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既存不適格建築物とは?違反建築との違い・リフォーム・売却時の注意点を解説

空家ベース編集部

既存不適格建築物とは、建てた時点では法律上の基準を満たしていたものの、その後の法改正や都市計画の変更などによって、現在の基準には合わなくなってしまった建物のことです。違法建築物とは異なり、既存不適格であることだけを理由に、住み続けられなくなるわけではありません。

一方で、増築や用途の変更などを行う場合には、原則として現在の基準に合わせる必要があります。そのため、購入や売却、リフォームなどを考える際には、「どの部分が現在の基準に合っていないのか」を確認しておくことが大切です。

この記事では、既存不適格と違反建築物の違いから、リフォーム・増築・用途変更への影響、売買時に確認しておきたいポイント、実際の調査方法まで順番に整理します。

「既存不適格だから売れない・買わない」と決めつけるのではなく、何が不適格なのかを確認したうえで、その物件についてどう判断すればよいのかを考えられるよう説明していきます。

空家ベースでは、既存不適格の可能性がある戸建てや、相続で引き継いだまま手を付けられていない建物について、売却のご相談を受け付けています。確認済証や検査済証など、建築時の書類や登記簿謄本が見当たらなくても、現在の規制と建物の状態を整理したうえで処分の方法をご提案しています。

既存不適格建築物であっても、査定から売買契約、引き渡しといった基本的な売却のステップは通常の不動産と大きく変わりません。売却活動の全体像や具体的な手順をまずは把握したいという方は、以下の記事でわかりやすく図解していますので併せて参考にしてください。

【図解】不動産売却の流れを図でわかりやすく解説!ステップは9つ - 空家ベース

既存不適格建築物とは?「今の基準に合わない=違法」ではない

既存不適格建築物は、建築当時の法令には適合していたものの、その後の法改正によって現在の基準には合わなくなった建物を指します。

この章では、既存不適格建築物になってしまう主な理由から、現状のまま使う場合や工事を行う場合の注意点まで順番に整理していきます。

既存不適格建築物になる主な理由

既存不適格になる理由はいくつかありますが、代表的な4つの理由を見ていきましょう。

  • ✓建築基準法令の改正:耐震基準や構造の規定は過去に何度も見直されており、旧基準で建てた建物が現在の数値を満たさなくなることがあります。
  • ✓用途地域・都市計画の変更:地域の土地利用方針が変われば、建てられる建物の種類に加え、建ぺい率・容積率・高さ制限なども変わります。そのため、既存の建物の用途や形態が現在の地域区分に合わなくなるケースがあります。
  • ✓建ぺい率・容積率の規制変更:数値が厳しく改められると、当時は基準を遵守できていたとしても、現在の法律上では制限を超えてしまうケースもあります。
  • ✓接道・道路に関する規制の変更:道路の種別や区域の見直しによって、接道の条件を満たさなくなる土地が出てきます。

上記に共通しているのは、建物を建てた後に法律やルールの方が変わってしまった結果、現在の基準と合わなくなってしまったという点です。特に築年数が古い戸建てではこうしたケースが多く見られるため、物件を確認するときは、まずこのあたりからチェックしておくとスムーズです。

既存不適格でも、現状のまま直ちに違法になるわけではない

建築基準法第3条第2項は、法令や都市計画等の施行・適用の際に現に存在する建築物について、適合しない規定を適用しないと定めています。

つまり、建てた当時は適法だった建物が、その後の法改正によって現在の基準に合わなくなったとしても、それだけですぐ違法建築物になるわけではありません。

そのため、既存不適格であっても、そのまま住み続けたり、賃貸に出したり、傷んだ部分を小規模な修繕で直したりすることは基本的に問題なく行えます。

ただし、「小規模な修繕」の範囲を超えて、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根など)について過半にわたる「大規模の修繕・大規模の模様替え」を行う場合は、原則として現行基準への適合が求められる場合があります(建築基準法第3条第3項第3号・第86条の7)。

この場合は、現行基準との関係をあらためて確認する必要が発生します。実務上は、建築確認申請の審査などで確認されることになります。工事の内容によっては、現行基準に合わせるための費用がかかったり、希望する工事ができなかったりすることもあるため、工事を始める前に確認しておくことが大切です。

既存不適格建築物と違反建築物の違いとは?

では、「既存不適格建築物」と「違反建築物」は何が違うのでしょうか。

この章では、両者の違いを整理しながら、購入や売却を考える際に確認しておきたいポイントも合わせて見ていきます。

「建築時に適法だったか」が最大の違い

一番大きな違いは、建物を建てた時点で法令に適合していたかどうかです。既存不適格は、建てた当時は適法だったものが、その後の法改正などによって現在の基準に合わなくなったもの。一方、違反建築物は、建築時や増改築時に法令に違反している状態です。

それぞれの違いを表にまとめると、次のようになります。

項目 既存不適格 違反建築物
建築当時 適法 法令に違反していた可能性
現在 現行基準に合わない部分がある 法令に違反している状態
原因 法改正・都市計画変更など 無許可増築や建築後の分筆など
現状維持 一定の条件で存続可能 是正を求められる可能性
増築等 現行基準の適用・緩和を確認 まず違反状態の確認・是正が必要

注意したいのは、建物の見た目だけでは既存不適格なのか違反建築物なのかは判断できない点です。建築当時の資料や、その後の増改築の履歴などと突き合わせながら、現在の状態になった経緯を確認する必要があります。

「既存不適格」と判断するには資料確認が必要

既存不適格建築物かどうかを判断するには、建物の現在の状態だけでなく、建築当時の資料や確認申請時の図面などの確認が必須です。

主に確認するのは、確認済証、検査済証、確認申請図面といった、建築時に提出・発行された書類になります。これらを紛失していたり、未取得である場合は、建築計画概要書や台帳記載事項証明書などを確認することもあります。

確認済証は、工事着手前の建築計画が適法と認められたことを示す書類です。一方、検査済証は、完成した建物が建築基準関係規定に適合していることを確認した書類です。

確認済証と検査済証の両方が残っていれば、建築当時の適法性を確認するうえで重要な資料になります。

ただし、確認済証しかなく検査済証がない場合は、確認申請時の計画は確認できても、完成した建物がその計画どおりに建てられたか、検査時点で法令に適合していたかを書面だけでは確認できません。

そのため、確認申請図面と現在の建物を照らし合わせることも大切です。図面にない部屋や車庫などが現存している場合は、建築後に増築や改修が行われていないか、その経緯を確認する必要があります。

古い建物では、検査済証が残っていないケースもあります。その場合は、手元にある資料や現地調査などから、建築当時の状態やその後の変更の有無を確認していくことになります。資料の収集や現地調査に時間がかかることもあるため、売買を進める場合は早めに確認しておくと安心です。

既存不適格になっているという事実だけではなく、なぜ現在の基準に合わなくなっているのか、その経緯まで確認しておくことが大切です。資料と現地の状態を照らし合わせながら、法改正などによって現在の基準に合わなくなったのか、建築後に増築などが行われたのかを確認するとよいでしょう。

既存不適格建築物は何が問題?まず「何の基準に合っていないのか」を確認する

既存不適格建築物といっても、すべての建物が同じ状態というわけではありません。建ぺい率や容積率、接道、用途など、どの部分が現在の基準に合っていないのかによって、リフォームや増築などを行う際の注意点も変わります。

この章では、既存不適格になっている主な原因を取り上げ、それぞれどのような点に注意が必要なのかを見ていきます。

建ぺい率・容積率などの「規模」に関する不適格

敷地に対して建物が大きすぎる状態は、既存不適格の代表的なタイプのひとつです。例えば、現行の指定が建ぺい率60%の地域で、実際の建ぺい率が70%になっているようなケースです。

ただし、現在の数値だけを見て判断することはできません。建築当時の規制と照らし合わせ、当時から基準を超えていたのか、その後の規制変更によって超えるようになったのかを確認する必要があります。

例えば、用途地域の指定替えによって容積率が400%から200%に変更された場合、建物に手を加えていなくても、現在の基準では容積率オーバーになることがあります。

規模に関する不適格では、増築などによって床面積をさらに増やせるかどうかが問題になります。投資物件の場合は、部屋数を増やして家賃収入を上げるといった計画が難しくなる可能性があるため、今後予定している工事ができるかを確認しておきたいところです。

接道・道路内建築制限などの不適格

接道義務についても、区域の指定や道路の種別が変わったことによって、現在の基準を満たさなくなるケースがあります。国土交通省の資料でも、区域の変更などをきっかけとして接道義務の面で既存不適格となる例が示されています。

また、前面の通路が建築基準法上の道路として扱われなくなってしまった場合、現在の建物はそのまま使用できても、建て替えや増築などが制限されることがあります。道路内建築制限についても、建物の一部が道路内にあることで、現在の基準に合わなくなっているケースがあります。

接道や道路に関する不適格は、建て替えができるかどうかにも関わるため、建ぺい率や容積率などの規模に関する不適格とは分けて確認しておく必要があります。

【参考:接道規制のあり方について - 国土交通省 】

用途・防火・高さなどの規定も確認する

規模や接道以外にも、既存不適格になるケースがあります。以下に例を挙げます。

  • ✓用途規制:用途地域が変わり、現在の区分では建てられない用途の建物になっている場合があります。(例)以前は商業地域で特殊建築物が建てられたが、住居系の用途に変更されたため、同じ用途で建て替えができなくなった。
  • ✓防火・準防火の規定:区域指定の見直しによって、外壁や開口部の仕様が現在の要求を満たさなくなることがあります。(例)準防火地域が防火地域に見直されたため、より厳しい防火基準に適合しなくなった。
  • ✓高さ制限・斜線制限:規制の変更・追加により、既存の建物の高さや軒の高さが現在の制限を超える状態になります。

1棟の建物が、複数の規定について現在の基準に合っていないケースもあります。そのため、既存不適格の部分が1つ見つかってもすぐに調査を終わらせず、ほかにも該当するものがないか確認しておくと安心です。

投資目的で検討する場合は、以下を確認しておきましょう。
①何が現在の基準に合っていないのか、
②現在どのような用途で使われているのか、
③今後どのような工事を予定しているのか、
④建て替える場合にどの程度の㎡数の建物を建てられるのか

これらを確認することで、購入後に予定していたリフォームや収支計画を見直す必要があるかどうかも判断しやすくなります。

既存不適格建築物は増築・用途変更・リフォームできる?

既存不適格建築物は、工事の内容や規模によって、現在の基準への適合が必要になる範囲や、確認申請の要否などが変わります。

この章では、増築・改築、用途変更、リフォームなど、それぞれの工事でどのような点に注意が必要なのかを見ていきます。

増築・改築では現行基準との関係を確認する

既存不適格建築物に増築や改築を行う場合は、原則として現行の基準との関係を確認する必要があります。工事をする部分だけでなく、既存部分についても現行基準への適合が求められることがあるためです(建築基準法第3条第3項)。

例えば、6畳ほどの増築をしたいがために、建物全体の耐震補強が必要になってしまうといった可能性もゼロではありません。そのため、既存部分についても、どの規定が適用されるのかを確認する必要があるのです。

ここで関係してくるのが「基準時」という考え方です。基準時とは、その建物が現在の基準に合わなくなった時点を指し、既存不適格建築物に増築などを行う際の判断に関係します。

過去に増築している建物では、その増築部分も含めて確認が必要になるため、過去の工事履歴を把握しておくことが大切になります。

一定の条件では「既存不適格のまま」にできる緩和措置がある

一方で、既存不適格建築物を活用しやすくするため、一定の条件を満たす場合に、既存部分への現行基準の適用を緩和する仕組みも設けられています。

例えば、増築する床面積が一定の範囲に収まる場合や、エキスパンションジョイントなどによって既存部分と増築部分を構造的に分ける場合などに、既存部分への現行基準の適用が緩和されることがあります(建築基準法第86条の7第2項、建築基準法施行令第137条の13・14)。

ただし、どのような緩和が使えるかは、既存不適格となっている規定や建物の用途・構造、工事の内容や規模などによって異なります。「○㎡までなら大丈夫」と一律に判断できるものではありません。

そもそも建ぺい率や容積率が現在の基準を超えている建物では、床面積そのものが問題になっているため、増築によってさらに床面積を増やせるとは限りません。増築を考えている場合は、まず何が既存不適格になっているのかを押さえて、その規定に応じて利用できる緩和があるかを確認する必要があります。

「リフォーム」と一括りにせず、工事内容を分けて考える

リフォームを検討する場合は、「リフォーム工事」と一括りにせず、実際に何をする工事なのかをまず明確にした方がよいです。内装や設備の交換と、主要構造部に手を加える工事、増築や用途変更では確認すべきことが変わります。

  • ✓小規模な修繕:クロスの張り替えや設備交換などは建築確認を要しないケースが多く、既存不適格の状態に影響しにくい工事です。残置物の撤去と内装の手直しで貸し出す場合、ここに収まることがほとんどです。
  • ✓大規模な修繕・模様替え:壁、柱、床、はり、屋根、階段といった主要構造部の一種以上について過半に手を入れる工事が該当し、規模や地域によって建築確認が必要になります。
  • ✓増築:床面積が増えるため、既存部分への現行基準の適用や緩和措置について確認が必要になり、現行基準との関係を確認する必要があります。
  • ✓改築:既存部分を除却し、著しく異ならない用途・規模・構造で建て直す工事です。工事内容によって、現行基準との関係を整理する必要があります。
  • ✓用途変更:住宅を店舗や宿泊施設へ変える場合など、建物の用途を特殊建築物へ変更する場合は、一定規模を超えると建築確認が必要になります。用途規制や防火、避難の規定が新たに加わってきます。

同じ「リフォーム」でも、内装や設備の交換なのか、主要構造部に手を加える工事なのか、増築や用途変更なのかによって、確認すべきことは変わります。特に増築や大規模な修繕・模様替えでは、既存部分にも現行基準への対応が必要になる場合があるため、工事費に追加費用が発生してしまう可能性もあります。

既存不適格建築物で工事を予定している場合は、まず「何が現在の基準に合っていないのか」を確認したうえで、予定している工事によってどの規定が適用されるのか、緩和措置を利用できるのかを確認しましょう。

専門家や自治体に相談するときも、「リフォームできますか」と曖昧に聞くより、希望する工事内容と不適格となっている部分を具体的に伝えられるとベストです。

購入後に増築や用途変更、まとまった改修を予定している場合は、購入してから確認するのではなく、購入前に工事の可否や必要な期間や対応まで想定しておくとスムーズです。

既存不適格建築物を買う・売るときのメリット・デメリット

既存不適格建築物を投資用物件として購入する場合、現在の建物をどう使えるかだけでなく、将来どこまで手を加えられるか、売却するときにどう見られるかを考えておく必要があります。

既存不適格建築物を所有・購入するメリット

取得から収益化までを短く保てる可能性がある

現状のまま貸し出せる状態であれば、清掃と内装の手直しだけで入居募集に進めます。確認申請を伴う工事を挟まずに済む分、家賃が発生するまでの期間を短縮できます。

現行基準では建てられない規模の建物を使えるケースがある

容積率の指定が厳しくなった地域では、今の規制で新築を建てるよりも大きな床面積を確保できる建物が残っています。同じ家賃水準の地域でより広い建物を持てる分、1棟あたりの収益面でプラスになる場合もあります。

取得価格が抑えられる場面がある

既存不適格であることを理由に購入を見送る人もいるため、同じような立地の物件より価格が下がっているケースがあります。既存不適格の内容を確認したうえで購入できれば、利回りの面で有利に働くことがあります。

デメリット・注意点

増築・改築時に制約を受ける可能性がある

購入後に予定していた改修プランを、そのまま実行できるとは限りません。工事の内容によっては既存部分にも現行基準への対応が必要になり、当初の予算や工期を見直すことになる場合があります。

建て替え後に同規模の建物を建てられない可能性がある

建て替える場合は現在の規制に合わせる必要があるため、延床面積や階数が減るケースがあります。

買主や金融機関への説明・確認事項が増える可能性がある

既存不適格の内容によっては、建築当時の資料や現在の建物の状態など、確認しておきたい事項が増えることがあります。そのため、売却時に資料の提出や調査に時間がかかり、買主の検討期間が長くなる場合もあります。また、融資の可否は金融機関の方針や物件ごとの条件によって異なります。既存不適格であることだけで、直ちに借入れができなくなるわけではありませんが、金融機関によっては審査の際に確認事項が増えることもあります。

何もせず所有を続けることにも負担が伴う

建物を使っていなくても、固定資産税などの負担は発生します。また、建物の老朽化が進めば、倒壊などのリスクにも注意が必要になりますし、管理をしないまま放置すると、近隣からの苦情や自治体からの指導につながることもあります。

投資目的で購入する場合は、現在の収益だけでなく、改修費や建て替え、将来の売却まで見据えて判断することが大切です。融資についても、可能であれば金融機関ごとの取り扱いを購入前に確認しておきましょう。

既存不適格建築物か調べる方法|購入・売却前の確認手順

既存不適格建築物かどうかを調べるときは、建築時の資料と自治体が保管している情報を確認しながら、建築当時の状態と現在の状態を照らし合わせていきます。

この章では、自力で調べる場合の基本的な確認手順を紹介します。

ただ、既存不適格かどうかの判断や、購入後のリフォーム・増築まで考えると、専門的な確認が必要になることもあります。全てを自分で調べ上げる必要はなく、不動産会社や建築士などに調査を依頼して進めることもできますので、ご留意ください。

STEP1:確認済証・検査済証・確認申請図面を確認する

まずは、建築当時の状態が分かる資料を集めます。手元に残っているとよいのは、確認済証、検査済証、確認申請図面などです。売主の手元にこれらの資料が揃っていれば、建築当時の計画や行政による確認・検査の状況を調べやすくなります。

また、増築や改築が行われている場合は、新築時だけでなく、その工事を行ったときの確認済証・検査済証・確認申請図面も確認しておきたいところです。古い戸建てでは、こうした資料が紛失していることも少なくありません。

手元の資料がない場合は、次に自治体で取得できる書類を確認します。自治体によって異なりますが、建築計画概要書や台帳記載事項証明書などから、建築確認や当時の建物の概要を確認できる場合があります。

建築計画概要書は、建築主や敷地面積、建築面積、延べ面積、用途など、当時の建築計画の概要を確認するための資料です。台帳記載事項証明書では、建築確認や検査に関する履歴を確認できます。

なお、自治体によって取得できる書類や記載内容、請求方法などが異なるため、事前に建築指導課などの担当窓口へ確認しておくと安心です。

購入を検討している段階なら、売主へこれらの資料の保管状況を尋ねておきましょう。

STEP2:登記情報・課税明細書と現況を照合する

次に、登記事項証明書(登記簿謄本)や課税明細書と、実際の建物の状況を比べます。

登記記録では、床面積、階数、構造などを確認します。課税明細書にも土地・建物の面積などが記載されているため、これらと現況を比べることで、建物の規模や増築の有無などを確認する手がかりになります。

例えば、登記や課税明細書に記載された床面積と現況の建物の大きさが明らかに異なる場合は、後から増築された可能性があります。平屋として登記されている建物に2階がある、といった食い違いも、追加で調査するきっかけになります。

現地では、外壁の色や材質が途中で切り替わっている箇所、基礎の打ち継ぎの跡、屋根の高さが揃っていない部分などが手がかりになります。1階の一部だけ床の高さが違う場合も、後から足された部分である可能性があります。

登記や課税明細書と現況を照らし合わせることで、建物の面積や規模について、資料と現況との食い違いを確認できます。

STEP3:現在の都市計画・建築規制を確認する

物件所在地の自治体サイトなどで、現在の都市計画や建築規制を確認します。

都市計画情報をウェブ地図で公開している自治体もあり、住所を入力することで、用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域などを確認できる場合があります。難しい場合は、自治体の都市計画課に電話すると確認できます。

接している道路の建築基準法条の道路種別も知っておきたいポイントです。道路判定の窓口やウェブ地図の道路種別図などで、42条の道路なのか、あるいは建築基準法上の道路に該当しないのかを確認します。

公開されている情報は自治体ごとに異なるため、他の地域の事例をそのまま当てはめず、物件所在地の自治体で確認するようにしましょう。

STEP4:予定している工事を整理して自治体・専門家へ確認する

現在の規制を確認したら、次に予定している工事の内容を整理します。

何を、どこまで、どのように変更するのかを具体的にしておくと、自治体や専門家にも相談しやすくなります。工事する場所や面積、構造への影響、変更後の用途など、分かる範囲で書き出しておきましょう。

たとえば、「水回りを入れ替えて和室を洋室にする」のか、「1階部分に6畳増築する」のかでは、確認が必要な内容も変わります。工事の内容が具体的になっていれば、必要な確認や費用についても相談しやすくなります。

STEP5:「既存不適格」なのか「違反」なのかを確定させる

ここまでの資料と現況を照らし合わせ、その建物が「既存不適格」なのか「違反建築物」なのかを確認します。

建築当時は適法だったものの、その後の法令や都市計画の変更によって現在の基準に合わなくなった場合は、既存不適格に該当する可能性があります。一方、建築後の増築などによって基準に適合しなくなった場合は、違反建築物の可能性もあるため、当時の資料や工事の経緯まで確認する必要があります。

既存不適格と確認できた場合でも、工事の内容によっては現行基準への適合が必要になることがあります。改修や増築などを予定している場合は、どのような工事ができるのか、どの規定が関係するのかを確認しておきましょう。

大切なのは、「既存不適格かどうか」だけで終わらせず、次の3点を整理しておくことです。

確認しておきたい3つのポイント

  • 何が現在の基準に合っていないのか
  • その状態で何ができるのか
  • どのような工事をすると現行基準への適合が必要になるのか

ここまで確認できていれば、購入するのか、保有して貸し続けるのか、改修して活用するのか、売却するのかを考えるときの材料になります。個別の建物にどの法令が適用されるかは、建築指導課などの所管部署や建築士に確認したうえで進めましょう。

まとめ

既存不適格建築物であることが理由で、すぐに売却や活用ができなくなるわけではありません。何が現在の基準に合っていないのかを確認し、その状態でできることと、工事などによって現行基準への適合が必要になることを把握すれば、活用や売却の方向を検討しやすくなります。

そのためには、まず確認済証・検査済証・確認申請図面などの建築当時の資料を集め、登記情報や課税明細書、現況とも照らし合わせます。そのうえで、物件所在地の自治体に現在の規制や予定している工事について確認していきます。

確認するポイントは、大きく3つです。建築当時は適法だったのか、現在はどの規定が基準に合っていないのか、これから予定している修繕や増築、用途変更に影響するのか。この順番で確認すると、建物の状態を整理しやすくなります。

増築・改築・用途変更では、既存部分にも現行基準が適用される場合があります。一方で、一定の条件を満たす場合には、既存部分への適用を限定する仕組みもあります。確認した内容をもとに、売却するのか、保有して貸し続けるのか、改修して活用するのかを検討しましょう。

記事で紹介した通り、自分で資料を集めて調べることも可能ですが、資料の読み込みや法令の適用関係を確認するのはやはり簡単ではありません。

空家ベースでは、「この状態で売れるのか」という状況の建物であっても無料でご相談いただけます。不適格となっている規定や建物の状態を踏まえ、買取を含めた売却方法をご提案します。手を入れていない現況有姿のままでもご相談いただけますので、売却できるか一人で判断する前に、まずはお気軽にご相談ください。