不動産事業、特に空き家を活用した投資に挑戦したいとお考えの皆さんにとって、投資の収益性を正確に評価する指標は欠かせません。
IRR(内部収益率)は、単なる利回り計算では見落としがちな「お金の時間的な価値」を考慮し、投資資金の回収効率を測る上で重要な指標となります。資金が限られている方や大規模な融資が難しい方でも、効率的な投資先を見極めるために役立ちます。
本記事では、IRRの基本概念からその計算方法、不動産投資におけるメリットやデメリット、そして具体的な活用方法まで詳しく解説します。
特に、副業として不動産事業を始めたい一般的なサラリーマンの方や、限られた資金で起業を目指す方はぜひ参考にしてみてください。
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)は、投資の収益性を評価する重要な指標です。これは、将来得られるキャッシュフローの現在価値が、投資額と等しくなる割引率を指します。
時間の経過によってお金の価値が変わるという考え方を取り入れているため、早く得られる利益ほど価値が高いと評価します。そのため、IRRの数値が高いほど、投資効率が良く収益性が高いと判断されます。
特に、長期投資において資金の有効活用度を示す点がメリットです。
参考:ファイナンス、不確実性・リスクの考え方の活用26頁|文部科学省
IRRと利回りはどちらも投資の収益性を示す割合ですが、計算方法に大きな違いがあります。
利回りは年間の利益率を単純に算出し、「表面利回り」や「実質利回り」が代表例です。これらは収益が発生する時期やお金の時間価値を考慮せず、1年後も3年後も同じ価値として扱います。
一方、IRRは将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、時間的な価値を反映します。早期のキャッシュフローは再投資効果を持つため価値が高いと見なすことを覚えておいてください。
戸建て投資のように毎年の収益が変動しやすく、売却も視野に入れた長期運用では、単年度収益を示す利回りより、投資期間全体の効率を示すIRRの方が適しています。
なお、利回りについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
IRRの理解には「割引率」の概念が欠かせません。割引率は、将来の金額を現在価値に換算する際に使う利率で、金利や期待収益率の影響を反映します。
たとえば、現在の100万円を年1%で運用すると、1年後には101万円になります。この場合、1年後の101万円は現在の100万円と同じ価値として扱われます。
将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際に、この割引率が使われます。1年後の101万円を年1%で割り引くと、現在価値は100万円となります。
不動産投資では、将来の家賃収入や売却益を評価する際に割引率を使い、お金の時間的価値を正確に計算することを覚えておいてください。
IRR(内部収益率)は、投資の収益性を客観的に評価するための重要な指標です。
特に戸建て投資のような不動産投資で役立ちます。将来得られるキャッシュフローの時間的価値を考慮し、投資額と将来キャッシュフローの現在価値が一致する割引率を算出します。
戸建て投資では家賃収入や売却益など複数の収入があるため、IRRを使うことで投資期間全体の効率性を把握可能です。IRRの理解は、投資効率や収益性を多角的に判断し、適切な投資案件を選ぶうえで欠かせません。
複数の投資案件を同一基準で比較でき、収益性の高い物件を見極める手助けとなります。
IRRを算出するには、初期投資額と将来にわたる各期間のキャッシュフローを正確に把握する必要があります。計算式は次の通りです。
0 = ∑ (CF_t ÷ (1 + r)^t) − 初期投資額
・CF_t:t期目のキャッシュフロー
・r:求めるIRR(割引率)
・t:年数
・∑:合計
この式は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いた合計と初期投資額の差がゼロになる割引率を求めます。
早期に収益が得られるほどIRRが高くなる時間的価値を反映しているため、単年度の利回りより投資効率を正確に表します。
手計算は複雑ですが、専用ツールを活用すると簡単に算出可能です。
IRRの計算はExcelの「IRR関数」を利用すると簡単です。手計算で時間がかかる計算も以下の手順で素早く求められます。
この方法で複数の不動産案件のIRRを比較でき、効率的な投資先を短時間で判断できます。
具体例を紹介します。初期投資額1,900万円の戸建て物件を3年間運用し、家賃収入と売却益を得るケースです。
・物件A:年間120万円のキャッシュフローがあり、3年後に1,940万円で売却(3年目のキャッシュフローは120万円+1,940万円=2,060万円)
・物件B:家賃収入なし、3年後に2,300万円で売却
両物件とも総収益は2,300万円ですが、期間中の収益発生タイミングが異なります。
この条件で計算すると、物件AのIRRは6.97%、物件Bは6.58%となります。
IRRは投資資金を早期に回収できる案件ほど高くなる特性があります。したがって、同じ総収益でも早期に収益がある物件Aのほうが効率的な投資です。
このシミュレーションから、戸建て投資家は利益総額だけでなく収益発生時期も加味し、IRRを活用して物件選定することが大切だとわかります。
IRR(内部収益率)は、投資の収益性を客観的に評価できる重要な指標です。
特に戸建て投資のようにキャッシュフローが年ごとに変動しやすい事業では、その有効性が際立ちます。IRRは、将来発生するキャッシュフローの時間的価値を考慮し、初期投資額とキャッシュフローの現在価値の合計が等しくなる割引率を算出します。
この考え方によって、IRRは投資期間全体を通じた収益性を評価でき、複数の投資案件を同じ基準で比較する際にも役立ちます。
キャッシュフローが不安定な物件であっても、投資効率を定量的に把握できるため、IRRは物件選定や資金配分の判断に活用しやすい指標です。
IRRの強みは、投資期間全体で得られるキャッシュフローを総合的に評価できる点にあります。
不動産投資では、空室や賃料変動、大規模修繕などによって年間の収支が安定しないケースが珍しくありません。IRRはこうした収支の変動を加味し、初期投資から売却までの全期間における収益性を算出します。
IRRは将来のお金の価値を現在の価値へと割り引いて計算するため、早期に得たキャッシュフローほど高く評価されます。この特徴は、再投資によって資金を増やす機会があることも含めて、投資効率を的確に反映しています。
収益が不安定な物件でも、IRRを用いれば本質的な収益力を数値で確認でき、より合理的な判断が可能になります。
IRRは、投資期間や条件が異なる案件でも同一の基準で収益率を比較できる点が特徴です。
戸建て投資では、物件によって保有期間やキャッシュフローの発生時期が大きく異なる場合がありますが、IRRを使えばそれぞれの投資効率を公平に評価できます。
また、IRRは資金の回収スピードが速いほど数値が高くなる特性を持っています。早期に得られたキャッシュフローを再投資に回せば、元本を増やす機会が生まれ、結果的に全体の収益率を高めることが可能です。
限られた資金で効率的な運用を目指すサラリーマン投資家にとっては、IRRの比較によって有望な物件を選びやすくなり、投資判断の精度を高められます。
IRRは投資判断に有効な指標ですが、性質を十分に理解しないまま活用すると、かえって誤った意思決定を招く可能性があります。特に、将来の予測が難しい戸建て投資では、IRRだけで判断材料を完結させるのは危険です。
IRRは投資規模やリスクの大きさを直接的に示すものではなく、たとえ数値が高くても、最適な投資先とは限りません。
そのため、戸建て投資家がIRRを活用する際は、メリットだけでなく限界にも目を向ける必要があります。他の指標とあわせて多角的に評価すれば、より実態に即した投資判断が可能になります。
IRRは収益率をパーセンテージで示す指標であり、投資規模を直接評価できません。
たとえば、少額投資でIRRが高い物件と、多額の投資が必要ではあるものの総収益が大きい物件を比較した場合、IRRの数値だけを重視すると、後者のような大きな利益機会を見落とすおそれがあります。
戸建て投資では、限られた自己資金で効率の良い運用を目指すケースが多く見られますが、最終的に目指すべきは利益の最大化です。IRRの数値だけでなく、見込める利益額や総キャッシュフローも把握することが欠かせません。
NPV(正味現在価値)など金額ベースの指標と組み合わせて評価すれば、投資の本質をより正確に捉えられます。
IRRは収益性を測る指標であっても、リスクの大きさまでは判断できません。
数値が高い場合ほど魅力的に見えますが、高リスクな案件であるケースも少なくないからです。戸建て投資では、借入を活用することでIRRを高める手法が取られますが、レバレッジが大きくなるほど、失敗時の損失も膨らみます。
IRRの算出には将来のキャッシュフロー予測が必要です。空室、家賃滞納、修繕費用の増加、金利上昇など、想定外の事態が発生すれば、計算時の前提が崩れ、信頼性が下がります。
IRRは不動産投資におけるあらゆるリスクを反映する指標ではないため、市場動向や物件固有のリスク要因を把握したうえで、慎重に判断する必要があります。
IRRは、将来のキャッシュフローと売却益を含めたうえで、投資期間全体の収益率を算出する指標です。そのため、物件を売却するタイミングが未定である場合や、売却を前提としない長期保有を考えている場合は、IRRが適さないケースもあります。
たとえば、短期間でキャッシュフローを得て資金回収したい投資家には、IRRが高い築古物件が選択肢になります。一方、長期的に安定した賃料収入を重視する場合には、IRRが低めでも新築や築浅物件が適している可能性があります。
IRRの特性を正しく理解し、自身の投資スタイルや目的と照らし合わせたうえで、他の指標とあわせて判断材料とすれば、堅実な物件選定につながります。
不動産投資で成果を出すには、事前に収益性を正確に把握することが欠かせません。
その判断材料として有効なのが、IRR(内部収益率)です。IRRは、将来発生するキャッシュフローを時間的価値として捉え、投資期間全体での収益効率を示します。
毎年の収支が変動しやすい不動産投資では、単年度の利回りでは把握しきれない収益性をIRRによって補えます。どれだけ効率よく投資資金を回収できるか、複数の投資先を比較する際にもIRRは有効です。
数値だけでなく、投資目標との整合性や資金回収スピードも可視化できるため、IRRを活用すれば、目的に合った物件選びや運用戦略が明確になります。
不動産投資においてIRRの目安として「5%以上」が一つの参考数値になる場合があります。
ただし、投資対象となる不動産には、立地・築年数・建物構造・融資条件など、多様な要因が絡んでいます。どの物件も異なる性質を持つため、単にIRRが高いという理由だけで優良案件とは言い切れません。
IRRの数値が高い場合でも、リスクが大きい可能性を含んでいるケースもあります。
たとえば、短期でキャッシュフローを得やすいが、空室や修繕リスクが高い物件などです。投資判断ではIRRだけに頼らず、自己資金に対するリスク許容度や市況の変化、さらにはNPV(正味現在価値)などの他指標も併用し、総合的に検討することが求められます。
戸建て物件への投資を検討している方も、こうした複眼的な視点を持てば、安定的かつ目的に合った選択が可能になります。
IRRが高くなりやすい物件には、いくつか共通する要素があります。もっとも大きな特徴は、初期段階から安定したキャッシュフローが期待できる点です。
たとえば、築古の木造アパートなどは、購入後すぐに多額の減価償却を計上できるため、所得税の還付によって手元資金が増えやすく、IRRの向上につながります。
売却時の価格維持が期待できる物件もIRRの押し上げ要因となります。駅近で交通利便性の高いエリアや、人口減少の影響が限定的な地域にある中古物件などは、資産価値が落ちにくいため、将来的に高い売却価格を見込むことが可能です。
自己資金の投入を抑えて融資を活用すれば、自己資本に対するリターンであるエクイティIRRを高められる場合があります。
とはいえ、過度な借入は返済リスクを高めるため、全体の収益性を示すプロジェクトIRRと併せて評価し、資金調達と収益のバランスを意識するのが大切です。
不動産投資を成功させるには、事前に収益性を正確に評価することが欠かせません。
IRR(内部収益率)は、投資期間全体で得られるキャッシュフローを、時間的価値を踏まえて評価する重要な指標です。
特に、家賃収入や支出が年ごとに変動しやすい戸建て投資では、資金の回収効率を把握するうえでIRRが有効です。この指標を理解して活用することは、副業として不動産投資を始めたい方や、少ない資金で成果を出したい戸建て投資家にとって欠かせません。
ここでは、IRRに関してよくある質問に答えながら、投資判断にどう役立つかを具体的に解説します。
IRRは「Internal Rate of Return」の略で、内部収益率と訳されます。
これは、将来発生するキャッシュフローの現在価値と、初期投資額の現在価値が等しくなる割引率を意味します。わかりやすく言えば、将来の利益を現在の価値に換算し、投資がどれだけ効率的かを判断するための指標です。
現在手元にある資金は、運用によって増やせる可能性があるため、将来のお金とは価値が異なります。
IRRはこの考え方をもとに、すべてのキャッシュフローを割り引いて計算されます。数値が高いほど、資金の回収効率が高い投資と評価できます。
戸建て投資では、家賃収入や売却益の金額・タイミングが変動しやすく、IRRを使えば長期的な収益性を客観的に測ることが可能です。計算にはExcelのIRR関数を使えば簡単に求められます。
IRRの目安として、一般的に5%以上が参考値として言及される場合があります。
ただし、不動産は物件ごとの条件が大きく異なるため、単に数値だけで良し悪しを判断できません。築年数や構造、立地、融資条件など、多くの要因がIRRに影響を与えます。
IRRが高い場合でも、必ずしもリスクが低いとは限りません。自己資金を抑えて借入割合を増やすと、数値は高くなりやすいですが、同時に返済リスクも大きくなります。
戸建て投資家が判断する際には、IRRだけを見るのではなく、将来の市場動向や地域の賃貸需要、自分が取れるリスクの範囲などもあわせて検討する必要があります。
NPV(正味現在価値)などの他の指標と組み合わせれば、自身の投資スタイルに合った物件選定がしやすくなります。
IRRとあわせて活用されるNPV(Net Present Value/正味現在価値)は、投資によって得られる将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、初期投資額との差額を金額で示す指標です。
NPVがプラスであれば、その投資は資金的にプラスの価値を生むと判断できます。
一方、IRRは収益率をパーセンテージで表し、資金の効率的な回収度合いを示します。
つまり、IRRは「どれだけ効率よく増やせるか」、NPVは「どれだけの利益が見込めるか」にフォーカスした指標です。
投資すべきかを判断したいときや、複数の投資案件のうち最大の収益が期待できるものを選びたい場合はNPVが役立ちます。逆に、限られた資金を効率的に回したいときはIRRが有効です。
投資目的や資金状況に応じて、これらの指標を併用すれば、より精度の高い判断ができます。
参考:ファイナンス、不確実性・リスクの考え方の活用26頁|文部科学省
IRRと利回りはどちらも収益性を表す指標ですが、大きな違いは「時間的価値」を考慮しているかどうかです。
利回りは、特定の1年間に得られる収益を投資額で割って算出する単純な指標で、キャッシュフローが発生するタイミングは加味されていません。
それに対して、IRRはすべてのキャッシュフローを現在価値に割り引いて計算します。たとえば、初期段階で得られる利益の方が、数年後の利益よりも価値が高いと判断されるのがIRRの特徴です。再投資を想定した収益の循環も含まれるため、将来的な資金運用を含めた投資評価が可能になります。
戸建て投資では、家賃収入や修繕、空室の発生などによって年ごとの収支が変動するケースが多いため、IRRは特に相性の良い指標です。表面利回りだけを見て判断すると、実際の収益性を見誤る場合があります。
販売資料に利回りしか記載がない場合でも、IRRを自ら計算する習慣をつけておくと、より正確で戦略的な投資判断が可能になります。
IRR(内部収益率)は、お金の時間的な価値を考慮し、投資期間全体の収益性を評価するための強力な指標です。
特にキャッシュフローが変動しやすい不動産投資において、投資資金の回収効率を測り、複数の投資案件を比較する際に役立ちます。しかし、IRRの数値が高いからといって必ずしも最適な投資とは限らず、投資規模やリスクを考慮しないというデメリットもあります。
そのため、NPV(正味現在価値)などの他の指標と組み合わせて、多角的な視点から総合的に投資判断することが重要です。自身の投資スタイルや目標に合った物件を見つけるために、IRRの概念と特徴を理解し、賢く活用してください。
空家ベースは空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐプラットフォームです。全国の物件が対象となっているため、都市部に限らず、郊外の不動産も公開・掲載ができます。不動産事業に興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
また、限られた資金で効率的な不動産投資を始めたい方にも、空家ベースはおすすめです。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。









空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
アパート経営によって家賃収入を得ている個人事業主は増加傾向にあり、投資目的で不動産を購入し副業にする人も少なくありませんが法人化した方が良いケースもあります。
なぜなら個人と法人では課税所得に対する税率や経費計上の考え方、節税や相続税対策について違いがあるからです。
そのため家賃収入が一定以上のオーナーは法人化を検討することをおすすめしますが、法人化には注意点もあります。
この記事では不動産投資で法人化するタイミングと目安、判断基準、注意点について解説します。
これから賃貸経営の会社を起業する予定のある人は、参考にしてください。









不動産投資を個人で行う場合、サラリーマンであれば給与所得と不動産所得に対して税金が課せられます。
一方、法人化すると「法人税」「法人住民税」「法人事業税と特別法人事業税」「地方法人税」が課せられることになり、法人税等として課税されます。
このように不動産投資において個人と法人では課税内容が異なりますが、課税内容以外にも税率が違うという点にポイントがあります。
個人の税率は所得によって変動する累進課税となっており、法人の場合は年間の課税所得が800万円を超えるかどうかで税率が変動します。
税率の違いについて以下の表にまとめましたので、参考にしてください。
| 所得税及び法人税額 | 所得税率 | 法人税率(※) |
|---|---|---|
| 1,000円から195万円まで | 5% | 15.00%(800万円まで) |
| 195万円から330万円まで | 10% | |
| 330万円から695万円まで | 20% | |
| 695万円から900万円まで | 23% | |
| 900万円から1,800万円まで | 33% | 23.20% |
| 1,800万円から4,000万円まで | 40% | |
| 4,000万円から | 45% |
(※)資本金1億円を超える法人は23.20%、資本金1億円以下で年間の譲渡益が800万円以下の適用除外事業者は19%
【参考サイト:No.2260 所得税の税率|国税庁】
【参考サイト:No.5759 法人税の税率|国税庁】
個人事業主として不動産投資を継続するのか法人化するのか悩んでいる所有者は多いですが、所得の分岐点や事業拡大の検討、相続や贈与の発生など法人化を検討すべきタイミングがあります。
この章では法人化に踏み切るかどうかを判断するためのタイミングを紹介します。
サラリーマンをしながら不動産投資を行い、年収が約1,100万円前後になると所得が900万円を超えることになりますが、この所得範囲になると法人化がおすすめとなります。
なぜなら所得が900万円を超えると所得税率は33%、695万から900万の間であっても23%となり、法人化した場合の法人税率(800万以下は15%、800万円超は23.2%)の方が低くなる可能性が高いからです。
そのため確定申告で毎年所得金額をチェックし、900万円付近になっていれば法人化を検討すべきといえます。
ただし必ずしも法人化した方が良いわけではなく、法人化すると青色申告特別控除が使えなくなり、節税効果が小さくなることもあります。
青色申告特別控除は賃貸住宅が5棟10室以上の場合に65万円、それに満たない場合は10万円の控除を受けられる制度で、個人のみ適用されます。
さらに、給与所得の減収によって個人のままにした方が税率が安くなるケースもあります。
このことからも所得のみで法人化に踏み切るのはリスクが高く、注意が必要です。
サラリーマンとしての給与がなく専業大家として利益を得ている場合、不動産所得が330万円を超えると法人化することで税率を23%から15%にできます。法人税率は2015年に25.5%から23.9%、2016年に23.9%から23.4%、そして2018年以降の法人化については23.2%に変更となりました。
このように法人税率は下落傾向にありますので、一定以上の収入がある不動産投資であれば法人化がおすすめです。
ただし法人化するためには会社設立のための費用や司法書士への依頼料、法務局への登記申請費用などがかかりますので、少ない収入で法人化した場合は赤字になることもあり、注意点といえます。
【参考サイト:法人課税に関する基本的な資料 : 財務省】
投資物件を継続的に購入して事業規模拡大を見据えている人は、法人化した方が税率が低くなり純利益を増やすことができます。
個人の場合は累進課税により収入が増えると所得税は最大45%まで増加してしまいますが、法人化すれば最大23.3%です。
そのため収入が増加する前に法人化することで、高い節税効果を見込むことができます。
金融資産や株式など多くの資産を所有している場合は不動産を購入して法人化することで、相続税や贈与税を抑えることができます。
こうした個人資産を相続や贈与した場合、相続人や受贈者は税金を支払うことになりますが法人化していれば代表取締役が変更になるだけのため、相続税や贈与税は非課税です。
さらに相続においては金融資産が減ることになるため相続税を圧縮することができ、相続トラブルを未然防ぐという効果を期待できます。
資産が多いという理由で不動産投資をスタートして法人化する人も多いことから、相続や贈与の発生は法人化を検討するタイミングといえます。
不動産投資は法人化することで大きな節税効果を見込むことができますが、全てのケースで効果があるわけではありません。
家賃収入の状況によっては個人事業主のままにしておいた方が得になる場合も多く、法人化は慎重に判断すべきポイントです。
一度法人化してしまうと個人事業主に戻すには多くの工数と費用が発生しますので、この章で解説する「法人化しなくても良い場合」を事前にチェックしてください。
税金は利益に対して課税されるため、収支がマイナスの不動産投資であればそもそも課税されません。
このような経営状態であれば会社設立に必要となる費用や必要書類を準備して法人化するメリットは小さいといえ、個人事業主として黒字化を目指すことをおすすめします。
経営状態が良くなり個人の所得税よりも法人税の方が税率が安くなる収入になったタイミングで、法人化を検討することが大切です。
利益が出ていても課税所得が少ないのであれば、法人化による節税効果も小さくなります。
たとえば年間の収入が100万円の場合、個人の所得税は5%ですが法人税は15%と3倍になってしまい、330万円まで増えたとしても個人の所得税は10%のため法人税よりも安いです。
つまり、年間で330万円を確実に超える収益がないのであれば法人化による節税効果を活かすことができないといえ、経営圧迫の原因にもなりかねませんので注意が必要です。

不動産投資を個人事業主から法人に切り替えることにはメリットとデメリットがあり、正しく理解したうえで判断することが重要です。
この章では不動産投資を法人化するメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
法人化の代表的なメリットとして税率が安くなるという点があります。
個人の場合は所得に応じて所得税が変化する累進課税制度のため最大45%まで税率は上がりますが、法人化すると比例課税制度となり最大でも23.3%です。
つまり、不動産投資の規模が大きく収益性が高ければ高いほど法人化による節税効果は高いといえます。
また、法人化することで家族を役員にして所得を分散し、一人あたりの課税所得を下げるという方法も可能になります。
さらに相続や贈与が発生することによる相続税や贈与税においても、代表者が変更になるだけですので課税されることはありません。
これ以外にも不動産投資が赤字になった場合に繰越欠損金を利用して毎年の課税額を削減したり、社会的信用性が向上することで金融機関から融資を受けやすくなるという点も大きなメリットです。
不動産投資を法人化するメリットについては以下のサイトに詳しく記載していますので、チェックしてください。
【不動産投資で法人化するメリットとは?方法や注意点を徹底解説】
不動産投資で法人化する場合、開業するのに実印や必要書類の作成、法務局や公証役場への提出など工数とコストがかかってしまいます。
法人化に慣れている人であればすぐに用意できる準備ですが、初めての人にとっては非常に手間がかかる作業となっており、何度も役所へ出向かなければならないことも少なくありません。
また、代表者が司法書士や会計士の資格を所有していなければ所有権移転や確定申告について専門家に依頼することになり、毎年費用が発生してしまいます。
このように法人化することで個人事業主の時にはなかったコストが発生することもありますので、注意が必要です。
さらに、法人化してしまうと不動産を将来売却する場合は所有期間によって損をすることがあります。
不動産を売却した場合は譲渡所得税が発生し所有期間によって税率が異なり、5年以下の場合は短期譲渡所得の39.63%が適用され5年を超えると長期譲渡所得の20.315%が適用されます。
しかしこの税率は法人では適用されず、どのタイミングで売却しても税率は約22%です。
つまり、所有期間が5年を超える不動産を売却する場合は法人化の方が不利になるといえ、デメリットといえます。
不動産投資で法人化するデメリットについては以下の記事に詳しく記載していますので、チェックしてください。
【不動産投資で法人化するメリットとは?方法や注意点を徹底解説】
【参考サイト:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁】
不動産投資で法人化する具体的な流れは、次のようになります。
スムーズに準備ができるよう、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
社名は原則自由に決めることができますが、特殊記号や社会通念上問題のある社名にすることはできませんので、注意が必要です。
また、既に存在する会社に似すぎている場合や「〇〇銀行」など特定の法人でしか使えない社名も登録できない可能性が高いです。
そのため社名はいくつか候補をピックアップし、事前に問題ないかインターネットで検索することをおすすめします。
所在地は原則どこでも決めることができ、自宅やレンタルオフィスでも問題ありません。
なお、法人住民税は所在地のある自治体に納税することになりますので、地域貢献したいエリアに所在地を設定するという人もいます。
資本金は会社が事業を運営するうえで元手となる資金となっており、1円から設定することができます。
資本金は1円から設定できますが、資本金が多い会社は社会的信用が高くなり金融機関の融資が好条件になりやすいので、10万円から1,000万円の間で設定されることが多いです。
ただし資本金が1億円を超えると法人税の税率が一律23.2%となり、収入によっては不利な税率になることもありますので注意が必要です。
発起人とは会社設立のためのアイデアや資金を出す人のことで、約款の作成や設立手続きを担います。
人数に制限はないため複数人を発起人にすることができますが、複数の場合はトラブル防止のために役割分担や出資額を事前に決めておくことが必要です。
法人化するうえで株式会社を設立する場合、取締役を必ず1名以上専任しなければなりません。
取締役は会社の業務執行に関する意思決定を行う重要な役割を担っており、重要なポジションです。
そのため複数人で法人化する場合は取締役の役割を全員が理解し、専任することが大切です。
なお、合同会社の場合は取締役を専任する必要はなく、代表社員が意思決定を行います。
会社実印は法人登記や重要な契約書に使用される会社の正式な印鑑です。
印鑑証明書の発行や、不動産売買、融資などで利用する必要があり、不正防止のためにも使用者は限定しておくことをおすすめします。
法人化するために必要な書類は次の通りです。
非常に複雑な内容の書類もありますが、司法書士や自治体のサポートを受けながら作成することでスムーズに準備を進めることができます。
定款:法人の組織や運営に関する根本的な規則を定めた書類となっており、公証人の認証が必要。
登記申請書:法務局に登記を申請する書類のことで、不動産登記と会社登記の2種類がある。
就任承諾書:会社役員に就任したことを証明する書類。所定のフォーマットはないが専任日と会社名、発起人と本人の署名押印が一般的。
印鑑届出書:会社の実印を法務局に登録するために提出する書類。
資本金払込証明書:資本金が支払われたことを証明する書類。通帳のコピーを用意するのが一般的。
取締役の印鑑証明書:取締役個人の印鑑証明書。取得から3ヶ月以内の書類が有効となる。
登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙:印紙を貼付する台紙。所定のフォーマットはないがA4の白紙を用意するケースが多い。
必要書類の準備が完了すると公証人に約款の原本に押印してもらい、認証を受けるために公証役場へ行きます。
そして認証を受ければ法務局に会社設立の申請と会社実印の登録を行い、受理されると数週間で登記が完了となります。
法人化の流れについては以下の記事に詳しく記載されていますので、チェックしてください。
【不動産投資で法人化するメリットとは?方法や注意点を徹底解説】
不動産投資を個人事業主から法人に切り替えることで税率が有利になったり様々な節税方法を活用できるようになりますが、タイミングを間違えると大きな損失に繋がることもあります。
法人化のタイミングは年間所得がポイントとなっており、年収が900万円もしくは専業大家なら330万円を超えると法人化した方が税率は安くなる可能性が高いです。
そのため確定申告の際には年間所得がどのくらいになっているのかをチェックしておくことで、法人化の目安を知ることができます。
また、法人化するためには多くの必要書類を準備する必要があり、さらに手続きも複雑です。
慣れていなければ何度も公証役場や法務局に出向かなければなりませんので、どのような手続きが必要になるのかなるべく早い段階で調べておくことをおすすめします。









空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
不動産売却において税負担は大きなポイントとなりますが、法人と個人では税金の種類や課税の仕組みが違いますので、注意が必要です。
具体的な計算式や内容を理解しないまま法人化し、大きな損失が発生してしまうケースも少なくありません。
このような失敗をしないためにも、不動産売却に関連する税金について詳しくチェックしておくことが大切です。
また法人は節税に使える方法が多く、利用できる税金対策を把握しておくことも重要です。
この記事では不動産売却における法人と個人の税金について、解説します。
よくある質問も紹介しますので、法人化を検討している人は参考にしてください。
不動産を売却した場合、個人と法人のどちらも収入から必要経費を差し引いた所得部分に税金が課せられますが収入の範囲が異なります。
たとえば個人の場合では不動産の譲渡益は給与所得に合算されることなく、分離課税として処理されます。
一方、法人の場合は他の収入と合算して課税されるという仕組みになっています。
このような違いを押さえておくことで想定外の納税を防ぐことができます。
個人の場合、不動産の売却価格が収入で売却時と購入時の諸費用と不動産の購入費用が経費です。
また、個人は不動産の売却益を譲渡所得として扱いますが、これ以外にも給与所得や事業所得、雑所得、一時所得など細かく分類されています。
その点、法人は所得の分類分けはなく全体の所得として一括計算され、経費も合算して計算されます。
法人税は定率課税であるため、個人のような細かな所得段階がありません。
このように不動産を売却した際の計上方法と経費の考え方が、大きな相違点です。
なお、不動産売却について国税庁からは節税に使える特別控除が多数公開されていますが、個人が対象となっている制度がほとんどです。
法人が売主の場合は使えない制度が多いので、注意が必要です。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定の対象について他の所得から控除できる仕組みのことです。
不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得が対象となっており、たとえば3億円の不動産所得と2億円の事業所得損失が発生した場合は1億円を課税対象とすることが可能です。
ただし個人の場合は譲渡所得のみ損失通算することができ、他の所得から控除することはできません。
不動産Aと不動産Bの譲渡所得は損益通算できますが不動産Aと給与所得は損益通算できませんので、慎重に計算する必要があります。
【参考サイト:No.2250 損益通算|国税庁】
法人が不動産売却する際には「法人税」「法人住民税」「法人事業税と特別法人事業税」「地方法人税」が課税され、まとめて「法人税等」と呼ばれます。
「土地等の譲渡益に対する追加課税」という税金もありますが、企業が保有する土地の取引を活性化するために2026年3月31日まで停止されています。
そのためこの章では「土地等の譲渡益に対する追加課税」を除く税金について詳しく解説しますので、参考にしてください。
【参考サイト:土地等の譲渡益に対する追加課税制度(重課)の停止期限の延長】
法人税は法人の所得全般に課せられる税金となっており、不動産を売却した場合も対象です。
また、売却理由が事業目的でなくても課税されるという特徴があり、収益から経費を差し引いた額が課税額となります。
収益は不動産の売買価格が該当し、経費は売却にかかった諸費用が該当するため課税額は次の計算式で算出できます。
たとえば売買価格が3,000万円で経費が2,000万円だった場合、1,000万円が課税額です。
法人税の税率は課税額や法人の資本金、法人形態によって次のように異なります。
適用除外事業者とは過去3年間の所得が15億円を超える法人のことで、国税庁により判定されます。
【参考サイト:No.5759 法人税の税率|国税庁】
法人の事業所がある自治体に対し法人住民税を支払う必要があり、「都道府県民税」と「市町村民税」の2種類があります。
法人住民税は法人税割と均等割をそれぞれ計算する必要があり、法人税割は法人税額に対して都道府県民税1%、市町村民税6%の税率を掛け合わせて計算することができますが、均等割は法人の資本金や従業員、自治体によって税率が異なります。
また、法人税割は課税所得がない場合は課税されませんとなりますが均等割は必ず課税されるため、注意が必要です。
法人事業税は法人の事業に対して課税される税金のことで、法人税は国税であるのに対し法人事業税は地方税です。
課税所得と税率を掛け合わせて計算しますが、税率は法人形態や事業開始年度によって変動しますので、事業開始前に最寄りの自治体で確認することをおすすめします。
特別法人事業税は令和元年10月1日以後に開始する事業年度の申告に適用され、基準法人所得割額もしくは基準法人収入割額が課税額となります。
どちらの事業税も収支がプラスであれば課税され、マイナスであれば免税となる特徴があります。
地方法人税は自治体による税収の格差を埋めることを目的とした税金となっており、2014年に新設されました。
税額は法人税に税率10.3%を掛け合わせて計算することができ、納税された税金は国から自治体に分配されます。
そのため地方法人税は地方税ではなく国税という扱いになります。
なお、地方法人税は法人事業税の一部を分離して国に納めることになりますので、トータルの税負担は変わりません。
個人で不動産を売却する場合、譲渡所得税がかかります。
不動産の売却価格に応じて課税額が増えてしまう税金となっていますので、不動産売却を検討する人は必ずチェックしておくべきポイントです。
この章では譲渡所得税の課税額を計算する方法と税率の決まり方について、解説します。
不動産を売却して発生した利益は「譲渡所得」という扱いになり、譲渡価額から諸費用を差し引いた価額に対して税率を掛け合わせたのが譲渡所得税です。
売却益が課税対象となり、購入した金額よりも下回る金額で売却するなど利益が発生しなければ課税されませんが、プラスになれば支払わなければならない税金となります。
そのため、不動産を売却する際には売却だけでなく購入時の金額や税額についても調べておくことが重要です。
譲渡所得税の税率は所有期間によって異なり、5年以内であれば短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得となり税率は次の通りです。
たとえば課税額5,000万円の場合、税額は短期譲渡だと約1,982万円、長期譲渡所得だと約1,016万円となります。
譲渡所得税は不動産の引き渡し日の翌年に確定申告を行い納税額が計算されるため、支払いタイミングも翌年になるという注意点があります。
なお、居住用財産の売却や相続取得した不動産の売却については特別控除があり、適用できれば節税になるケースも多いです。
【参考サイト:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁】
【参考サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁】
売主が法人、個人のどちらであっても発生する税金として「消費税」がありますが、全てのケースで課税されるわけではありません。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。
消費税は商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金として位置づけされており、非課税として定められている取引もあり、不動産取引においては土地の譲渡や貸付は対象となりません。
ただし土地の売却を仲介業者に依頼した場合は仲介手数料が発生し、消費税が課税されますので注意が必要です。
なお、仲介手数料の上限は国土交通省によって定められており、計算方法は次の通りです。
不動産売買契約書には印紙を貼付する必要があり、契約時に印紙を用意するのが一般的です。
印紙の代金は売買代金によって次のように異なりますので、慌てて準備することがないよう事前に確認しておくことをおすすめします。
| 売買価格 | 印紙代 |
|---|---|
| 10万円を超え50万円以下 | 200円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 500円 |
| 100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 30,000円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 60,000円 |
| 5億円を超え10億円以下 | 160,000円 |
| 10億円を超え50億円以下 | 320,000円 |
| 50億円を超える | 480,000円 |
【引用サイト:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁】
なお、印紙は契約書の原本に貼付するためコピーには課税されません(貼付不要)。
所有権移転登記を行う際、課税額の2%を登録免許税として所有権移転登記のタイミングで納税しなければなりません。
課税額は固定資産税評価額の百円未満を切り落とした金額となり、譲渡した物件の売却価格とは異なりますので、注意が必要です。
地域によっては買主が全額負担したり売主と折半するケースもありますので、売却を依頼する不動産会社にあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
なお、令和8年3月31日までに所有権移転登記した場合は税率が1.5%となります。
【参考サイト:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁】
不動産の売却益が多ければ多いほど税金も高くなるため、節税できる方法は必ず知っておく必要があります。
特に不動産投資を法人として継続する場合は1案件あたりの納税額を抑えることでトータルの利回りが良くなり、収支を安定させられるようになります。
この章では法人が活用できる代表的な節税方法を紹介します。
不動産を売却した同年に新しく不動産を購入することで利益を相殺し、課税所得を圧縮する方法があります。
この方法であれば節税と同時に資産価値のある不動産を所有できますので、法人全体としても資産を担保することができます。
ただし購入する不動産が安いと利益を相殺できずに課税されることもありますので、物件の選定は重要です。
さらに不動産の購入費用は減価償却費となり、償却期間で案分した額を計上するため一括計上できないことになります。
その結果、思ったよりも節税できなかったというケースもありますので、慎重に判断することをおすすめします。
特別控除や特例は個人向けの内容が多く法人が利用できる制度は少ないですが、以下の特例は利用できる可能性があります。
そのため事前に適用要件を満たしているか確認することが大切です。
| 利用できる制度 | 内容 |
|---|---|
| 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除 | 土地の区画整理事業などに土地を売却し、一定の要件を満たす場合に利用できる制度。2,000万円までの控除を受けられる。 |
| 特定の長期所有土地等の所得の特別控除 | 平成21年および平成22年に取得した長期所有土地等を売却した場合、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合であれば1,000万円までの控除を受けられる。 |
| 収用換地等の場合の所得の特別控除 | 収用権が認められている公共事業のために不動産売却をした場合、5,000万円までの控除を受けられる。 |
【参考サイト:措置法第34条《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》関係|国税庁】
【参考サイト:No.5451 平成21年及び平成22年に取得した長期所有土地等の1,000万円特別控除|国税庁】
【参考サイト:第65条の2 《収用換地等の場合の所得の特別控除》関係|国税庁】
役員に支払う退職金は経費として扱うことができますので、一時的に報酬を増やすことで節税することは可能です。
ただし社会保険料や住民税が増えてしまいますので、慎重に判断する必要があります。
さらに退職金には退職所得という税金が発生し、次の計算で算出することができます。
退職所得控除額は40万円×勤続年数で計算することができ、勤続年数が20年を超えている場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)で計算することができます。
この控除により退職所得が発生しないケースもありますが、報酬を増額しすぎてしまうと控除額を超えてしまうこともあり、注意が必要です。
パソコンや複合機の購入や社用車の購入、オフィスのリフォーム、オンラインツールの導入といった設備投資は経費として計上できますので、節税効果が見込まれます。
減価償却による案分計上となるため購入費用全てを経費として扱うことはできませんが、社内環境を整えると同時に節税できますので、おすすめの方法です。
また、中小企業投資促進税制を利用することで設備投資の一定額を特別償却することができます。
この制度は平成10年6月1日から令和7年3月31日までの期間内で一定の条件を満たす取得費用の一定額を特別償却または税額控除できる制度となっており、特別償却なら取得価額の30%を普通償却限度額に加算することができ、税額控除なら7%を控除できます。
このように日常業務に必要な設備の購入を節税に組み込む方法は節税効果も高いことから、検討しておきたい方法といえます。
繰越欠損金とは翌年度に繰り越しされた損失のことで、損益通算のように毎年節税できるという点がメリットです。
たとえば法人の売上が3,000万円の会社が9,000万円の損失が発生する不動産取引を行った場合、6,000万円の赤字になってしまいますが2年目は6,000万円を超える売り上げがなければ利益がないとみなされ、法人税等の一部が課税されません。
さらに3年前以降も損失をカバーできなければ繰越欠損金を継続することができ、最大10年間利用可能です。
このように、法人は特別控除や特例が少ない代わりに個人では利用できない節税方法があります。
【参考サイト:No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁】
不動産売却で発生した売却益は法人税等を増加させる原因となることから、翌年移行の経営に大きな影響を与えてしまうこともあります。
そのため役員に無償譲渡したり相場よりも極端に安い価額で売却し法人税を安く抑えるという会社もありますが、余計に税金が増えてしまうこともありますので注意が必要です。
極端に安い不動産取引の例として譲渡価格が時価の50%未満というケースがあり、低額譲渡として扱われます。
低額譲渡は譲渡を受ける側が法人なのか個人なのかで法人税の計算方法が異なり、次のようになります。
売主側は時価で売却したとみなし、実際の売却額との差額は損益不算入として扱う。買主側は差額を受贈益として扱う。
法人から個人の場合:売主側は時価で売却したとみなし、実際の売却額との差額は損益不算入または給与として扱う。買主側は差額を受贈益として扱い、一時所得もしくは給与所得として税金計算する。
損益不算入とは経費に含めることができない損失という意味で、損益不算入が多いと法人税等が増加してしまいます。
また、受贈益は無償や低額で法人が資産を譲り受けた際に使用する収益勘定となり、特別利益として法人税の課税対象です。
つまり、低額譲渡を行った場合は売主側と買主側のどちらも増税になるリスクがあるといえますので、法人が不動産を売却する際には売却額を慎重に判断する必要があります。
この章では法人が不動産売却をする際によくある質問を紹介します。
法人は損失を区分することなくトータルで計算するため、損失の計算はしやすいという特徴があります。
個人の場合は譲渡所得税の特別控除や特例が用意されていますが、法人は不動産の新規購入や設備投資、繰越欠損金の利用、役員退職金に充当するなど節税方法は多岐にわたります。
法人の損失はこのような節税方法に該当することが多いことから、利益の損失は必ずしも負債とはいえないことが分かります。
宗教法人や学校法人などは公益法人となり、収益事業を除く所得は全て法人税等の課税外です。
そのため法人税等が課されない形で売却できることもありますが、非課税となるのは法人税等であり消費税や印紙税、登録免許税など法人税等以外の税金は課税されます。
なお、宗教法人が不動産を売却する際には責任役員の議決や総代の許可、檀家への説明などが必要となり、税金以外の費用が発生することも多いため注意が必要です。
個人名義の場合、不動産売却における譲渡所得税は39.63%、20.315%、14.21%のどれかになります。
一方、法人の場合は30%前後になるため、税率が低いのは個人名義です。
ただし個人名義では譲渡所得は譲渡所得としか損益通算することができず、不動産売却がマイナスになっても節税することができません。
その点法人は全ての収支を合算して計算することができますので、不動産売却がマイナスになった場合は経費が増え、法人税等の課税額が減ることになります。
そのため収益がマイナスになる場合は法人名義、単発かつ売却益が発生する場合は個人名義の方が節税効果は高いことが分かります。
不動産売却をする際の税金において個人と法人では考え方が異なり、税金の種類も個人は譲渡所得だけですが法人は複数あります。
ただし個人と法人のどちらにも共通して課税される税金もあり、不動産の売却価格や売却益によっては税額が高額になってしまうこともあります。
そのため個人であっても法人であっても、節税に利用できる特別控除や特例、制度を調べておくことが大切です。
特に法人は新しい不動産の購入や設備投資、繰越欠損金の利用など様々な対策ができますので、最適な収支計画になるように情報収集することがポイントです。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
賃貸経営をするうえで資格は必ずしも必要ではありませんが、不動産関連の資格を取得しておくことはメリットも多く、オススメです。
不動産経営は専門的な知識や経験が必要となるため管理組合や管理会社に運営を任せっぱなしになることも多いですが、管理の基礎知識を勉強しておくことでより主体的に資産運用できるようになります。
そのため賃貸管理において不動産の資格は重要な役割を担っているといえますが、資格によって難易度が異なるという注意点があります。
合格率の低い資格では合格するまで長い時間、工数と費用を費やすことになりますので、資格の特徴を知っておくことが大切です。
この記事では不動産オーナーとして取得しておきたいおすすめの資格について、解説します。
資格が必要なケースと不要のケースについても紹介しますので、マンション経営などをこれから検討する人は参考にしてください。









賃貸経営に必須の資格はありませんが、資格の取得を検討しているオーナーは多いです。
その理由として資格を保持することで不動産投資に大きなメリットがあり、安定して経営できる可能性を高めることができるからです。
この章では不動産投資で資格が注目される2つのポイントを紹介します。
金融機関から融資を受ける場合、不動産オーナーは賃貸経営の「経営者」として評価されます。
その際に不動産関連の資格を所有していれば信用度が向上し、好条件で融資を受けられるようになることもあります。
また、資格を取得する過程で得られる専門的知識は不動産会社と同等であることから、管理会社に任せっきりだった管理部分を自分で対応できるようになります。
これにより管理会社に依頼する管理業務が少なくなり、管理料の交渉がしやすくなることも少なくありません。
これ以外にも、不動産会社の営業トークが本当かどうか見極められるというメリットもあります。
このように不動産投資をよりスムーズに進めたい人に、不動産関連の資格取得はおすすめです。
たとえば宅地建物取引士の資格を取得していれば物件を購入する際に説明を受ける重要事項説明書の内容をあらかじめ把握することができ、契約不適合責任免責などの潜在的リスクがないか見極めることができます。
また物件を購入し賃貸経営をスタートした後に家賃滞納が発生した場合、マンション管理士や賃貸不動産経営管理士などの知識があれば泣き寝入りすることなく支払督促や少額訴訟といった選択肢を検討することができます。
不動産投資は予想外のトラブルが発生した際に、対応を間違えれば損害が出てしまうこともありますので、不動産関連の資格を取得し適切なリスクへの対策を講じられるようにしておくことが大切です。
資格を取得しておくことで不動産投資がスムーズになるというメリットはありますが、必ずしも資格が役立つわけではありませんので、注意が必要です。
この章では不動産投資をするうえで資格を取得した方が良いケースと不要なケースについて、解説します。
たとえばマンション1室や1戸の戸建てを賃貸に出すなど、経営の規模が小さい場合は資格を取得する必要性は高くないといえます。
なぜなら不動産投資の規模が小さければリスクも低くなり、管理会社に任せなくても実践的な勉強で習得できる知識で十分だからです。
時間と費用をかけて資格を取得しても小規模の不動産投資であれば知識を活かす場面は少ないため、資格なしで経営するオーナーも多いです。
不動産投資の規模を拡大し複数の物件を同時に管理する場合は、不動産管理や資産形成に役立つ資格を取得した方が良いです。
管理物件が多いほど家賃回収や修繕計画など管理業務が複雑になり、管理会社に一任する部分が増えてしまいます。
しかし管理の実態が分からなければ管理内容が適切なのか判断することができず、トラブルが発生してから問題に気づくこともあります。
このような失敗を防ぐためにも不動産の管理には積極的に参加する必要があり、そのためにも専門的知識を有しておくことが重要です。
この章では不動産投資に役立つ国家資格を6つ、紹介します。
国家資格は民間資格よりも難易度が高いですが、取得できれば信用度は高くなり実務に必要な知識を習得することができます。
そのため資格の取得を考えるのであれば、まずは国家資格から検討してみることをおすすめします。
宅建士は不動産全般の知識を習得できる資格として有名で、不動産会社に入社した新入社員がチャレンジする資格です。
不動産取引に関連する民法や宅建業法、法令上の制限などについて理解することができ、仲介手数料の計算方法や具体的な民法上のトラブル対策を知りたい人に向いています。
受験者は多く毎年20万人以上が受験しており、合格率は15%前後とされています。
受験料も7,000円と国家資格の中では比較的安いため、何度もチャレンジする不動産オーナーもいます。
【参考サイト:一般財団法人不動産適正取引推進機構】
賃貸住宅に関する知識や実務的技能を習得するための資格となっており、賃貸住宅を経営する会社は必ず資格者を置かなければなりません。
合格率は30%近くと比較的高く、不動産投資を始めたばかりの人でも取得しやすいという特徴があります。
賃貸不動産経営管理士を取得すると入居募集から退去手続きの流れや設備の専門知識、賃貸経営に関連する税金全般について理解できるようになることから、不動産オーナーに向いている資格といえます。
【参考サイト:賃貸不動産経営管理士】
マンション管理士はマンションの構造など技術的な知識を習得できる資格ですが、同時に管理組合の仕組みや管理規約、使用細則の内容を理解できるようになります。
賃貸経営の規模が大きくなると複数の管理会社に管理を依頼することになりますが、経営者である以上は管理内容をある程度知っておくことが大切です。
特に管理規約と使用細則は入居者を募集する際に重要なポイントとなっており、ペット飼育不可や楽器の演奏時間などに定めがあればあらかじめ把握しておく必要があります。
試験内容は宅建士とよく似ていますが合格率は10%以下と難易度は高めのため、しっかりと準備をして受験することをおすすめします。
【参考サイト:マンション管理士】
マンション管理士はマンションの維持管理に関する知識を習得できる資格ですが、管理業務主任者はマンション管理についてアドバイスできるようになります。
管理受託契約に関連する重要事項説明や報告に必要な資格のため管理会社に勤める多くの社員が保有していることから、管理会社と対等に管理方法について協議したい人におすすめの資格です。
合格率は20%前半と高いことから、一番最初にチャレンジする不動産オーナーも多いです。
【参考サイト:管理業務主任者とは】
不動産の経済価値を判定する国家資格となっており、不動産の利用や取引、投資に関するコンサルティングなどを目的とした資格です。
固定資産税や相続税の算出根拠となる公示価格や評価額を計算することができ、取得できれば非常に高度な不動産査定を実施できるようになります。
会計や財務、経営学についても勉強することができますので不動産のプロも取得を目指す資格です。
ただし難易度は非常に高く合格率は5%前後となっていますので、他の資格を先に取得した後にチャレンジすることをおすすめします。
【参考サイト:土地・不動産・建設業:不動産鑑定士試験 – 国土交通省】
不動産登記、商業登記のほか、民事訴訟法などについて幅広く知識を習得できる資格となっており、宅建士やマンション管理士と合わせて取得できれば不動産経営に関連する知識を網羅することができます。
不動産登記を自分で手続きできることから大きなコストダウンを見込むことができ、取得を目指して勉強している不動産オーナーも多いです。
合格率は3%前後と非常に難易度が高いことから、数年かけて準備することをおすすめします。
【参考サイト:日本司法書士会連合会】
国家資格でなくても不動産投資に役立つ民間資格はありますので、国家資格と合わせてチェックしておくことが大切です。
この章では不動産投資におすすめの資格を8つ、紹介します。
一般財団法人日本不動産コミュニティーが運営している不動産実務検定は1級と2級があり、金融機関の融資や賃貸経営のリスク、家賃アップの方法、不動産投資のステップなどを具体的に知ることができます。
不動産投資の実務的な知識やマンションの基礎的な施工管理技術を把握したい人に向いていることから、賃貸経営に特化した知識を習得したい人に適した資格です。
【参考サイト:不動産実務検定】
投資不動産取引士は一般社団法人投資不動産流通協会が運営しており、投資用不動産売買におけるコンサルティングや売買仲介業に必要な知識を習得できる資格です。
民法や区分所有法、不動産の鑑定評価など宅建士の試験と内容はよく似ていますが難易度は低めであることから、投資不動産取引士から勉強を始めるオーナーも多いです。
【参考サイト:投資不動産取引士】
ファイナンシャルプランナーはお金に関する知識を習得できる資格となっており、不動産投資の規模が大きくなると必要になる税金対策や収支計画の立案に役立ちます。
また不動産投資以外にも保険や相続の基礎的な知識を身につけることができるようになることから、不動産会社や保険会社の社員も積極的にチャレンジしている資格です。
収支の仕組みだけでなく確定申告の詳細を理解できるようになりますので、納税額が予想外に高くなるなどのストレスがなくなります。
FPは3級から1級までありますが難易度が大きく異なり、3級は難易度が低く合格率は高めです。
ただし実務的な計算や節税対策の内容を理解したいのであれば、2級以上のFPを取得することをおすすめします。
【参考サイト:ファイナンシャル・プランナー(FP)とは | 日本FP協会】
簿記は不動産の収益を計算して整理し、帳簿にまとめるために必要な知識を習得することができます。
個人事業主として青色申告をする場合は複式簿記による計算書類を提出しなければならないため、知識がないと会計士に依頼せざるを得なくなってしまいます。
その点、簿記の知識があれば自分で作成できますので、コストダウンできるというメリットがあります。
簿記は3級から1級までありますが、固定資産の減価償却や財務諸表の作成など不動産投資に必要な知識だけ習得したいのであれば3級でも十分です。
そのため不動産投資を始める段階で簿記3級を取得しておくことも、安定した賃貸経営のために重要なポイントといえます。
【参考サイト:簿記 | 商工会議所の検定試験】
ホームインスペクターは住宅全体の劣化などをチェックし、報告書にまとめられる資格です。
住宅診断士ともいわれ、不動産売却で売主が物件の状況を把握するためにホームインスペクションを依頼することは多いです。
不動産投資と直接的な関係はありませんが、建物のチェック方法やメンテナンス方法を知っておくことはオーナーとして重要です。
【参考サイト:日本ホームインスペクターズ協会】
住宅ローンアドバイザーは住宅ローンに関連する知識を習得することができ、一般財団法人住宅金融普及協会では次のような資格だと説明されています。
住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザーは、お客様が最適な住宅ローンを選択することができるように、消費者保護や説明責任を果たし、住宅ローンについての正確な商品知識、リスク、情報などを、アドバイスする資格者です。
住宅ローンと投資ローンは審査基準が異なりますが、審査の仕組みはほとんど同じです。
そのため、金融機関の融資が好条件になるポイントを勉強できる資格といえます。
【参考サイト:住宅ローンアドバイザー】
土地活用プランナーは土地活用の専門家として空き地や休耕地などを活用するアドバイスができる資格となっており、土地を所有している投資家にとって必要な知識を習得することができます。
公益社団法人東京共同住宅協会によると、土地オーナーが土地活用プランナーを取得することに対して次のような説明があります。
土地活用の際には、多くの業者からの提案を受けることになります。もし、不適切な提案を鵜呑みにして誤った土地活用を進めてしまえば、借入金の返済もままならず取り返しのつかない事態となってしまいます。しかし、この資格を学ぶことで、その提案が本当に確かなものかどうか、土地オーナー様ご自身が判断できるようになり、自己防衛が可能になります。
このように、土地の活用方法についてリスクを下げ、安心安全な投資をするために土地活用プランナーの資格は活用できることが分かります。
【参考サイト:土地活用プランナー】
サブリース建物取扱主任者はサブリース賃貸契約における知識を習得できる資格です。
サブリースとは不動産オーナーが所有する物件を不動産会社が借り上げ、それをさらに別の入居者に転貸する仕組みのことです。
一括借り上げ方式とも呼ばれるこの仕組みは空室による家賃収入減少のリスクを軽減できるため、多くのオーナーが利用しています。
その一方でサブリース契約は簡単に解約できないうえに家賃のコントロールをオーナーができないため、仕組みを理解していないことでトラブルに巻き込まれることも多いです。
サブリース建物取扱主任者を取得することでサブリースのメリットとデメリットを正しく理解できるようになり、サブリース会社との交渉もしやすくなります。
そのため複数の不動産を投資目的で保有しサブリース契約を締結しているオーナーにとっては、おすすめの資格です。
【参考サイト:サブリース建物取扱主任者】
不動産関連の資格は不動産会社の社員が取得を目指す内容となっていることから、勉強することで専門家として不動産投資を行えるようになります。
しかし資格取得には時間とお金がかかりますので、資格取得以外の学習方法も知っておく必要があります。
この章では資格取得以外に押さえておきたい不動産投資の学習方法について、解説します。
投資家コミュニティでは多くのメンバーが有益な情報を交換しており、資格のテキストからは学べないような実践的知識を簡単に得られます。
特に金融機関からの融資を通りやすくする方法などの情報は多いため、チェックしておくことをおすすめします。
投資家コミュニティ以外にもYouTubeなどで不動産投資セミナーが開催されており、基礎的な知識を無料で習得することができます。
ただし投資家コミュニティと不動産投資セミナーでは必ずしも正しい情報だけでなく、詐欺行為や違法にあたる行為が含まれている場合もあるため、注意が必要です。
不動産会社や司法書士といった専門家は不動産投資家と密に連絡を取り、仕事の依頼を受ける関係性のため様々な情報を持っています。
そのため、独学で進めることに不安を感じる場合はこのような専門家に相談することが大切です。
最新の税金対策や市況など、不動産投資に活かすことができる情報を得られることもあります。
こうしたブレインがいることで安定した賃貸経営を実現できますので、信頼できる専門家を見つけることも重要だといえます。
不動産投資をするうえで必ず取得しなければならない資格はありませんが、資格を取得しておくことには多くのメリットがあります。
不動産関連の資格を取得すると賃貸管理や税金、設備の修繕について理解することができ、管理会社に任せず主体的に運営できるようになります。
その結果管理会社と対等に交渉できるようになったり、賃貸経営の経営者として金融機関からの信頼度が向上し、好条件での融資を期待できるようになります。
ただし資格によっては難易度が高く、不動産のプロでも数年間勉強しなければならないことも多いです。
そのためまずは資格の特徴と費用、大まかな勉強時間を確認し、自分にとって必要な知識を得られる資格からチャレンジすることをおすすめします。









空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
戸建て賃貸投資は、初期費用を抑えながら安定した家賃収入を狙える不動産投資の手法です。
近年、アパートやマンションの供給過多が進む一方で、賃貸ニーズの多様化により一戸建て住宅を借りたいという需要が高まっています。こうした背景から、戸建て賃貸経営の安定性や将来性に注目が集まっています。
とくに、一般的な会社員として働く方が副業で資産形成をしたい場合や、少ない自己資金で不動産事業を始めたい方には有効な選択肢です。金融機関からの大きな融資が難しいケースでも、空き家を活用した戸建て投資なら数十万円から始められる場合もあり、参入障壁の低さも魅力の一つです。
本記事では、戸建て賃貸投資のメリット・デメリット、利回りや費用、そしてどのような人がこの投資に向いているのかを詳しく解説します。
投資リスクを抑えつつ着実な家賃収入を得る方法として、戸建て賃貸投資の基本情報を熟知し、良質な物件選定と投資計画の立案を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。









戸建て賃貸投資は、不動産投資を始めたい方にとって魅力的な選択肢です。アパートやマンションといった集合住宅の経営と比べて、近年とくに注目度が高まっています。
以前は土地活用として非効率と見なされることもありましたが、現在は賃貸ニーズの多様化やアパートの供給過多を背景に、その安定性が再評価されています。
戸建て賃貸投資では、比較的少ない初期投資で始められるうえ、安定的な家賃収入や将来的な資産価値の維持も見込める点が大きな魅力です。
戸建て賃貸投資は、アパートやマンションよりも建築費を抑えやすい傾向があります。
たとえば、土地をすでに所有している場合には、1,000万円台から新築することも可能です。これは、アパートやマンションの建築費(数千万円〜1億円以上)と比べて、かなり低額です。
また、空き家を活用すれば建築費をかけずに賃貸経営を始められます。中古戸建ての中には、数百万円台で購入できる物件もあり、初期コストを抑えやすい点が特徴です。
そのため、一般的な会社員の収入でも副業として不動産経営を始めやすく、資金的なハードルが低い投資手法といえます。
少ない資金でリスクを抑えて始めたい方にとって、戸建て賃貸投資は有力な選択肢です。
戸建て賃貸投資は、入居期間が長くなりやすく、安定した収益を得やすい特徴があります。
主な入居者層はファミリー世帯であり、子どもの就学期間を考慮して引っ越しを控える傾向があるためです。入居が長期化すれば、空室期間を最小限に抑えられ、家賃収入が安定しやすくなります。
また、入居者の入れ替えが少ないことから、原状回復費や広告費などのコストも削減できます。クロスや床材の張り替え、仲介手数料などの支出が減るため、アパートと比べて運用コストを抑えやすいのもメリットです。
結果として、長期的に収益性を高める経営が実現しやすくなります。
戸建て賃貸は供給数が限られており、空室リスクを抑えやすいという利点があります。
アパートやマンションと比較すると流通量が少なく、「戸建てに住みたい」というニーズを持つ入居希望者にとっては希少な存在です。特に、プライバシーを重視する世帯や、子どもの教育環境・ペット飼育に配慮したいファミリー層にとって、戸建ては魅力的な選択肢となります。
こうした入居者層に訴求できる物件であれば、競合が少なく、継続的に入居が決まりやすくなります。結果として、賃貸経営における安定性を高められる点が、大きな強みです。
戸建て賃貸投資は、郊外や地方でも安定した賃貸需要が見込めます。ファミリー層を主な入居ターゲットとしているため、駅からの距離よりも教育環境や生活環境の快適さを重視する傾向があります。
この特性により、アパートやマンションでは不利とされる立地でも、入居者を確保しやすくなる点が強みです。
特に、駐車場を2台以上確保できる戸建ては、車社会の地域で高い需要があります。
さらに、狭小地や地型に難のある土地、方位が不利な場所でも活用しやすいため、柔軟な土地活用が可能です。
このように、幅広い条件の土地で収益化を目指せる点が、戸建て賃貸投資の魅力のひとつです。
戸建て賃貸投資は初期費用が抑えやすく、利回りが高くなる傾向があります。
年間家賃収入を物件価格で割った利回りの目安として、戸建ては7%前後とされており、条件次第では10%以上も狙えます。
特に地方の中古戸建ては物件価格が安価なため、購入後のリフォーム費用を抑えられれば高い収益性が期待できます。また、共用部がないことから管理費や修繕積立金が発生せず、実質利回りが高まりやすい点も特徴です。
さらに、個別性の高い戸建ては競合が少なく、周辺の相場よりも高い家賃設定でも入居が決まるケースがあります。
戸建て賃貸投資には共用部が存在しないため、維持管理費を抑えやすいという特徴があります。アパートのようにエントランスやエレベーター、廊下といった設備が不要なため、共用部の清掃費や修繕費が発生しません。
また、室内の掃除や庭の草刈りなどは入居者が行うケースも多く、オーナーの管理負担も軽減されます。これにより、月々のキャッシュフローが安定し、長期的に見ても運用コストを抑えやすい点が大きなメリットです。
戸建て賃貸投資は、建物が完全に独立しているため、入居条件を自由に設けやすい物件です。ペットの飼育や楽器の演奏など、集合住宅では制限されがちな条件にも柔軟に対応できます。
特にペット可や楽器OKといった条件は、一部の入居希望者にとっては妥協できない重要な要素です。こうしたニーズを満たせる戸建て賃貸は、差別化された物件として選ばれやすくなります。
ニッチなニーズを汲み取れば、ターゲット層に強く訴求でき、効率的な入居者募集につながります。
戸建て賃貸投資は、売却の選択肢が多く、出口戦略を描きやすい投資手法です。物件価格の中で土地の割合が大きいため、建物が古くなっても土地としての資産価値が残ります。
建物が劣化した場合には更地にして売却することも可能であり、状況に応じた柔軟な判断がしやすくなります。また、長期間住んだ入居者から「このまま購入したい」という申し出を受けるケースもあります。
アパートのように築年数が経つにつれて空室が増え、資産価値が下がるリスクが比較的少ない点もメリットです。こうした換金性の高さは、戸建て賃貸投資の大きな優位性のひとつです。
出口戦略に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産投資の出口戦略5パターン|売却タイミングと失敗しない方法を解説
戸建て賃貸投資には多くのメリットがありますが、成功のためには弱点も把握しておく必要があります。
アパートやマンションと比べると、空室時の収入が大きく変動しやすく、物件数の拡大や融資の面で不利になる場合があります。また、物件の状態によって修繕コストが膨らんだり、管理の手間がかかったりする可能性もあるため注意が必要です。
こうしたリスクを事前に理解し、資金計画に反映させることが、安定経営につながります。
投資を始める前に課題と向き合い、具体的な対策を講じるのが堅実な判断といえます。
戸建て賃貸投資は収入源が1戸に限られるため、家賃収入を拡大しにくい特徴があります。
アパートであれば複数戸を設けて空室が出ても他の入居者で補えますが、戸建てでは満室か空室かの二択になります。
延床面積が同じでも、ワンルームを複数設けた集合住宅のほうが総家賃は高く設定できます。戸建ては一軒ごとの収入になるため、次の物件を購入する資金が貯まりにくく、投資規模を広げるには時間がかかります。
短期間で拡大を目指す投資家には向きませんが、安定した運用を重視する方には選択肢の一つとなります。
戸建て賃貸投資の大きなリスクは、空室時に家賃収入が完全に途絶える点です。複数戸を持つアパートでは一部屋が空いても残りから収益を得られますが、戸建てでは一人の退去で全額が失われます。
特に新築戸建てで空室が続いた場合、ローン返済の負担が重くなり、赤字経営に陥る可能性があります。
そのため、空室期間に備えて資金を確保し、退去後は速やかに原状回復と募集を進める必要があります。入居者の動きに対して、機動的に対応できる体制づくりが重要です。
中古戸建てを購入する場合、金融機関の融資審査が厳しくなるケースがあります。
そもそも投資用でローンを組む場合は、住宅ローンは使えず投資用の不動産投資ローンが該当します。
日本の金融機関では築年数が経過した建物の価値を低く評価する傾向があり、古い物件ほど担保として見なされにくくなります。
そのため、都市銀行や地方銀行での融資が難航し、日本政策金融公庫やノンバンクの利用を検討する必要が出てきます。ただし、こうした機関は金利が高めに設定されている点に注意が必要です。
また、新耐震基準を満たしていない物件は売却時にも買い手が見つかりにくく、融資も受けづらくなるため慎重な判断が求められます。
中古戸建てへの投資を検討する際は、十分な自己資金の準備と資金計画の綿密な策定が欠かせません。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いについては、以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。
【戸建て投資家向け】住宅ローンと不動産投資ローンの違いを徹底解説
戸建て賃貸投資では、修繕やリフォームにかかる負担が大きくなる傾向があります。特に築古物件や空き家を活用する場合は、内装・外装・設備などの大規模な改修が必要になるケースもあります。
アパートの1室と比べて、戸建て全体の改修費は高額になりやすく、想定以上の出費につながる場合も少なくありません。
長期入居によってメンテナンスが後回しになると、屋根や外壁の劣化も進みやすくなります。オーナーが自らDIYすればコストは抑えられますが、時間・労力・安全面でのリスクを伴います。
予期せぬ出費を避けるためには、購入前にホームインスペクションを実施し、修繕の必要性を把握しておくことが効果的です。
戸建て賃貸は、利回りと費用構造を正しく理解することで収益性を高められる投資手法です。
新築・中古、都市部・地方といった条件によって利回りの傾向は異なり、初期費用だけでなく、修繕や維持管理も含めた長期的な支出の見通しが重要です。
収入とコストのバランスを見極めれば、空室リスクや資金不足といった失敗を防ぎやすくなります。
戸建て賃貸の利回りは、表面と実質の2種類があります。
表面利回りは年間家賃収入を取得価格で割って算出し、目安として10〜15%が理想とされますが、運営コストを含まないため参考値に留める必要があります。
一方、管理費や修繕費、保険料などを差し引いた実質利回りは7〜12%が妥当とされ、こちらを重視することが大切です。
物件の築年数や立地によっても差が出ます。新築は5〜6%、中古は6〜8%が一般的な水準です。地方の安価な物件では10%前後も狙えますが、利回りだけでなく入居需要や空室リスクも合わせて判断する必要があります。
高利回りを目指すためには、空き家を安く取得して最低限の改修で貸し出す方法が有効です。特に駐車場付きの物件は地方での需要が高く、安定収入につながりやすくなります。
利回りについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
戸建て賃貸投資では、物件価格のほかにも多くの初期費用が発生します。
具体的には、頭金・仲介手数料・登記費用・保険料などがあり、土地を保有している場合でも、建築費用として最低1,000万円程度は支払う必要があります。
新築では木造で1坪あたり60〜70万円、軽量鉄骨造では70〜80万円が目安です。
中古物件は安価に取得しやすい反面、修繕やリフォームが必須になるケースが多く、築年数が古いほど改修費が高額になる傾向があります。築30年程度の戸建てを業者に依頼して全面改修する場合、300万円前後が相場です。
DIYによって費用を抑える方法もありますが、時間と労力の負担が大きく、施工ミスによるリスクもあるため慎重な判断が求められます。
維持費の面では、アパートのような共用部がないため、管理費や修繕積立金が不要となる点はメリットです。
ただし、管理会社に業務を委託する場合は費用が発生するため、外注と自主管理のバランスも事前に検討することをおすすめします。
戸建て賃貸は、少ない資金や限られた時間でも始めやすい不動産投資の選択肢です。
初期費用を抑えながらリスクを分散できる特性があり、空き家を活用すれば小規模でも事業性のある運用が可能です。そのため、副業として不動産を始めたい会社員や、大きな融資が難しい個人でも現実的なスタートを切れます。
自身の資金力・時間・スキルに合わせて、最適な投資スタイルかどうかを見極めることが重要です。
初期費用を抑えて不動産投資を始めたいと考えている人にとって、戸建て賃貸投資は有効な選択肢です。中古戸建てを活用すれば、数百万円台から購入できる物件もあり、アパートやマンションのような高額な初期投資が不要です。
土地をすでに所有している場合、新築の戸建てでも1,000万円台から建築できる可能性があります。
一方、アパートは建築費だけで5,000万円以上、マンションでは1億円を超えることも珍しくありません。そのため、戸建ては明らかに資金面でのハードルが低く、初心者にも手が届きやすいのが特徴です。
さらに、マンション投資で必要となる共用部の管理費や修繕積立金が、戸建てでは基本的に発生しないため、毎月のランニングコストも抑えやすくなります。キャッシュフローへの影響が小さい点も、戸建て賃貸の大きなメリットです。
近年注目を集めている空き家再生支援サービスでは、数十万円の資金からスタートできる空き家案件もあります。銀行融資を受けにくいと感じる個人でも、小さな資金で実践的に取り組めるのが魅力です。
資金に余裕がない状態でも、堅実に不動産投資を始めたい人にとって、戸建て賃貸投資はリスクを抑えながら挑戦できる、現実的で始めやすい方法のひとつです。
戸建て賃貸投資は、特に中古物件を購入してリフォームするスタイルの場合、まとまった時間を確保できる人に向いています。物件の取得から修繕、入居者対応まで、自主管理で進めるには労力と時間がかかるからです。
築年数が古く地方にある戸建ては、交通アクセスが悪い場所も多く、現地調査や契約、管理作業のたびに移動時間が発生します。さらに、購入後は設備の修繕や清掃などの対応が必要で、突発的なトラブルが起きることもあります。
自分でリフォーム作業するDIYを選ぶと、費用を抑えられる反面、作業にかかる時間は膨大になります。壁の塗装や床の貼り替えなども一人で行う場合、数日から数週間単位での作業時間を見積もっておく必要があります。
また、アパートのように一度に複数戸を運用できるわけではないため、戸建て投資は一棟ずつ購入・改修・入居付けを繰り返すスタイルが基本です。この点でも、少しずつ物件を増やしていく運用方法になるため、時間的な余裕が必要になります。
仕事や育児で手が離せない状態だと、思うように作業が進まずストレスの原因になる場合もあります。そのため、戸建て賃貸投資は、日中にある程度自由な時間を確保できる人や、柔軟に動ける生活スタイルの人に適しています。
戸建て賃貸投資は、DIYが得意だったり、モノづくりが好きな人にとって、相性の良い投資スタイルです。特に中古戸建ての場合、そのままでは入居が難しい物件も多く、改修が必要になるケースがほとんどです。
業者にリフォームを依頼すれば費用がかさみますが、自分で作業できればコストを大幅に抑えられます。
具体的には、清掃や壁の塗装・クッションフロアの貼り替え・照明器具の交換など、手を動かせば対応できる部分を自分で直せば、リフォーム費用を10万円単位で削減できる場合もあります。作業の内容によっては、1日2〜3時間の作業を数週間継続することで、完成度の高い部屋に仕上げられます。
「空家ベース」などの空き家再生サービスでは、物件をどう仕上げるか、誰に貸すかを自分で考えて進めるプロセスに重きが置かれており、DIY好きにとってはやりがいを感じられるフェーズが多いです。物件に手を加えながら、自分なりの工夫やこだわりを形にできるのも、戸建て投資ならではの楽しさといえます。
さらに、「空家ベース」では、実際に取り組んでいる投資家同士がDIYやリフォームのノウハウを共有できるコミュニティもあり、経験者から学んだり相談できる点も心強いポイントです。
自分の手で物件を育てていく過程に面白さを感じられる人や、修繕作業に抵抗のない人であれば、戸建て賃貸投資は楽しみながら続けられる可能性が高いです。
戸建て賃貸投資は、不動産を通じて事業を始めてみたいと考えている人にとって、最初のステップとしてちょうどよい選択肢です。アパートやマンション投資に比べて、スタートに必要な資金が少なく、比較的リスクも抑えやすいためです。
たとえば、「空家ベース」のようなサービスを使えば、数十万円の資金から始められる案件もあります。物件探しからリフォーム、入居者対応まで、自分で取り組む要素が多いため、単なる投資ではなく、実際に手を動かして進める小さな事業として取り組めます。
物件を運用する中で、資金管理やスケジュール調整、施工の計画や集客など、経営者として必要な感覚も自然と身につきます。失敗も含めて経験が積める分、小規模でも得られる学びは大きく、今後の事業展開にも役立ちます。
さらに、空き家再生の分野はライバルがまだ少なく、取り組む人が少ないぶん、ブルーオーシャンと言えるチャンスも広がっています。「自分の力で何かを形にしたい」「収入源をつくりたい」という思いがある人にとって、戸建て賃貸投資は、小さく始めて経験を積めるちょうどよい土台になるはずです。
本記事では、戸建て賃貸投資におけるメリット・デメリット、利回りの考え方、そして投資に向いている人の特徴を紹介しました。
戸建て賃貸は、初期費用を抑えながら長期的な家賃収入を狙える、安定志向の不動産投資として注目されています。一方、空室リスクや修繕費の負担、融資審査のハードルといった課題もあるため、事前に収支計画を立て、立地や物件状態を慎重に見極める姿勢が欠かせません。
「空家ベース」は、不動産投資を始めたい方や地方の空き家を探している方を支援する空き家専門のポータルサイトです。
少ない自己資金からスタートしたい方、空き家を再生しながら事業に挑戦したい方にとって、有効な選択肢となります。ものづくりの喜びを感じながら、社会課題の解決にもつながる空き家活用という市場で戸建て賃貸投資を始めたい方は、空家ベースの情報をぜひご覧ください。









空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
オーナーチェンジ物件の売却が難しいという話を聞き、不動産事業への挑戦に不安を感じていませんか?
オーナーチェンジ物件は居住用とは異なる特性を持つため、売れにくいと言われる場合があります。しかし、その理由を理解し、適切な対策を講じることで、スムーズな売却は可能です。
本記事では、オーナーチェンジ物件が売れないと言われる理由と、売却成功のための具体的な対処法、価格の決め方、売却の流れを解説します。
不動産事業にチャレンジしたい方が安心して進めるための手助けとなるので、ぜひ参考にしてみてください。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。
賃貸中のまま売却できる投資用不動産が、オーナーチェンジ物件です。
入居中の賃借人がいる状態で売買され、購入者は賃貸借契約を引き継いだ上で家賃収入を得られます。空室で売却するケースとは異なり、すでに収益化されている点が特徴です。
特に初めて物件を売却する投資家にとっては、基本的な仕組みを理解しておくと売却計画を立てやすくなります。
一般的な居住用物件の売買とは異なり、オーナーチェンジ物件は収益性や契約条件が評価対象になります。「売れにくい」と感じる背景には、買主の判断材料となる情報不足や対応ノウハウの乏しさがあるため、あらかじめ把握しておくことがオーナーチェンジ物件を扱ううえで欠かせません。
オーナーチェンジ物件に関して、初心者でも分かりやすく以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
オーナーチェンジ物件とは?不動産投資初心者向けにメリットデメリット・注意点を解説
賃借人が住んでいる状態でも、オーナーは自由に物件を売却することが可能です。
これは民法第605条の2により、貸主としての立場が新所有者に引き継がれると定められているためです。賃借人が実際に入居して生活していれば、賃貸借契約は法的に保護され、買主が契約を引き継ぎます。
売買成立後は、新所有者が家賃を受け取り、敷金の返還義務も引き継ぐため、貸主としての責任を新所有者が負うことになります。
物件の引き渡し後には、新旧オーナーの連名で通知書を送付し、家賃振込先や連絡先の変更点を賃借人に伝えるのを忘れてはいけません。この連絡によって、賃貸借関係が混乱なく移行します。
売却中も家賃収入を得られる点が、売主にとって最大の利点です。
買い手がすぐ見つからなくても安定収入があるため、条件交渉に余裕が生まれます。空室物件のように、原状回復やリフォームにかかる費用や時間を削減できるのも強みです。
稼働中の状態であるため、実際の収益実績をもとに買い手へ訴求できます。加えて、立ち退き交渉や退去準備といった対応も不要なため、精神的・実務的な負担が軽くなります。
購入直後から家賃収入が得られる点が、買主にとっての大きな魅力です。
家賃収入がすでに発生していることで、将来の収支計画が立てやすくなります。空室物件と違い、新たに賃借人を募集する手間や広告費、初期リフォームの出費を抑えられます。
空室リスクがない状態で運用を始められるため、不動産投資の初心者にも適しています。また、安定収入の実績がある物件は、金融機関の融資審査でも評価されやすい傾向があります。
オーナーチェンジ物件の売却は、通常の戸建てよりも買い手が限られるため、思うように進まないケースがあります。
特に、初めて売却を経験する戸建て投資家にとっては、計画通りに売れない状況が大きな不安になるかもしれません。売れにくくなる原因をあらかじめ理解しておくことが、冷静な判断と対策の第一歩です。
ここでは、買い手の層や物件の特性に起因する代表的な売却困難の要因を紹介します。
オーナーチェンジ物件を購入するのは、基本的に不動産投資家や法人などの限られた層です。
自宅用に購入したい人は、すでに入居者がいる状態を敬遠しやすく、対象外となります。
また、投資家は物件の収益性を重視し、利回りや将来の見通しが悪いと判断された物件には手を出しません。
金利上昇や景気不安が重なると、慎重になる投資家が増え、売却がさらに難航します。
入居者がいるため、内覧できないのが売却の大きなハードルになります。
特に戸建てでは、劣化や修繕箇所を目視で確認したいと考える買い手が多いため、内部を見られないことは敬遠されがちです。
写真や契約書だけでは判断材料が足りず、購入判断を迷う原因となります。築年数が経過している物件ほど、この情報不足が売却の足かせになります。
オーナーチェンジ物件は投資対象とみなされ、一般的な住宅ローンを利用できません。
そのため、購入者は高金利の不動産投資ローンか、現金での一括購入を選ぶ必要があります。投資ローンは金利や審査条件が厳しく、融資が通らないケースも多くあります。
融資のハードルが上がるほど、購入希望者の数は減少しやすくなります。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
【戸建て投資家向け】住宅ローンと不動産投資ローンの違いを徹底解説
オーナーチェンジ物件は入居者との契約を引き継ぐため、買主が入居者を選べません。
家賃滞納や過去のトラブルがある場合、それを引き継ぐことがリスクと見なされます。売主には状況を説明する義務があり、隠すとトラブルになる恐れもあります。
また、老朽化に伴う修繕費や家賃下落といった将来的な支出が、買主の懸念につながるケースも多いです。
売却が進まない原因を見極め、状況に合った対応を取ることが大切です。
特に戸建てのオーナーチェンジ物件では、収益性や現況の伝え方次第で評価が変わります。
戦略を調整すれば、売却の可能性は高められます。
戸建てオーナーチェンジ物件の強みを明確に示すことが、売却の第一歩です。
たとえば「入居者付きのため購入直後から家賃収入が得られる」「自己管理が不要」といった利点を具体的に伝えるのがおすすめです。
築年数や立地、駐車場の有無、庭・外構の管理状況なども、投資家が重視する要素です。周辺環境や治安の傾向、入居者の属性や滞納歴の有無も、信頼性を高める情報となります。
空室のある状態では、収益性が低く見られやすく売却に不利です。
まずは近隣の戸建て賃料相場を調べ、家賃を見直すのが効果的です。古くなったキッチンやトイレ、外壁などを部分的に修繕すれば、入居希望者の印象が改善されます。
敷金・礼金の見直しや更新料の撤廃、家賃保証会社の導入も空室改善に有効です。実績のある管理会社に切り替えれば、客付け力が強化される可能性もあります。
売れない場合は、販売価格や依頼先の不動産会社を再検討してください。
近隣の戸建て売却実績や査定価格を確認し、現実的な価格に調整することが重要です。特に投資用戸建ての売買は、実需物件とは異なる販売ノウハウが求められます。
投資用戸建てに精通した会社へ依頼すれば、販路や買主層へのアプローチが強化されます。
空室にすることで、居住用物件としても売却が可能になります。
投資家以外の買主も対象にできるため、売却の間口が広がり高値売却も見込めます。ただし、普通借家契約の賃借人には正当事由と立ち退き料が必要です。交渉は自分で行うか、弁護士に依頼してください。
トラブルを避けるためにも、必ず退去後に売却活動を開始するのをおすすめします。
すぐに現金化したい場合は、不動産買取業者の活用が効果的です。
仲介とは異なり、直接買い取ってもらえるため売却期間を短縮できます。戸建ては築年数や立地で評価が下がる場合もありますが、再販目的の業者であれば買取対象になるケースがあります。
価格は市場より下がる傾向がありますが、仲介手数料不要や契約不適合責任の免除などの利点があるので、買取専門業者に相談することも検討してみてください。
売却価格をどう決めるかは、売れ行きに直結します。
戸建てのオーナーチェンジ物件を売る際には、収益性や将来性を正しく評価する必要があります。家賃収入がある状態で売却する物件は、通常の空き家とは価格のつけ方が異なります。収益をもとに算出する方法を知っておくと、希望価格と市場価格のズレを防ぎやすくなります。
ここでは、実際の現場でも使われている代表的な価格算出方法を紹介します。
家賃収入から物件の価値を割り出すのが、収益還元法です。
オーナーチェンジ物件は、将来得られる家賃収入をもとに売却価格を決めます。
たとえば、年間家賃150万円の戸建てを、利回り6%で評価する場合、売却価格は2,500万円になります(150万÷0.06)。
この利回りは「キャップレート」とも呼ばれ、周辺エリアの取引状況や築年数、立地などによって変動します。管理費や修繕費などのコストを差し引いた“手取り収益”で計算するのがポイントです。
シンプルで使いやすいため、個人投資家にも広く活用されています。
将来の家賃や売却額まで織り込んで価格を出す方法がDCF法です。
この方法では、今後数年間の家賃収入と、最終的に売るときの価格(復帰価格)を予測し、それを割り引いて現在価値に直します。空室リスクや家賃の下落、修繕コストなども想定できるため、現実的な判断がしやすくなります。
ただし、計算はやや複雑で、割引率(3〜5%が一般的)などの前提設定も必要です。不動産鑑定士や投資に詳しい不動産会社に相談すれば、より正確な価格を把握できます。
とくに再販を前提とした出口戦略を考えるなら、DCF法の活用が役立ちます。
オーナーチェンジ物件の売却では、通常の空き家とは異なる対応が求められます。
入居者が住んでいる状態で売却するため、事前に流れを把握しておくと、混乱を防げます。
税務や引き渡し後の責任も含め、段階ごとに進めるのが大切です。
最初に行うべきは、戸建て物件の価値を査定することです。
オーナーチェンジ物件は、家賃収入をもとに収益性から価格を決めます。
たとえば年間150万円の家賃で利回り6%なら、価格は2,500万円となります(収益還元法)。将来の空室や売却時の価格も考慮する方法(DCF法)もあり、より現実的な試算が可能です。
初心者であれば、不動産会社に相談し、立地や築年数、入居状況を反映した適正価格を算出してもらうのが安心です。
査定が終わったら、不動産会社と媒介契約を締結します。
契約の種類によって、売主ができることや報告の頻度が異なります。複数の会社に依頼できる「一般媒介」や、1社に任せる「専任媒介」などがあります。
自分で買主を探したい場合や、スピードを重視したい場合など、目的に合わせて選ぶのが大切です。
媒介契約に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
媒介契約を結ぶと、不動産会社が売却活動を始めます。
購入希望者が収益状況を確認できるよう、家賃や入居者情報をまとめた「レントロール」を用意します。
空室がある場合は、家賃設定や広告費を見直し、入居者を確保することが売却成功につながります。
買主が決まったら、売買契約を結びます。
契約前に不動産会社が物件の法的情報や契約条件を説明し、内容に合意すれば署名・押印をします。
買主からは手付金(価格の10〜20%が目安)が支払われ、以降は簡単に契約解除できなくなります。
契約から1ヶ月ほどで、買主へ所有権を引き渡します。
残代金の支払いと同時に、司法書士が所有権移転登記手続きをします。入居者の敷金は、新オーナーに引き継がれるため、売買代金から相当額を差し引いて精算します。
固定資産税などの費用も、引き渡し日を基準に日割りで調整されます。
引き渡し後は、入居者へオーナーが変わったことを知らせます。
「賃貸人の地位承継通知」として、旧オーナーと新オーナーの連名で通知書を送付します。新オーナーの連絡先や家賃振込先を記載し、契約条件に変更がないことを伝えるのが一般的です。
民法上の手続きとして入居者の同意は不要ですが、信頼関係を築くためにも丁寧な対応が求められます。
本記事では、戸建てを含むオーナーチェンジ物件が売れにくいとされる主な理由と、状況に応じた対処法について解説しました。
投資目的の買主に限定される市場の狭さや、内覧不可による情報不足、住宅ローンの非適用、入居者との関係に伴う賃貸リスクなどが、売却を難しくする要因です。
一方、空室対策や入居率の改善、物件価値を伝える工夫、販売戦略の見直し、そして収益還元法やDCF法を活用した根拠ある価格設定によって、売却成立の可能性を高められます。
物件売却の知識を身につけて実行に移すことが、不動産事業にチャレンジする方にとって納得感のある売却と次の一手につながります。
空家ベースは空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐプラットフォームです。全国の物件が対象となっているため、都市部に限らず、郊外の不動産も公開・掲載ができます。不動産事業に興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
また、投資対象として空き家を探している方にも、空家ベースはおすすめです。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
事業用の不動産を売却し、新しい物件を購入することは経営において重要なポイントといえますが、その際に支払うべき税金は高額になるため簡単に買換えできないという問題があります。
そこで国税庁からは「事業用資産の買換え特例」という制度が公開されており、適用要件を満たすことができれば非常に効果の大きい制度となっています。
ただしこの特例にはメリットだけでなくデメリットもありますので、注意が必要です。
この記事では事業用資産の買換え特例の特徴とメリット・デメリット、具体的な計算方法について解説します。
不動産売却については、こちらの記事も参考にしてください。
投資用築古物件の不動産売却はどこがいい?失敗しないための業者選びと売却術
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。
国税庁は事業用資産の買換え特例について次のように定めています。
個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得し、その取得の日から1年以内にその買換資産を事業の用に供したときは、一定の要件のもと、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。
この特例を利用することで譲渡価額よりも買い換えた取得価額の方が多い場合は本来課税される譲渡税を最大80%削減し、収入金額として計算することができます。
不動産を売却して新しく購入しやすくなるため事業用不動産の買い替えを検討している人は必ず検討しておきたい特例ですが、メリットだけでなくデメリットもあるため仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
なお、令和5年の法改正により東京都の特別区の区域から地域再生法の集中地域以外の地域への本店等の移転を伴う買換えの圧縮割合が90%に引き上げとなり、地域再生法の集中地域以外の地域から東京都の特別区の区域への本店等の移転を伴う買換えの圧縮割合が60%に引き下げとなりました。
【参考サイト:No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例|国税庁】
【参考サイト:4 特定の資産の買換えの場合等の課税 の特例の見直し】
この章では買換え特例を利用することのメリットについて、解説します。
この特例は不動産の売却時に発生する税金を繰越することができる効果があるため、買換え資産を選びやすくなります。
そのため税負担が大きいことが判明しているケースにおいて大きなメリットとなりますので、この章で解説するポイントをチェックしてください。
譲渡所得税とは不動産の売却益に対して課税される税金のことで、所有期間によって税率が変わるという特徴があります。
所有期間が5年以内であれば39.63%、5年を超えると20.315%が税率となり、課税額に掛け合わせることで計算することができます。
また、課税額は譲渡費用から取得費を差し引くことで計算することが可能です。
不動産売却において譲渡所得税は手残り額に大きな影響を与えてしまいますが、事業用資産の買換え特例を活用することで税負担を減らすことができ、売主にとって大きなメリットとなります。
本来支払うべき税金を購入資金に上乗せすることができますので、物件の選択肢が増えることになります。
特に不動産投資用の物件を購入する場合はより利回りの高い物件を選択することができますので、投資効果を高められるという点も魅力だといえます。
買換え特例は譲渡所得税を抑えられるというメリットがありますが、デメリットと注意点もあります。
実際にこの特例を利用して買換えを実施したものの、結果的に全体の税負担が増えてしまったという失敗事例も少なくありません。
このような失敗をしないためにも、この章で解説するデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。
買換え特例は売却時の譲渡所得税を最大80%削減することができますが、削減した価額は免税になったわけではなく、購入する不動産の譲渡資産に繰り延べされてしまいます。
つまり新しく購入した不動産を将来売却する場合、削減した分だけ譲渡所得税が高くなってしまうことになります。
たとえば所有している不動産を売却して3,000万円の課税額が発生した場合、特例によって600万円まで圧縮することができますが、購入した不動産を売却する際には繰延した2,400万円が課税額に対して加算されます。
事業計画に組み込まれている場合は問題ありませんが、将来不動産価値が変化したり事業自体を相続した相続人が事情を把握しきれていない場合、事業に大きな影響を及ぼすことも考えられます。
このことからも、売却予定の不動産と購入予定の不動産に価格差が大きい場合は注意が必要です。
譲渡所得税には短期譲渡と長期譲渡があり、所有期間が5年未満か5年を超えるかで決まります。
短期譲渡になった場合は39.63%が税率となり、長期譲渡の20.315%よりも税率が高くなってしまいます。
不動産の所有期間が10年を超えると14.21%まで税率を抑えられることから、売却するタイミングは慎重に判断することをおすすめします。
減価償却費は不動産や動産における会計上の資産価値となっており、所有している不動産の減価償却が残っている場合は注意が必要です。
たとえば減価償却費が1,000万円残っている不動産を売却した場合、この特例を利用することで200万円まで価値が圧縮されてしまいます。
その結果譲渡所得税は抑えられますが、一方で減価償却費が少なくなり法人税や所得税が増加してしまうケースもあります。
こうした税金の計算は非常に複雑なため、税理士や会計士に相談しながら判断することをおすすめします。
事業用資産の買換え特例には売却する資産と購入する資産それぞれに要件が設定されており、どちらもクリアすることで制度を利用できるようになります。
そのため買換えの契約を締結するまでに要件を正しく理解し、問題なくクリアできることを確認したうえで進めることが重要です。
この章では事業用資産の買換え特例を利用するための要件について、詳しく解説します。
売却する資産の要件は、次の通りです。
購入する資産の要件は、次の通りです。
買換えの特例を利用することで譲渡所得税の一部を購入した不動産の譲渡費用に繰り上げることができますが、譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額によって計算方法が異なります。
場合によっては想定外の支出が発生することもありますので、正しく理解しておくことをおすすめします。
譲渡価額>取得価額となる場合、計算式は次のようになります。
譲渡価額≦取得価額となる場合、計算式は次のようになります。
同一年内に譲渡資産の譲渡及び買換資産の取得をし、特定の事業用資産の買換えの特例を受ける際には届出が必要になります。
譲渡資産の譲渡の日又は買換資産の取得の日のいずれか早い日を含む三月期間の提出が義務付けられており、具体的なスケジュールは次のようになります。
| 譲渡の日(先行取得の場合は取得の日) | 提出期限 |
|---|---|
| 1月1日から3月31日まで | 5月末日 |
| 4月1日から6月30日まで | 8月末日 |
| 7月1日から9月30日まで | 11月末日 |
| 10月1日から12月31日まで | 翌年2月末日 |
なお、届出書は作成後にPDFファイルに変換し、e-Taxソフトで提出する必要がありますので、注意してください。
【参考サイト:A4-8 特定の事業用資産の買換えの特例の適用に関する届出|国税庁】
事業用不動産の売却は一般住宅よりも譲渡所得税の節税特例が少なく、売却したくてもできないケースも少なくありません。
そのため売却後に買換えを検討しているのであれば事業用不動産の買換え特例を利用するのがポイントといえ、不動産投資を事業化している人におすすめの制度です。
ただし買換え特例はメリットだけでなくデメリットもありますので、利用する際には慎重に判断する必要があります。
利用した結果法人税や所得税が増加したというケースもありますので、適用要件含め税理士や会計士にあらかじめ相談し、失敗のない経営判断をすることが重要といえます。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
マイソクは物件の魅力を伝える営業用の資料です。副業として不動産投資を始める会社員や、少額から事業を始めたい個人にとって、マイソク作成の質が成約率に影響します。
情報は読み手に配慮して整理・構成し、宅建業法などに則った正確な内容でまとめることが求められます。
この記事では、マイソクに盛り込むべき情報、見やすく仕上げるコツ、注意すべき法的ポイントを紹介します。
不動産売却については、こちらの記事も参考にしてください。
投資用築古物件の不動産売却はどこがいい?失敗しないための業者選びと売却術
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。

マイソクは、物件概要や間取り、契約条件などをまとめた不動産業界専用の資料です。語源は「毎日速報センター」という事業名に由来し、現在では物件紹介の基本ツールとして定着しています。
不動産投資家が物件を売却する際には、仲介会社への効果的な訴求手段として活用されているのはご存じでしょうか。マイソクは、一般向けのチラシとは異なり、不動産会社間での情報共有を目的として作成されます。
そのため、仲介会社が内容を正確に理解し、購入希望者に魅力を伝えやすい構成にする必要があります。作成時には、宅地建物取引業法や景品表示法、公正競争規約の順守が求められます。
違反があれば行政処分や罰則を受ける可能性もあり、情報の正確性と法令対応がマイソクの信頼性を左右すると言っても過言ではありません。
マイソクは、購入検討者に物件の魅力や条件を伝える販促資料です。所在地・間取り・価格・連絡先などを正確かつ明快に記載します。
不動産広告には表示ルールがあり、「宅地建物取引業法」や「景品表示法」などの法令を順守する必要があります。文字サイズは原則7ポイント以上が基準です。
視認性を高めるため、強調箇所には太字を使うなど、情報整理にも配慮が求められます。
参考:不動産広告の規制について_必要な表示事項(第8条・規則第4条)_7頁|公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会
マイソクでは、物件の種類・所在地・最寄り駅・価格・間取り・築年数など、購入判断に必要な基本情報を明示します。徒歩分数は道路距離80mごとに1分として算出し、端数は切り上げます。
納戸は「サービスルーム」と表現せず、用途を正しく記載します。リフォーム歴がある場合は、時期と内容を明確に書き添えることが求められます。
法令に反した記載や不正確な表現は、不当表示に該当し、行政処分のリスクがあります。
マイソクにおいて間取り図や写真は、物件の第一印象を決める重要な要素です。外観・室内・水回りなどを明るく撮影し、実際の状態を忠実に反映させます。
図面には各部屋の畳数や用途を記載し、反響を呼ぶには生活イメージがしやすい構成が効果的です。建築中物件の場合は、建築確認番号や完成予想図を明示します。
写真や間取りが実物と異なる場合、「不当表示」とされる可能性があるため、表現には細心の注意が必要です。
物件の魅力を伝えるには、立地や周辺環境、設備などの具体的な利点を記載します。「駅徒歩3分」や「小学校近接」といった事実に基づく情報を記載するのがおすすめです。
最上級表現や曖昧な訴求は「景品表示法」などに違反する可能性があるため、「格安」や「完売」などの使用は避ける必要があります。
空室対策としては、広告料(AD)やフリーレントの情報も記載することで、仲介会社の関心を高められます。
不動産会社名・所在地・電話番号・免許番号などを記載し、連絡先は迅速な対応が可能な担当者の携帯番号が望ましいです。あわせて、取引態様(売主・仲介など)も明記します。
仲介会社向けには、ADの有無、内見方法、空室確認の手段、ネット掲載可否など、紹介活動に必要な情報も盛り込むと、物件の取扱いがスムーズになります。
丁寧な情報提供が、信頼関係と成約促進につながります。
不動産の売却では、資料の作り方次第で結果が大きく変わります。特に初めて戸建てを手放す方は、情報整理や書類作成に戸惑いがちです。
物件を魅力的に伝えるために欠かせないのが「マイソク(物件概要書)」です。価格や間取りなどの基本情報をまとめた販促資料で、購入希望者や仲介会社に向けて物件の魅力を伝える役割があります。
適切なマイソクを作成すると、販売の進行がスムーズになり、価格交渉や資金計画も立てやすくなります。
マイソクの構成に厳密なルールはありませんが、外観写真・間取り図を中央に配置し、物件情報を右側、会社情報を下部にまとめた形式がよく使われます。物件資料は景品表示法・宅建業法に基づく広告に該当するため、正確性が求められます。
「新築」や「最高」などの表現は、基準に沿わなければ不当表示と判断されるおそれがあります。不動産公正取引協議会が定める表記ルールを確認のうえ、誇張表現を避けるのがポイントです。
仲介会社は、大量のマイソクを左上から右下にかけて目を通します。この「Z」の視線の流れに沿って、もっとも伝えたい情報(価格、用途、成約報酬など)を左上に配置するのが効果的です。
入居者を集めやすい家賃帯や、報酬額・限定キャンペーンの情報などは、優先的に掲載すると紹介率が高まるのでおすすめです。
マイソクには外観や室内の写真、間取り図、周辺地図などの視覚情報を必ず掲載します。とくに購入検討者が重視するのは、水回りや日当たり、動線など暮らしをイメージしやすい写真です。
撮影は晴天時の昼間が望ましく、明るく清潔な印象を与えるカットを選択するのがおすすめです。間取り図には部屋の畳数や用途(洋室・和室・収納)を明記し、全体像が把握しやすい構成にします。
視覚的な情報が不足すると他物件との差別化が難しくなります。写真・図面の質にもこだわり、物件の魅力を直感的に伝えるのが大切です。
家賃・交通・間取り・敷金礼金の有無などは、視認性の高い文字サイズで目立たせるのがおすすめです。
所在地・築年・設備などは簡潔に並列表示し、過不足のない情報構成にします。徒歩分数は道路距離80m=1分で換算し、端数は切り上げるルールに従います。
誤表記や誇張は不当表示にあたるため、最新かつ根拠のある情報のみ記載してください。
マイソクの内容には、「宅地建物取引業法」「景品表示法」「不動産の表示に関する公正競争規約」が関わります。これらはすべて消費者保護と取引の適正化を目的とした規制で、マイソクもその対象です。
誇大表現や記載漏れは、警告や違約金、最悪の場合は業務停止処分の対象となります。売却時の信頼性確保には、内容と表現の両方を慎重に確認する姿勢が欠かせません。
宅建業法では、広告の「誇大表現の禁止」「広告開始時期の制限」「取引態様の明示」が求められます。
・「新築」と偽る、「駅徒歩5分」と実際より短く表示する行為は違反です。
・未完成物件は、建築確認済みでなければ広告できません。建築確認番号や開発許可番号も記載が必要です。
・取引態様(売主・代理・仲介など)は明記しなければなりません。不明な立場は取引リスクにつながります。
仲介会社や購入希望者が安心して取引できるよう、情報は正確かつ明確に示すことが求められます。
景品表示法は、「誤認される恐れのある表示」の禁止を目的とした法律です。
・「80m=徒歩1分」の原則に沿って所要時間を記載します。
・「新築」や「LDK」などの用語には定義があり、使用には根拠が必要です。
・「激安」「完璧」などの最上級表現は、正当な裏付けがない限り記載できません。
これらを根拠なく記載すると、法令違反として指摘される恐れがあります。
参考:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則|不動産公正取引協議会連合会
マイソクは、「公正競争規約」に基づく表記ルールも守る必要があります。中でも注意が必要なのは「おとり広告」の禁止です。
・契約済みの物件を掲載し続けると、意図がなくても違反とみなされます。
・インターネット広告では、情報更新日や次回更新予定日を明記し、2週間以内の定期更新が求められます。
・違反が確認されると、業務停止や違約金課徴、免許取消といった処分に加え、広告掲載の停止措置を受ける可能性もあります。
マイソク作成を不動産会社任せにせず、不動産投資家自身も内容確認を徹底するようにしてください。
参考:事例でわかる景品表示法_4不動産のおとり広告に関する表示_14頁|消費者庁
本記事では、不動産事業に欠かせない「マイソク(物件概要書)」について、概要、作成の基本、差別化を図る工夫、そして宅地建物取引業法や景品表示法といった法令への対応までを解説しました。
マイソクの内容がわかりやすく魅力的であれば、購入検討者や仲介会社の関心を高め、結果的に成約までのスピードを早められます。マイソクの作成では、正確な情報を掲載しつつ、物件の特長を適切に伝える工夫が重要です。
また、空家ベースは、空き家を売却したい所有者と、購入・投資を検討する個人や法人をつなぐ不動産プラットフォームです。都市部に限らず、地方や郊外の物件も幅広く掲載されており、収益性のある物件を探している方にも適しています。
不動産投資や空き家活用に関心がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
不動産は売却価格と相場のバランスが取れていれば比較的簡単に売却することができますが、築年数の古いマンションや一戸建ては耐震性や耐久性が低下しているという注意点があるため、スムーズに売却するためにはコツが必要です。
特に投資用物件は一般居住用物件よりも買主が見つかりにくいことから、築古物件と投資用物件に強い営業担当者と会社に依頼することがポイントとなります。
そのため安心して利用できる不動産仲介会社を見つける必要がありますが、不動産会社は大手から中小不動産会社、地元の会社まで幅広く、迷ってしまう売主も多いです。
さらに不動産売買だけでなく不動産買取という選択肢もあり、媒介契約の種類についても確認しておかなければなりません。
この記事では築古物件の売却を成功させるために知っておきたい不動産仲介会社の選び方について、解説します。
大手と中小、仲介と買取の違いや媒介契約の種類、不動産売却についてのよくある質問を紹介しますので、これから投資用築古物件の売却を予定している人は参考にしてください。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。


「戸建ての売却が得意」や「対応エリアに特化したサービスや売却方法を展開」など、不動産会社によって強みが異なることがあります。
その中でも築古の投資用物件を売却するには豊富な経験を必要としますので、不動産会社選びが重要だといえます。
この章では築古物件の売却を検討するにあたり、知っておきたい不動産会社の選び方について解説します。
築古物件や空き家の物件を多く不動産ポータルサイト等に公開している会社は実績が多く、信頼できる可能性が高いといえます。
不動産会社は売買契約が締結されることで仲介手数料を請求できることから、売却できる見込みのある物件を取り扱います。
つまり、売却が難しい物件であっても多く公開しているということは、売却するためのノウハウが多いといえます。
このことからも、不動産会社を選ぶ際にはまずどのような物件を取り扱っているのかチェックすることが大切です。
これ以外にも会社の口コミや評判、顧客満足度もチェックしておくことがおすすめです。
不動産会社の仲介件数が多くても、対応してくれる担当者が信頼できなければ安心して任せることはできません。
不動産業界では査定対応した担当者がそのまま担当するケースが多いことから、査定時の説明やコミュニケーション力をチェックしておく必要があります。
特に質問の回答内容やスピードは売主の不安や疑問を解消し気持ちよく売却するうえで重要といえますので、必ず確認しておくことが大事です。
築古物件は建物の資産価値が残存しにくいことから査定額の算出が難しく、経験豊富な営業担当者でも悩んでしまうケースもあります。
さらに投資用物件は設定できる家賃と将来の売却益をできるだけ正確に査定する必要があるため、地域の相場に精通している担当者かどうかがポイントです。
不動産の状態によってはリフォームや修繕を行ったうえで売却することも検討しなければなりませんので、地域の事情や売却方法などについて安心して相談できる担当者を見つけることも重要だといえます。
不動産査定は成約事例と公開されている物件の価格をベースに査定額を算出するのが一般的です。
取引事例法と呼ばれるこの方法はピックアップする事例によって査定額が上下してしまうという特徴があり、意図的に高い査定額を提示して競合排除しようとする不動産会社もいます。
しかし不動産売却は相場よりも高い物件は売れにくく、販売が長期化してしまうリスクを抱えてしまいます。
特に築古物件は設備や家屋が破損する可能性が高いことから、できるだけ早く売却できるよう戦略的な売却方法を立てることが重要です。
そのため査定額の根拠が明確で、査定額で売却するための売却プランが分かりやすいというポイントは不動産会社を選ぶうえで大切な判断材料といえます。
不動産売却はできるだけ多くの買い手に周知してもらい、問い合わせや案内依頼といった反響を獲得することが成功のコツです。
そのためには不動産ポータルサイトや折込チラシといった広告になるべく多く物件を公開させる必要があり、広告費を多く捻出できる会社の方が早期売却できる可能性が高いといえます。
また、売却したい物件のエリアに店舗が多い会社の方が案内対応しやすいという利点があるため、広告戦略と合わせて店舗数も確認しておくことがポイントです。
私たち空家ベースは不動産事業にチャレンジしたい人や地方に空き家を買って移住したい人に向けて日本全国の空き家を紹介するポータルサイトです。他社では扱えない物件も取り扱っています。
物件のリスクについて客観的に分析・評価しており、購入を検討している買い手に対して可能な限り正確な情報を提供していますので、スピーディーに不動産売買できるという点が強みです。
公式LINEでは未公開物件の配信サービスも行っているほか、X(旧Twitter)やInstagramなどでも物件情報を発信していますので、築古物件を売却する際は空家ベースをチェックしてみてください。
大手不動産会社は日本全国に拠点があり、CMや看板を使って広告していることから不動産売買に興味がない人でも知っているという特徴があります。
そのため不動産売却を検討する際にはまず大手から選ぶという売主も多いですが、大手不動産会社に依頼することのメリットとデメリットを正しく理解しておく必要があります。
この章では大手不動産会社に築古物件の売却を依頼するメリットとデメリットについて解説しますので、参考にしてください。
大手は全国的に知名度が高いことから集客力が高く、広告費用も豊富なため公開した物件を幅広く認知させることが可能です。
また「専属専任媒介契約を締結した場合は不動産会社負担で室内クリーニングを実施」など、中小不動産会社ではできないようなサービスを提供している会社もあります。
倒産のリスクも低いというメリットもありますので、とにかく安心して不動産売却を任せたいという人に向いているといえます。
大手不動産会社は査定依頼が多いことから早期売却できる物件のみを取り扱うこともあり、築古物件は取扱い不可としている会社も多いです。
特に投資用物件は販売が長期化しやすいうえに設備の劣化や家屋の破損によって買い手とトラブルになりやすく、手間がかかるという理由で売却を断られることもあります。
そのため築古の投資用物件の売却依頼先を大手だけで選ぼうとすると不動産会社が見つからないというリスクを抱えることになりますので、注意が必要です。
不動産会社には大手だけでなく地域密着型の中小不動産会社もありますので、売却の難しい築古物件を早期売却するためには大手と合わせて中小不動産会社も比較検討することが大切です。
ただし、中小不動産会社には大手にはないメリットとデメリットがありますので、納得したうえで依頼するためにもポイントを押さえておく必要があります。
この章では中小不動産会社に売却を依頼するメリットとデメリットについて解説しますので、大手のメリット・デメリットと合わせて確認してください。
空き家や築古物件に特化したサービスを提供するなど、大手不動産会社よりも築古物件に特化した販売戦略を立てられるのが中小不動産会社のメリットです。
築古物件や投資用物件に特化した独自のポータルサイトを運営している会社もあり、大手よりも早期売却できるケースも少なくありません。
また地域密着型で長年経営している中小不動産会社は売却したい物件があるエリアに詳しく、ストック顧客も多いことからより精度の高い査定額を提示してくれます。
中小不動産会社にはこのような強みがありますので、より好条件で不動産取引できる可能性が高いというメリットがあるといえます。
中小不動産会社に不動産売却を任せた場合、販売途中で会社が倒産してしまい売却がストップしてしまうという点がデメリットとなります。
特に数人で運営している不動産会社は店舗の家賃や手形の支払いが間に合わず、突然倒産してしまうこともあります。
また、経営が安定していても大手よりも広告を使った物件の露出が少なくなりやすいため、販売が長期化するリスクを抱えてしまいます。
そのため築古物件の売却を中小不動産会社に依頼する場合は販売実績が多く、経営状態が良好かどうかを必ずチェックする必要があります。
築古の投資用物件を売却するための方法として仲介と買取があり、どちらを選択するのかで手残り額や販売期間が異なります。
売却した後に後悔しないためにも、仲介と買取の特徴を理解したうえで選択することが大切だといえます。
この章では仲介と買取がおすすめとなるケースについて、解説します。
仲介は売主が価格と売却条件を設定できる一方、買い手が見つかるまで販売は継続するという特徴があります。
そのため売却期間をある程度長く設定することができる人に、仲介は向いているといえます。
特に入居者がいる投資用物件であれば家賃収入を確保したうえで売却を進めることができますので、投資の利益をしっかり確保したい人におすすめの売却方法です。
買取は仲介と違って不動産会社が直接買主となりますので販売期間がほとんどなく、買取価格に合意すればそのまま売買契約の締結に進められるという点が特徴です。
また買取業者によっては査定時に立ち会う必要もないため、遠方にある築古物件でも手間をかけることなく売却することができます。
仲介手数料や解体、残置物の撤去、確定測量なども不要となりますので、すぐに売却したい人におすすめの方法だといえます。
ただし買取価格は仲介の相場よりも安くなるため手残り額は少なくなってしまうというデメリットもありますので、投資用物件を買取で処分する際には注意が必要です。
媒介契約とは売主と不動産会社が締結する契約のことで、販売を委託した証明となる書類です。
契約書には同時に契約できる社数や、指定流通機構へ情報登録する期間、販売報告の頻度、契約の有効期間、成約時に不動産会社へ支払う仲介手数料、自己発見取引の可否などが記載されており、契約書の種類によって内容が異なります。
媒介契約書には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類がありますので、それぞれの特徴について解説します。
一般媒介には次のような特徴があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 同時に契約できる社数 | 制限なし |
| 自己発見取引の可否 | 可能 |
| 指定流通機構へ情報登録する期間 | 規制なし |
| 販売報告の頻度 | 規制なし |
| 契約の有効期間 | 規制なし |
一般媒介は媒介契約の中でも一番規制がなく、売主は媒介契約を複数の不動産会社と締結できるという特徴があります。
そのため1社に絞りきれない場合に一般媒介を選ぶケースが多いです。
ただし不動産会社に対しての規制も軽く、指定流通機構への登録や販売報告の義務もありませんので販売活動が不透明になってしまいます。
契約の有効期間もありませんので、意欲的に活動してくれる不動産会社を選定しなければ早期売却は難しいという点に注意が必要です。
専任媒介には次のような特徴があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 同時に契約できる社数 | 1社 |
| 自己発見取引の可否 | 可能 |
| 指定流通機構へ情報登録する期間 | 7日以内 |
| 販売報告の頻度 | 最低2週間に1度 |
| 契約の有効期間 | 最大3カ月 |
専任媒介は一般媒介と違って依頼できる不動産会社は1社となり、指定流通機構への登録や販売報告の義務が発生します。
また、一般媒介と同様に自己発見取引が可能となっていますので、知人や友人に不動産を売却できる可能性を残しつつ不動産会社に物件を公開してもらいたい場合は専任媒介の方がおすすめです。
専属専任媒介には次のような特徴があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 同時に契約できる社数 | 1社 |
| 自己発見取引の可否 | 不可能 |
| 指定流通機構へ情報登録する期間 | 5日以内 |
| 販売報告の頻度 | 最低1週間に1度 |
| 契約の有効期間 | 最大3カ月 |
一括査定サイトを運営しているすまいステップが公開しているデータによると専属専任媒介契約を選んだ売主は最も多く、全体の41.98%となったそうです。
専属専任媒介契約は媒介契約の中で最も制限が厳しく、不動産会社は媒介契約締結後5日以内に指定流通機構へ情報を登録し1週間に1度売主に対して販売報告をしなければなりません。
そのため売主としてはより細かく販売状況を把握することができ、販売戦略を立てやすいというメリットがあります。
ただし売主は自己発見取引を行うことができないため、不動産会社に全てを一任することになります。
このことからも、専属専任媒介契約を選ぶのであれば依頼する不動産会社の販売力が不動産売却に大きく影響するといえます。
【参考サイト:『不動産売却に関するアンケート』の調査結果】
不動産会社を1社1社訪問すると時間がかかってしまうため、不動産一括査定サイトを利用する売主は多いです。
不動産一括査定サイトとはインターネット上で査定依頼できるサービスのことで、無料で利用できます。
不動産売却の情報収集として活用できるという特徴もありますのでおすすめのサービスですが、注意点もあります。
この章では不動産一括査定サイトのメリットと注意点について解説します。
一括査定サイトを利用することで売主は物件の情報を一度入力するだけで選んだ不動産会社へ情報を展開することができ、ほとんど同じタイミングで査定書と売却プランを入手できますので比較検討がしやすいというメリットがあります。
また不動産会社からの連絡についても手段や時間帯を設定することができ、売主の都合に合わせてコンタクトできるという点もおすすめの理由です。
一括査定サイトを利用するとスピーディーに査定額と売却プランの提示を受けることができますが、不動産会社から営業を受けるという注意点もあります。
不動産会社は売主と媒介契約を締結して物件を公開し、契約締結に至ってようやく仲介手数料を請求することができます。
そのため査定書をどれだけ提示しても利益を得られないことから、媒介契約を締結するためにしつこく営業の連絡をする不動産会社もいます。
場合によっては査定依頼した物件を勝手に下見されるトラブルも起きてしまいますので、不動産一括査定サイトを利用する際にはある程度不動産会社を選定したうえで依頼することが重要です。
この章では不動産売却の流れと必要書類について、解説します。
スムーズに売却を進めるためにも、チェックしておいてください。
不動産一括査定サイトを利用したり最寄りの不動産会社に訪問し、物件の査定依頼をするのが不動産売却のスタートです。
査定依頼時には物件の所在が分かる資料として、全部事項証明書や購入時の売買契約書などを用意しておくことをおすすめします。
査定は一般的に「机上査定」と「訪問査定」があり、机上査定の結果と売却プランで訪問査定をする不動産会社を選定します。
そして訪問査定によって具体的な売却価格や販売戦略を決め、不動産会社と媒介契約を締結して物件公開を行います。
物件を公開すると問い合わせや案内依頼がありますので不動産会社が対応し、購入申し込みの提示があれば内容を確認して問題なければ契約に進みます。
売買契約は売主と買主が同席し、不動産会社で行うのが一般的ですが、売主が遠方に住んでいて日時が合わない場合は別々の日に契約を締結することも可能です。
契約時の持参物として認印と身分証明書以外に印紙の代金がありますが、署名押印済みの契約書をコピーしてもらい、コピーを保管するのであれば印紙代は不要です。
そのため、契約書の原本が不要な場合はなるべく早い段階で不動産会社に連絡しておくことをおすすめします。
なお、身分証明書は運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きの証明書であれば1種類で問題ありませんが、持っていない場合は2種類必要になるため注意が必要です。
契約が無事に締結されれば契約書の内容に従って売主と買主は準備を進め、準備が完了した時点で不動産の引き渡しを行います。
不動産の引き渡し、残代金の支払い、所有権移転登記を同時に行うことで不動産売買は完了となります。
不動産決済と呼ばれるこのイベントは買主が住宅ローンを組む金融機関に集合して実行することになりますが、買主が現金で購入する場合は不動産会社に集合するのが一般的です。
決済のタイミングでは権利証書や登記識別情報通知を司法書士に提示することになりますので、忘れずに準備しておく必要があります。
万が一紛失した場合は余計に費用が発生してしまいますので、早めに確認しておくことをおすすめします。
査定から引き渡しまでの必要書類をまとめると、次のようになります。
この章では不動産売却におけるよくある質問を紹介します。
多くの売主にとって不動産売却は初めての経験となるため、予期せぬトラブルが発生して慌ててしまうこともあります。
そこで過去に不動産売却を経験した売主が疑問に感じたポイントをあらかじめ押さえ、対策しておくことが大切です。
不動産一括査定サイトを利用した際、最後のページに表示された不動産会社全てに査定を依頼することができます。
複数社に依頼しても費用はかかりませんので幅広く査定額と売却プランの提案を受けたい人に向いているサービスですが、依頼した不動産会社から営業を受けることになりますので、注意が必要です。
不動産査定は成約事例と公開されている物件をベースに査定額を算出することになりますが、レインズで公開されているデータだけでなく各会社の成約事例も参考にします。
そのため全国に店舗のある大手と地域密着型の中小不動産会社では成約事例に差があり、取り扱うデータ数が異なるため査定額に影響してしまいます。
囲い込みとは売却を依頼した不動産会社が他社へ情報公開せず、自社のみで買主を探す方法です。
この方法によって不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を得ることができますが、物件の露出量が減るため売却のチャンスが少なくなり、売主は販売が長期化するリスクを抱えることになります。
国土交通省も悪質な囲い込み行為を行う不動産会社に対して指導や罰則を規定していますが、実際には囲い込み行為を日常的に行う宅建業者もいます。
囲い込みをしている会社に依頼していないか確認するためには別の不動産会社から一般顧客のフリをして問い合わせし、公開中となっているかチェックする方法がおすすめです。
定期的にチェックし間違いなく他社にも物件紹介している不動産会社であれば、囲い込みをしていないことが分かります。
相場と価格差が大きい高額査定を提示する不動産会社に売却を任せると販売が長期化するだけでなく、販売後に価格変更しなければならないこともあります。
そのため高額査定をする不動産会社は候補から外す必要がありますが、複数の不動産会社に査定を同時依頼することでこのような会社を見極めることができます。
不動産会社が査定時に使う取引事例法はレインズや不動産ポータルサイトのデータをベースにするため、ある程度似通った査定額になります。
査定額は売却価格を決める上で重要な判断材料となりますので、高額査定を提示する会社には注意が必要です。
売却の意思疎通がうまくできなかったり返信が遅いなど、担当者と相性が悪いという失敗事例もあります。
このような場合はなるべく早く担当者を変更してもらい、気分良く売却できる環境を整えることが大切です。
すまいステップによると、半年以内に約7割の査定案件が売却完了となっているようです。
そのため半年を目途に反響数などをチェックし、販売価格や売却プランの変更を検討することがポイントとなります。
不動産売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社と担当者に販売を依頼することが重要です。
そのためにも、この章で解説するチェックポイントを事前に確認しておくことをおすすめします。
他社よりも不自然に高い査定額を提示する不動産会社は媒介契約の締結を目的としている可能性が高く、最適な売却プランが提示されないことが多いです。
そのため必ず査定額の根拠を確認し、内容に納得できなければ査定額が高額であっても候補会社から外す必要があります。
営業担当者に販売状況と問い合わせ内容について共有してもらい、売却が計画通りに進んでいるかを細かくチェックすることで不動産売却の成功率は向上します。
このことからもコミュニケーションが取りやすい担当者に対応してもらうことが重要だといえ、営業担当者と相性が悪ければ変更してもらうことをおすすめします。
投資用の築古物件は売却することが難しく、失敗しないためには不動産会社の選び方が重要なポイントとなります。
不動産会社には大手や中小、仲介専門や買取専門など様々な種類があり、それぞれの特徴を把握して自分に合った会社を選ぶことが大切です。
また不動産売却における流れもあらかじめ確認しておき、必要書類を事前に用意しておくことでスムーズに売却することができます。
不明点や疑問点があると安心して売却を進めることができませんので、細かく不動産会社に相談しつつ信頼できる会社を見極めることが重要です。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。「次の物件購入の資金にするために売却したいが売れない」「負担が大きくなってきて手放したいが買い手が見つからない」、など空き家の売却でお困りの際はぜひお問い合わせください。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
不動産売買は売主と買主が契約内容に合意し、売買契約を締結することで実行となりますが、売買代金は決済を実行するタイミングで全額支払うのではなく、契約時に「手付金」として代金の一部を支払わなければなりません。
手付金は内金や中間金とよく似ていますが売買契約を進めるうえで重要な役割を担っており、契約の進捗によっては手付金を失うこともあります。
ただし契約解除の内容によっては手付金が返還されるケースもありますので、知っておくべきポイントです。
また、どのくらいの金額を手付金として用意しておくべきか理解しておくことで、余裕をもって準備することができます。
この記事では不動産売買契約における手付金の役割と相場、手付金が返還されるケースについて解説します。
手付金に関連するよくある質問についても紹介しますので、参考にしてください。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。
手付金とは不動産の契約時に買主から売主に支払われるお金のことで、売買代金の一部として充当されます。
よく似た金銭として「内金」や「中間金」がありますが、これらの金銭に法的な意味はなく、売買金額を分けて売主に支払っているにすぎません。
一方、手付金は契約の証拠や解除時の費用負担という意味合いを持っており、手付金を支払うことで契約の効力が発生するケースも多いです。
このことからも買主は不動産を購入する際には手付金を用意しておく必要があるといえ、どのくらいの金額が必要になるのか不動産会社にあらかじめ確認しておくことが重要です。
手付金には「証約手付」「解約手付」「違約手付」という3つの意味と役割があり、不動産の売買を検討する際には事前に知っておくべきポイントです。
手付金はただ売買価格の一部を支払っているわけではなく、万が一契約が解除になった場合に大きな効力を発揮することになります。
そのため契約締結後のトラブル発生を防ぐという意味でも、手付金の特徴は正しく理解しておくことをおすすめします。
手付金は売買契約締結時に支払われるのが一般的であるため、契約の証拠としての役割を担っています。
契約書には日付が記載されているため契約の成立を証明することは可能ですが、手付金の授受を行うことでより明確な意思表示となります。
これにより万が一当事者のどちらかが契約書を紛失していても契約締結を第三者に明示することができ、より安全に決済まで進めることができます。
これ以外にも契約が無事に履行されるまでの担保という意味もあり、売主と買主が不動産決済の実行まで真摯に取り組むことを約束するという点もポイントです。
売買契約を締結したからといっても、必ずしも決済を実行しなければならないわけではありません。
たとえば物件を購入しようと真剣に検討し契約を締結したものの、急な転勤が発生することもあります。
また売主の親族が突然住むことになり、売却できなくなるというケースも少なくありません。
このような場合に手付金を使って売買契約を解除できるような仕組みがあり、売主と買主はそれぞれリスクと解除権を持つことになります。
売主から解約手付をする場合は手付金を買主に返還して同額を支払い、買主からの場合は手付金を放棄することで解除することができます。
買主が残代金を支払ってくれなかったり住宅ローンを意図的に否決とさせた場合、債務不履行による違約金を支払わなければなりませんが、支払った手付金をそのまま違約金として取り扱うこともあります。
一方、物件を引き渡さない等売主が債務不履行とみなされる行為をした場合、手付金を返還したうえでさらに同額を違約金として支払うケースもあります。
違約手付と呼ばれるこの性質は契約書で定められている違約金額によって大きく異なりますので、債務不履行が発生した際に手付金がどのように扱われるのか必ずチェックしておくことが大切です。
手付金の相場と上限は売主が宅建業者かどうかで変わるため、注意が必要です。
一般人同士や買主が宅建業者の場合は特に制限はなく、売買代金の5%〜20%で設定されることが多いですが、売買代金に関係なく「50万円」や「100万円」を手付金とする地域もあります。
このように手付金額はある程度自由に設定することができますが、宅建業者が売主の場合は手付金について大きな制限があります。
なぜなら宅建業者は不動産のプロであるため一般人よりも経験と知識に大きな差があり、買主によって不利な契約を締結することも可能だからです。
そのため宅建業者が悪質な内容の契約を締結しないよう手付金の上限が設定されたり、一定額以上の手付金を授受した場合は保全措置が義務付けられています。
この章では宅建業者が売主となった場合の手付金について、解説します。
売主が宅建業者の場合、宅地建物取引業法では手付金の上限を次のように制限しています。
(手付の額の制限等)
第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
【参考サイト:宅地建物取引業法】
たとえば売主である宅建業者が契約を解除できないよう売買代金の半分を手付金として要求した場合、買主が手付解除するための費用負担が大きくなってしまいます。
このような行為を防止するために宅建業法では売主が宅建業者の場合は手付金を売買代金の20%までと定めており、20%を超える金額を受領することはできません。
なお、手付金と同様に違約金についても売買代金の20%を超えてはならないという制限があります。
こうした制限は8種類あり、宅建業者は買主の不利になる契約が締結できないような仕組みとなっています。
宅建業法では、売主が宅建業者の場合で一定以上の手付金を授受した際の保全措置について定められており、物件が完成しているかどうかで次のように異なります。
不動産売買は契約から決済まで期間があるため、その間に宅建業者が倒産したり債務不履行を発生させる可能性はゼロではありません。
その際に手付金を買主に返還せずに宅建業者が雲隠れしないよう、一定割合を超えて手付金を授受した場合は第三者機関などに保全しなければならないというルールがあります。
ただし手付金額が売買代金に対して割合が低かったり、不動産取引において少額とされる1,000万円以下の場合は保全措置が免除されます。
解約手付について、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約条項では次のように定められています。
第15条(手付解除)売主は、買主に受領済の手付金の倍額を現実に提供して、又買主は、売主に支払済の手付金を放棄して、それぞれこの契約を解除することができる。
【参考サイト:不 動 産 売 買 契 約 書】
このように、売主と買主は契約書に記載されている期日までであれば手付解除という方法で契約をキャンセルすることができます。
ただし期日内であっても必ずしも解除できるわけではないため、注意が必要です。
この章では手付解除のポイントについて、解説します。
一般的に契約書には手付解除の期限が記載されていますが、手付解除に関する条項には「相手方がこの契約の履行に着手したときは解除できない」という定めもあります。
「契約の履行」とは契約を完了するために必要な事項のことで、売主と買主どちらかが契約の履行に着手した時点で手付解除できないことになります。
ただしどのような行動が「契約の履行」に該当するのか判断が難しいケースも多いため、契約の特約に具体的な事項を記載しておくことをおすすめします。
「契約の履行」と判断されるケースとして、具体的には次のような事例があります。
売主が手付解除を行う場合、不動産会社に手付解除の合意書を作成してもらい、買主に説明したうえで双方が署名押印します。
合意書が締結されれば売主は買主から預かった手付金を返還し、さらに手付金と同額を支払うことで解除となります。
手付解除は解除金を買主が受領した時点で成立となるという特徴があり、受領するまでは契約は効力を発生した状態となります。
買主が手付解除する場合は手付金を放棄することになるため、手付解除の合意書を締結した時点で解除となります。
そのため、売主が手付解除するよりも比較的スムーズに成立させることができるという特徴があります。
なお、売主と買主のどちらが手付解除する場合であっても、契約書に貼付する印紙の代金は返還されないため、注意が必要です。
さらに手付解除の時点では売買契約自体は成立していることから、不動産業者へ仲介手数料を支払う義務も発生します。
このことからも、手付解除は手付金の放棄や倍返し以上の費用負担が発生することを、知っておく必要があります。
買主は手付金を売買代金の一部として支払うため返還されることはほとんどありませんが、解除の要件によっては全額無利息で返還されることもあります。
手付金が返還されれば次の物件選びにも影響が少なくなるため、返還となるパターンを押さえておくことをおすすめします。
この章では手付金が返ってくるケースを紹介しますので、参考にしてください。
不動産売買契約書には融資利用に関連する条項が記載されており、住宅ローンの本審査が否決になった場合に白紙解除となる定めがあります。
「ローン特約」と呼ばれるこの定めは買主の責任を追及されない要因で本審査が否決になった際に適用されることになり、手付金は無利息で返還されます。
さらに、手付解除と違って白紙解除となるため契約が締結されていない時点まで遡ることになりますので、仲介手数料も発生しません。
不動産の購入は「金融機関の事前審査通過→売買契約→金融機関の本審査通過」というステップになるため、金融機関からの融資が確定していないタイミングで売買契約を締結することになります。
そのため買主が資金調達できないことを債務不履行として扱わないよう、ローン特約という解除方法が設けられています。
この定めにより買主は安心して売買契約を締結することができますが、ローン特約による解除であっても印紙の代金は返還されませんので注意が必要です。
さらに買主の責任を追及される理由で本審査が否決された場合、債務不履行による違約金を支払わなければなりません。
具体的には次のようなケースで責任を追及されることになりますので、チェックしておくことをおすすめします。
売主が手付解除した場合は買主の倍額が支払われますが、債務不履行による違約金によって返還されるというケースもあります。
たとえば売買代金2,000万円で違約金が20%、手付金として100万円支払った場合、買主に支払う額は次のようになります。
つまり、手付解除だと手付金の返還に加えて100万円を追加で支払うことになりますが、債務不履行だと300万円追加となります。
このように売主が契約解除する場合は手付金額以上の支払いを受けることになりますので、事実上手付金が返還されることになります。
手付金は一般的に売買契約締結時に買主から売主に支払われますが、現金であることが多いです。
ただし売主が売買契約に同席しない「持ち回り契約」であったり宅建業者が売主の場合は契約前もしくは契約後に振込送金とするケースもあります。
この場合は売買契約の締結と手付金の受領タイミングがズレることになりますので、契約の効力発生がいつになるのか確認しておくことがポイントです。
なお、振込送金の場合、振込手数料は買主負担になるのが一般的です。
この章では手付金についてよくある質問を紹介します。
普段からクレジット決済や電子マネー決済を多用している人にとって、現金で手付金を支払う不動産売買契約は不安に感じることも多いです。
安心して取引を進めるためにも、売買契約を締結する前にチェックしてください。
手付金は売買契約を締結する際に売主へ支払う金銭のことで、売買代金に充当されます。
多くの売買契約では手付金の支払いが必須であることから、買主は不動産購入時に準備しておかなければなりません。
それに対し頭金とは不動産を購入する際に用意する自己資金のことで、住宅ローンで資金を用意できるのであれば必ずしも用意する必要はありません。
主に住宅ローンでは準備できない印紙代などを頭金で対応するケースが多く、手付金も頭金を使って支払う買主も多いです。
多くのケースで手付金は現金で支払いますが、その理由として売主に手付金を手渡しすることで契約が締結されたことを双方が自覚できるという慣例があるからです。
不動産の売買契約は売主と買主それぞれが契約締結後に決済へ向けて準備を進めることになり、双方の準備が完了した時点で決済を実行することになります。
そのためどちらかの進捗が遅れると決済時期に影響が出てしまい、決済時期を超過してしまうことで損害賠償請求が発生することも少なくありません。
このようなトラブルを避けるためにも「契約が締結された」ということを認識することが重要だとされており、手付金を現金で支払うという習慣があります。
宅建業者が買主の場合は小切手で支払ったり振込送金になるケースもありますが、慣例を大事にしたい売主も多いことから現金支払いはまだまだ根強く残っています。
宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)では「手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為」を禁止しており、違反すれば業務停止や免許取消といった監査処分を受けることになります。
手付金を宅建業者が貸すことは買主に借金をさせて契約させることになり、トラブルの原因になりかねません。
さらに契約を解除した場合は手付金の借金だけが残ってしまい、買主によっては正常な判断で手付解除できなくなってしまいます。
そのため宅建業法ではこうした手付金の貸与行為を禁止しており、厳しい罰則が設けられています。
これ以外にも手付金の分割払いも買主が契約しやすい状況を作り出すことになるため、禁止されています。
不動産取引において手付金は「契約の証明」だけでなく「契約解除時の負担金」という役割も担っており、取引を行う際には手付金が持つ特徴を正しく理解しておくことが大切です。
特に手付解除は売主と買主どちらが実行しても費用負担が大きいことから、手付金の額はあらかじめ不動産会社に確認する必要があります。
ただし、買主の責任ではない要因で住宅ローン本審査が否決になったり売主都合による契約違反が発生した場合、手付金が無利息で返還されるケースも多いです。
そのため契約解除が発生したからといって必ずしも手付金の放棄が必要というわけではありませんので、契約解除の要因をしっかり確認することをおすすめします。
空家ベースは、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐプラットフォームです。空き家投資用物件を探すときはもちろん、売却時にもご活用いただけます。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!