高く、余裕を持った収益計画でなければローンの返済が困難になってしまうことがあります。
また市場の変化によって金利が上昇し、想定していた利益を得られないというケースも多いです。
ローンを滞納してしまうと次の物件を購入する際に融資を受けられなくなる可能性があるため、返済が滞る前に売却することが大切です。

投資用不動産の売り時

不動産 売り時
投資用不動産はなるべく高く、スピーディーに売却するのがポイントとなっており、さらに手元に残る資金が増えるタイミングも重要です。
この章では投資用不動産の売り時について、解説します。

1〜3月が売りやすい

4月は就職や入学などで人が移動する季節のため、不動産投資は4月に合わせて賃貸物件を公開するように準備することが重要です。
そのため投資用不動産は1月~3月にかけて投資家から反響が増えるようになりますので、売り時といえます。

金利が低い時

投資ローンが低いと資金計画が組みやすくなり、不動産投資を検討する人が増えます。
金利が安ければ無理に自己資金を使って投資を始める必要がなくなり、オーナーのリスクも減少することになります。
投資はリスクとリターンのバランスを見極めることが重要ですので、金利が低い時期は返済リスクも低くなるためおすすめの売却時期です。

減価償却が終了する前

減価償却とは固定資産を経費計上できる会計上の資産価値となっており、国税庁によって償却期間が定められています。
たとえば木造のアパートは22年が償却期間となっており、SRC造なら47年です。
この期間を超えてしまうと経費は事実上増加してしまうことから、減価償却前に売却を決めるオーナーも多いです。
【参考サイト:主な減価償却資産の耐用年数表

保有期間が5年を超えた時

不動産を売却する際には譲渡所得税が発生しますが、税率は所有期間によって次のように変動します。
所有期間が5年以内:39.63%
所有期間が5年を超える:20.315%
この税率は居住用・投資用に限らず適用されますので、なるべく所有期間が5年を超えてから売却することをおすすめします。
ただし、相続によって不動産を取得した場合、取得してから3年以内の売却であれば支払った相続税を取得費に加算することができ、課税額を減らすことができるという特例もあります。
そのため売却時期については不動産会社に相談し、ベストな時期を選択することが大事です。
【参考サイト:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

家を売ってはいけないタイミング

不動産 売ってはいけない
投資用不動産の収益が悪化したりより良い物件が見つかったのですぐに売りたいと考えるオーナーも多いですが、不動産を売ってはいけないタイミングを知っておく必要があります。
売却タイミングを見誤ってしまうと高値で売却できなかったり、多額の税金を支払ってしまうことにもなりかねません。
このような失敗を避けるためにも、この章で解説する家を売るべきではないタイミングをチェックしておくことが大切です。

相場価格が上昇している、もしくは上昇が予想されている時

不動産の市場価値は常に変動しており、下落することもあれば上昇することもあります。
たとえば最寄りの駅で再開発事業が発表されたり、所有している不動産があるエリアで土地区画整理事業が発表されると地価が上昇し、家賃も高く設定できるようになり売却価格も高くなります。
これ以外にもオリンピックや万博といった世界的なイベントが将来開催される場合にも市場価値が高騰することもあり、売却時期を数年遅らせるのもおすすめです。
このように、街全体の市場価値が上昇する可能性がある場合はすぐに売却せず動向を注視するのがポイントといえます。
ただし再開発事業や世界的イベントの開催があっても必ず市場価値が上昇するわけではなく、さらに築年数の経過によって不動産の資産価値は減少してしまいます。
そのため売却時期の検討期間を設け、適切な判断を心がけることが大事です。

税制優遇が適用されない時期

所有してから5年以内に売却してしまうと譲渡所得税が高くなってしまいますが、マイホームを売却した場合、住まなくなってから3年以内に売却しなければ税制優遇が適用されなくなります。
この税制優遇は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれる制度で、利用することでマイホームを売却する場合は課税額から3,000万円を控除することができます。
この特例は空き家になってから3年を超えて売却したり、所有してから一度でも賃貸に出してしまうと利用できなくなってしまいますので、注意が必要です。
【参考サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

まとめ

投資用物件は相場の見極めが難しく、売却しようとしてもすぐに買い手が見つからないことも多いです。
しかし不動産は固定資産税などの税金や維持費がかかり、空室があると収益が赤字になることもあります。
さらに収益が悪い物件は買い手が見つかりにくくなってしまうという悪循環になってしまうことから、投資用不動産は早期売却できる方法を選ぶことが大切です。
空家ベースは活用していない空き家を専門に扱っている不動産ポータルサイトで、多くの投資家が収益物件をチェックしています。
投資家の目につきやすいという特徴がありますので早期売却に繋がりやすく、投資用不動産の売却に向いています。
不動産買取も積極的に行っていますので、売却できずに困っている投資用不動産を所有している人は空家ベースにお問い合わせください。
【参考サイト:空家ベース

不動産は「固定資産」と呼ばれており、1月1日時点でこれらの不動産を所有している人に対して固定資産税が課税されます。
不動産の用途に限らず固定資産税は必ず納税すべき税金となりますので、維持費として考えておく必要があります。
また、一戸建ての固定資産税は土地と建物で計算方法と軽減措置が異なるため、購入前に固定資産税を確認する際の注意点といえます。
この記事では一戸建ての固定資産税を計算する方法や支払い方法、注意点について解説します。

この記事で分かること

一戸建ての固定資産税は平均10〜15万円

戸建て 固定資産税 平均
一戸建ての固定資産税平均額は10〜15万円といわれています。
ただし、地域や建物のスペックや築年数によって大きく変動します。たとえば同じエリアであっても中古一戸建てと新築住宅、マンションでは家屋の固定資産税額が変わり、新築住宅の中でも注文住宅の固定資産税額は高くなりやすいです。
また土地の形状や方位の影響も受けることから固定資産税の「相場」はないといえ、物件を購入する前に正しく把握しておくことがポイントとなります。
なお、固定資産は総務省によって土地と家屋、償却資産に分けられており、次のように定義されていることから全ての不動産が対象になるわけではないことが分かります。

固定資産の種類 固定資産の例
土地 田んぼ、畑、住宅用地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税

一戸建ての固定資産税の計算方法

固定資産税 計算方法
一戸建ての固定資産税を計算する場合、土地と建物に分けて税額を計算した後に合計します。
固定資産税は「固定資産税評価額×税率」で計算することができ、税率は一定のため固定資産税評価額が分かれば正しい固定資産税を調べることができます。
この章では具体的な計算方法を紹介しますので、購入を検討している人は参考にしてください。

土地の固定資産税

土地の固定資産税を計算するためには固定資産税評価額を調べる必要がありますが、評価額は土地の購入価格とは別になりますので注意が必要です。
この章で詳しく解説します。

土地の固定資産税評価額を調べる

固定資産税評価額は「固定資産税課税明細書」「固定資産評価証明書」「固定資産課税台帳」などで調べることが可能です。
固定資産税課税明細書は毎年5月頃に送付される納税通知書に同封されていますが、固定資産税評価証明書と固定資産税課税台帳は自治体で取得もしくは閲覧することになります。
そのため土地の所有者以外が固定資産税評価額を調べるためには納付書を見せてもらうか委任状を使って市役所などに出向く必要があります。
ただしおおまかな評価額を知りたい場合は「地価公示価格×70%」で概算することもできますので、不動産情報ライブラリを使って公示価格を調べ、概算の評価額で計算するケースもあります。
【参考サイト:不動産情報ライブラリ

土地の固定資産税評価額に税率をかける

固定資産の税率は1.40%となり、たとえば固定資産税評価額が2,000万円の場合は28万円が税額となります。
ただし市区町村によっては特例で税率が変わることもありますので、あらかじめ自治体に確認しておくことをおすすめします。

建物の固定資産税

建物の固定資産税は新築と中古で税額が大きく変わることから、固定資産税を算出する際には注意が必要です。

建物の固定資産税評価額を調べる

建物の評価額は現在建っている建物を一度解体し、再建築した場合の価格を評価額とする方法が一般的となっており、「再建築価格方式」と呼ばれる方法です。
再建築価格方式は再建築価格に対して、築年数に応じた経年減点補正率を掛け合わせて経年劣化によって損失した部分を補正することになり、経年減点補正率は法務局によって定められています。
そして自治体が設定した評点を掛けることで建物の固定資産税評価額は算出することができ、計算式にまとめると次のようになります。
家の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点(通常は1評点=1円)
なお、建物の固定資産税評価額を概算で知りたい場合は「再建築価格×60%」で計算するという方法もあります。
【参考サイト:経 年 減 価 補 正 率 表

建物の固定資産税評価額に税率をかける

たとえば固定資産税評価額が2,000万円の場合、税率の1.40%を掛けると28万円が固定資産税となります。
ただし建物は経年劣化するため築年数の経過によって評価額は減額されることがあり、逆に建て替えやリノベーションによって高くなることもあります。
固定資産税評価額は3年に1度の評価替えで見直しされますので、次回評価替え年度の令和9年に発行される納税通知書は細かくチェックすることをおすすめします。

経年減点補正率をかける

経年減点補正率は築年数に応じて変わるため、評価額が2,000万円であっても築10年と築15年では評価額が異なります。

・築10年の場合:2,000万円×0.5=1,000万円
・築15年の場合:2,000万円×0.37=740万円

また、自治体が設定する評点は1評点=1円で計算するのが一般的ですが、家の設備によっては1円以上になりますので注意が必要です。

土地と建物の固定資産税を合わせる

土地と建物の固定資産税が計算できれば合算し、一戸建ての固定資産税として確認します。
以下の条件で固定資産税をシミュレーションしましたので、参考にしてください。

・固定資産税評価額:土地2,000万円、建物2,000万円
・建物の築年数:10年
・評点:1円
2,000万円×1.4%+2,000万円×0.5×1.4%×1=42万円

なお、実際の固定資産税は100円未満は切り捨てされて計算されるため、計算した評価額よりも安くなるケースがほとんどです。

一戸建ての固定資産税の軽減措置

一戸建ての固定資産税は地域や築年数によっては高額になるため、家計を圧迫することも少なくありません。
そこで固定資産税の軽減措置が設けられており、税金が不動産の所有に対して負担にならないよう対策されています。
ただし、軽減措置を受けるためには翌年の3月31日までに自治体へ申請する必要があり、自動的に適用されるわけではないという注意点もあります。
この章では土地と建物の軽減措置について詳しく解説しますので、あらかじめ軽減額を調べたうえで期間内に申請することをおすすめします。

土地の固定資産税の軽減措置

土地の地目が「宅地」の場合、200㎡以下の部分について課税額を6分の1、200㎡を超える部分について3分の1に軽減させることができる特例があります。
たとえば土地面積が250㎡の一戸建てを購入した場合、課税額が2,000万円であれば次の軽減額が適用されます。

・200㎡以下:2,000万円×80%×1/6=約267万円
・200㎡を超える部分:2,000万円×20%×1/3=600万円
軽減額の合計:約867万円

このように課税額を約1,133万円軽減させられますので、大きな節税効果といえます。
【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税の概要

建物の固定資産税の軽減措置

令和8年3月31日までに新築した住宅に対して軽減措置が設けられており、固定資産税評価額を半分にすることができます。
ただし一般住宅は3年間、長期優良住宅は5年間と建物によって軽減期間が異なるため、注意点といえます。
これ以外にも住宅の居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下という条件もありますので、購入前に建物のスペックはチェックしておくことをおすすめします。
【参考サイト:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省

一戸建ての固定資産税の納付時期と納付方法

固定資産税は5月頃に納税通知書が送付されるため、納付書を使ってコンビニや郵便局、金融機関が支払うことができますが、自治体によっては電子決済も可能です。
また納付書は4枚綴りになっておりそれぞれ納付時期が明記されていますので、納付書をチェックするか自治体に連絡して時期を確認することが大切です。

空き家の固定資産税は6倍になる?

一戸建てを購入して自ら住んでいる場合は問題ありませんが、引っ越して空き家になったり空き家を相続した場合は固定資産税の税制優遇が撤廃され、6倍になることもあります。
そのため空き家を所有することになった場合は想定外の固定資産税になることがありますので、注意が必要です。
この章では空き家を所有している人向けに、固定資産税が高額になるリスクについて解説します。

特定空き家・管理不全空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる

空き家は年々増加しており、街の景観が悪くなるという社会問題になっています。
特に管理されていない空き家は害虫や害獣の温床になりやすく、建物の劣化が進んでしまうと倒壊や火災発生のリスクを抱えることになります。
このような状態で放置しておくと景観の悪化だけでなく近隣住民に被害が発生することもありますので、管理されていない空き家を減らす対策が必要です。
そこで国土交通省からは平成26年に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、倒壊の危険性が高い家屋を「特定空家」に認定し所有者に対して指導や勧告などの対応を行ってきました。
さらに令和5年の法改正によって管理が不十分な状態を「管理不全空家」として自治体が認定できるようになり、認定されてしまうと管理不全空家と特定空家は固定資産税の税制優遇が撤廃されるリスクを抱えることになります。
住宅の軽減措置である「固定資産税評価額×1/6」や「固定資産税評価額×1/3」が適用されなくなり、軽減前の固定資産税評価額で計算されてしまいますので、空き家は放置せず管理しなければならないことが分かります。
【参考サイト:空家法とは

管理できない場合は売却がおすすめ

管理不全空家や特定空家に認定されないためには管理が必要ですが、定期的に草むしりや掃除をしたり外壁や屋根のメンテナンスには工数も費用もかかってしまいます。
そこで有効活用する予定のない空き家は売却してしまうのがおすすめです。
売却することで維持するための工数や費用から解放され、さらに固定資産税の支払いも不要となりますので、空き家を活用しないことが決まっていればなるべく早く不動産会社に相談し査定と売却プランの提示をしてもらうことがポイントとなります。
ただし空き家の状態や建築されているエリアによっては不動産仲介による売却は難しくなり、販売が長期化するケースも少なくありません。
そのため空き家をスピーディーに処分する場合は空き家に特化したポータルサイトを利用することが重要です。

まとめ

一戸建てを所有していると毎年固定資産税の支払いが必要になりますので、所有後のランニングコストを調べるうえでも固定資産税を事前に計算することが大事です。
土地と建物では固定資産税の計算方法と税制優遇の内容が異なり、土地面積や建物のスペックも影響します。
このことからも、不動産の固定資産税を計算するためには、ある程度所有している不動産についても調べておく必要があります。
また、所有している一戸建てが空き家の場合、空家法で定められる管理不全空家や特定空家に認定されてしまうと固定資産税が増額されてしまうこともあり、活用していない空き家はなるべく早く売却するのがおすすめです。
空家ベースは空き家専門のポータルサイトとなっており、全国を対象として空き家の売買を斡旋しています。
気軽に空き家を情報公開し、閲覧できることから海外の投資家にも注目されており、スピーディーに不動産取引したい人に人気です。
仲介だけでなく買取の相談も受け付けしていますので、空き家の管理で悩んでいる人は空家ベースにお問い合わせください。
【参考サイト:空家ベース

所有している不動産を売主として売却する場合、不動産会社に販売を委託するのが一般的ですが、その際に不動産会社と媒介契約を締結することになります。
媒介契約には様々な規定が記載されており、慣れない内容も多いことから困惑する依頼主も多いです。
そのため媒介契約は安易に締結せず、しっかり説明を受けた上で署名押印することが大切です。
また、媒介契約の種類によっては思い描いた取引ができないこともありますので、注意が必要です。
この記事では媒介契約書の基本知識と、締結する前に押さえておくべき注意点について解説します。
不動産売却の予定がある人は、参考にしてください。

タイトル

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

媒介契約書とは

媒介とは宅地建物取引業者が売主と買主を仲介し、物件の売買や交換、賃借を行う業務のことです。
これ以外にも売買契約に関する契約書の作成や司法書士の手配、不動産決済の日程調整なども媒介行為に含まれます。
宅建業者は売主と媒介契約書を締結することで、こうした仲介行為を行うことができるようになります。
つまり、媒介契約書は宅建業者に販売を委託し取引を成立させるうえで重要な契約だといえます。
なお、媒介契約によって不動産業者に売買を依頼し成約に至った場合は媒介報酬として仲介手数料が発生しますが、報酬額と支払いタイミングは媒介契約書に記載されています。
そのため媒介契約を締結する際には契約書の内容をしっかりチェックすることが大切です。

媒介契約には3種類ある

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
イメージ通りの不動産取引を行うためには契約の違いを正しく理解し、自分に合った契約形態を選ぶことが重要です。
この章で詳しく説明しますので、参考にしてください。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 詳細
自己発見取引 不可
同時依頼社数 1社
販売報告義務 1週間に1度
有効期間 最大3ヶ月
レインズの登録義務 5日以内に登録

専属専任媒介を締結した場合、販売を依頼する業者が1社となり自分で買主を発見することも認められません。
このように不動産売却における売主の自由度は少ない契約形態となっていますが、その代わり不動産会社は報酬の支払いを確実に請求できるため、積極的に買い手を見つけるよう活動してくれます。
また販売報告も1週間に1度受けることができ、指定流通機構であるレインズには5日以内に登録して登録証明書を交付しなければなりません。
このことからも不動産会社は専属専任媒介契約によって独占的に販売できる権利を得る代わりに、売主のために積極的な販売活動が義務付けられるといえます。
なお、不動産一括査定サイトのすまいステップが行ったアンケートによると、専属専任媒介契約が最も多くなっており、全体の4割が専属専任媒介契約となったそうです。
【参考サイト:すまいステップ

専任媒介契約

専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 詳細
自己発見取引 通知すれば可能
同時依頼社数 1社
販売報告義務 2週間に1度
有効期間 最大3ヶ月
レインズの登録義務 7日以内に登録

専任媒介契約は専属専任媒介契約と同様に不動産会社は1社しか選択できませんが、自己発見取引が可能という大きな違いがあります。
たとえば親族や友人に不動産を売却する予定がある場合、不動産会社に仲介を依頼せずに取引することで仲介手数料を不払いにすることができます。
このように自分でも買主を探したい場合に、専任媒介契約はおすすめです。

専属専任媒介契約との違いとして、販売報告義務やレインズの登録期間が専属専任媒介契約に比べて長いという点があります。

一般媒介契約

一般媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 詳細
自己発見取引 通知すれば可能
同時依頼社数 規定なし
販売報告義務 規定なし
有効期間 規定なし
レインズの登録義務 規定なし

一般媒介契約は契約内容の条件が一番緩和されており、自己発見取引や同時に依頼する不動産会社の数などほとんど規制はありません。
不動産会社を1社に絞り込めない時に使われる契約形態となっていますが、不動産会社は販売報告もレインズ登録の義務もないため、販売活動が分からないというデメリットもあります。

媒介契約書の記載事項

媒介契約書にはある程度記載事項が決まっており、どの不動産会社に媒介を依頼しても同じような内容で契約を締結することになります。
そのためどのような内容が記載されているのか、事前に確認することができます。
この章では国土交通省が公開している「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」をベースに、媒介契約書の記載事項を紹介します。
【参考サイト:宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款

契約の種類

契約書1ページ目では契約書類がどの契約形態であるのかが記載されていますので、希望する契約形態かどうかチェックすることが重要です。
また、「売却・購入・交換」という依頼の内容も確認することができ、売主が売却を依頼するケースでは売却にチェックが入っています。
下段には宅建業者の情報と売主の書名欄があり、お互いが署名押印して媒介契約は締結となります。

契約の有効期間

契約の有効期間は一般的に媒介契約を締結した日を起算日とし、不動産会社と合意した期間を記載します。
たとえば11月20日に媒介契約を締結した場合、専属専任媒介契約と専任媒介契約の場合は最長で2月19日が期日です。
なお、一般媒介の場合は規定がないため空欄になるケースもあります。

レインズへの登録義務と報告義務(専任媒介・専属専任媒介)

専属専任媒介契約と専任媒介契約では指定流通機構であるレインズに物件を登録する義務がありますが、媒介契約書では締結の翌日から何日以内に登録するのかを記載しなければなりません。
専属専任媒介契約は5日以内、専任媒介契約は7日以内の登録が義務付けられており、さらに登録証明書の交付が必須です。
そのため期日内に登録が完了しているか確認し、証明書の交付を受けることがポイントです。

明示型か非明示型か(一般媒介)

一般媒介は複数の不動産会社に販売を委託することができますが、他の不動産会社と一般媒介を締結する場合、不動産会社に報告することを契約約款で定めているケースがあります。
この形式は明示型の一般媒介契約と呼ばれており、たとえばA社と一般媒介契約を締結した後にB社とも締結する場合、A社とB社それぞれに契約している会社を報告する必要があります。
一方、悲明示型であれば各社に報告することなく、自由に一般媒介契約を締結することが可能です。

依頼者の義務

媒介契約は不動産会社だけに責務が発生するわけではなく、依頼者である売主も遵守すべき項目があります。
前述した明示型の一般媒介契約における報告義務を守らなければ契約違反による罰則が発生することもあります。
これ以外にも、契約解除をする場合は必ず不動産会社に伝えなければならないという義務もあります。

契約解除時のペナルティ

専属専任媒介契約を締結したにもかかわらず自己発見取引をしたり、専属専任・専任媒介契約の有効期間が残っている間に他の不動産会社に仲介と依頼して売買契約を締結した場合、ペナルティが発生します。
その場合の罰則規定も契約約款に記載されているため、締結前にしっかりチェックしておくことをおすすめします。

特別依頼に係る費用

買主が遠方に住んでいることで発生した出張費などは、特別依頼に係る費用として不動産会社は売主に請求することができ、仲介手数料とは別に発生する費用です。
買主の所在地によっては売却の諸費用が増えてしまうことになりますので、あらかじめ理解したうえで依頼することが大切です。

媒介報酬の支払い時期

仲介手数料の支払いタイミングは売買契約時や不動産決済時など、地域や不動産会社によって異なります。
支払い時期によっては売却益で支払えず自己資金から捻出するケースもありますので、注意が必要です。

媒介契約書を締結するタイミング

売主と媒介契約を締結することで不動産会社は売却活動をスタートすることができます。
つまり、複数の不動産会社に査定を依頼して比較検討し、信頼して売却を任せられる不動産会社が見つかったタイミングが媒介契約を締結するタイミングだといえます。

媒介契約書のひな形

一般的に媒介契約書は国土交通省のひな形を流用しますが、不動産会社がオリジナルで作成しているケースもあります。
特に800万円以下の空き家や空き地を売却する場合には特例の上限額を設定できるよう法改正されたため、文章が追記されていることも少なくありません。
また国土交通省以外にも全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会もひな形を作成しており、全ての不動産会社が同じ契約書を使っているわけではありません。

そのため、一般媒介契約で一度聞いたからといって説明を省略せず、しっかりチェックすることが重要です。

【引用サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

まとめ

媒介契約書に記載されている契約約款は不動産売却に慣れていない売主にとって理解が難しい部分も多いため、納得できるまで不動産会社に質問することがおすすめです。

また媒介契約書には3種類あり、自己発見取引の可否や同時依頼できる不動産会社の数などが異なります。

場合によっては知らない間に契約違反をしてしまい、違約金を支払うことになるケースもありますので、不動産売却における注意点といえます。

投資用物件の売却が成功するかどうかは不動産会社の販売力が重要なポイントとなりますので、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結することが大切だといえます。

空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐポータルサイトです。不動産、特に空き家を専門としたスタッフがあなたの物件を売却までサポートいたします。掲載にかかる費用はもちろん無料です。各種SNSやHPなど様々な媒体を駆使して買手に物件をPRするので、なかなか売れずにお困りの物件も売却してきた実績があります。
戸建て、ボロ家の売却にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

不動産売却をする場合、まずは不動産会社に査定を依頼して査定価格を確認しますが、査定額を算出する査定方法はいくつかあります。
それぞれの方法が持つ特徴を知っておくことでより深く査定の結果を理解することができますので、不動産仲介会社に査定額の算出根拠を質問することが大切です。
また、査定額が高くなるよう査定時のチェックポイントも事前に押さえておく必要があります。
この記事では不動産査定の方法と流れ、査定を受ける際の注意点について解説します。

この記事で分かること

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

不動産査定とは何か

不動産査定とは不動産会社が物件を査定して査定額を売主に提示する業務のことで、一般的に無料で依頼できます。
売主は査定額をベースに売り出し価格と売却条件を担当者と相談しながら決めることになりますが、希望の手残り額になるよう税金や諸費用を考慮した売却価格に設定することがポイントです。
しかし購入希望者が興味を持つためには価格を相場で設定する必要がありますので、希望価格と不動産の価値とのバランスが大切だといえます。
査定額は相場に近い額となるよう算出するのが一般的ですので、不動産会社の査定は相場を知り適切な売却価格を設定するうえで重要な参考情報といえます。

不動産査定には3種類ある

不動産査定には「AI査定」「簡易査定」「訪問査定」の3種類があり、全て無料査定となっています。
それぞれの査定方法は回答のスピードと精度が異なりますので、特徴を把握したうえで使い分けることが重要です。
特に売却することをまだ検討している段階では概算の査定額を知るケースが多いため、いくらで売れそうか効率よく調べる方法を知っておく必要があります。
この章では代表的な不動産査定方法を紹介します。

AI査定

AI査定は入力された査定地の近隣情報を収集し、自動で査定額を回答する方法です。

土地面積や戸建ての築年数が近い成約事例を収集し、平均値を査定額として算出します。
AI査定は全ての査定方法で一番回答スピードが早く、数秒で査定額を把握することができます。
個人情報を入力する項目も少ないため、売却を検討し始めたばかりの人におすすめです。

簡易査定

簡易査定は不動産会社が机上で査定し、査定額を提示する方法です。
依頼された物件の所在地や所有者の情報を基に、全部事項証明書やGoogleマップ、レインズといった資料を使って査定額を算出します。
この方法は不動産会社が実際に物件を見ることなく算出することになり、AI査定よりも地域に詳しい担当者が査定するため精度は高くなります。
査定額も当日から数日内に提示されますので、売却検討の初期段階で利用するケースが多いです。
なお、簡易査定の結果は不動産会社を選定するうえで重要な判断材料となりますので、一括査定サイトなどを利用して複数社に同時依頼し査定内容を比較検討するのがおすすめです。

訪問査定

AI査定や簡易査定の結果を吟味し不動産会社を数社に絞り込むことができれば、訪問査定によってさらに精度の高い査定を行います。
不動産会社は訪問査定によって物件と周辺環境をチェックし、売却プランと合わせて精査した査定額を提示します。
売主は訪問査定で依頼する不動産会社を決定することになりますので、査定額だけでなく不動産会社の売却実績や担当者の対応などを確認し信頼できる会社を選ぶことが大切です。
なお、売却を依頼するためには媒介契約を締結する必要がありますが、契約形態は3種類あります。

契約形態 自己発見取引 依頼可能社数 販売報告頻度 更新頻度
専属専任媒介 不可 1社 1週間に1度 3ヶ月
専任媒介 可能 1社 2週間に1度 3ヶ月
一般 可能 制限なし 規定なし 規定なし

不動産一括サイトのすまいステップによると、専属専任媒介契約がもっとも多く全体の4割になりそうですが、自分にあった形態を選ぶことが重要です。
【参考サイト:すまいステップ

査定額の計算方法には3種類ある

不動産会社が査定の依頼を受けた場合、物件の種別によって計算方法を変えます。
代表的な計算方法として「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」があり、使い分けることで不動産の資産価値を的確に査定することができます。
この章ではそれぞれの計算方法について詳しく解説しますので、参考にしてください。

原価法(主に一戸建て)

原価法とは一戸建ての査定時に使用されることが多く、現在の建物を再建築すると仮定したうえで査定する方法です。

計算式は「再建築価格×延床面積×残耐用年数÷耐用年数」となります。

再建築価格は現存する建物と同じ建物を建てる際の坪価格となっており、木造は坪50万円、鉄骨造は坪65万円として計算するのが一般的です。

また、耐用年数においても木造は33年、鉄骨造は51年と定められており、建物の価値が残存する年数を表しています。

これらの指標を組み合わせて査定額を算出するのが原価法となり、仮に30坪の築30年木造住宅を原価法で査定した査定額は次のようになります。

坪50万円×30坪×3年÷33年=約136万円

上記の査定額に対して土地の査定額を加算し、一戸建ての査定額として提示します。

取引事例比較法(主にマンションや土地)

マンションは築年数と専有面積、立地、土地は立地と形状、面積が査定するうえで重要な情報となります。
取引事例比較法はこれらの情報が似ている物件の成約事例を収集し、平均値と査定額として提示する方法です。
実際に売れた物件をベースにするため相場に近い査定額を算出することができ、よく使う査定方法といえます。
ただしマンションの場合はリフォームによる資産価値向上を査定に含めることができず、土地は形状や前面道路の状況が悪いと査定額よりも売却価格が下がる可能性もあります。
そのため不動産会社は取引事例比較法と合わせて必ず物件を確認し、査定額を精査するケースが多いです。

収益還元法(収益物件としてのアパートやマンション)

収益還元法は一棟マンションや収益用の中古戸建てを査定する際に使用する査定方法で、収益物件で使われる査定方法です。

「いくらで買って何年で資金回収できるのか」という考え方で収益物件を査定するという特徴があり、計算式は「1年間の利益合計÷利回り」です。

利回りとは利益の回収率を表す指標のことで、仮に8%の利回りで年間収益が36万円(月額3万円)とした場合は査定額は450万円となり、10%であれば360万円です。

このように利回りが高い物件は利益回収が早くなるため投資家はなるべく利回りが高い物件を購入しようとしますが、利回りを良くするためには想定家賃が高く売却価格を安く設定しなければなりません。

収益還元法はこのように利回りと売却価格のバランスを見定めるのに向いている査定方法といえ、収益物件を多く取り扱う不動産会社では多用されます。

不動産査定の流れ

この章では不動産査定の流れを紹介します。
査定を受けるためには事前に準備しておくポイントや書類がありますので、注意が必要です。
そのため、なるべく早く準備することをおすすめします。

必要書類の準備

不動産会社は不動産の情報をベースに査定するため、所有者は正確な情報を準備しなければなりません。
ただし準備する内容や書類は査定方法によって異なります。

AI査定・簡易査定の事前準備と必要書類

AI査定と簡易査定は一括査定や不動産会社のHPから依頼することになり、スマートフォンでも利用が可能です。
必須項目を正しく入力するためには不動産の全部事項証明書や登記識別情報通知が必要となりますので、準備してから査定の依頼をするのがポイントです。
なお、AI査定と簡易査定では主に以下の項目が入力必須となります。

査定方法 入力項目
AI査定 査定する不動産の種別
土地面積(土地・戸建ての場合)
建物面積(戸建ての場合)
専有面積(マンションの場合)
築年数(戸建て・マンションの場合)
建物の構造(戸建て・マンションの場合)
簡易査定 査定する不動産の種別
土地面積(土地・戸建ての場合)
建物面積(戸建ての場合)
専有面積(マンションの場合)
築年数(戸建て・マンションの場合)
建物の構造(戸建て・マンションの場合)
売却理由
所有者と名義人の関係
売却希望時期
連絡方法
連絡可能時期

訪問査定の事前準備と必要書類

訪問査定はAI査定・簡易査定よりも精度の高い査定を行いますので、売買契約書や重要事項説明書、平面・立面図、課税証明書、確定測量図、建築確認書、検査済証などがあれば準備しておくことをおすすめします。
また、リフォーム工事を実施した場合は内容や費用が分かる書類も必要です。
これらの追加資料がなければ訪問査定を受けられないわけではありませんが、精度の高い売却額と売却プランを希望する場合には用意しておくべきといえます。
これ以外にも戸建てやマンションの場合は鍵の本数や駐車場の位置などを現地で説明できるよう準備しておくことも重要です。

査定を依頼する

査定は不動産一括査定サイトや不動産会社HPを利用したり、直接不動産会社に訪問して依頼する方法があります。
手軽に依頼したい場合は不動産一括査定と不動産会社HPがおすすめですが、売却が決まっているのであれば不動産会社に直接訪問し、最初から相場に近い査定額と売却プランの提示を受けることもおすすめです。
どちらが現状に合っているのかを考えたうえで、依頼方法を選ぶことが大事だといえます。

訪問査定の当日

訪問査定を受ける際、土地であれば立会うことなく不動産会社に確認してもらうだけで問題ありません。
一方、戸建てやマンションは室内や敷地内の状況を細かく確認しますので、不動産会社の質問に答えられるよう書類を準備しながら立ち会いに同席する必要があります。
立ち会いによって設備の故障や壁のヒビなどを発見できるケースもありますので、販売する前に不動産を売主自らチェックすることも大切です。

査定の結果を受け取る

査定結果は売却価格を決めるうえで重要な判断材料ですが、不動産会社によっては査定書と合わせておすすめの売却プランを提示してくれることもあります。

提案された内容をベースに不動産会社を比較検討し、信頼できる不動産会社が決まれば媒介契約を締結し、販売を委託することで不動産売却はスタートします。
媒介形態によっては定期的に販売報告書が送られてきますので、かかさず確認することもポイントです。

不動産査定で見られるポイントは?

不動産会社は査定額に影響するポイントをチェックしており、売主としても知っておく必要があります。
この章では不動産査定で見られるポイントについて、詳しく解説します。

築年数

戸建てやマンションにおいて築年数は建物の耐久性や耐震性に大きく影響するため、必ずチェックするポイントです。
特に昭和56年以前に建築された建物は旧耐震基準のため買い手が不安を感じやすく、査定額が下がってしまうこともあります。
耐震補強によって耐震性と耐久性はある程度向上しますが、重要な躯体や基礎は劣化したままです。
このように、査定額を算出するうえで築年数は重要な情報だといえます。

壁や床の状況や瑕疵(かし)の有無

床の軋みや壁のヒビがあると内覧時の印象が悪くなるだけでなく、家自体が傾斜している可能性もあります。
また、シロアリ被害や雨漏りといった瑕疵があると不動産仲介で売却することは難しくなってしまいます。
こうしたリスクを抱えたまま売却してしまうと引渡し後に大きなトラブルになりかねませんので、家の劣化や瑕疵に心当たりがある場合は正直に伝えることが大切です。

外壁や屋根などの劣化や破損がないか

外壁や屋根の劣化や破損は雨漏りの原因になりますので、買主は修繕費用を資金計画に組み込まなければなりません。
このような状態の戸建ては買主の修繕費用分を相場よりも下げて査定するのが一般的ですので、注意が必要です。
査定額は売却価格を決める上で重要な指標となるため、不動産会社も外壁や屋根の損傷といった査定額に影響が出やすいポイントはしっかりチェックします。

土地の条件

希少で人気のエリアが査定対象地の場合は査定額は高くなりやすく、高値売却のチャンスといえます。
特に土地区画整理事業や再開発事業の区域内にある土地は、相場以上で販売できる可能性が高いという特徴があります。
一方、郊外の市街化調整区域や前面道路が2m未満の土地は再建築できない可能性もあり、不動産会社は相場以下で査定するケースが多いです。

立地・周辺環境

駅やスーパー、病院、コンビニエンスストアといったライフインフォメーションが近くにある不動産は住みやすく、物件をインターネットにアップするとすぐに買い手が見つかることもあります。
一方、墓地やクリーンセンター、工場といった嫌悪施設があると買い手は購入を躊躇する可能性が高くなるため、査定額は安くなる傾向があります。
このように立地と周辺環境は査定額に大きく影響することが分かります。

住宅ローン

住宅ローンの残債は不動産の査定に直接影響はありませんが、売却益を使って住宅ローンを返済する場合は、必ず住宅ローン残債以上で売る必要があります。
不動産会社がこうした事情を把握している場合は住宅ローンを含めた査定額を提示することになりますが、築年数が浅い戸建てやマンションの場合は残債が多く、相場よりも高い査定額になってしまうこともあります。
この場合は通常よりも販売期間は長くなってしまいますので、注意が必要です。

まとめ

不動産会社は不動産の種別によって査定方法を使い分けて査定額を算出していますが、計算方法を知っておくことで提示された査定額をより深く理解することができます。
また、不動産売却の検討レベルによって査定を依頼する方法も変わります。
必要書類を確実に準備するためにも、不動産査定のステップや査定方法、依頼方法は正しく理解しておくことをおすすめします。

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戸建て、ボロ家の売却にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

所有している土地や建物を売却する際には費用や税金がかかるため、売買代金が全て入金されるわけではありません。
そのため不動産会社にあらかじめ売却費用の内訳を確認しておくことが重要ですが、売却額に応じて変動する内容が多いため注意が必要です。
この記事では不動産を売却する際にかかる諸費用について、解説します。
内訳や費用の目安、諸費用を抑える方法も紹介しますので、これから不動産を売却する予定のある所有者は参考にしてください。

この記事で分かること

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

不動産売却でかかる費用の内訳

不動産を売却する際には様々な費用が発生するため、売却額だけでなく手残り額もしっかりチェックしておくことが重要です。
特に税金関係は確定申告後に支払うケースがほとんどのため、売却益を全て使ってしまわないよう納税分を確保しておくことが注意点です。
代表的な諸費用として「仲介手数料」「印紙代」「登記費用」「譲渡所得税」があり、この章で詳しく解説します。

仲介手数料

不動産会社に仲介を依頼して買主と成約に至った場合、仲介手数料を支払うことになります。

この報酬は国土交通省によって上限額が設定されており、物件の金額によって変動します。

手数料の計算式は次のようになっていますので、参考にしてください。

売買代金が200万円以下:売買代金×5%+消費税
売買代金が200万円を超え400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円を超える:売買代金×3%+6万円+消費税

たとえば1,200万円の不動産を売却した場合は42万円が税抜き価格となります。

ただし、法改正により800万円以下の低廉な空き家や空き地を売却する場合は33万円(税込)を上限とした請求ができるようになりました。

そのため、空き家や空き地を売却する場合は想定よりも高い仲介手数料を請求されるケースもありますので、事前に確認しておく必要があります。

これ以外にも、売主がTVCMや大手新聞社への広告を依頼した場合や買主が遠方に住んでいて出張費がかかる場合も、仲介手数料とは別に請求されるケースがあります。

【引用サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

印紙代

売買契約書の原本には印紙を貼付しなければなりませんが、印紙の代金は次のように変動します。

売買代金によっては高額の印紙代を支払うことになりますので、注意が必要です。

ただし、印紙は一般的に原本を所有する人が支払うことになるため、売主として原本を保管しないのであれば印紙代は不要です。

そのため印紙代を節約したい場合は不動産会社に連絡し、買主用の原本を1部だけ用意してもらうよう伝えておくことがポイントです。

売買価格 印紙代
10万円を超え50万円以下 200円
50万円を超え100万円以下 500円
100万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 30,000円
1億円を超え5億円以下 60,000円
5億円を超え10億円以下 160,000円
10億円を超え50億円以下 320,000円
50億円を超える 480,000円

【引用サイト:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

登記・抵当権抹消費用

不動産の所有権を買主に移転するためには所有権移転登記が必要となり、登録免許税という税金が発生します。
登録免許税の税額は固定資産税評価額の2%となっていますが、令和8年3月31日までに所有権を移転させた場合は軽減税率を利用することができ、土地は1.5%、建物は0.3%となります。
これ以外にもローンが残っている不動産は抵当権が設定されているため、抵当権抹消登記が必要となり、1本につき1,000円かかります。
これらの費用は司法書士の報酬と合わせて不動産決済時に支払うことになりますので、事前に見積を取得して費用を確認しておくことが大切です。
【参考サイト:登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

住宅ローン関連の費用(繰上返済手数料など)

抵当権を抹消するためには住宅ローンを完済しなければなりませんが、金融機関によっては繰上返済手数料がかかります。
そのため残債額と同額が振込される場合は金額が不足し、場合によっては決済ができなくなってしまいます。
このようなトラブルを避けるためにも、繰上返済をする際には必ず金融機関の担当者に手数料を確認することが重要です。

引っ越し代、ハウスクリーニングや家財処分の費用

居住用の物件を売る場合は決済までに引っ越しする必要があり、新居の契約や引っ越し費用などがかかります。
また、売買契約の内容によっては売主負担でハウスクリーニングや家財の処分を実施するケースもあります。

譲渡所得税

不動産を売却して利益が発生した場合、住民税と所得税が増額されます。
譲渡所得税と呼ばれるこの税金は次の計算式で課税額を計算することができ、高値で売却するほど課税額も高額になることが分かります。
売却価格-売却にかかった諸費用-購入時の取得費

課税額に税率を掛けて税額を計算しますが、譲渡所得税は所有期間によって税率が変わるという特徴があります。

5年以内は39.63%、5年を超える場合は20.315%が税率となっており、不動産を売却する際には売却額だけでなく所有期間のチェックも重要だといえます。

確定申告

確定申告は不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に行い、譲渡所得税など納税が必要となる税金の税額を決定します。
確定申告自体は無料で行えますが複雑な申告になると税理士に依頼するケースもあり、その場合は依頼料が発生します。
複数の不動産を同じ時期に売却する場合は準備物が多くなってしまうため、自分で確定申告が難しいと分かった時点で税理士に相談し、見積もりを取得することがポイントです。

その他の費用

土地売却の場合は測量費用や解体費用などがかかります。
測量は土地形状や越境の有無、隣地所在地によって価格が変動し、解体費用は建物の延床面積が価格に大きく影響します。
どちらも諸費用が増額する大きな原因になりますので、注意が必要です。

不動産売却の流れ

不動産売却を成功させるためには最適な売却価格を設定する必要があり、そのためには不動産会社に査定を依頼するだけでなく自分で相場を調べることも大切です。
また、売却に必要な書類が準備できているか早めにチェックすることもポイントといえます。
この章では不動産売却における価格決定の流れについて、解説します。

複数の不動産会社に物件査定を依頼する

査定額は不動産会社によって異なりますので、複数の不動産会社に査定を依頼し、売却プランと合わせて比較検討することが重要です。
不動産は大手であれば必ず売れるというわけではなく、会社の販売力と担当者の対応力が不可欠です。
そのためなるべく多くの不動産会社から査定額とプランの提案を受け、信頼できる会社を見つける必要があります。

自分で相場を調べて把握する

売却価格を決めるためには不動産会社の査定額だけでなく、自分で相場を調べることも大切です。
相場はSUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトで公開されている物件をチェックすることで確認することができるため、それほど手間はかかりません。
仕事や家事の合間にチェックできますので、不動産会社に査定を依頼したタイミングで調べることをおすすめします。

必要な書類を準備する

売却に必要な書類には「登記識別情報通知」「購入時の売買契約書」「購入時の重要事項説明書」がありますが、不動産種別によっては次の書類が追加で必要になります。
慌てて準備することがないように、早めに用意しておくことをおすすめします。

不動産種別 必要書類
土地 確定測量図の成果簿
戸建て ・平面図・立面図
・リフォーム、修繕箇所が分かる書類
・住宅ローンの残債が分かる書類
マンション ・購入時のパンフレット
・リフォーム、修繕箇所が分かる書類
・管理規約、使用細則、駐車場規定
・住宅ローンの残債が分かる書類
投資用物件 ・リフォーム、修繕箇所が分かる書類
・レントロール
・投資用ローンの残債が分かる書類

不動産売却の費用を抑えるためのポイント

高値売却できたとしても諸費用の負担が大きければ、売却後の手残り額は少なくなってしまいます。
そこで、この章では不動産売却の費用を抑えるためのポイントを紹介します。

特例を利用して費用を抑える

諸費用が高くなる原因の一つに譲渡所得税が高額になってしまうという点がありますが、国税庁や国土交通省が公開している特例を利用することで費用を抑えることができます。
代表的な特例を紹介しますので、利用できる特例を事前に確認してください。

マイホームの3,000万円控除を適用する

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれる特例はマイホームを売却した場合に利用することができ、譲渡所得税の課税額から3,000万円を控除することができます。

また空き家になってから3年、更地になってから1年の間に売却した場合も適用可能です。

ただし、親族間売買や賃貸に出した場合は利用できませんので、注意が必要です。

【引用サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

10年超所有軽減税率を適用する

所有期間が10年を超えた売却した場合、課税額6,000万円以下の税率を10%に軽減することができます。
また6,000万円を超えた場合でも課税額×15%+ 600万円が税額となります。
たとえば課税額5,000万円の土地を売却した場合、所有期間3年、7年、11年では譲渡所得税は次のようになります。
所有期間3年:約1,982万円
所有期間7年:約1,016万円
所有期間11年:約500万円
なお、この特例は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用可能です。
【引用サイト:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

特定居住用財産の買い換え特例を適用する

マイホームを売却して買い替えする場合に使える特例となっており、売却時の譲渡所得税を買い替えした住宅の売却時に繰り延べすることができます。
厳密には譲渡所得税を軽減しているわけではないため、利用する際には注意が必要です。
これ以外にも「売買代金が1年以内」や「買い替えしてから3年以内に売却すること」といった条件がありますので、基準を満たすか不動産会社に相談しながら確認することをおすすめします。
【引用サイト:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

赤字になった場合の控除を適用する

不動産を売却するために諸費用を自己資金から捻出し、結果的に赤字になってしまうケースもあります。
この場合は他の土地や建物の譲渡所得から控除することができ、全体的な納税額を抑えることができます。
また、長期譲渡所得に該当する不動産であれば事業所得や給与所得から損益通算することができ、最大3年間継続することが可能です。
【引用サイト:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁

依頼する不動産会社をしっかり選ぶ

不動産をなるべく高く、早く売るためには依頼する不動産会社の選定が重要です。
信頼できる不動産会社を見極めるためには「査定額」と「売却力」のチェックがポイントとなります。

査定価格が相場に合っている

査定額は不動産会社によって異なりますが、わざと査定額を高くして「当社なら高く売れます」とアピールし、媒介契約を締結しようとする会社もあります。
このような会社に依頼してしまうと後から価格変更の提案を受けることになり、反響が少なくなるため販売期間も長期化してしまいます。
適切な金額で売却してくれる不動産会社には、相場に近い査定額を提示するという特徴があります。

売却力がある

売却実績が多い不動産会社は高値売却と早期売却の可能性が高くなるため、HPなどで売却実績数をチェックすることをおすすめします。
特に依頼する物件があるエリアでの実績数が多い会社は地域密着型で買主からの信頼も得ているため、安心して任せられるといえます。

自分が売却したい不動産を得意分野としている

築年数の古い空き家や未接道の空き地、違法建築物件などを売却するためにはノウハウが必要なため、自分が売却したい不動産を多く売却している不動産会社を見つけることが大切です。
そのためにも査定額と合わせて、売却プランのチェックが重要です。

まとめ

不動産の売却益を増やすためには売却価格を高くするだけでなく、諸費用を下げる努力も必要です。
諸費用は特例の利用や売却方法の選択によって減らすことが可能であるため、不動産会社に相談しながら手残り額を増やす方法を模索する必要があります。
また、売却を成功させるためには信頼できる不動産会社に売却を依頼することがポイントとなりますので、なるべく多くの不動産会社に査定を依頼し、査定額と売却プランの提案を受けることをおすすめします。

空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐポータルサイトです。不動産、特に空き家を専門としたスタッフがあなたの物件を売却までサポートいたします。掲載にかかる費用はもちろん無料です。各種SNSやHPなど様々な媒体を駆使して買手に物件をPRするので、なかなか売れずにお困りの物件も売却してきた実績があります。
戸建て、ボロ家の売却にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

転勤や転職、資産売却を理由に所有している一戸建てを売却するケースはありますが、不動産の売却は注意点やコツが多く、不動産売却に慣れていなければ失敗してしまう売主も少なくありません。
売却金額や売却プランは不動産会社に相談しながら検討するのが一般的ですが、そもそも不動産会社を決めるポイントが分からないという人もいます。
また、無事に買主と売買契約を締結できても引っ越しや必要書類を準備するタイミングが分からず、トラブルが発生してしまうこともあります。
これ以外にも税金や諸費用の内訳を勘違いし、売却しても赤字になってしまったという事例も多いです。
このように、一戸建てを売却するためには失敗しないステップを把握しておくことが大切です。
この記事では一戸建ての売却を成功させるために、事前準備から売却完了までの流れを詳しく解説します。

この記事で分かること

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

一戸建て売却の基礎知識

一戸建てを売却すると決めた場合、まずは基本的な流れや必ずかかる費用を押さえておくことが大切です。
また賃貸との違いも理解し、所有者だけでなく親族全員が納得したうえで売却をスタートさせる必要があります。
この章では一戸建て売却の基礎知識として、基本的な流れと初期費用、賃貸との比較について解説します。

一戸建て売却の基本的な流れ

戸建て 売却 流れ
一戸建て売却をするためには、まず必要書類を準備して不動産会社に査定を依頼し、売買契約を締結して販売を依頼します。
不動産会社が物件を公開すると購入希望者から内覧の申し込みがありますので、不動産会社と一緒に対応することになります。

そして内覧後に購入希望者から購入申込書が提示されれば内容をチェックし、条件に合意すれば売買契約を締結します。
最後は一戸建ての引き渡しと決済を行い、確定申告をして完了です。
この章ではそれぞれのポイントを解説します。

売却に必要な初期費用とは

一戸建てがいくらで売れるのかだけでなく、最低限かかる初期費用も把握しておく必要があります。
インターネットや紙媒体を通じて購入希望者を募る「仲介」の場合、成約時に不動産会社へ仲介手数料を支払うことになります。
ただしこの報酬はあくまでも成功報酬のため、査定額の提示については無料で利用できます。
また、一戸建てを不動産会社に買取してもらうのであれば仲介手数料も不要です。
これ以外にも中古戸建と土地のどちらで売るのかでも、必要となる費用は変わります。
このように、一戸建てを売却する際にかかる諸費用は売却方法によって変動することが分かります。

売却と賃貸の違いを比較

売却と賃貸では次のような違いがあります。

売却/賃貸 所有権 維持費の負担 利益の内容 税制優遇
売却 放棄する 放棄できる 売却益 有り
賃貸 維持できる 放棄できない 賃料+売却益 有り

売却の場合は所有権を放棄することになりますが賃貸は維持できるため、将来相続や贈与といった選択も可能です。
ただし維持している間は固定資産税や都市計画税、家屋の修繕費といった維持費がかかってしまうため、注意が必要です。
これ以外にも利益と一度に得られる売却と賃料+売却益という点も、大きな違いです。
最終的にどちらが得になるのかはエリアや一戸建ての資産価値によって変わりますので、慎重に判断すべきポイントといえます。

売却前の準備

不動産 売却 準備
一戸建ての売却は不動産会社に任せていれば自動的に完了するわけではなく、売主としてやっておくべきことや準備があります。

特に一戸建ての権利関係や物件の状態は売却価格やプランに大きく影響しますので、不動産会社に渡す書類を早めに準備しておくことが大切です。
この章では売主が売却前に準備すべきポイントを解説しますので、チェックしてください。

住宅ローンの残高確認

不動産を売却するためには抵当権抹消登記を行いますが、そのためには抵当権の設定理由となっている住宅ローンなどを完済する必要があります。
ローンよりも売却価格の方が高いアンダーローンであれば売却益を使って残債を支払うことができますが、ローンの方が高いオーバーローンだと不足分を別の資金で補わなければなりません。
つまり、オーバーローンでの売却は諸費用を含めると事実上の赤字売却だといえますが、ローンを返済できる売却価格にしてしまうと相場よりも高くなってしまう可能性があります。
このような価格設定だと購入希望者からの反響が減ってしまい、販売が長期化する原因になってしまいます。
そのため住宅ローンの残高は売却価格に大きく影響しますので、最新の残高を金融機関に確認しておくことをおすすめします。

権利証や登記識別情報通知書

権利証や登記識別情報通知書は所有者を確認できる重要な書類のため、不動産会社や司法書士は必ずチェックする書類です。
どちらの書類も紛失してしまうと再発行することができず、所有権移転登記は別の方法で行うことになり、費用が余計にかかってしまいます。
また全部事項証明書と所有者や所有者の住所が異なる場合は正しい状態に登記し、その後移転するという手順が必要です。
手続きが増えると登記費用も増額されてしまいますので、なるべく早く権利証や登記識別情報通知書の内容は確認しておくべきといえます。
なお、平成17年以前に取得した場合は権利証、以降であれば登記識別情報通知書となります。

建物に関する書類

法務局に備え付けられている全部事項証明書では建物の構造や延べ床面積を確認することができますが、間取りや屋根の形状などは記載されていません。
そこで、不動産会社は立面図や平面図を確認し、正確な物件資料を作成します。
これらの書類は建物を建築した時期に発行される建築確認書に添付されており、売買契約書や重要事項説明書と同封されていることが多いです。
購入希望者が買いたくなるような物件資料を作成するうえで、大切な参考資料といえます。

土地や建物の状態確認

土地の資産価値において立地と土地面積、土地形状、前面道路と幅員の広さが大きく影響します。
たとえば100㎡程度の2階建て住宅を建て、並列駐車場を2台確保するためには一般的に35坪以上の土地面積が必要です。
しかし前面道路や幅員が狭いと駐車計画が成り立たなくなるばかりか建築コストも高くなってしまい、買主が購入を躊躇する原因になってしまいます。
そのため人気の土地として売却できるかどうかを判断するためにも、土地の状態は確認しておくことがポイントです。
一方、建物で確認しておくべきポイントは雨漏りやシロアリの発生、外壁のヒビやキズといった経年劣化です。
家屋が劣化しているとその分買主のリフォーム費用が増額されてることになり、予算オーバーになる可能性が高くなってしまいます。
これ以外にも給湯器や太陽光発電、床暖房といった設備の動作チェックも重要です。

境界線の確定と隣地問題の解消

土地の境界線を決める境界杭は確定測量によって設置されますが、自然災害やブロック塀工事、解体工事によって杭がなくなってしまうことがあります。
このような状態だと土地の境界ラインを正確に確認できなくなってしまい、買主が選定する金融機関によっては融資がおりないことも少なくありません。
また、隣地とトラブルが発生していると購入希望者が不安になってしまい、購入を断念する原因になってしまいます。
境界ラインの協議や生活音はトラブルに発展しやすいですが、これ以外にも隣人が購入したいと考えていたのに声を掛けず売買契約を締結してしまったことでトラブルになるケースもあります。
隣地所有者とのトラブルを放置しておくと売却価格や販売期間に大きな影響を与えてしまいますので、注意が必要です。

売却価格を決めるための相場調査

売却前の準備として、自分で相場を調べるというポイントがあります。
SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトで売却予定の物件があるエリアを選択し、建物や土地の価格をチェックします。
その時に、土地や建物の面積、建物の築年数が近い物件を閲覧することが重要です。
不動産会社に査定を依頼する前に相場調査を行うことで査定額を精査できるようになり、不動産会社の選定や売却価格の決定に役立てることができます。

築年数が古い物件の注意点

築年数が古い物件を検討している買主はリフォームを実施するのが一般的ですが、建物が古すぎると家を支える躯体や基礎の耐久性が低くなってしまい、リフォームでは対応できないことも多いです。
この場合は耐震補強工事が必要になりますが工事費用が高く、予算オーバーになってしまうことも少なくありません。
そのためリフォームしても住めないほど劣化している家屋の場合は古家付き土地として販売するか不動産買取によって処分するのがおすすめです。

不動産会社選びと査定依頼

一戸建ての売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社に販売を委託しなければなりません。
また、不動産会社が提示する査定額の計算方法を知っておくことで、より深く査定額を理解することができます。
これ以外にも不動産会社に販売を委託する媒介契約書にはいくつか種類があるなど、不動産会社を選ぶ前に売主が知っておくべきポイントは多いです。
この章では売却前に知っておきたい不動産会社の選び方と査定方法、媒介契約書の種類について、解説します。

不動産会社選びのポイント

不動産会社をインターネットで調べてみると、大手から地域密着型まで多くの会社が査定エリアで活動していることが分かります。
そのため依頼する不動産会社を迷ってしまい、売却のスタートが遅れてしまうことも少なくありません。
不動産会社を選ぶためには「担当者の提案力」と「会社の売却実績」がチェックポイントです。
査定額と売却プランの説明をする担当者が購入希望者の対応をしますので、説明の内容や返信のスピードなどを確認し信頼できる担当者を選ぶことが重要です。
また、物件があるエリアで一戸建ての売却実績が多い会社は買主から信頼されているため、スピーディーに売却できる可能性が高くなります。
このように、不動産会社選びは不動産売却を成功させるためのカギといえます。

査定方法の種類と選び方

不動産査定は大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」があり、机上査定の結果で売却の意思決定や訪問査定を依頼する会社を選び、訪問査定で売却価格と条件、販売方法を決めます。
それぞれ査定の目的が異なりますので、この章で詳しく解説します。

机上査定

机上査定とは不動産会社がインターネットで公開されている情報や法務局に備え付けられている資料をベースに査定する方法のことで、現地を確認せずに査定額を算出するという特徴があります。
不動産会社は不動産ポータルサイトとレインズで類似物件を確認し、相場に近い査定額を算出し売主に提示します。
売主は提示された査定額を参考に相場を理解し、訪問査定を依頼する不動産会社を複数選定します。
机上査定は依頼してから数日内に査定額の回答がありますので、すぐに査定額を知りたいケースでもおすすめの査定方法です。

訪問査定

訪問査定は不動産会社が実際に一戸建てを訪問し、物件の状態や周辺環境をチェックし売却価格と売却プランの提案を行います。
このタイミングで諸費用や発生する可能性が高い税金を把握できますので、手残り額をイメージしたうえで販売価格を決めることが大切です。
そのため登記識別情報通知書や住宅ローン残債が分かる書類などは、訪問査定を受ける前に用意しておくことをおすすめします。

媒介契約の種類と違い

机上査定と訪問査定が終われば販売を依頼する不動産会社を選ぶステップになりますが、依頼するためには不動産会社と媒介契約を締結する必要があります。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
自分にあった契約形態を選ぶことで納得のいく売却活動となりますので、正しく特徴を理解しておくことが重要です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 不可 1社 1週間に1度 最大3ヶ月 5日以内に登録

専属専任媒介契約を選んだ場合、依頼する不動産会社は1社のみとなり自分で買主を発見することもできません。
そのため売主の制約が多い契約形態となっていますが、その分不動産会社に積極的な活用を求めることができます。
専属専任媒介契約を締結すると不動産会社から最低1週間に1度、販売について報告があります。
またレインズの登録義務も5日以内と短いことから、不動産会社はスピーディーな対応をしなければなりません。
このことからも、早期売却を狙いたい売主には専属専任媒介契約がおすすめといえます。
なお、不動産一括査定サイトのすまいステップが行ったアンケートによると、専属専任媒介契約が最も多くなっており、全体の4割が専属専任媒介契約となったそうです。
【参考サイト:すまいステップ

専任媒介契約

専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 通知すれば可能 1社 2週間に1度 最大3ヶ月 7日以内に登録

専任媒介契約は専属専任媒介契約と同じように不動産会社は1社しか選べませんが、自分で買主を見つけることができます。
そのため親族や友人で一戸建てを買いたいという人がいる場合には、専任媒介契約がおすすめです。
不動産会社に積極的な販売活動は求められますが、販売報告義務は最大2週間に1度となり、レインズ登録義務は7日以内です。

一般媒介契約

一般媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 通知すれば可能 規定なし 規定なし 規定なし 規定なし

3種類の媒介契約で一番規制が緩いのが一般媒介契約です。

複数の不動産会社と契約することができ、自分で買主を発見することもできます。
ただし不動産会社の販売活動についても大きな制限はなく、販売活用報告もレインズ登録義務もありません。
また契約の有効期間も定められていませんので、売主が不動産会社の活動をチェックしなければならないというデメリットもあります。

売却活動の開始

戸建て 売却活動 流れ
不動産会社が決まればいよいよ売却活動の開始です。
この章では売り出し価格の設定から購入希望者との価格交渉までの流れについて、解説します。

売り出し価格の設定と調整

売り出し価格は査定額とベースに設定するのが基本ですが、住宅ローンを売却益で返済する場合や売却益の使い道が決まっている場合、それらを踏まえた価格で売り出す必要があります。
場合によっては相場よりも高い金額で公開することもありますので、不動産会社をしっかり相談したうえで決定することが大切です。

販売戦略の立案

できれば高く売却したいと考える売主には、物件を公開した直後は相場よりも少し高い価格に設定し、媒介契約の更新タイミングで相場に価格変更するという方法がおすすめです。
また、売却完了期間をあらかじめ設定し、期間内に売れなければ不動産会社に買取してもらうという方法もあります。
買取は仲介と違って不動産会社が買主となりますので、買取額に合意した時点で売買契約に進むことができます。
一戸建ての残置物処分や家屋の解体も不要というメリットがあり、仲介手数料もかかりません。
そのため、販売が長期化してしまう前に買取を選んで処分してしまう売主も多いです。

ホームページや広告媒体の活用

買主は購入する一戸建てを探す際に、不動産ポータルサイトや不動産会社のHPをチェックします。
地域によってはポスティングや新聞折込が反響の源泉になることから、不動産会社は最適な広告戦略を選択して物件を公開する必要があります。

また、不動産会社は物件公開用の写真を撮影しますので、リビングや水回り、居室をキレイに片づけておくことがポイントです。

ホームステージングの活用

ホームステージングとは一戸建てを着飾り、おしゃれな生活がイメージできるように工夫する販売方法のことです。
間接照明やテーブル、ソファ、観葉植物をリビングや寝室に置き、買主が生活動線や家事動線を確認できるようにすることで、購入意欲を高めることができます。
これ以外にも静かな音楽を流しておくなどホームステージングには様々な方法がありますので、不動産会社に相談しながら準備をすることが大切です。
なお、不動産会社によっては専属専任媒介契約の締結を条件に、無料でホームステージング用の家財を貸し出ししてくれるケースもあるようです。

内覧の準備と対応

購入希望者から内覧の連絡を受けると不動産会社は売主に連絡し、売主は内覧の準備を行います。
空き家であれば鍵を不動産会社に預けることで対応を任せられますが、居住用であれば部屋を片付けてスリッパを用意し、買主を迎え入れる準備をする必要があります。
また、売主が内覧時に同席することで町内会や近隣住民の人隣についてすぐに質問できますので、購入希望者が満足のいく内覧になります。
そのため想定される質問をあらかじめリストアップし、答えられるよう準備しておくことも大切です。

購入希望者との条件交渉

物件を購入したい人は購入申込書を記入し、不動産会社経由で売主に渡します。
買主は購入申込書に購入したい金額と条件を記載することで購入希望者は売主に交渉することができ、売主は内容を協議したうえで回答します。
そして、条件がまとまれば売主は売渡承諾書にサインしますが、この時点で物件は商談中となり、不動産会社のHPや不動産ポータルサイトから物件情報は削除されます。
そのため、他の購入希望者は閲覧できなくなりますので、注意が必要です。

売買契約の締結

不動産売買契約は売主と買主が不動産会社の事務所に集まり、重要事項説明書の説明と売買契約書の読み合わせを行った後に双方が署名押印することで締結されます。
この章では売買契約の流れについて、解説します。

契約締結前に確認する書類と費用

売買契約を締結する前に、必要書類と諸費用を再確認することをおすすめします。
この章ではそれぞれの内容について詳しく解説します。

必要書類

売買契約締結前に、以下の書類を準備しておくことがポイントです。

厳密にいえば上記の書類は売買契約時点で必ず必要というわけではありませんが、用意しておくと買主はどのような書類が残っているのか確認することができます。
安心して契約を締結するためにも、なるべく契約時に用意しておくことをおすすめします。

諸費用(仲介手数料、印紙税など)

不動産売却にかかる諸費用として仲介手数料や印紙税があり、売買代金によって変動します。
不動産会社から査定額や売却プランと合わせて説明を受けるケースがほとんどですが、価格や引渡し条件の交渉を受けることで査定時から変更になることも多いです。
そのため売買契約を締結する前に必ず再確認することが重要です。
なお、印紙税は売買契約書の原本を保有する人が負担するのが一般的なため、契約書が不要であれば免税にすることもできます。
その場合は署名押印、印紙の消印済みの契約書をコピーしてもらい、確定申告まで保管しておく必要があります。

売買契約の流れ

売買契約 流れ
売買契約は次のような流れで進みます。

重要事項説明書の確認

宅地建物取引主任士から重要事項説明書の説明を受け、内容を確認します。
重要事項説明書には売買する不動産の面積や法令制限、道路制限、その他重要な取り決めが記載されています。

普段聞きなれない専門用語が多く記載されていますので、分からないポイントを後から質問できるよう、メモしておくことが大切です。

契約書への署名・捺印

重要事項説明書の説明が終われば売買契約書の読み合わせを行います。
売買契約書に記載されている多くの内容は重要事項説明書に記載されていますので、内容を双方が確認して問題なければ署名捺印します。
なお、このタイミングで用意していた印紙を契約書に貼付し、消印することで納税とみなされます。

手付金の受領

重要事項説明書と契約書に署名捺印すれば手付金を受領します。
契約書で定められた期間内で買主が契約を解除したいと申し出た場合、手付金をそのまま受け取ることで残代金を解除することができます。
一方、売主から解約を申し出た場合は手付金を変換し、さらに手付金と同額の金銭を支払わなければなりません。
このことからも受け取った手付金は使わず、手付解除期間内は金庫などで保管することをおすすめします。

契約後の手続き

全ての手続きが終われば不動産決済日や今後の日程を決め、解散です。
全体で1時間半から2時間程度の時間がかかりますので、余裕を持ってスケジュール調整しておくことが大切です。

引渡しと決済

契約が締結されれば物件の引き渡しと決済を行い、不動産取引は完了となります。
ただし売主は翌年度に確定申告が必要となりますので、忘れず必要書類を準備しておくことがポイントです。
また、残代金の受領と物件の引き渡しは同時に行うことが一般的です。
そのため必要書類や準備物に間違いがないか、最終チェックすることが重要といえます。
この章では売買契約締結後の手続きについて、解説します。

残代金の受領と引渡し

不動産決済は買主が住宅ローンを借りる金融機関で行い、その後司法書士が法務居に所有権移転登記のために法務局へ向かいます。
そのため平日の午前中に行うのが一般的であるため、仕事の調整がつくか早い段階で確認しておく必要があります。
決済当日は司法書士から必要書類の確認と所有権移転登記の説明を受けることになり、委任状に署名捺印します。

引渡し前の最終確認事項

引渡し時に書類の不備や準備物に不足があると決済できず、契約書の内容によっては買主からは契約不履行を理由に損害賠償を請求されることもあります。
このようなリスクを避けるためにも、不動産決済前に不動産会社と一緒に準備物の最終チェックをすることが重要です。

鍵の引渡し

買主に渡す鍵を全て準備し、数を数えておきます。
一戸建てのカギは取得した時点よりも合鍵が増えていることもありますので、用意し忘れがないか入念に確認する必要があります。
玄関ドア以外にも、倉庫や勝手口の鍵も紛失していないかチェックすることがポイントです。

登記申請書類の確認

登記識別情報通知書がなければ通常の方法で決済することができず、司法書士と本人確認するなどの手間や費用がかかってしまいます。
また、不動産決済当日に登記識別情報通知書を忘れてしまうと所有権移転登記ができず、代金の引き渡しも受けられなくなってしまい、この場合は決済をやり直すか違約解除となります。
登記識別情報通知書以外にも印鑑証明書や実印も用意しなければならないケースもありますので、登記申請書類に間違いがないか入念に確認することをおすすめします。

税金と確定申告の注意点

不動産決済が完了すると翌年度に確定申告を行い、譲渡所得税の税額を確定します。
譲渡所得税は不動産売却によって利益が発生した場合に課税される税金で、売却益が課税額となります。
また所有期間によって税率が変わることから、確定申告が原則必要です。
ただし「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれる特例を利用することで課税額から3,000万円を控除することができ、免税にできるケースもあります。
このような特例はいくつか公開されていますので、確定申告前にチェックしておくことで節税することが可能です。

【引用サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

売却を成功させるためのコツ

戸建て 売却 成功のコツ
一戸建ての売却は押さえておくポイントが多いため、思い描いた通りに売却を完了させるのであればコツを知っておく必要があります。
この章では不動産売却を成功させるコツを紹介しますので、一戸建てを売却する前にチェックしてください。

売却時期の選定

売却時期はいつでも良いというわけではなく、購入希望者が増えるタイミングで公開することが重要です。
たとえば4月や9月は人の移動が増えるため反響は増加し、お盆休みや年末年始は減ります。
また競合物件が多く公開されているタイミングに公開すると購入希望者は目移りしてしまい、決断できない可能性が高くなってしまいます。
これ以外にも所有してから5年以内に売却してしまうと譲渡所得税が高くなってしまい、手残り額が減る原因になります。
このように、売却時期は不動産売却において重要ですので、慎重に判断することが大切です。

不動産会社との連携

不動産会社と連絡を密に取り、公開物件の情報を細かく修正することも大切です。
室内や外観の画像を定期的に変更したりホームステージングしたリビングの画像を使うなど、購入希望者が興味を持つ工夫が必要です。
一般媒介契約以外の契約であれば販売報告を受けられますので、反響内容を確認しながら販売戦略を修正することがポイントとなります。

資産価値を高めるリフォームや清掃

資産価値を高めるためには給湯器やリビングの壁紙をリフォームする必要があり、見た目がキレイになると内覧時の反応が良くなります。
ただし大規模なリフォームをしてしまうと手残り額が減ってしまうため、リフォーム箇所は十分に検討する必要があります。
なお、リフォームをしなくても清潔感のある物件にする必要があるため、日常的な清掃は必須といえます。

内覧時のアピールポイントを作る

売却している一戸建ての良いポイントをまとめ、内覧時にアピールできるよう準備しておくことも大事です。
購入希望者にキッチンまで歩いてもらい家事動線の良さをアピールしたり、断熱性の高い家であれば洗面室やバスルームとの温度差を体感してもらうことで家の良さを理解してもらえます。
このようにアピールポイントをまとめたうえで購入希望者にしっかり伝えることで、成約に至る可能性を高くすることができます。

まとめ

一戸建てを売却するためには必要書類を準備して不動産会社に査定を依頼し、査定額と売却プランを比較検討して販売を任せる不動産会社を選ぶ必要があります。
不動産会社に販売を委託するためには媒介契約を締結することになりますが、媒介契約には種類があるため自分にあった契約形態を選ばなければなりません。
また、物件の価格設定や内覧時の対応、価格交渉の協議など売主が検討しなければならないポイントは多いです。
そのため、一戸建ての売却を成功させるためには信頼できる不動産会社に売却を依頼し、売主としてやるべきポイントと必要書類や準備物、売却スケジュールを共有してもらいながら進めることが大切だといえます。

所有している土地や建物を不動産会社に販売を委託し、売却してもらう際には仲介手数料がかかります。
仲介手数料は不動産の売却価格によって変動するため、正しい計算方法を知っておくことが売主として大切なポイントです。
また、不動産の売却には仲介手数料以外にも費用がかかりますので、不動産売買では売買価格だけでなく諸費用の総額についても確認する必要があります。
この記事では仲介手数料の概要と具体的な計算式について、詳しく解説します。
仲介手数料以外にかかる費用も紹介しますので、所有している不動産を仲介で売却する予定のある人は参考にしてください。

この記事で分かること

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

不動産売却で発生する「手数料」とは

不動産会社を通じて不動産を売却した場合、仲介手数料は必ず発生すると考えておくことがポイントです。
なぜなら不動産会社によって仲介手数料は重要な収益源であり、善意で手数料をゼロにしたり安易に値引きするケースは少ないからです。
また、仲介手数料は上限が定められており、事前に計算することができます。
この章では仲介手数料の概要と計算方法について解説します。

仲介手数料とは

円滑に不動産を売却するためには物件を公開して反響を取得し、内覧を繰り返して売買契約を締結してくれる買主を探す必要があります。
しかし一般人である売主が買主を見つけることは難しく、不動産会社に販売を委託するケースがほとんどです。
不動産会社はこうした買主の調整や手続き、書類の作成をする報酬として仲介手数料を請求します。
仲介手数料は販売を委任する媒介契約のタイミングで不動産会社から説明を受けることになりますので、疑問点がないようにしっかり確認することが大切です。
なお、媒介契約は次の3種類があり、自分に合った契約形態を選ぶことができます。

契約形態 自己発見取引 依頼可能社数 販売報告頻度 更新頻度
専属専任媒介 不可 1社 1週間に1度 3ヶ月
専任媒介 可能 1社 2週間に1度 3ヶ月
一般 可能 制限なし 規定なし 規定なし

不動産一括サイトのすまいステップによると、専属専任媒介契約がもっとも多く全体の4割になりそうです。
【参考サイト:すまいステップ

仲介手数料の上限額と計算式

国土交通省は不動産売買における仲介手数料の上限額を定めており、成約価格によって次のように計算式が異なります。

成約価格が200万円以下:売買代金×5%+消費税
成約価格が200万円を超え400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
成約価格が400万円を超える:売買代金×3%+6万円+消費税

たとえば所有している不動産を売却額1,500万円で売買したケースでは、税抜きの仲介手数料は51万円です。

このことからも、不動産がいくらで売れるのかが仲介手数料を決める重要なポイントといえます。
【参考サイト:消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ – 国土交通省

仲介手数料が発生するタイミング

仲介手数料は売主と買主の不動産取引が成立した成功報酬となっているため、売買契約が締結されると仲介手数料が発生します。
そのため、不動産の査定や販売を依頼しただけでは仲介手数料は発生しないという特徴があります。
支払うタイミングは売買契約時に半額、不動産決済時に半額という方式や売買契約もしくは不動産決済時に全額など、不動産会社や地域によって異なります。
場合によっては売却益ではなく自己資金から支払うことにもなりますので、注意が必要です。

例外ケース

仲介手数料の上限は決まっていますが、不動産会社は例外的に上限額以上の仲介手数料を請求することができます。

近年、材料費や燃料費が高騰しており、物件価格によっては仲介手数料を上限額で受け取っても赤字になるケースが増えてきました。
このような状態で放置していると価格が安い不動産取引を扱わない業者が増えてしまい、取引件数が減少してしまいます。
そこで、国土交通省は例外的に通常とは異なる上限額を設定しました。
この章では仲介手数料の例外ケースを紹介します。

特別広告費がかかる場合

たとえばTVCMや大手新聞への掲載など、通常の広告よりも大がかりな宣伝を売主が求める場合、不動産会社は広告費を仲介手数料とは別に請求することができます。
特別広告費と呼ばれるこの費用は不動産会社から事前に見積の提示を受け、合意することで費用を請求されるようになります。
そのため特別な宣伝を依頼する場合には費用を確認し、費用対効果を検証する必要があります。

低廉な空き家売買に適用される特例

2024年7月に宅建業法が改正され、800万円以下の低廉な空き家や空き地を売却する場合は33万円(税込)を上限とした請求ができるようになりました。

価格が安い物件は買い手を見つけることが難しく郊外にあるケースも多いため、不動産会社の調査費や広告費が仲介手数料よりも高くなることがあります。

このように販売価格が安い物件を仲介する場合は特例の上限額が設定されるため、注意が必要です。

【引用サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

仲介手数料以外の不動産売却にかかる費用

不動産の売却には仲介手数料以外にも費用がかかり、正しく把握しなければイメージ通りの手残り額にならないため注意が必要です。
特に印紙税や譲渡所得税は売買売買代金によって高額になってしまうため、不動産会社に相談しながら確認することが大切です。
この章では仲介手数料以外でかかる諸費用について、詳しく解説します。

印紙税

不動版売買契約書は印紙税法によって印紙の貼付が定められており、売買契約の額によって印紙代は次のようになります。

売買価格 印紙代
10万円を超え50万円以下 200円
50万円を超え100万円以下 500円
100万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 30,000円
1億円を超え5億円以下 60,000円
5億円を超え10億円以下 160,000円
10億円を超え50億円以下 320,000円
50億円を超える 480,000円

【引用サイト:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁
なお、印紙税が発生する書類は契約書の原本のみとなっているため、契約書の複写を保管するのであれば印紙税は不要です。
この場合は買主が負担することになりますが、契約内容によっては印紙代を半額負担するケースもありますのであらかじめ不動産会社に確認することをおすすめします。

登記費用

不動産を所有権移転する場合、登録免許税と呼ばれる税金が発生します。
一般的には所有権を取得する買主が負担しますが、地域によっては売主と費用を折半することもあります。
登録免許税は物件の価格ではなく固定資産税の評価額を課税額として計算し、課税額の2%が税額となりますので、事前に計算しておくことも可能です。
ただし令和8年3月31日までに所有権を移転させた場合は軽減税率を利用することができ、土地は1.5%、建物は0.3%となりますので注意が必要です。
【参考サイト:登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

司法書士報酬

所有権移転登記は売買の当事者でも可能ですが手続きが複雑なため、司法書士に登記を委任するのが一般的です。
この場合は司法書士に報酬を支払うことになりますが、地域や売却の内容によって相場は異なります。
登記識別情報通知を紛失した場合は数万円かかってしまうこともありますので、報酬額について事前に確認しておくことが重要です。
なお、司法書士への報酬と登録免許税を合わせて「登記費用」として支払うケースが多いです。

住宅ローンの一括返済手数料

土地や建物に住宅ローンが残っている場合、抵当権抹消登記が必要です。
抵当権は金融機関からの融資を受けることで設定され、抹消するためには1本につき1,000円が相場となります。
これ以外にも借入している金融機関によっては一括返済の手数料がかかりますので、ローンが残っている不動産を売却する際の注意点といえます。

譲渡所得税

不動産を売却する場合、取得費よりも高い金額で売却した場合は利益に対して譲渡所得税と呼ばれる税金がかかります。
譲渡所得税は次の計算式で算出できます。
売却金額‐売却時の諸費用‐取得費
また、譲渡所得税は所有期間によって税率が異なり、所有期間が5年以内では39.63%ですが5年を超えた場合は20.315%です。
譲渡所得税は相続や贈与によって取得していた場合、非常に高額になってしまうことがありますが、国土交通省からは様々な特例が公開されており、利用することで譲渡所得税を軽減させることができます。
そのため、利用できる特例がないか売却開始までにチェックし、譲渡所得税をなるべく押さえられる売却プランがないか不動産会社に質問することがポイントです。

トラブルを避けるための不動産会社の選び方

不動産売却に慣れている売主は少なく、思いもよらぬ手間や費用が発生することも少なくありません。
こうしたトラブルを避けるためには不動産会社の選定が重要なポイントです。
この章では信頼できる不動産会社の選び方について、解説します。

仲介手数料について正確に説明する会社を選ぶ

仲介手数料は国土交通省で定められた上限額で請求されることがほとんどですが、特別広告費や低廉な空き家特例によって設定された上限額で請求されるケースもあります。
不動産会社はこうした仲介手数料について売却プランを提示することから、正しく分かりやすい説明をしてくれる会社を選ぶことがポイントです。
査定額や売却プランに大きな差がないのであれば、説明の丁寧さや返信の早さなど対応の良さで不動産会社を決めるのがおすすめです。

売りたい物件の売却が得意な会社を選ぶ

築年数の古い空き家や再建築不可の物件などは売却するのに経験が必要になり、どの不動産会社でもスピーディーに売却できるわけではありません。
そのため、売りたい物件の売却経験が豊富かどうかも不動産会社を選ぶうえで重要です。
場合によっては不動産仲介ではなく不動産買取を選び、確実に売却できる方法を検討することも必要です。まずは複数の不動産会社に相談してみましょう。

まとめ

不動産の売却にかかる手数料を解説しました。売却の際には手数料のほか様々な費用が発生します。事前に把握し、納得した上で取引を行うことが大切です。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐポータルサイトです。不動産、特に空き家を専門としたスタッフがあなたの物件を売却までサポートいたします。掲載にかかる費用はもちろん無料です。各種SNSやHPなど様々な媒体を駆使して買手に物件をPRするので、なかなか売れずにお困りの物件も売却してきた実績があります。
戸建て、ボロ家の売却にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

中古の物件を購入して入居者を募集し、戸建賃貸として利益を得るためには一戸建てが持つ投資物件としての特徴を理解しておく必要があります。
なぜなら戸建て投資は中古マンションを使ったマンション投資とノウハウが大きく異なり、中古物件ならではの修繕費や利回り、出口戦略といったポイントがあるからです。
投資を始めたばかりの初心者はただ物件価格が安いという理由で空き家を購入する傾向にありますが、購入後に賃貸物件として公開したものの入居者が集まらず、その結果思っていた家賃収入を得られないケースも少なくありません。
このような失敗を避けるためにも不動産投資における戸建とマンションの違いや比較検討は入念にしておくべきといえます。
この記事では投資用中古物件の魅力とメリット・デメリット、物件選びの方法と注意点、マンションとの比較について解説します。
これから戸建を購入して不動産投資を検討している人は、参考にしてください。

この記事で分かること

中古戸建て投資の魅力とは?

中古戸建て投資 魅力
中古戸建を賃貸にだす投資には様々な魅力があり、売主としても築年数が古くても立地などの条件がよければすぐに売却できることから多くの収益物件が日々公開されています。
そのため中古戸建の投資は比較的スタートしやすく、需要の高さから選べる物件も多いので初心者に向いているケースもあります。
この章では中古戸建投資が持つ魅力について、解説します。

低額で始められる

中古戸建の価値は土地と建物に分けられますが建物の価値は年月の経過とともに減少し、木造であればおおよそ20年を超えた段階でほとんどゼロになります。
しかし資産価値がゼロになったからといって住めないわけではなく、リフォームやリノベーションといった修繕をすることで快適な住まいに改善することが可能です。
こうした資産価値の減少はマンションよりも戸建ての方が早いとされており、不動産の価格にも大きく影響することから中古戸建の方が購入金額を抑えられる可能性は高くなることもあります。
不動産投資の初心者はローンを組まずに自己資金でスタートするケースが多いため、中古建てを中心に物件を検討することがポイントです。

利回りが高く、キャッシュフローが良い

中古戸建を投資家が選ぶ多くの理由として「高利回り」が期待できるという点があり、マンションよりも賃料を高く設定しやすいことからキャッシュフローが良いというメリットがあります。
キャッシュフローとは「お金の流れ」のことで不動産投資においては収益計画における重要な指標となっており、年間の総利益から所得税や住民税、さらに金融機関から融資を受けている場合はローン返済額を差し引いた収益を重要視します。
中古戸建の場合は初期投資を抑えることができれば高い家賃設定によって優れたキャッシュフローを実現することができ、その結果投資の回収時期を早めることができます。
資金回収が早期に実現できればそのまま賃貸を継続することも売却することも選択できるようになり、賃貸経営の幅が広がります。
このように戸建の賃貸物件は居住用だけでなく投資物件としても優秀であることから、日本だけでなく海外の投資家からの問合せも増えているそうです。

長期的な入居者が見込める

中古戸建を借りる人は単身ではなくファミリー層が多く、さらに入居期間が比較的長くなるという特徴があります。
なぜなら中古戸建はマンションよりも土地面積と建物面積が大きくなり、3LDKや4LDKといった間取りが多いことから一人暮らしよりも家族で住むのに向いているからです。
また日管協短観が公開しているデータによると単身者の平均入居期間は3.5ヶ月であるのに対し、ファミリー層は5.6ヶ月となることが分かり、頻繁に入居者を探す手間と費用を削減することもできます。
安定した家賃収入も期待できますので、中古戸建だけを購入して賃貸経営する投資家も多いです。

中古戸建て投資のリスクとデメリット

中古戸建て投資 リスク デメリット
魅力とメリットが多く投資家からも注目されている中古戸建投資ですが、投資である以上リスクとデメリットもあります。
「不動産投資で不労所得を得て会社を辞めました!」といった成功事例をインターネットで見かけることは多いですが、そのためには実際には多くの知識と実践経験が必要となります。
なかでも投資が持つリスクへの対策は重要であり、長期間安定して投資を継続するのであれば必ず押さえておくべきポイントです。
この章では中古戸建て投資のリスクとデメリットについて、詳しく解説します。
不動産投資に慣れていない初心者は特に気を付けるべきポイントとなっていますので、必ずチェックしてください。

修繕費やリフォームコストがかかる

中古物件を購入した場合、築年数が古ければリフォームをする必要がありますが、マンションよりも戸建ての方がリフォーム費用は高くなりやすいです。
なぜなら戸建てはマンションよりも居住スペースの面積が広く、状態によっては外壁や屋根を修繕することになるからです。
特に耐震性が低い中古戸建は耐震補強工事をしなければ投資用ローンがおりなかったり地震保険が高額になるというリスクを抱えることになり、耐震補強工事の分リフォームコストがかかってしまいます。
そのため中古戸建は購入価格は安くなるものの状態が悪ければリフォームコストが高くなり、結果的に初期コストが高額になるデメリットがあることを知っておくことが大事です。
なお、戸建てのリフォームにかかるおおよその費用は次のようになります。
中古戸建て リフォーム 費用

空室リスクと需要の見極めが難しい

中古戸建はファミリー層に人気ですが中古マンションほど需要はないエリアが多く、入居者が退去すると借り手が中々見つからずに空室期間が長くなってしまうこともあります。
不動産投資において空室は利益を生み出さないことから空室対策の優先度は非常に高いといえますが、需要が少ないエリアの中古戸建を購入してしまうと対策できずに赤字が増えてしまうことも少なくありません。
投資目的で中古戸建を購入したもののすぐに売却したという失敗事例の多くは、こうした需要の見極めに失敗したことが原因となっています。

資産価値の低下や流動性の課題

中古戸建は中古マンションよりも経年劣化しやすく、資産価値は年々低下する一方でメンテナンス費用は増加しています。
そのため家賃と維持費のバランスが崩れることも多く、収益計画が成り立たなくなることもあり得ます。
不動産のポータルサイトでは収益物件が多く公開されていますがこうした収益性の悪い物件も多く、立地が良くなければ投資用物件だけでなく入居用物件としても売却できなくなってしまいます。
つまり、中古戸建を投資目的で購入する際には家賃の高さだけでなく、将来維持費の増加によって利回りが悪化する点や売却のしやすさも踏まえて総合的に判断することが大切です。

成功するための中古戸建て投資の物件選び

投資 物件選び
中古戸建を購入して賃貸経営を行い安定した収益を得るためには「良い物件」を購入することが重要であり、他の投資家にスピードで負けないよう準備しておくことが大切です。
物件を選定するための正しいチェックポイントを知っておくことでスピーディーに物件の良し悪しを判断できるようになることから、これから不動産投資を検討する人は必ず知っておく必要があると思われます。
この章では不動産投資で成功するために知っておくべき、中古戸建ての選び方について解説します。

エリアの需要と周辺環境の調査

不動産投資が成功するかどうかの大きなポイントに「需要と供給のバランス」と「周辺環境」があり、どちらのポイントもクリアしていることが重要です。
築年数が浅くて価格が安い物件であったとしても、過疎化が進んでいるエリアでは借り手を見つけることは難しく、長期間募集し続けなければ空室を埋められないことも少なくありません。
また建物は誰も住んでいない空き家の状態が長くなると劣化しやすくなり、家賃収入がないにもかかわらずメンテナンスコストが発生することもあります。
このような中古戸建を購入してしまうと、思い描いた不動産投資ができないばかりか売却することもできず、赤字を生み出す負債になってしまいます。
その一方で立地が良く人気のエリアでは競合となる借家も多く、選んでもらうためには家賃を相場よりも下げたり外観を常にキレイな状態にするなどの手間がかかります。
つまり、ある程度立地が良いものの借家があまり公開されていないエリアにある中古戸建を重点的に検討することが大切だといえるでしょう。
これ以外にも工場や墓地、クリーンセンター、産業廃棄物処理場、養豚場などが近くになる場合は平日や雨の日に現地へ足を運び、臭いや塵埃、騒音をチェックすることもポイントです。

耐震基準を満たしているか確認する

耐震基準は1924年に制定され、1981年に震度6強〜7程度の地震でも家屋が倒壊しない「新耐震基準」に改正されました。
その後2000年には地盤調査が義務付けられることで地震や台風などの自然災害に強い家が建てられるようになり、安心して住み続けられる家が供給されています。
新築住宅であれば現行法令に適合した基準となっていますが、中古戸建ては建築年月日によっては適法ではない仕様になっている可能性が高いといえます。
特に1981年以前の旧耐震基準は建築当時の耐震性がそもそも現行法令に適合しておらず、2024年時点で既に築43年を経過していることから耐震補強工事が必要になる場合も多いです。
また、耐震補強をしなければ火災保険や地震保険が高額になるだけでなく投資用ローンを組めないこともあり、なによりも倒壊のリスクを抱えることになります。
このような状態になっていると入居者の安全を確保できないことから物件購入後の修繕費が高額になってしまい、結果的に初期投資が膨らむ原因になってしまいます。
このような失敗をしないためにも中古戸建は価格で選ぶことなく、耐震基準を満たした家かどうかをチェックすることが重要です。

駐車場や周辺の利便性を考慮する

中古戸建を借家として借りる人は車を保有している人が多いですが、ライフスタイルが変わることで駐車スペースがさらに必要になることもあります。
そういった変化に対応できるよう駐車場が近くにあると借り手が見つかりやすいことから、アピールできる施設がないか周辺をチェックすることも重要です。
駐車場だけでなく複合施設などの建築が計画されている場合はエリア自体の需要が高まることもあるため、購入を決める重要な判断材料といえます。

投資用中古戸建てを購入する際の注意点

中古戸建て投資 注意点
株やFXと同様に不動産投資にもリスクがありますが、中古戸建を活用した賃貸経営ならではの注意点があります。
あらかじめ対策することで安全性の高い収益物件となることから、この章で解説する注意点を押さえておくことをおすすめします。

物件価格だけでなく、修繕費も計算に入れる

不動産投資において「利回りの高さ」は物件選定をする上で非常に重要な判断材料となり、利回りの一種である「実質利回り」を高めるためには初期費用だけでなく修繕費も抑える必要があります。
実質利回りは年間の収入から修繕費などの諸経費を差し引き、初期費用で割り戻すことで算出が可能です。
つまり物件価格を抑えても修繕費が高くなってしまうと結果的に利回りは悪くなってしまうため、大きな注意点といえます。

ホームインスペクションを活用してリスクを最小限に

ホームインスペクションとは第三者の立場である住宅診断士が専門的な調査を行い、家の劣化状態や欠陥、修繕すべき箇所などを調査書にまとめてアドバイスを行う業務のことです。
住宅診断とも呼ばれるこの業務を実施することで購入する物件の瑕疵を早期に発見することができ、事前に対策することができるようになります。
入居者の安心材料にもなるため、ホームインスペクションはなるべく活用することをおすすめします。
ただしホームインスペクションを実施できるのは中古戸建を購入した後になるケースが多く、購入前に実施する場合は所有者の許可が必要です。
費用も数万円かかることから、実施する物件については慎重に判断することが重要といえます。

物件を複数比較して最適な選択を

良い物件を購入するためにはなるべく多くの物件を比較検討し、収益とリスクのバランスを見定めることがポイントです。
そのためにも不動産会社から常に新着物件を紹介してもらえる関係性を構築しておき、鮮度が良い情報を持っておく必要があります。

その一方で優良物件は公開されてから数時間で売れてしまうこともあり、判断するスピードも重要です。
物件選定で後悔しないためにも複数の物件を比較検討しつつ、スピーディーに判断できる材料を常に持っておくことも不動産投資を成功させるためには大切だといえます。

中古戸建て投資とマンション投資の違いは?

戸建て投資 マンション投資 違い
中古戸建てと中古マンションのどちらを選ぶのかで、不動産投資の内容は大きく変わります。
この章では「購入価格」と「維持管理」、「売却」というポイントで中古戸建と中古マンションを比較し、解説します。
これから不動産投資を検討している人はチェックしてみてください。

購入価格と利回りの比較

中古戸建の価格は土地と建物の資産価値が考慮され、中古マンションの資産価値は主に専有面積の広さです。
つまり土地の資産価値が考慮されない分中古マンションの方が安くなる傾向があり、さらに居住スペースも戸建ての方が広くなりがちです。
そのため購入価格を抑えることを優先するのであれば、中古マンションの方がおすすめといえます。
また、中古戸建の方が中古マンションよりも家賃が高くなりやすいため高利回りを期待することができ、収益性の高い不動産投資を目指したい投資家は中古戸建てを選ぶ傾向にあります。

維持管理の手間とコストの違い

中古戸建は外壁や屋根の修繕や草むしりなどは全てオーナーが実施することになるため手間がかかりますが修繕費用は抑えることができ、中古マンションは管理会社に委託することっで維持管理の手間を減らすことができる一方、委託料がかかってしまいます。
ただし火災保険や地震保険、固定資産税などは中古戸建の方が高くなりやすいです。
このように維持管理の手間とコストは物件の種類だけでなく築年数や広さ、どこまで自己管理できるのかで大きく変わるといえます。

将来的な売却や出口戦略の柔軟性

出口戦略とは収益物件を最終的にどのような形で処分するのかを決める計画のことで、一般的には売却しやすい物件かどうかを検討することを出口戦略と呼びます。
仮に同じエリアにある中古戸建と中古マンションで比較した場合、どちらもオーナーチェンジ物件として売却することができますが、入居者が退去し空室となっていれば中古戸建ては土地として売却することもでき、選択肢は多いといえます。
ただし物件の立地やオーナーのライフスタイルによっては自己利用したり親族が住むという出口戦略もあり、駅近であれば中古マンションの方が選択肢が増えるケースもあります。
そのため購入した不動産を将来どのような形で活用、もしくは処分するのかを先に決めておき、その上で物件を選ぶことがポイントです。

中古戸建て投資を成功させるためのポイント

中古戸建て投資 ポイント
この章では中古戸建て投資をさせるために知っておくべきポイントについて解説します。
「投資」は投下した資金をなるべく早く、多く回収することが目的です。
そのためにはなるべく安く物件を購入した上で修繕費やランニングコストを抑え、なるべく高く家賃設定することが大切となりますが全ての不動産で達成することは難しいといえます。
また借り手をオーナー自ら探すという方法は手間も費用もかかり、効率は良くありません。
そこで不動産投資をスタートする際にはまず成功するためのポイントを把握し、確実に実行することをおすすめします。

賃貸管理のプロに依頼する

不動産のメンテナンスや家賃回収はオーナーにとって大きな負担となるためストレスを感じる業務になりやすいことから、賃貸管理のプロに依頼するのがおすすめです。
賃貸管理会社に管理を依頼することでオーナーは工数をかけることなく家屋を快適に暮らすことができる状態に維持することができ、家賃回収や家賃滞納時の催促をする必要もありません。
また退去が決まった時点で新しい入居者を募集してくれますので空室期間を短くすることができ、安定した収益にも繋がります。
管理手数料などのランニングコストはかかってしまいますが、オーナーの負担を考えると依頼した方が得になるケースも多いです。
そのため中古戸建て投資をスタートするタイミングで複数の管理会社に相談し、費用やサービス内容を比較検討することがポイントとなります。

複数物件に分散投資してリスクを軽減

一戸の中古戸建てを運用するよりも複数の戸建てや中古マンションを同時に運用することで空室発生による減益リスクを下げることができ、常に収益がある状態を維持することができます。
そのため購入資金も複数の不動産を購入する前提で資金計画するのが成功のコツとなっており、一戸の戸建てで予算を使い切らないよう注意する必要があります。

節税や経費計上でキャッシュフローを最適化

減価償却や損益通算など、不動産投資を使った節税や経費削減方法はいくつか公開されています。
これらの方法については税務署からアドバイスがあるわけではなくオーナー自ら調べて活用しなければならないため、注意が必要です。
利益を最大化する収益計画にするためにも、中古戸建てを購入するタイミングで不動産会社や会計士、税理士に相談することが重要といえます。

中古戸建て投資に向いている人は?

中古戸建てを投資目的で購入する人にはいくつか特徴があります。
この章で詳しく解説します。

長期的に安定した収入を望む人

中古戸建ての入居者は中古マンションよりも入居期間が長く、退去しにくい傾向があります。
そのため、頻繁に入退去が発生する中古マンションよりも長期的に安定した賃貸経営をしたい人には、中古戸建ては向いています。

リフォームやDIYに興味がある人

築年数の古い中古戸建ては価格が安くなる一方でリフォームや修繕費用が高くなることがありますが、壁紙や設備を自ら選定したりDIYが得意なオーナーであれば費用を抑えることができます。
特にDIYが趣味の人は楽しみながら収益物件を修繕することができるため、進んで購入する人も多いです。
このようにリフォームの内容検討やDIYの時間を設けられる人に、中古戸建て投資はおすすめといえます。

空き家活用で地域貢献をしたい人

空き家が増えると治安の悪化や火災の発生など地域の評判が悪くなり、その結果転出者が増加することでさらに空き家が増えるという悪循環となってしまいます。
そこで故郷や気に入った地域にある空き家を購入して賃貸にすることで空き家を減らすだけでなく転入者を増やすこともでき、地域創生の力になることができます。
このことからも、積極的に地域貢献したい人にも中古戸建て投資は向いているといえます。

まとめ

中古戸建てを活用した不動産投資には中古マンションや土地活用にはない特徴やメリットがあるため、正しく理解することで安定した賃貸経営を実現することができます。
その一方でデメリットやリスクもあり、注意すべきポイントを抑えておかなければ失敗する可能性がある投資でもあります。
そのため中古戸建を投資目的で購入する際には価格だけでなく修繕費用やランニングコストをあらかじめイメージしておき、さらに将来売却できるかどうかも見定めた上で判断することが重要といえます。
不動産会社や賃貸管理会社はこうした投資に必要なノウハウを多く持っていますので、早めに相談することをおすすめします。

不動産を売買や相続、贈与、離婚による財産分与といった理由で所有権を取得する場合は登記をするのが一般的ですが、そもそも所有権移転登記がどのような作業なのか知っておく必要があります。
なぜなら土地や建物の所有権を得たからといって必ず登記申請をしなければならないという法律はなく、当事者間の合意があれば移転することができるからです。
しかし不動産登記をせずに放置しておくことには大きなリスクがあり、場合によっては多額の損失を招くこともあり得ます。
そのため工数や費用の負担があっても所有権移転登記はすべきといえるでしょう。
この記事では所有権を移転登記した方がいい理由と各ケースにおける司法書士への費用相場、必要書類、安く抑えるためのポイントについて解説します。
所有権移転にかかわる税金についても合わせて紹介しますので、これから不動産を取得する予定のある人は参考にしてください。

この記事で分かること

所有権移転登記とは?基本を理解しよう

不動産売買や生前贈与、相続、離婚による財産分与が発生し不動産の名義を変更する場合、法務局の窓口に登記申請書を提出して設定登記を行うことになります。
これにより公的文書である全部事項証明書に名義人の名前を記載することができ、第三者からも誰が所有者なのか明確になります。
この作業を所有権移転登記と呼び、登記事項証明書への記載が完了すると登記識別情報通知が郵送され、新しい所有者が受け取ると所有権の移転は完了です。
登記申請書の作成や申請は司法書士に依頼することが多く登記設定時に発生する登録免許税の支払いは司法書士への報酬と合わせて支払うことになりますが、必要とされる書類の一部は現所有者と新所有者が収集しなければなりません。
つまり、事前にどのような書類を準備しなければならないのかを知っておく必要がありますので、司法書士には早めに相談することが重要といえるでしょう。
このように、所有権移転登記はいくつかのステップと費用がかかることを知っておく必要があります。

所有権移転登記の役割と必要な理由

所有権移転登記をすることで相続人や買主は所有権を主張することができ、不動産を安全に利用することができます。
そのため取得した不動産を売却したり有効活用する予定がある人は、なるべく早く登記手続きを進めることをおすすめします。
なお、令和6年4月1日より相続登記については義務化されることになり、相続を知った日から3年以内に相続を原因とした所有権移転登記をしなければなりません。
この法改正の効力は令和6年4月1日よりも前に相続した相続人に対しても遡及されることになり、違反すれば10万円以下の過料が科せられることになります。
遺産分割協議が難航しているなどの理由で法務局に相続登記を延期する相談などは可能ですが、原則は3年以内の登記が必須となっていることを覚えておきましょう。
【参考サイト:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地 !~:東京法務局

所有権移転登記を行わないリスクとは?

相続登記を除く所有権移転登記は法律で義務付けられているわけではないため登記をしなくても違法ではなく、登記に関連する費用や工数を削減するために所有権移転登記がされていない不動産もあります。
しかし正しい所有者で登記されていない不動産はトラブルが起きやすく不動産を自由に扱えなくなるというリスクを抱えることになるため、おすすめとはいえません。
どのような原因で所有権を取得するにしろ、所有権移転登記をしなければ登記簿で所有権を確認することができないため、不動産を担保にしたローンの借入や不動産売却はできないことになります。
そればかりか第三者が登記してしまうとその不動産は第三者の名前で登記済となってしまうことから所有権を主張されてしまい、最悪の場合は不動産を奪われてしまいます。
この場合は登記の公信力を審議する裁判を申し立てることで所有権を奪還できることもありますが、長い時間と多くの費用がかかってしまうでしょう。
所有権を公的に主張できなければ不動産の有効活用も売却もできず安全も担保できませんので、所有権移転登記は必ずすべきだといえます。

所有権移転登記が必要になる場面とシーン別の費用相場

所有権移転登記は主に「売買」「相続」「贈与」「離婚時の財産分与」の際に必要となります。
必要書類や費用相場もそれぞれ異なることから、想定される所有権移転のシーンについて確認しておきましょう。
この章で詳しく解説します。

不動産の売買での所有権移転登記費用

売主から買主が不動産を購入する不動産取引の場合、以下の書類が必要になります。

売主/買主 必要書類
売主 売買契約書
委任状
登記識別情報通知
印鑑証明書
身分証明書
実印
買主 売買契約書
委任状
住民票
印鑑証明書
身分証明書
実印

売主も買主も印鑑証明書と登録されている実印、身分証明書が必要となり、身分証明書は顔写真があれば1種類、なければ2種類用意しなければなりません。
そのためなるべく運転免許証やマイナンバー、パスポートなどを用意しておきましょう。
売主は登記識別情報通知が必要となりますが、この書類は再発行できないため紛失すると司法書士と事前面談する手間と追加費用がかかってしまいます。
通常であれば売主の所有権移転にかかる費用は1~2万円となりますが登記識別情報通知を紛失した場合は数万円追加されることになるため、注意が必要です。
 
つまり評価額が高い物件を購入すると所有権移転にかかる費用も高額になり、さらに司法書士への報酬も必要であることから事前に不動産会社へ概算の見積を依頼しましょう。
これ以外にも住宅ローンを組んだ際には抵当権設定に関する費用もかかります。

不動産相続による所有権移転登記費用

相続の場合は相続人が所有権移転登記を行いますが、評価額の0.4%が登録免許税としてかかります。
準備する必要書類は以下の通りです。

必要書類
相続人全員の住民票
相続する不動産の固定資産課税明細書
相続人全員と被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
遺産分割協議書
相続人全員の実印
相続人全員の印鑑証明書

前述したように相続登記は相続を知ってから3年以内に登記する義務があるため、なるべく早く手続きを進めることをおすすめします。
なお、相続の場合は登記以外にも相続税が発生することになり、次の速算表が国税庁より公開されています。

法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

【参考サイト:No.4155 相続税の税率|国税庁

贈与による所有権移転登記費用

生前贈与や遺贈によって不動産を取得する場合も所有権移転登記が必要となりますが、評価額の2%が登録免許税としてかかり司法書士への報酬も必要です。
必要書類は次のようになり、それほど多くないので比較的簡単に準備できるでしょう。

必要書類
贈与者の印鑑証明書
贈与対象不動産の登記識別情報通知
贈与対象不動産の固定資産評価証明書
受贈者の住民票
登記原因証明情報(贈与契約書等)

贈与は贈与税もかかるため、以下の速算表をチェックしておくことをおすすめします。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 無し
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円を超える 55% 400万円

上記の表は他人や兄弟姉妹から贈与受けた場合や受贈者が未成年の場合に使われる速算表ですが、父母や祖父母といった直系尊属から贈与を受けた場合は以下の表が使われます。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 無し
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円を超える 55% 640万円

【参考サイト:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

離婚時の財産分与に伴う所有権移転登記費用

婚姻期間中に得た資産は財産分与の対象となり、内容によっては不動産の名義変更が必要になります。
この場合の登録免許税は評価額の2%となり、以下の書類を準備することになります。

必要書類
夫婦どちらかの戸籍謄本
対象不動産の評価額が分かる書類(固定資産税課税明細書など)
対象不動産の登記識別情報通知
財産分与される人の住民票
財産分与される人の印鑑証明書
財産分与協議書

司法書士への報酬もかかりますが、一般的には財産分与される人が支払うことになります。
離婚による財産分与には注意点があり、住宅ローンが残っている場合は財産分与される人の経済力次第では金融機関が認めないケースがあります。
さらに不動産を名義変更することで財産分与に偏りが発生してしまう場合、名義変更によって不動産の所有権を得た人は代わりに資産を渡すことで分与の帳尻をつけることになります。
そのため金融機関の判断や財産の状況によっては名義変更ができず所有権が移転できないこともあり、離婚協議が難航することも想定しておく必要があるでしょう。

所有権移転登記の主な費用内訳

所有権移転登記には費用がかかることを解説しましたが、この章では費用内訳を登録免許税と司法書士に分け、詳しく解説します。
具体的な計算事例も紹介しますので、チェックしてみてください。

登録免許税の計算方法と相場

登録免許税の税率をまとめると、次のようになります。

売買:1.5%(令和9年3月31日以降は2%)
贈与、離婚:2%
相続:0.4%

たとえば評価額5,000万円の不動産を所有権移転登記する場合、売買は75万円、離婚と贈与は100万円、相続は20万円が登録免許税としてかかります。
これらの費用は所有権を新しく取得する人が支払うことになるため、あらかじめ用意しておきましょう。

司法書士への依頼費用の目安

日本司法書士会連合会が公開している資料によると、司法書士への報酬は売買で4~15万円、贈与と離婚で4~8万円、相続で6~11万円が相場となるようです。
ただし登記識別情報通知を紛失したり所有権移転に必要な手続きが複雑な案件は相場以上の報酬を請求される可能性があり、地域によっても報酬に差があります。
登記に関する費用は登録免許税と報酬を合わせた見積を事前に司法書士から提示してもらえますので、確認しておくことが重要です。
なお、一般的には司法書士への報酬は新しく所有者になる人が支払いますが、地域によっては現所有者と折半することもあるため不動産売買の売主だからといって登記費用が必ずしも安いわけではないことを知っておきましょう。
【参考サイト:日本司法書士会連合会

不動産調査にかかる費用とは?

司法書士の業務は書類を受け取り法務局へ提出するだけでなく、登記事項証明書の取得や案件によっては法務局へ照会をかけ、円滑に進めるための準備をすることも含まれます。
こうした不動産調査は報酬に含まれていますが、書類の取得費用などは別途請求されるケースがほとんどです。
たとえば登記簿は法務局にて1通600円で取得することができますが、委任状を使って住民票や戸籍謄本を取得した場合は数千円かかることも珍しくありません。
特に相続登記と合わせて遺産分割協議を司法書士に依頼してしまうと、相続人の多さによっては数十万円近く追加でかかってしまうケースもあります。
しかし不動産調査はトラブルなく所有権移転登記を進める上で必要な業務であるため、必ず請求されると想定しておきましょう。

必要書類の取得にかかる費用

本来登記申請書を除く書類は所有権移転登記を行う当事者が用意すべきですが、なんらかの原因があって用意できない場合は司法書士が委任状を使って収集することになります。
収集する書類が増えれば増えるほど費用が追加されますので、以下の相場を参考にしながらなるべく自分で集めることをおすすめします。

住民票:1通200円
印鑑証明書:1通200円~400円
固定資産評価証明書:1通200円~400円
戸籍謄本:1通450円
除籍謄本、改製原戸籍:1通750円

所有権移転登記の費用を安く抑える方法

所有権移転登記には決して安くない費用がかかるため、コストダウンできる方法を知っておく必要があります。
ただし登記費用のコストダウンにはデメリットとリスクもあるため、バランスを見極めつつ検討することが大切です。
この章では所有権移転登記を抑えるための一般的な方法について、解説します。

自分で登記手続きを行う場合のメリットとデメリット

自分で登記手続きをするのであれば司法書士への報酬をカットできるためコストダウンになりますが、いくつか注意点があります。
まず全ての必要書類を収集し、次に申請書を正しく記入した上で法務局に提出することになります。
書類の不足や申請書に不備があると法務局から指摘を受け、補正するまでは登記手続きが停止してしまいます。
さらに一度手続きが完了してしまうと修正するのに多くの時間を費やすことになり、修正が必要な理由を法務局に説明する手間も発生します。
これ以外にも相続や贈与、財産分与のケースであれば多少の猶予がありますが不動産売買は住宅ローン融資が通らないというトラブルが発生する可能性があることから、司法書士に依頼する人が楽だと考える人は多いでしょう。
法務局は平日しか稼働していないため自分で登記するためには仕事を休んで何日も通うことになる点も、おすすめできないポイントです。

司法書士の報酬を抑えるコツとは?

司法書士の報酬はある程度相場によって決まっていますが一律というわけではないため、複数の司法書士事務所から見積を取得することで安い事務所を見つけられる可能性が高くなります。
実際には相見積もりをしてもほとんど変わらないことが多いですが、報酬を安く抑えるのであれば報酬の比較検討はやっておくべきでしょう。
なお、大手事務所よりも個人で経営している司法書士事務所の方が安くなる可能性は高いようです。

登録免許税の軽減措置を活用する方法

登録免許税の軽減措置とは一定期間の間に取得した土地や家屋の税率を軽減させる措置のことで、以前より実施されていた軽減措置が令和6年の税制改正によって延長されたため継続して使用できるようになりました。
土地の売買は2%から1.5%に軽減され、住宅用家屋は2%から0.3%に軽減されます。
たとえば評価額3,000万円の住宅用家屋を登記する場合、12万円を4.5万円まで削減できます。
このように国税庁が公開している制度を積極的に使用する方法も、おすすめです。
【参考サイト:土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る 登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

経費として計上する場合の注意点

国税庁では業務の用に供される資産に係る租税を必要経費に算入させることを認めており、登録免許税も必要経費として計上することができます。
ただし登録免許税は「債務」ではないため、たとえば相続税における被相続人の債務控除として計上することはできないなどの問題が発生します。
これ以外にも勘違いによって計上できないケースが多いことから、あらかじめ会計士など専門家に相談しておくことが大切です。
【参考サイト:No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合|国税庁

所有権移転登記の手続きの流れ

この章では所有権移転登記の手続きについて、流れを解説します。
必要な書類の準備と司法書士に依頼する場合のステップ、全体のスケジュールを確認してください。

手続きに必要な書類の準備

登記手続きを自分でするにしても司法書士に依頼するにしても、必要な書類を準備する必要があります。
前述した各シーンの必要書類をまとめましたので、参考にしてください。

所有権移転登記のシーン 必要書類
売買 <売主>
・売買契約書
・委任状
・登記識別情報通知
・印鑑証明書
・身分証明書
・実印
<買主>
・売買契約書
・委任状
・住民票
・印鑑証明書
・身分証明書
・実印
相続 ・相続人全員の住民票
・相続する不動産の固定資産課税明細書
・相続人全員と被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の除票住民票
・遺産分割協議書
・相続人全員の実印
・相続人全員の印鑑証明書
贈与 ・贈与者の印鑑証明書
・贈与対象不動産の登記識別情報通知
・贈与対象不動産の固定資産評価証明書
・受贈者の住民票
・登記原因証明情報(贈与契約書等)
離婚による財産分与 ・夫婦どちらかの戸籍謄本
・対象不動産の評価額が分かる書類(固定資産税課税明細書など)
・対象不動産の登記識別情報通知
・財産分与される人の住民票
・財産分与される人の印鑑証明書
・財産分与協議書

司法書士に依頼する場合のステップ

司法書士の手配は売買であれば不動産会社が提携している司法書士事務所を紹介してくれますが、相続や贈与、離婚による財産分与の場合は自分で探す必要があります。
司法書士事務所は各シーンに特化しているケースが多いため、「相続専門」や「財産分与」などのキーワードを含めてインターネットで検索し、最寄りの司法書士を探しましょう。

登記完了までのスケジュールと期間

司法書士に依頼して登記申請を行い、不備がなければ10日から2週間で完了します。
登録免許税や報酬は依頼時点で司法書士に支払うことが多く、後日郵送で登記識別情報通知が届くことになりますが、法務局は平日しか稼働していないため土日祝が続く月は登記手続きが遅延しやすいことから、急ぐ場合はなるべく早くに依頼する必要があります。
これ以外にも登記識別情報通知は再発行できないという特徴があることから紛失しないよう注意する必要があり、届いたら地震や洪水など万が一の際に持ち出して避難できるよう分かりやすい場所に保管しておくことが大切なポイントといえます。
なお、登記識別情報通知に貼られているシールの下には登記に必要な暗号キーが記載されており、暗号キーが第三者に知られてしまうと所有権を移転される可能性があります。
そのためシールは剥がさないままにしておくことがおすすめです。

まとめ

不動産の所有権を譲渡する場合、当事者間の合意があれば登記をしなくても所有権の移転は可能ですが登記をしなければ所有権を公的に主張することはできず、第三者が登記してしまうと所有権を奪われてしまうこともあり得ます。
このようなリスクを避けるという意味でも必要書類を準備する工数や司法書士の報酬などがかかっても所有権移転登記することのメリットは大きいといえるでしょう。
所有権移転登記に必要となる準備物や登録免許税は所有権移転の原因によって異なり、売買、贈与、相続、財産分与のそれぞれで相場を把握しておくことが大切です。
安全に所有権を取得し不動産を有効活用するためにも所有権移転登記は重要なポイントといえることから、流れや必要書類、おおよその報酬額をなるべく早い段階で確認し準備を進めることをおすすめします。