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空き家バンクで失敗したくない!メリット・デメリット、注意点と対策を解説

空家ベース編集部

「将来は田舎に移住してのんびり暮らしたい」
「空き家を改装して古民家カフェを経営したい」

近年、空き家を再利用し、さまざまな用途に活用される事例が増えていることはご存じでしょうか。

この記事を見ている方の中にも、空き家の活用に興味がある方がいるかもしれません。そんな時は「空き家バンク」を利用して空き家を探すと便利です。ただし、「空き家バンク」にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。上手に利用しないと、失敗する可能性もあります。

本記事では、空き家バンクのメリット・デメリットと、空き家バンクで失敗しないための注意点と対策について解説します。失敗例もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 空き家バンクとは「空き家の売却や賃貸を希望する売主と買主・借主を探すマッチングサービス」である
  • 空き家バンクのメリットには「売りにくい、貸しにくい空き家でも広く周知できる」などがある
  • 空き家バンクのデメリットには「宅建業者を通さない場合はトラブルになる可能性がある」などがある
  • 空き家バンクで空き家売却や土地活用を成功させるためには「専門家や不動産会社との連携」を重視することが大切である

空き家バンクとは

そもそも、「空き家バンク」とは、自治体や民間企業が主体となって空き家の情報を提供しているサービスのことです。

所有している空き家を貸したい人や、売りたい人が登録し、空き家バンクを介して自治体や民間企業が情報を提供しています。空き家を買いたい人や、借りたい人は空き家バンクから物件を見つけて申し込み、空き家バンクを介して購入や賃貸ができるといった仕組みです。

地方への移住定住の促進による地域の活性化や年々増加し深刻化する空き家問題を解決するために国がはじめた制度です。

空き家バンクのメリットとデメリット

空き家を売りたい・貸したい人と、買いたい・借りたい人にとって、空き家バンクの制度は情報取集をするための便利なツールといえますが、空き家バンク制度にもメリットとデメリットがあります。空き家バンク制度を利用する前にメリット・デメリットを確認しておきましょう。

空き家バンクのメリット

空き家バンクのメリットは以下のとおりです。

  • 売りにくい、貸しにくい空き家でも広く周知できる
  • 地域の活性化につながる
  • 補助金を利用できる
  • 不動産業者に売却や賃貸の依頼をしてもなかなか買主・借主が見つからない物件でも、空き家バンクに登録することで空き家に興味のある多くの人に周知できます。また、空き家を古民家カフェやレンタルスペースなど人が集まるコミュニティの場に再生することは、地域の活性化につながるといえます。さらに、自治体によっては、空き家の購入費用や建物のリフォーム費用の一部を補助する制度を設けている場合もあります。補助金制度の条件をクリアすることで更に初期費用を抑えることが可能です。

    空き家バンクのデメリット

    空き家バンクのデメリットは以下のとおりです。

  • 宅建業者を通さない場合はトラブルになりやすい
  • 買い手、借り手が見つかるまで時間がかかる可能性がある
  • 空き家バンクは空き家の情報提供を行っているだけで、運営している自治体は売買・賃貸契約や仲介に関与はしてくれません。

    そのため、自分で直接買主や借主と条件を交渉する必要があります。宅建業者が仲介に入らない場合は仲介手数料を支払う必要はありませんが、その分、当事者間で契約を行う場合にトラブルになりやすいデメリットがあります。

    空き家バンクを介して契約を行う場合、提携を結んだ地元の宅建業者に仲介に入ってもらう自治体もあります。また、空き家バンクでは条件を満たせば不動産価値がほとんどないような物件でも登録することは可能ですが、そもそも営利目的ではないため、自治体が積極的な営業活動をしてくれるわけではありません。

    「早く売却したい」「すぐに賃貸に出したい」と考えている人にとっては、空き家バンクは向いていないといえます。

    空き家バンクで失敗する原因

    ここでは空き家バンクで失敗する主な原因として、次の3つを紹介します。

  • 情報収集不足
  • 活用方法を間違える
  • リフォーム・リノベーション費用の見積もりミス
  • 失敗する原因を事前に把握し、空き家バンクを利用する際の参考にしましょう。

    情報収集不足

    空き家や古家付き土地には、一定の需要がありますが、エリア・地勢・金額・築年数などの諸条件によって買主や借主が見つからないことがあります。

    だからといって、相手の属性をしっかりと調査・情報収集せずに空き家や土地を処分すると、以下のような失敗やトラブルにつながりやすいため注意が必要です。

  • 一戸建てを若者向けのシェアハウスとして貸し出したものの、犯罪に使われていた
  • 郊外の古家付き土地を外国人に貸し出したら、賃料支払いの滞納が続いた
  • 活用方法を間違える

    一口に空き家や古家付き土地といっても、物件ごとに最適な活用方法は異なるため、活用方法を見極めることが大切です。

    例えば、商業エリアや主要ターミナルに近い空き家なら、店舗活用や賃貸として貸し出すと、一定程度の需要が見込めます。

    落ち着いたエリアや地方に古家付き土地があるなら、リフォームをして「古民家カフェ」や「古民家レストラン」として売り出せば、買主や借主が見つかる可能性が高まります。

    売買あるいは賃貸いずれにおいても、希望者の用途や目的とミスマッチした活用方法を選択すると、失敗につながるでしょう。

    リフォーム・リノベーション費用の見積もりミス

    長年放置された家屋は、老朽化や設備の劣化などが進んでいます。市街化調整区域にある家屋や再建築不可物件などに該当しなければ、空き家や古家付き土地をリフォーム・リノベーションすることも可能です。

    ただ、気付かないうちに、将来的なリターンに見合わない改修費用を支払っていることもあります。見積もりはしっかりと確認し、複数業者に依頼するようにしましょう。

    >>市街化調整区域にある家屋や空き家については、こちらの記事で詳しく解説しています
    市街化調整区域は建て替えや増改築ができる条件は?活用方法や売買まで解説!

    空き家バンクの失敗例と対策方法

    空き家バンクの失敗例とその対策をご紹介します。

  • 売主と買主間のトラブル
  • 空き家が犯罪の拠点になるケースがある
  • 修繕費用が予想以上にかかってしまうことも
  • ひとつずつ紹介していきます。

    売主と買主間のトラブル

    空き家バンクを利用して当事者間で売買契約を行う場合でも売買契約書の作成は必要です。専門知識のない個人が売買契約書を作成するのは難しく、「書類の不備を理由に契約を無効にされた」といったトラブルや、引き渡し後に「売買契約時には説明がなかった欠陥があった」「心理的瑕疵があったことが判明した」といったトラブルが発生する場合があります。売主と買主間のトラブルを防ぐために、基本的には空き家バンクを介して売買する場合でも、自治体と提携している不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

    空き家が犯罪の拠点になるケースがある

    空き家バンクを介して物件を貸し出していたら大麻栽培や特殊詐欺などの犯罪の拠点として利用されていたケースもあります。このような犯罪の場に利用されていますと、その後空き家の売却や貸し出しに悪影響を及ぼす可能性もあるため、貸借希望者の審査はしっかりと行うことが重要です。

    修繕費用が予想以上にかかってしまうことも

    空き家バンクで空き家を安く購入できたが建物のリフォーム費用が予想以上にかかったという失敗のケースも多いです。空き家バンクに掲載されている物件の価格は相場よりも低めに設定されており、購入費用を安く抑えることができますが、基本的に築年数が古く、改築して再利用するにはリフォーム費用がかかります。中には、シロアリの被害にあっていて建物の基礎部分の大規模な修繕が必要になる場合もあります。空き家バンクで空き家の購入を検討する場合は、購入価格だけでなく、リフォーム費用も見据えた購入計画をすることが大切です。

    空き家バンクを使って土地活用を成功させるために

    効率的に空き家を売買・賃貸借できる空き家バンクを使って土地活用を成功させるために、空き家バンクを利用するときは、以下のポイントも念頭に置いておきましょう。

  • 情報収集と活用法の検討
  • 専門家や不動産会社との連携
  • 自治体の補助金・助成金制度の活用
  • 空き家の売却方法と税制優遇
  • ひとつずつ見ていきましょう。

    情報収集と活用法の検討

    空き家バンクには、全国各地の空き家や古家付き土地などの物件情報が掲載されています。

    所有する空き家や古家付き土地の具体的な活用法を検討したり、近隣エリアの物件の情報収集をしたりすると、具体的な活用法や土地活用のイメージを膨らませることができるでしょう。

    専門家や不動産会社との連携

    空き家バンクは、登録や物件情報の掲載は無料です。ただ、すぐに買主や借主が現われるわけではありません。待っているだけでは、家屋は老朽化してしまいます。その期間も、建物の維持管理や、固定資産税や都市計画税の納付などは必要です。

    「空き家を早く処分したい」「古家付き土地をすぐに売りたい」とお考えの方は、よりスムーズに空き家売却や土地活用ができるように、空き家を専門に取り扱う不動産会社や、買手の付きにくい不動産処分に強みを持つ専門家と連携しておくと安心です。

    また、空き家バンクは物件の売買や賃貸借の契約には介入しません。個人間での売買契約や賃貸借契約では、後々トラブルになる可能性が高いため、専門家や不動産会社と連携し、契約を進めるとトラブルを避けられるでしょう。

    自治体の補助金・助成金制度の活用

    自治体によっては、空き家バンクの利用を条件とした補助金・助成金制度を設けています。主に、設備や建物、防災・防犯対策などにかかった改修費用が補助対象です。

    「補助金・助成金が出るなら」と、空き家の改修や移住を検討する方も多いため、スムーズに空き家を売却できます。空き家や古家付き土地のある自治体の窓口やホームページを確認してみましょう。

    参考:空き家バンク助成金|茨城県利根町
    参考:空き家改修等事業補助金|熊本県宇城市
    参考:『空き家改修費助成事業補助金』制度|佐賀県小城市

    空き家の売却方法と税制優遇

    空き家の売却方法には、以下の方法があります。

  • そのままの状態で売却
  • 取り壊してから売却
  • 買取を利用して売却
  • 空き家バンクを利用して売却
  • そして、空き家の売却では、税制優遇を受けることができます。特に多くの方が活用できる税制優遇制度が「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

    一般的には、3000万円特別控除の特例と呼ばれ、不動産売却で発生する譲渡所得が、一定の条件を満たすことで最高3000万円まで非課税になる、という税制優遇制度です(図1)。

    【図1】
    居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例

    条件を満たし3000万円特別控除の特例が適用されれば、売却益が3000万円以内であれば税金が発生しません。空き家の売却をする際は、適用条件を満たしているか必ず確認するようにしましょう。

    参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

    まとめ

    空き家を貸したい・売りたい人と借りたい・買いたい人にとって空き家に特化した情報を集められる空き家バンクは便利な制度ですが、活用方法を間違えると、空き家の活用を失敗してしまう恐れがあることも事実です。空き家を上手に利用したい方は、空き家バンクのメリット・デメリットや具体的な活用方法をしっかりと把握したうえで、空き家バンク制度を活用していきましょう。

    「空家ベース」では、空き家を売りたい人と再生したい人を繋ぐポータルサイトとして全国の空き家物件の情報を数多く掲載しています。空き家売買に興味のある方は是非お気軽にご相談ください。