固定資産税が上がる理由は?6つの原因と時期、固定資産税を抑える方法を解説
固定資産税は上がることがあるのをご存知でしょうか?
土地や家屋の所有者に対して毎年課税される固定資産税は常に一定ではなく、「評価替え」によって税負担が増えてしまうことがあります。
固定資産税は不動産を所有している間かかり続ける地方税です。居住用としての住宅や建物だけでなく空き家も課税の対象になり、維持費として必要な税金です。
所有している不動産によっては維持費の調達が難しくなってしまい、不動産投資に影響が出てしまうケースも少なくありません。
固定資産税の税額が上昇するタイミングやキッカケを注視し、必要であれば不動産の売却も検討する必要がります。
この記事では固定資産税の概要と上昇する要因、時期について解説します。
また、固定資産税を抑えるための方法についても紹介します。税金の負担を抑えたい人は参考にしてください。
- 固定資産税の価格に影響する要因や計算方法
- 固定資産税が上がる6つの原因
- 固定資産税が上がる時期
- 固定資産税を抑える方法
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固定資産税は上がることがある
総務省が定める固定資産の所有者は「納税義務者」となり、所有している間は固定資産税を支払い続けなければなりません。
ただし固定資産税は常に一定ではありません。
そのため納税通知書に記載されている算出された税額だけでなく、計算方法も把握しておくことをおすすめします。
この章では固定資産税の概要と価格に影響する要因、計算方法について解説します。
固定資産税とは
固定資産税は1月1日時点で「固定資産」を所有している人に対して課税される税金で、該当する固定資産は以下のとうり定義されています。
土地 | 田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野など |
家屋 | 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物 |
償却資産 | 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など |
上記の資産に対して5月頃に自治体の固定資産税課から納付書が発送されますので、記載されている期限までに納税することになります。
固定資産税額は固定資産税評価額に税率1.40%をかけ合わせて税額を計算することになり、3年に1度評価額は変更されます。
次回の評価替えは令和9年です。対象となる所有者は固定資産税評価額をチェックしておくことをおすすめします。
なお、固定資産税は納税者の経済状況が著しく悪化したり盗難、被災によって納税が困難になった場合、支払いの猶予を受けられる特例もあります。
参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税
固定資産税の価格に影響する要因
固定資産税は不動産鑑定士が不動産の流動性などを計算し、3年に1度評価を算出することになります。
不動産が活発に取引されているエリアは固定資産税が上昇しやすくなり、取引数が少ないと前年度から変動しにくくなる傾向があるため、都市部や再開発エリアの固定資産税は評価替えのタイミングでチェックしておく必要があります。
一方、洪水や地震といった自然災害の影響を受けることで地価が下落することもあり、固定資産税に影響が出てしまうケースもあります。
このように所有者が何もしなくても固定資産税が変動することが多いですが、所有者が建物を解体した場合やリフォームすることで変動してしまうこともありますので注意が必要です。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法は以下のとおりです。
固定資産税評価額 = 固定資産税路線価 × 土地面積 × 評点
路線価とは国税庁が定めた道路の価値を1平方メートル単位で表した指標で、国税庁の財産評価基準書でチェックすることができます。
また評点は土地の形状や条件などに応じて評価を調整する割合のことで、変形地や間口が狭いという土地自体の性質だけでなく、近隣状況や交通状況などを鑑みて採点されます。
固定資産税が上がる理由
固定資産税は納付書を使って納税することになるため価格の変動に気づきやすく、評価替えのタイミングで税負担が増えて驚く人もいます。
固定資産税が変動する理由を事前に知っておくことで税負担の上昇にも備えることができ、納得したうえで納税することができます。
また、固定資産税が上昇するタイミングを見極めることができれば最適な時期に売却することもでき、不動産投資の出口戦略としても有効です。
この章では固定資産税が上がる理由について解説します。
地価が上昇した
再開発事業や好立地によって人気が増え、その結果土地の流動性が上昇すると地価が高騰します。
その結果固定資産税の評価額にも影響がでてしまい、固定資産税が高くなる要因になることもあります。
そのため頻繁に土地が取引されているエリアや再開発事業が発表されたエリアにある不動産は、課税額が急激に高くなることも少なくありません。
これ以外にも土地区画整理事業の発表や、オリンピックや万博といった世界的イベントの誘致が近くで決定された場合も地価が高騰する原因になります。
評価額の見直し(評価替え)があった
評価替えとは資産の価値を適正な価格に評価し直すことで、地方税法第341条に定められる方法で実施されます。
これにより固定資産税評価額は3年に1度変更されることになり、不動産によっては上昇することもあります。
一般的に家屋は築年数の経過によって段階的に減少する傾向がありますが、土地については前年度の据え置きか上昇するケースが多いです。
税制改正があった
小規模宅地の特例や長期優良住宅の税制優遇などは固定資産税を軽減できる制度として効果的ですが、税制改正によって縮小もしくは廃止になる可能性もゼロではありません。
このような優遇措置がなくなると評価額は軽減前に戻ってしまうため、固定資産課税額は上昇することになります。
国土交通省が公開した令和7年度税制改正概要では令和6年度の優遇措置を継続する旨が記載されていましたが、継続されるかどうかは毎年協議によって決定されます。
国が公開する税制改正は不動産投資において必須の情報です。
参考サイト:令和7年度税制改正概要
建物を解体し更地にした
建物がある土地は特例によって評価額を軽減させることができ、特例率と呼ばれる割合をかけあわせて計算します。
また、土地の面積によって特例率は次のように決まっています。
小規模住宅用地 (200平方メートル以下) |
小規模住宅用地 (200平方メートルを超える) |
6分の1 | 3分の1 |
この特例は建物を解体してしまうと適用外となってしまいますので、解体した翌年度から固定資産税が3倍から6倍になることもあります。
ただし倒壊する可能性が高い家屋を解体した場合、自治体によっては固定資産税が据え置きになるケースもあります。
減免措置期間が終了した
令和8年3月31日までに新築の戸建てとマンションを購入した場合は一定期間固定資産税が2分の1に減額され、戸建ては3年間、マンションは5年間優遇措置を受けることができます。また、長期優良住宅やZEH省エネ基準適合など一定の要件を満たした新築住宅の場合、減額制度の適用期間が延長されるという特例措置もあります。
これは新築住宅に係る税額の減額措置と呼ばれており、認定長期優良住宅の場合は戸建てで5年間、マンションで7年間に延長されます。
そのため新築の戸建てやマンションを購入した人は数年後に固定資産税が高くなるため、ライフプランを立てる際には注意しておくべきポイントです。
参考サイト:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省
リフォームなどで不動産の価値が上がった
一般的に水回りの新調や外壁、屋根材の張替えなどでは固定資産税は増えませんが、建築確認申請が必要なリフォームを実施した場合は固定資産税が増えてしまうケースもあります。
建築確認申請とは建物を新築・増改築する際に、建築基準法や条例に適合しているか確認を受ける手続きのことで、自治体が管理する建築課に申請し受理されることで工事することができます。
建築確認申請を受けた工事は完工後に完了検査を受ける必要があり、検査済証が発行されると工事完了です。
このような工事は家全体を建て替える大規模修繕や部屋を増やす増築が該当し、家自体の資産価値が上昇するため固定資産税の課税額も増加します。
これ以外にも太陽光発電やホームエレベーター、個人用立体駐車場、10㎡を超えるガレージの設置も固定資産税が増加する原因になります。
築年数が古いマンションで不動産投資を行う場合はこうした大規模なリフォームを検討するケースも多いため、注意が必要です。
固定資産税が上がる時期
固定資産税が上がる時期は不動産やエリアによってはある程度予測を立てることができます。
たとえば家屋を解体した場合、翌年度から宅地の固定資産税は小規模宅地の特例等が利用できなくなるため大幅に増加します。
また新築住宅を取得した場合は家屋のスペックに応じて評価額の減税を受けることができますが、優遇期間が終了すると評価額は元に戻り税負担が増えます。
これ以外にも不動産があるエリアで再開発事業や土地区画整理事業がスタートした場合、事業完了に向けて段階的に固定資産税は増える可能性が高いです。
市街化区域の生産緑地を解除した場合も抑制されていた固定資産税を過去に遡及して請求されるケースもあり、注意が必要です。
このように市況の変化や不動産の状況変化によって固定資産税が上がる時期は異なりますので、正しい変動タイミングを把握することが大切です。
固定資産税を抑える方法
固定資産税は税制優遇の期間が終了したり家屋の解体やリフォームによって増税されてしまうことがありますので、固定資産税を抑える方法を調べておくことがポイントです。
固定資産税を抑える代表的な方法として小規模宅地の特例や新築住宅に対する減税措置の利用、省エネ改修工事や耐震工事、バリアフリーの実施などがありますが、所有者の状況が変わってしまうことで受けられる減税制度もあります。
また家屋を解体した場合は固定資産税が増額されてしまいますが、倒壊する可能性が高い空き家の解体は固定資産税額を据え置きとする自治体も多いです。
これ以外にも活用していない土地を分筆して隣地に売却したり公益性の高い部分と分けることで固定資産税の評価額を最適化する方法など、固定資産税を抑える方法は多岐にわたります。
このような方法を熟知したうえで活用することで、不動産投資の収益を増やすことができます。
なお、固定資産税を抑える方法について、詳しくは「固定資産税の免税・減免とは?適用される条件や固定資産税節約のコツ」の記事をご覧ください。
固定資産税の免税・減免とは?適応される条件や固定資産税節約のコツ
まとめ
固定資産税は不動産投資において無視できない支出です。該当する固定資産や計算方法を知っておきましょう。
また固定資産税は一定ではなく増税される可能性もありますので、上昇する原因の把握も重要です。
特に外的要因によって上昇するケースはオーナーが対処できないことも多く、場合によっては所有している不動産を処分することも検討しなければなりません。
このことからも、固定資産税を抑える方法をなるべく活用することで安定した賃貸経営を実現することができます。
そのため、不動産投資を検討する際には物件の購入価格や周辺環境だけでなく、固定資産税についても詳細を把握しておくことが大切だといえます。
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