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無償で古民家の空き家を手に入れる方法と注意点|登記費用や税金、補助金制度を解説

空家ベース編集部

スローライフやセカンドライフが注目される現代において、「自然に囲まれながら、のんびり田舎暮らしができる、古民家の空き家を手に入れたい」という想いを持つ方は増えています。

実は、古民家の空き家は無償で手に入れることが可能です。ただ、メリットやデメリット、注意点などを把握せずに手続きを始めると、後悔する可能性があります。

この記事では無償で古民家の空き家を手に入れる方法と注意点などについて解説していきます。古民家の空き家への移住や無償譲渡を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事で分かること

  • 無償で古民家の空き家を入手する方法は、「空き家バンク」「自治体」「民間の仲介サイト」「所有者との直接交渉」の4つである
  • 無償提供の古民家の空き家が増える背景には、「田舎の放置空き家増加」と「所有者の管理費用の負担増加」が考えられる
  • 無償で古民家の空き家を入手する際の注意点は、登記費用や税金などの費用がかかることである

無償提供の古民家空き家の入手方法

古民家の空き家を無償で入手する方法は、主に次の4つです。

  • 空き家バンクを利用する
  • 自治体から無償提供を受ける
  • 所有者と直接交渉する
  • 民間の仲介サイトを活用する
  • 一つずつ見ていきましょう。

    空き家バンクを利用する

    無償で譲渡される古民家の空き家を探す場合、まずは「空き家バンク」を見てみましょう。

    空き家バンクは、各自治体が運営主体です。空き家を所有している人の中で空き家を売りたい・貸したいと思っている人が登録しており、空き家バンクを介して各自治体が空き家の情報提供をしています。空き家を買いたい人や借りたい人は、空き家バンクに掲載されてる物件を見つけて登録・申し込みをすることで、購入や賃貸ができるサービスです。

    空き家バンクの場合、各自治体と協定を結んでいる不動産業者が、売主と買主との間に入って契約締結することが一般的です。

    自治体から無償提供を受ける

    少子高齢化や過疎化が深刻な地方の自治体では、移住者を増やすために、移住支援制度の一つとして、空き家バンクとは別に空き家を無償提供している場合があります。

    無償提供を受ける際に、「40歳以下であること」「無償譲渡を受けてから10年間は転居しないこと」など、一定の条件を求められる場合があります。

    所有者と直接交渉する

    自治体や不動産業者の仲介なしで、自分で直接空き家の所有者と交渉する方法もあります。

    空き家を放置していると「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大で6倍になることがあります。反対に、空き家を取り壊して更地にすると、住宅用地特例などの税制優遇の適用がなくなり、固定資産税額が上がります。

    このような背景から、空き家を所有している人の中には、空き家の処分に困っている人もいるため、タイミングが合えば直接交渉することで古民家空き家を無償提供してもらうことも可能でしょう。

    民間の仲介サイトを活用する

    自治体が主に運営する空き家バンク以外に、民間の仲介サイトから無償提供の空き家を見つける方法もあります。

    空き家を売りたい人が直接サイトに空き家の情報を書き込む掲示板のような仕組みになっている仲介サイトもあり、気になる物件があれば問い合わせフォームから直接問い合わせることが可能です。

    空家ベースで古民家を探す

    0円物件?無償提供される古民家空き家の背景

    そもそもなぜ、資産の一つである不動産が無償提供されるのでしょうか。

    ここでは不動産が無償であったとしても、提供される理由について解説します。

    田舎の放置空き家が増加

    ひとつ目の理由は、放置される地方の空き家物件の増加です。

    空き家増加の要因は、団塊世代による相続です。第一次ベビーブーム世代の団塊の世代も、すでに70代に差し掛かっています。子ども世代や孫世代に相続や遺贈を検討する一方、「子どもが遠方にいて家を必要としていない」「少子化によって相続する子どもがいない」といった理由が、放置空き家が増加する要因と考えられます。

    管理費用がかかる空き家の無償提供

    空き家は所有しているだけでも維持・管理費がかかります。

    一例ですが、下記の管理費用が挙げられます。

  • 光熱費
  • 火災保険
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 建物修繕費
  • 庭木の剪定費
  • 固定資産税や都市計画税、光熱費は空き家を所有しているだけでも必要ですし、建物修繕費や庭木の剪定費は定期的にかかる費用といえます。

    「空き家の管理費用を支払うくらいなら0円でも売却しよう」と、無償提供にメリットを感じる所有者は少なくないのです。

    古民家空き家を無償で手にいれるメリットとデメリット

    古民家空き家を無償で入手することに、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。0円空き家物件のメリット・デメリットについてそれぞれ見ていきましょう。

    0円空き家物件のメリット

    ①無償で物件を手に入れることができる
    物件の購入価格が0円のため、不動産を手に入れる際の初期費用を大幅に抑えることが可能です。

    ②補助金や助成金制度を利用できる場合がある
    空き家の増加は社会的な問題となっているため、空き家を取得する場合、国や自治体から解体費や修繕費の助成金や補助金制度を受けられる場合があります。これらの制度を活用することで、0円で物件を入手できるだけでなく、リフォーム費用等の負担も軽減することが可能です。

    ③民泊等に活用でき地域の活性化にもつながる
    0円空き家物件は、物件の購入費がかからないため、その分、リフォーム費やリノベーション費にお金をかけることができます。古い空き家であっても、人が利用できる状態に整えることで民泊等に活用したり、賃貸に出し家賃収入を得ることが可能です。また、人を集めることでその地域の活性化にもつながります。

    0円空き家物件のデメリット

    ①建物の瑕疵については免責となるケースが多い
    0円空き家物件は、無償で譲渡される物件のため、譲り受けた後に建物に瑕疵があったとしても、売主は責任を負わないケースがほとんどです。例えば、シロアリの被害があったり、建物の基礎部分が腐食していたりした場合であっても、売主に対して損害賠償の請求をすることなどはできません。

    ②建物の状態によっては高いリフォーム費用がかかる
    0円空き家物件は築年数の古い建物であることがほとんどです。そのため、シロアリや害虫の被害にあっている場合などは、建物の基礎部分の補強工事が必要になるなど、想定以上のリフォーム費用がかかる場合があります。

    ③物件の購入費以外の費用がかかる
    物件の購入費用はかかりませんが、0円空き家物件を取得するにはいくつかの費用がかかります。 不動産を取得するうえでは、こうした初期費用がかかることを別途把握しておく必要があります。物件の購入費以外の費用については、次の章で解説します。

    無償譲渡された古民家にかかる費用

    無償譲渡された古民家にかかる費用

    無償譲渡された古民家の空き家も、住み続けていくうえでは以下のようにさまざまな費用がかかります。

  • 登記費用
  • 譲渡契約書作成費
  • 税金
  • リフォーム・修繕費用
  • 特に「憧れの古民家暮らし実現のために地方移住したい!けど、費用は抑えたい」という方は、行政手続きやリフォーム費用など、0円で譲り受けた古民家の空き家で快適な生活を送るために必要な費用をあらかじめ確認しておきましょう。

    登記費用

    物件所有を客観的かつ公的に証明し、不動産にまつわるトラブルを防ぐために、古民家の空き家を無償譲渡された場合も、不動産の所有者移転登記手続きは忘れずに行いましょう。手続きには、以下のような登記費用がかかります。

    ①印紙代:200円
    ②登録免許税:固定資産税評価額×2%
    ③司法書士代行費用:不動産1件ごとに数万〜5万円

    無償で譲渡された物件も、固定資産税評価額は0円ではありません。そのため、原則、登録免許税は支払うものと認識しておきましょう。

    譲渡契約書作成費

    無償譲渡された物件は、不動産業者の仲介がないため、譲渡後にトラブルに発展することも少なくありません。

    そのため、物件の元所有者との間で契約書を作成しておくことが望まれます。その契約書が「譲渡契約書」です。「譲渡契約書」は、無償譲渡される物件に関して、譲渡の条件や概要などを明確にできるため、トラブル回避に役立ちます。

    ただ、専門的な知識や情報収集作業が必要であり、個人が作成するにはハードルが高い書類です。したがって、弁護士や司法書士などの専門家に譲渡契約書作成費を支払って、依頼する方がほとんどでしょう。

    税金

    無償譲渡された古民家にかかる税金
    古民家や古家付き土地などを無償譲渡された場合、登録免許税以外にも、以下のような税金を課される可能性があります。

  • 贈与税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税(都市計画税)
  • 例えば、古民家の無償譲渡を個人間で行った場合、税制上「土地と家屋両方の贈与を受けた」と見なされます。贈与税は、1年間に受け取った財産の合計額が、贈与税の基礎控除額である110万円を超えた場合に発生する税金です。個人から法人への無償譲渡では、譲る個人には所得税、譲り受ける法人には法人税が別途課されます。

    また、古民家の空き家であっても、不動産を取得したことに変わりはないため、無償譲渡を受けた側は不動産取得税が発生する可能性もあります。

    そして、不動産を0円で取得しても不動産自体は固定資産です。不動産には一定の基準で評価額が定められます。これを固定資産税評価額といい、この評価額に基づき、1月1日時点の不動産所有者には固定資産税や都市計画税が課されます。

    このように、無償譲渡では譲り受ける側に税金が課されるため、「コストがかからない」と誤解がないように注意しましょう。

    リフォーム・修繕費用

    物件の地域や敷地面積など建物の状態にもよりますが、古民家全体のリフォーム・修繕費用は、数千万円程度かかることが一般的です。

    仮に部分的なリフォーム・修繕であっても、数百万円は覚悟する必要があります。

    リフォーム範囲で施工費用は異なりますが、「想像以上の出費」に後悔しないよう事前に修繕規模や範囲を確認しましょう。

    なお、自治体によっては耐震補強や省エネ、バリアフリーなどのリフォームに補助金を出しています。「費用負担を軽減したい」という方は補助金制度を活用しましょう。

    【補助金制度がある自治体(例)】

  • 青梅市空家等活用支援事業|東京都青梅市
  • 空家リフォーム助成制度|千葉県木更津市
  • 空家利活用改修補助事業|大阪府大阪市
  • 福岡市空き家活用補助金|福岡県福岡市
  • まとめ

    本記事では、無償の古民家空き家の入手方法と注意点について解説してきました。

    空き家バンクや自治体、仲介サイトなどの活用や、所有者に直接交渉することで、古民家空き家の無償提供を受けられるでしょう。

    ただ、無償提供された古民家の空き家も、不動産としての価値は0円ではないため、登記手続きや税金、維持管理費はもちろん、場合によってはリフォーム費を負担する可能性がある点には注意が必要です。

    このような、古民家空き家の無償提供に伴うリスクを適切に管理するためにも、空き家売買に詳しい不動産会社へ相談することをおすすめします。

    空家ベースは、これまで全国各地の古民家空き家を売りたい人と買いたい人を数多くつないできました。古民家空き家の入手や処分で困りごとや悩みをお持ちの方は、お気軽に空家ベースまでお声掛けください。