空き家購入のメリットや注意点は?物件探しの方法やかかる費用についても解説
自然豊かな田舎暮らしや閑静なエリアで古民家を購入するために田舎へ移住する人は増えていますが、こうした希望の住まいを実現する際には空き家の購入検討がおすすめです。
空き家は通常の物件にはないメリットがあり、居住用だけでなく賃貸として検討している投資家にも注目されています。
そのため不動産の購入を検討するのであれば空き家購入を視野に入れておくことをおすすめであり、このことからも空き家は検討しているライバルが多いことから新着情報の確認や効率の良い検索方法などの知識が重要といえます。
その一方で空き家は居住用物件にはないデメリットやリスクもあり、場合によっては新築住宅よりも費用がかかるケースもあるため、注意が必要です。
そこで、この記事では空き家購入のメリットや魅力、デメリットやリスクについて解説します。
不動産購入の流れについても紹介しますので、これから空き家購入を検討する人は参考にしてください。
- 空き家購入の魅力
- 空き家の探し方
- 空き家購入にかかる費用
- 空き家購入の注意点
空き家購入の魅力とは?
空き家を購入し自分で住むことには他の不動産にはない魅力があるため、沢山の購入検討者が公開物件の情報をチェックしています。
このように空き家は魅力が多い不動産だといえることから、どのような魅力があるのかを知っておくことで空き家購入が自分に合うのかを把握することができます。
この章で詳しく解説しますので、空き家が持つ魅力が自分にマッチングしているかどうかを確認してください。
安く購入することができる
空き家が持つ最大の魅力は、価格が安いという点にあります。
都市部エリアは物件価格が高く住宅地が少ないため、空き家があっても「古家付き土地」として公開することが多いです。
つまり、空き家等が公開されるエリアは必然的に郊外になることが多くなり、その結果土地の価格が安くなる傾向にあります。
また空き家は築年数が古くなっていることも多く、その場合は建物の資産価値も低くなります。
このような理由から空き家は購入に関する費用を安く抑えることができ、なるべく安く家を買いたい人にとって大きな魅力といえます。
自分好みにリフォーム・リノベーションができる
「注文住宅は高くて手が出せないけれど建売住宅は味気ない」という人にとって、空き家+リフォームという考え方は魅力的です。
なぜなら安い空き家を購入し自分好みのリフォームをすることで注文住宅よりも費用を抑えつつ、希望の間取りを実現できるからです。
さらに耐震工事を行い耐震適合証明書を発行できれば住宅ローン控除を受けられる可能性もあり、返済計画を有利に進めることもできます。
またリフォームされた戸建は新築と同様にキレイな状態であることから、高値で売却することも賃貸にだして入居者を見つけることも容易です。
そのため、空き家購入はリフォームやリノベーションとセットで検討することをおすすめします。
地域貢献になる
空き家が増えている地域は人口減少が課題になっていることから、空き家を有効的に活用して人口増加を計る市町村は多いです。
つまり、空き家を購入して移住定住することは自治体の税収が増えることになり、地域に対して貢献したい方に向いています。
実際に空き家対策の一環として空き家活用を推進している自治体も多く、HPで田舎暮らしするメリットもアピールしている市町村もあります。
このように空き家を購入して住むことはその地域を活性化させることに繋がるため、気になる地域で物件公開がないかチェックしておくことがポイントです。
空き家の探し方
住宅を探す方法はいくつかありますが効率よく住宅の物件情報を収集する方法は限られており、特に空き家は一般的なポータルサイトでは掲載されないことが多いため空き家に特化した探し方を知っておくことが大切です。
この章では空き家を探す上で知っておくべき方法を紹介します。
空き家バンクで探す
活用されていない空き家の増加は自治体にとって深刻な問題であり、倒壊や火災のリスクがある空き家が増えると近隣住民が安心し暮らすことができない街になってしまいます。
こうした空き家対策の一環として、国土交通省からは空き家バンクが公開されており、自治体と国土交通省、地元の不動産会社が運営しているポータルサイトとなっています。
このサイトは空き家の所有者から販売を依頼されている不動産会社が物件を登録することで買主が閲覧でき、空き家捜索をスムーズに行えるため便利です。
さらに空き家の詳細が分かる画像がアップされており周辺の環境に詳しい不動産会社に直接質問できることから情報収集しやすく、こうした理由から空き家を捜索している多くの人に利用されています。
民間のサイトや不動産会社で探す
「アットホーム」や「空き家専門ポータルサイト」など空き家を公開している民間サイトは多く、空き家バンクと併用することで漏れなく物件を確認できます。
なお、こうしたポータルサイトには不動産会社が物件をアップしていますが、レインズと呼ばれるデータベースから情報を抽出しておりどの不動産会社も閲覧が可能です。
つまり、ポータルサイトで探すのに手間がかかるのであれば不動産会社に直接相談し、希望の物件情報が公開されれば連絡してもらうよう関係性を構築しておくのがおすすめです。
不動産会社によっては空き家を選定する際の注意点を教えてくれたり未公開物件を紹介してくれることもあるため、居住用として空き家を探す際に効果的な方法といえます。
知り合いから売却してもらう
知り合いが空き家を保有している場合は売ってもらえないか相談し、直接取引することもできます。
この場合は仲介手数料がかからないため売主は手残り額が増え、買主は諸費用が減ることになります。
そのため双方にとってメリットがあるため個人間売買を希望する人も多いです。
しかし個人間売買の場合は契約書の作成から司法書士の手配、金融機関との調整などを全て当事者間で実施することになるため手間がかかり、さらに契約書の内容に漏れがあるとトラブルの原因になってしまいます。
個人間売買によって契約解除になったケースもあるため、このようなリスクを避けるためにもなるべく不動産会社に仲介してもらうことをおすすめします。
空き家購入の流れ
どのような不動産を購入する場合にも流れがあり、正しいステップを把握し商談を進めることで安心安全に売買することができます。
空き家購入のステップは大きく分けて5つとなり、「内見」「購入申し込み」「契約」「決済」「引渡し」です。
この章ではそれぞれのステップで必要となる準備物やチェックポイントについて解説しますので、これから空き家を探す人は参考にしてください。
空き家の内見
ポータルサイトを閲覧したり不動産会社から物件紹介を受けて気になる空き家が見つかれば、まずは内見することをおすすめします。
物件を内見すると物件資料やポータルサイトの画像では分からなかった部分を確認することができ、キズや汚れのチェックがしやすくなります。
また売主が同席していれば破損個所や設備の保証、周辺環境について直接質問することも可能です。
こうした内見を繰り返して住むイメージがつく空き家かどうかを判断することが重要であることから、なるべく多くの空き家を見学することが大切です。
なお、売主が空き家の内見に立会う場合は買主だけでなく売主の予定も合わせることになるためいくつか候補を選定し、確実に見学できるよう工夫することがポイントです。
購入申し込み
内見によって候補の物件が決まれば不動産会社に諸費用やリフォーム費用、住宅ローンの返済額が分かる資金計画を作成してもらい、資金面と物件の内容に問題がなければ気に入った空き家で購入申込書を作成します。
購入申込書には購入価格や手付金、希望の契約日時を記載し署名押印することになりますが、記載した条件で売主と交渉することができます。
そのため価格交渉や残置物撤去の交渉をするのであればこのタイミングがベストであり、申込書を売主が受理した後に交渉することは原則できないため注意が必要です。
なお、交渉条件の程度は不動産会社に相談しながら決め、現実的に売主が受理してくれるラインを見極めることが重要です。
非現実的な交渉内容で申込書を記入し提示した場合は「冷やかし」だと思われ、申込書自体を受け付けてくれないこともあります。
このことからも価格交渉などをする場合は理由を不動産会社にしっかり伝え、売主に伝わるようにしておくことが大切です。
売買契約締結
購入申込書の内容で交渉がまとまると不動産売買契約を締結するステップとなります。
空き家の売買に契約書は不要で口約束での契約も可能ですが、言った言わないのトラブルが起きやすい上にやるべきことの期日が不明確となってしまうため、不動産会社に契約書の雛形を作成してもらうのが一般的です。
そのため不動産売買契約を締結する日には印鑑や身分証明書、手付金を用意しておくことになるため、慌てて準備することがないよう余裕を持って準備しておくべきです。
また、契約締結後は契約書の内容に沿って売主と買主双方がやるべきことを進めていくことになります。
その中でも買主は資金の準備が重要となり、住宅ローンを組む場合は本審査が通過する期日が定められていることからなるべく早く金融機関を選定することをおすすめします。
売主と買主双方の準備が整った時点で次のステップである代金決済に進むことになります。
代金決済
買主の資金準備と売主の引渡し準備が完了した時点で残代金などの費用を決済し、所有権移転登記を行います。
所有権移転は売主と買主が自分で実施することも可能ですが、用意する書類と手続きが複雑であるため司法書士に依頼することが一般的です。
また、住宅ローンを組む場合は金融機関に売主と買主、司法書士と不動産会社が集まることになりますが、この場合は金融機関と法務局の両方が開いている平日の午前に決済する必要があります。
そのため人によっては仕事を休むことも考えられますので、決済日の設定はなるべく早くに決めることが大切です。
なお、不動産決済時には実印や身分証明書以外にもケースによっては住民票や印鑑証明書などが必要になるため、不動産会社への事前確認は必須といえます。
引き渡し
通常、引渡しは代金の精算や所有権移転登記と同タイミングで実施しますが、残置物撤去が間に合わないなどの理由で引渡しがズレることがあります。
その場合は引越しができないなどのトラブルが発生することもあるため、なるべく決済と引渡しは同じタイミングにしてもらうべきです。
ただしほとんどの契約書には「代金決済と引渡しは同タイミングで行う」という条文が明記されていることから、引渡しがズレる場合は契約内容と相違していないかチェックしておくことがポイントです。
空き家購入でかかる費用
空き家は物件価格が安いというメリットがありますが、物件価格以外にもかかる費用があるため注意が必要です。
そのため空き家購入を検討する際には家にかかるトータルコストを把握し、内訳を理解しておくことで安心して空き家購入を進めることができます。
この章では空き家のほ本体価格以外にかかる費用について、解説します。
物件の購入費
物件の購入費は本体価格だけでなく、次のような費用がかかる可能性があります。
これらの費用は物件資料に記載されているため、資料は隅々までチェックしておくべきです。
受益者負担金:下水を使用するために市町村へ支払う費用
給水分担金:上水を使用するために市町村へ支払う費用
なお、どちらの費用も決済時に残代金と合わせて清算するのが一般的です。
不動産会社の仲介手数料
不動産会社を仲介し契約を締結した場合は成功報酬として仲介手数料を支払うことが宅地建物取引業で定められており、売買金額によって計算式は次のように変わります。
売買代金が200万円:売買代金×5%+消費税
売買代金が200万円を超えて400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円を超えた場合:売買代金×3%+6万円+消費税
たとえば500万円の空き家を購入した場合、消費税が10%であれば231,000円となります。
このように仲介手数料は事前に把握することができるため、物件選定のタイミングで計算しながら検討することがポイントです。
修繕・リフォーム費
空き家を購入する上で本体以外でかかる費用で、もっとも高くなるのが修繕費用やリフォーム費用です。
たとえば水回りを全て新調する場合は150〜200万円かかり、耐震工事を実施する場合は1,000万円近くかかることもあります。
つまり、空き家を検討する際には修繕費用とリフォーム費用をおおまかにイメージしておくことが重要といえ、トータルコストが合わなければその空き家購入は見送るべきです。
固定資産税
固定資産税は空き家購入後のランニングコストと評価額の1.4%がかかり、都市計画区域内に物件がある場合は都市計画税が評価額の0.3%が最大でかかります。
築年数が古い空き家は建物の評価が低いため固定資産税も安くなりますが、人気のエリアに空き家があると郊外でも土地の固定資産税が高くなりやすいため、注意点といえます。
また、決済が完了すると所有権が買主に移動するため売主は所有権を放棄したにもかかわらず固定資産税を支払っていることになります。
そこで代金精算時には残代金と合わせて固定資産税を日割りで精算するのが一般的となることから、「固定資産税等清算金」という項目が諸費用に含まれることをチェックしておくべきです。
その他の税金
空き家を購入した場合は固定資産税と都市計画税以外にも、次の税金がかかります。
印紙税:契約書に貼付する印紙の代金。売買代金によって費用は変動する。
登録免許税:所有権を移転する際にかかる費用。評価額の0.2%が課税される。
不動産取得税:不動産を所有する際にかかる費用で、評価額の4%が課税される。
空き家の購入やリフォームで活用できる補助金
空き家を購入し移住することで地域が活性化し空き家対策にもなります。
そのため国や自治体は使用していない空き家の活用を推奨しており、空き家購入やリフォームについて補助金制度を公開しています。
たとえばリフォームには上限を30万円として工事費用の50%が補助される制度があり、空き家を取得する際には70万円の補助を受けられる自治体もあります。
こうした補助金は「5年以上定住すること」といった条件があるものの利用することで購入費用を抑えられることから、空き家がある自治体のHPは必ずチェックすべきです。
空き家購入の注意点
空き家を購入してリフォームし住み始めた後に問題が発生し、予想外の費用がかかることもあります。
場合によっては生活がままならずせっかく購入した空き家を売却してしまう失敗事例もあるため、空き家購入は慎重に検討すべきという側面もあります。
この章では空き家を購入する際の注意点について解説しますので、総合的に判断する上で参考にすることをおすすめします。
建物の状態に問題がないか確認する
空き家が安い理由の一つに「耐久性・耐震性」と「修繕費用・リフォーム費用」があり、トータルコストを考慮すると物件によっては新築戸建てと変わらない資金計画になることもあります。
そのため空き家を内見する際に必ず本体価格以外でかかる費用について不動産会社から提案を受け、ランニングコスト含めて問題がないか確認することが大切です。
これ以外にも雨漏りやシロアリの被害があると耐久性が低くなることで倒壊リスクがある家になってしまい、安心して生活することができなくなります。
こうしたリスクを避けるためには売主にインスペクションを依頼し建物の状態を把握したり、雨漏りやシロアリが発生した際の対応を売主負担とする「契約不適合責任」を契約条項に追加するのがおすすめです。
空き家になった理由を把握する
資産価値が高くさらに活用できる空き家であれば所有者が利用することが多いため、空き家として売却している理由は把握すべきです。
たとえば「利用する予定がない実家を売却」だったり「生活資金にするため」という理由であればリスクは高くないといえますが、「倒壊リスクが高い」や「修繕箇所が多い」という理由だと後から費用がかかる可能性が高くなることが分かります。
この注意点は中古戸建や中古マンションを購入する際に共通していますが、築年数が古く耐震性や耐久性に不安がある空き家を検討する際には特にチェックすべきポイントとなります。
なお、こうした理由を聞くことは失礼ではなく売主側も想定している質問です。
このことからも遠慮せず不動産会社を通じて気になるポイントを全て質問することが、安心して空き家を購入するために必要といえます。
残置物の有無を確認する
残置物を残すと売主は撤去費がかからないことになり、なるべく「現況渡し」で売却しようとする傾向にあります。
その一方であえて残してほしい家具や家電が家屋内にある場合、交渉して残してもらうこともできます。
このように空き家の売買において売主と買主のどちらにも重要なポイントであることから、残置物の有無や内容に齟齬がないよう打ち合わせすべきです。
なお、一般的には売買契約書を締結する段階で残置物の内容や設備の故障有無をまとめた「付帯設備」を買主に交付し、双方で署名することで内容を合意することができます。
このことからも付帯設備の内容をチェックし、希望した残地物の状態で引渡ししてくれることを把握しておくことが大切です。
DIYできる部分とできない部分を把握する
空き家購入の総額を抑えるためには費用負担が大きいリフォーム費用を削減することがコツとなり、そのためにはなるべくDIYで対応する必要があります。
しかしDIYは仕上がりにムラがでる可能性があり、見た目が悪い住宅になってしまうという失敗も多いです。
特に給湯器の設置や外壁の塗り直し、壁紙の張替えなどは安全に暮らすためにも正しい知識と技術で施工することが大切です。
つまり、これらの工事をDIYすることはおすすめではなく、費用がかかってもプロに依頼すべきといえます。
このように、空き家購入においてDIYできる部分とできない部分を見極めることは注意点となります。
まとめ
空き家を購入して自分好みにリフォームすることで注文住宅よりも費用を抑えてマイホームを手に入れる人は多く、人気が高いことから不動産ポータルサイトにも空き家が多く公開されています。
そのためなるべく不動産の購入費用を抑えたい人に空き家購入は向いていますが、物件によっては耐久性や耐震性に問題があり安心して暮らすための修繕費用やリフォーム費用が高くなるというデメリットもあります。
このことからも、空き家を検討する際には全体の費用やリスクを把握しながら進めることが大切です。
空家ベースは全国各地にある空き家を公開しており、各物件のリスクや状態を分かりやすく提示しています。
空家ベースでは実際の取引実績から物件のリスクについて客観的に分析・評価した内容をお伝えしているため、空き家購入に興味がある方はぜひ空家ベースをご利用ください。
なお、公式LINEでは未公開物件の配信サービスも行っています。
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!