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固定資産税評価額とは?調べ方・計算方法を分かりやすく解説

空家ベース編集部

不動産を所有している場合は年に一度固定資産税を支払うことになるため、固定資産税の課税額は所有する前に確認しておくことが大切です。
特に都市部の土地や新築住宅は固定資産税額が高額になってしまうことで家計が圧迫されてしまうことも多く、注意点といえます。
場合によっては固定資産税と都市計画税が支払えず、せっかく取得した不動産を手放す人も少なくありません。
このような失敗を避けるためにも、年間でどのくらいの税金がかかるのかを調べておく必要があります。
また固定資産税評価額は他の税金計算にも使われており、計算方法も含めて知っておくべきポイントです。
この記事では固定資産税評価額の調べ方と税額を算出する方法について解説します。
これから不動産を所有する予定がある人は、参考にしてください。

この記事で分かること

  • 固定資産税評価額の調べ方と計算方法
  • 固定資産税評価額を使って計算できる税金
  • 固定資産税の決まり方

そもそも固定資産税とは?

固定資産税とは総務省によって「固定資産」と定められる財産を1月1日時点で所有している人に対して課税される税金のことで、毎年5月頃に納税通知書が郵送されます。
3年に1度評価替えによって価額が見直され、令和6年度が評価替えの年でした。
固定資産は土地と家屋、償却資産に分けられており、次のように定義されています。

固定資産の種類 固定資産の例
土地 田んぼ、畑、住宅用地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など

なお、固定資産税は国税ではなく地方税となっているため市区町村が納税された税金を管理しており、道路の修繕や街灯の設置などに利用されるケースが多いです。
このように快適な街を維持するために固定資産税は徴収されることになり、HPで利用用途を公開している自治体もあります。
【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税を計算するためにはまず固定資産税評価額を正しく知る必要があります。
一般的には時価の70%が固定資産税評価額とされていますが、あくまで目安であり正確な評価額ではありません。
また不動産を売却する際の価格を決める際にも固定資産税評価額は重要な判断材料となるため、評価額の調べ方は知っておくべきといえます。
固定資産税評価額を調べる方法はいくつかありますが、「固定資産税課税明細書」「固定資産評価証明書」「固定資産課税台帳」のいずれかを確認するのが一般的です。
それぞれ入手方法と閲覧できる人が異なりますので、この章で解説するポイントを押さえておくことをおすすめします。

固定資産税課税明細書で確認する

固定資産税課税明細書は5月頃に郵送される納税通知書に同封されており、土地と家屋の固定資産税と都市計画税の課税標準額と税率、税額、軽減額、賦課期限などが記載されています。
固定資産税評価額だけでなく税額も明記されているため計算する必要がなく、納税義務者の自宅に郵送されるため家族であれば誰でも閲覧が可能です。
ただし1年に1度しか送付されないうえに原則再発行はされませんので、紛失しないよう大切に保管する必要があります。

固定資産評価証明書で確認する

固定資産評価証明書は自治体で保管されている書類となっており、不動産の所在や地目、地積などが標準額と一緒に記載されています。
個人情報に関わる内容が多く含まれているため所有者でなければ確認することができず、家族であっても委任状がなければ取得できない書類です。
紛失しても何度でも発行できますが、1枚につき200円から400円の費用が発生します。
なお、住民票や印鑑証明書と違ってマイナンバーカードがあってもコンビニで取得できない書類となっています。
そのため平日に市役所や役場に行く必要がありますので、注意が必要です。

固定資産課税台帳で確認する

固定資産税評価証明書は非課税の固定資産についても明記されていますが、固定資産課税台帳は課税される固定資産のみが明記されます。
そのため固定資産課税台帳の閲覧でも評価額を確認できますが、所有者以外が閲覧するためにはやはり委任状が必要となり、本人であっても顔写真付きの身分証明書か2種類の身分証明書が必要です。
自治体によっては所定の書式以外の委任状を受付しないというケースもありますので、あらかじめ委任状の書式については確認しておくことをおすすめします。

固定資産税評価額を使って算出できる税金

固定資産税評価額は固定資産税の計算だけでなく、都市計画税や不動産取得税、登録免許税の計算にも使われます。
それぞれの税金は支払うタイミングも異なりますので、不動産を取得する予定がある人は事前に計算しておくことが大切です。
この章では固定資産税評価額をベースとして計算する税金について、解説します。

固定資産税

固定資産税の計算式は次の通りです。
固定資産税評価額×1.40%
上記の計算式が基本となり、宅地や家屋によっては軽減措置が適用されます。
たとえば宅地の場合は200㎡以下の部分について課税額を6分の1、200㎡を超える部分について3分の1に軽減させることができます。
また家屋の場合は評価額を一定期間半分に軽減させられる制度があり、新築住宅で3年間、マンションで5年間です。
ただし、適用させるためには以下の条件を全てクリアしている必要があります。

  • 住宅の居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
  • 共同住宅は居住部分の床面積に廊下や階段などの共用部分の床面積をあん分し、加算した床面積で計算すること
  • 一戸建て以外の貸家住宅は、一戸につき40平方メートル以上280平方メートル以下であること

上記以外にも自治体によっては独自のルールが設定されていることもありますので、事前に確認しておくことがポイントです。
なお、固定資産税の納税通知書は4枚1組となっており、4回に分けて支払うことも可能です。
期限は自治体によって異なりますので、遅れることなく支払えるよう準備しておくことが大切です。
 

都市計画税

都市計画税の計算式は次の通りです。
固定資産税評価額×最大0.3%
都市計画税の税率は自治体が自由に設定することができ、制限税率によって0.3%が上限となっています。
市街化区域の土地に課税されるため市街化調整区域の土地は非課税となりますが、自治体によっては市街化区域でも非課税になっているケースもあります。
そのため課税明細書をチェックしたり自治体に問合せし、課税の有無をあらかじめ把握しておくことが大切です。
税率は固定資産税課税明細書や固定資産税評価証明書で確認することができます。
なお、都市計画税も軽減措置が設けられており、200㎡を超えた部分の宅地は評価額の3分の2、賃貸マンションなどの小規模住宅用地は200㎡以下の部分で3分の1に軽減されます。
【参考サイト:総務省|地方税制度|都市計画税

不動産取得税

不動産取得税の計算式は次の通りです。

固定資産税評価額×4%

不動産取得税は不動産の所有権を取得したタイミングで発生する税金となっており、所有権移転登記から半年前後で納税通知書が届きます。
そのためあらかじめ税額を計算し支払えるよう資金を準備しておく必要がありますが、家を建てる目的で購入した土地であれば税率は3%に軽減され、評価額も2分の1です。
さらに土地面積に応じて以下の控除が適用されることになり、不動産取得税を大幅に軽減させることができます。

固定資産税評価額×3%÷土地面積×200㎡

たとえば土地面積が180㎡で評価額が2,000万円だった場合、宅地の不動産取得税は30万円ですが上記の計算によって約66万円まで控除できます。
つまり、このケースだと不動産取得税はかからないことになります。
また、家屋についても長期優良住宅の新築であれば課税額から1,300万円控除することができます。
このように、不動産取得税は高額になりやすい一方で軽減額も大きいことが分かります。
【参考サイト:総務省|地方税制度|不動産取得税

登録免許税

登録免許税の計算式は次の通りです。

固定資産税評価額×2%(売買の場合)

登録免許税は所有権移転登記を法務局に申請する際に発生する税金となっており、司法書士の報酬と合わせて不動産決済時に支払うのが一般的です。
税率は2%が基準ですが令和8年3月31日までに登記する場合は1.5%に軽減させることができます。
上記税率は売買のケースですが、相続や法人の合併または共有物の分割であれば0.4%となります。
なお、登録免許税は地域によっては買主が全額負担したり売主と折半することがありますので、司法書士に見積を依頼して確認しておくことをおすすめします。
【参考サイト:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

固定資産税評価額の決まり方

固定資産税評価額は土地と家を分けて計算することになり、それぞれ計算式が異なります。
特に家は設備の状態やスペックによって変動しやすく、ホームエレベーターなどの特殊な設備があると高くなりやすいです。
この章では固定資産税評価額の計算方法を具体例を交えて紹介しますので、参考にしてください。

土地の固定資産税評価額

土地の固定資産税評価額は国税庁が公開している固定資産評価基準をベースに地目別に定められた方法によって評価することになり、一般的には路線価方式が採用されます。
路線価方式は前面道路の固定資産税路線価を土地の資産価値として算出する方法となっており、計算式は次の通りです。

路線価×土地面積×評点

評点とは評価を調整する割合のことで、国税庁によって公開されています。
延長敷地などの不整形地は整形地よりも価値が下がりやすく、評点によって補正する必要があります。
つまり、同じエリアの土地であっても土地の形状次第では評価額が安くなる可能性があるといえます。
たとえば路線価が10万円/㎡で敷地面積が150㎡、評点0.8の場合、固定資産税評価額は1,875円です。
なお、路線価は路線価図・評価倍率表で調べることができます。
【参考サイト:財産評価基準書
【参考サイト:奥行価格補正率表

家の固定資産税評価額

家の固定資産税評価額は「再建築価格方式」で計算するのが一般的となっており、現在建築されている家を再建築する前提の評価額を算出し、そのうえで経年劣化の資産価値減少を補正するという方法です。
再建築価格方式の計算式は次のようになります。

家の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額

経年減点補正率は法務省で定められており、評点1点あたりの価額は1円であることが多いです。
たとえば再建築評価額が3,000万円で築11年が経過していた場合、評点を1円とすると1,440万円です。
ただし家の設備によっては評点が増加し、評価額が増えてしまうこともありますので注意が必要です。
【参考サイト:経 年 減 価 補 正 率 表

まとめ

土地や建物を所有している限り固定資産税は支払い続けることになり、税額によっては大きな負担になってしまいます。
そのため不動産を所有する前にはまず固定資産税評価額を調べ、固定資産税や都市計画税を計算しておくことが大切です。
固定資産税評価額は毎年送られてくる納税通知書で確認できますので、所有者に依頼して見せてもらうのが一番正確に把握できます。
また、不動産は固定資産税以外にも不動産取得税や登録免許税がかかるため、有効活用できない不動産を所有する場合にはあらかじめ売却を検討しておくのがおすすめです。
空家ベースは空き家を買いたい人専用のポータルサイトとなっており、有効活用しにくい不動産を所有している人に向いています。
全国を対象としていますので郊外にある不動産も物件として公開することができますので、固定資産税が高くて困っている人は是非お問い合わせください。
【参考サイト:空家ベース