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戸建て売却の完全ガイド~事前準備から売却完了までを分かりやすく解説〜

空家ベース編集部

転勤や転職、資産売却を理由に所有している一戸建てを売却するケースはありますが、不動産の売却は注意点やコツが多く、不動産売却に慣れていなければ失敗してしまう売主も少なくありません。
売却金額や売却プランは不動産会社に相談しながら検討するのが一般的ですが、そもそも不動産会社を決めるポイントが分からないという人もいます。
また、無事に買主と売買契約を締結できても引っ越しや必要書類を準備するタイミングが分からず、トラブルが発生してしまうこともあります。
これ以外にも税金や諸費用の内訳を勘違いし、売却しても赤字になってしまったという事例も多いです。
このように、一戸建てを売却するためには失敗しないステップを把握しておくことが大切です。
この記事では一戸建ての売却を成功させるために、事前準備から売却完了までの流れを詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 一戸建て売却の基礎知識
  • 売却前の準備
  • 不動産会社の選び方
  • 売却開始から完了までの流れ
  • 売却を成功させるためのコツ

空き家の売却は難しいと感じていませんか?私たちは空き家専門の売却サポートで、物件の状態に応じた価値をしっかりと引き出します。戸建て投資家様や相続した空き家の売却をしたいが悩んでいる方はぜひご相談ください。築年数の古い家でもスムーズに売却できるようサポートいたします。

一戸建て売却の基礎知識

一戸建てを売却すると決めた場合、まずは基本的な流れや必ずかかる費用を押さえておくことが大切です。
また賃貸との違いも理解し、所有者だけでなく親族全員が納得したうえで売却をスタートさせる必要があります。
この章では一戸建て売却の基礎知識として、基本的な流れと初期費用、賃貸との比較について解説します。

一戸建て売却の基本的な流れ

戸建て 売却 流れ
一戸建て売却をするためには、まず必要書類を準備して不動産会社に査定を依頼し、売買契約を締結して販売を依頼します。
不動産会社が物件を公開すると購入希望者から内覧の申し込みがありますので、不動産会社と一緒に対応することになります。

そして内覧後に購入希望者から購入申込書が提示されれば内容をチェックし、条件に合意すれば売買契約を締結します。
最後は一戸建ての引き渡しと決済を行い、確定申告をして完了です。
この章ではそれぞれのポイントを解説します。

売却に必要な初期費用とは

一戸建てがいくらで売れるのかだけでなく、最低限かかる初期費用も把握しておく必要があります。
インターネットや紙媒体を通じて購入希望者を募る「仲介」の場合、成約時に不動産会社へ仲介手数料を支払うことになります。
ただしこの報酬はあくまでも成功報酬のため、査定額の提示については無料で利用できます。
また、一戸建てを不動産会社に買取してもらうのであれば仲介手数料も不要です。
これ以外にも中古戸建と土地のどちらで売るのかでも、必要となる費用は変わります。
このように、一戸建てを売却する際にかかる諸費用は売却方法によって変動することが分かります。

売却と賃貸の違いを比較

売却と賃貸では次のような違いがあります。

売却/賃貸 所有権 維持費の負担 利益の内容 税制優遇
売却 放棄する 放棄できる 売却益 有り
賃貸 維持できる 放棄できない 賃料+売却益 有り

売却の場合は所有権を放棄することになりますが賃貸は維持できるため、将来相続や贈与といった選択も可能です。
ただし維持している間は固定資産税や都市計画税、家屋の修繕費といった維持費がかかってしまうため、注意が必要です。
これ以外にも利益と一度に得られる売却と賃料+売却益という点も、大きな違いです。
最終的にどちらが得になるのかはエリアや一戸建ての資産価値によって変わりますので、慎重に判断すべきポイントといえます。

売却前の準備

不動産 売却 準備
一戸建ての売却は不動産会社に任せていれば自動的に完了するわけではなく、売主としてやっておくべきことや準備があります。

特に一戸建ての権利関係や物件の状態は売却価格やプランに大きく影響しますので、不動産会社に渡す書類を早めに準備しておくことが大切です。
この章では売主が売却前に準備すべきポイントを解説しますので、チェックしてください。

住宅ローンの残高確認

不動産を売却するためには抵当権抹消登記を行いますが、そのためには抵当権の設定理由となっている住宅ローンなどを完済する必要があります。
ローンよりも売却価格の方が高いアンダーローンであれば売却益を使って残債を支払うことができますが、ローンの方が高いオーバーローンだと不足分を別の資金で補わなければなりません。
つまり、オーバーローンでの売却は諸費用を含めると事実上の赤字売却だといえますが、ローンを返済できる売却価格にしてしまうと相場よりも高くなってしまう可能性があります。
このような価格設定だと購入希望者からの反響が減ってしまい、販売が長期化する原因になってしまいます。
そのため住宅ローンの残高は売却価格に大きく影響しますので、最新の残高を金融機関に確認しておくことをおすすめします。

権利証や登記識別情報通知書

権利証や登記識別情報通知書は所有者を確認できる重要な書類のため、不動産会社や司法書士は必ずチェックする書類です。
どちらの書類も紛失してしまうと再発行することができず、所有権移転登記は別の方法で行うことになり、費用が余計にかかってしまいます。
また全部事項証明書と所有者や所有者の住所が異なる場合は正しい状態に登記し、その後移転するという手順が必要です。
手続きが増えると登記費用も増額されてしまいますので、なるべく早く権利証や登記識別情報通知書の内容は確認しておくべきといえます。
なお、平成17年以前に取得した場合は権利証、以降であれば登記識別情報通知書となります。

建物に関する書類

法務局に備え付けられている全部事項証明書では建物の構造や延べ床面積を確認することができますが、間取りや屋根の形状などは記載されていません。
そこで、不動産会社は立面図や平面図を確認し、正確な物件資料を作成します。
これらの書類は建物を建築した時期に発行される建築確認書に添付されており、売買契約書や重要事項説明書と同封されていることが多いです。
購入希望者が買いたくなるような物件資料を作成するうえで、大切な参考資料といえます。

土地や建物の状態確認

土地の資産価値において立地と土地面積、土地形状、前面道路と幅員の広さが大きく影響します。
たとえば100㎡程度の2階建て住宅を建て、並列駐車場を2台確保するためには一般的に35坪以上の土地面積が必要です。
しかし前面道路や幅員が狭いと駐車計画が成り立たなくなるばかりか建築コストも高くなってしまい、買主が購入を躊躇する原因になってしまいます。
そのため人気の土地として売却できるかどうかを判断するためにも、土地の状態は確認しておくことがポイントです。
一方、建物で確認しておくべきポイントは雨漏りやシロアリの発生、外壁のヒビやキズといった経年劣化です。
家屋が劣化しているとその分買主のリフォーム費用が増額されてることになり、予算オーバーになる可能性が高くなってしまいます。
これ以外にも給湯器や太陽光発電、床暖房といった設備の動作チェックも重要です。

境界線の確定と隣地問題の解消

土地の境界線を決める境界杭は確定測量によって設置されますが、自然災害やブロック塀工事、解体工事によって杭がなくなってしまうことがあります。
このような状態だと土地の境界ラインを正確に確認できなくなってしまい、買主が選定する金融機関によっては融資がおりないことも少なくありません。
また、隣地とトラブルが発生していると購入希望者が不安になってしまい、購入を断念する原因になってしまいます。
境界ラインの協議や生活音はトラブルに発展しやすいですが、これ以外にも隣人が購入したいと考えていたのに声を掛けず売買契約を締結してしまったことでトラブルになるケースもあります。
隣地所有者とのトラブルを放置しておくと売却価格や販売期間に大きな影響を与えてしまいますので、注意が必要です。

売却価格を決めるための相場調査

売却前の準備として、自分で相場を調べるというポイントがあります。
SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトで売却予定の物件があるエリアを選択し、建物や土地の価格をチェックします。
その時に、土地や建物の面積、建物の築年数が近い物件を閲覧することが重要です。
不動産会社に査定を依頼する前に相場調査を行うことで査定額を精査できるようになり、不動産会社の選定や売却価格の決定に役立てることができます。

築年数が古い物件の注意点

築年数が古い物件を検討している買主はリフォームを実施するのが一般的ですが、建物が古すぎると家を支える躯体や基礎の耐久性が低くなってしまい、リフォームでは対応できないことも多いです。
この場合は耐震補強工事が必要になりますが工事費用が高く、予算オーバーになってしまうことも少なくありません。
そのためリフォームしても住めないほど劣化している家屋の場合は古家付き土地として販売するか不動産買取によって処分するのがおすすめです。

不動産会社選びと査定依頼

一戸建ての売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社に販売を委託しなければなりません。
また、不動産会社が提示する査定額の計算方法を知っておくことで、より深く査定額を理解することができます。
これ以外にも不動産会社に販売を委託する媒介契約書にはいくつか種類があるなど、不動産会社を選ぶ前に売主が知っておくべきポイントは多いです。
この章では売却前に知っておきたい不動産会社の選び方と査定方法、媒介契約書の種類について、解説します。

不動産会社選びのポイント

不動産会社をインターネットで調べてみると、大手から地域密着型まで多くの会社が査定エリアで活動していることが分かります。
そのため依頼する不動産会社を迷ってしまい、売却のスタートが遅れてしまうことも少なくありません。
不動産会社を選ぶためには「担当者の提案力」と「会社の売却実績」がチェックポイントです。
査定額と売却プランの説明をする担当者が購入希望者の対応をしますので、説明の内容や返信のスピードなどを確認し信頼できる担当者を選ぶことが重要です。
また、物件があるエリアで一戸建ての売却実績が多い会社は買主から信頼されているため、スピーディーに売却できる可能性が高くなります。
このように、不動産会社選びは不動産売却を成功させるためのカギといえます。

査定方法の種類と選び方

不動産査定は大きく分けて「机上査定」と「訪問査定」があり、机上査定の結果で売却の意思決定や訪問査定を依頼する会社を選び、訪問査定で売却価格と条件、販売方法を決めます。
それぞれ査定の目的が異なりますので、この章で詳しく解説します。

机上査定

机上査定とは不動産会社がインターネットで公開されている情報や法務局に備え付けられている資料をベースに査定する方法のことで、現地を確認せずに査定額を算出するという特徴があります。
不動産会社は不動産ポータルサイトとレインズで類似物件を確認し、相場に近い査定額を算出し売主に提示します。
売主は提示された査定額を参考に相場を理解し、訪問査定を依頼する不動産会社を複数選定します。
机上査定は依頼してから数日内に査定額の回答がありますので、すぐに査定額を知りたいケースでもおすすめの査定方法です。

訪問査定

訪問査定は不動産会社が実際に一戸建てを訪問し、物件の状態や周辺環境をチェックし売却価格と売却プランの提案を行います。
このタイミングで諸費用や発生する可能性が高い税金を把握できますので、手残り額をイメージしたうえで販売価格を決めることが大切です。
そのため登記識別情報通知書や住宅ローン残債が分かる書類などは、訪問査定を受ける前に用意しておくことをおすすめします。

媒介契約の種類と違い

机上査定と訪問査定が終われば販売を依頼する不動産会社を選ぶステップになりますが、依頼するためには不動産会社と媒介契約を締結する必要があります。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
自分にあった契約形態を選ぶことで納得のいく売却活動となりますので、正しく特徴を理解しておくことが重要です。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 不可 1社 1週間に1度 最大3ヶ月 5日以内に登録

専属専任媒介契約を選んだ場合、依頼する不動産会社は1社のみとなり自分で買主を発見することもできません。
そのため売主の制約が多い契約形態となっていますが、その分不動産会社に積極的な活用を求めることができます。
専属専任媒介契約を締結すると不動産会社から最低1週間に1度、販売について報告があります。
またレインズの登録義務も5日以内と短いことから、不動産会社はスピーディーな対応をしなければなりません。
このことからも、早期売却を狙いたい売主には専属専任媒介契約がおすすめといえます。
なお、不動産一括査定サイトのすまいステップが行ったアンケートによると、専属専任媒介契約が最も多くなっており、全体の4割が専属専任媒介契約となったそうです。
【参考サイト:すまいステップ

専任媒介契約

専任媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 通知すれば可能 1社 2週間に1度 最大3ヶ月 7日以内に登録

専任媒介契約は専属専任媒介契約と同じように不動産会社は1社しか選べませんが、自分で買主を見つけることができます。
そのため親族や友人で一戸建てを買いたいという人がいる場合には、専任媒介契約がおすすめです。
不動産会社に積極的な販売活動は求められますが、販売報告義務は最大2週間に1度となり、レインズ登録義務は7日以内です。

一般媒介契約

一般媒介契約には次のような特徴があります。

契約項目 自己発見取引 同時依頼社数 販売報告義務 有効期間 レインズの登録義務
詳細 通知すれば可能 規定なし 規定なし 規定なし 規定なし

3種類の媒介契約で一番規制が緩いのが一般媒介契約です。

複数の不動産会社と契約することができ、自分で買主を発見することもできます。
ただし不動産会社の販売活動についても大きな制限はなく、販売活用報告もレインズ登録義務もありません。
また契約の有効期間も定められていませんので、売主が不動産会社の活動をチェックしなければならないというデメリットもあります。

売却活動の開始

戸建て 売却活動 流れ
不動産会社が決まればいよいよ売却活動の開始です。
この章では売り出し価格の設定から購入希望者との価格交渉までの流れについて、解説します。

売り出し価格の設定と調整

売り出し価格は査定額とベースに設定するのが基本ですが、住宅ローンを売却益で返済する場合や売却益の使い道が決まっている場合、それらを踏まえた価格で売り出す必要があります。
場合によっては相場よりも高い金額で公開することもありますので、不動産会社をしっかり相談したうえで決定することが大切です。

販売戦略の立案

できれば高く売却したいと考える売主には、物件を公開した直後は相場よりも少し高い価格に設定し、媒介契約の更新タイミングで相場に価格変更するという方法がおすすめです。
また、売却完了期間をあらかじめ設定し、期間内に売れなければ不動産会社に買取してもらうという方法もあります。
買取は仲介と違って不動産会社が買主となりますので、買取額に合意した時点で売買契約に進むことができます。
一戸建ての残置物処分や家屋の解体も不要というメリットがあり、仲介手数料もかかりません。
そのため、販売が長期化してしまう前に買取を選んで処分してしまう売主も多いです。

ホームページや広告媒体の活用

買主は購入する一戸建てを探す際に、不動産ポータルサイトや不動産会社のHPをチェックします。
地域によってはポスティングや新聞折込が反響の源泉になることから、不動産会社は最適な広告戦略を選択して物件を公開する必要があります。

また、不動産会社は物件公開用の写真を撮影しますので、リビングや水回り、居室をキレイに片づけておくことがポイントです。

ホームステージングの活用

ホームステージングとは一戸建てを着飾り、おしゃれな生活がイメージできるように工夫する販売方法のことです。
間接照明やテーブル、ソファ、観葉植物をリビングや寝室に置き、買主が生活動線や家事動線を確認できるようにすることで、購入意欲を高めることができます。
これ以外にも静かな音楽を流しておくなどホームステージングには様々な方法がありますので、不動産会社に相談しながら準備をすることが大切です。
なお、不動産会社によっては専属専任媒介契約の締結を条件に、無料でホームステージング用の家財を貸し出ししてくれるケースもあるようです。

内覧の準備と対応

購入希望者から内覧の連絡を受けると不動産会社は売主に連絡し、売主は内覧の準備を行います。
空き家であれば鍵を不動産会社に預けることで対応を任せられますが、居住用であれば部屋を片付けてスリッパを用意し、買主を迎え入れる準備をする必要があります。
また、売主が内覧時に同席することで町内会や近隣住民の人隣についてすぐに質問できますので、購入希望者が満足のいく内覧になります。
そのため想定される質問をあらかじめリストアップし、答えられるよう準備しておくことも大切です。

購入希望者との条件交渉

物件を購入したい人は購入申込書を記入し、不動産会社経由で売主に渡します。
買主は購入申込書に購入したい金額と条件を記載することで購入希望者は売主に交渉することができ、売主は内容を協議したうえで回答します。
そして、条件がまとまれば売主は売渡承諾書にサインしますが、この時点で物件は商談中となり、不動産会社のHPや不動産ポータルサイトから物件情報は削除されます。
そのため、他の購入希望者は閲覧できなくなりますので、注意が必要です。

売買契約の締結

不動産売買契約は売主と買主が不動産会社の事務所に集まり、重要事項説明書の説明と売買契約書の読み合わせを行った後に双方が署名押印することで締結されます。
この章では売買契約の流れについて、解説します。

契約締結前に確認する書類と費用

売買契約を締結する前に、必要書類と諸費用を再確認することをおすすめします。
この章ではそれぞれの内容について詳しく解説します。

必要書類

売買契約締結前に、以下の書類を準備しておくことがポイントです。

  • 登記識別情報通知書
  • 固定資産税等納付書
  • 設備の説明書
  • 購入時に取得した書類
  • リフォームした場所が分かる書類
  • レントロール、リフォーム・設備の修繕実績(投資用物件の場合)
  • 管理規約・使用細則(マンションの場合)

厳密にいえば上記の書類は売買契約時点で必ず必要というわけではありませんが、用意しておくと買主はどのような書類が残っているのか確認することができます。
安心して契約を締結するためにも、なるべく契約時に用意しておくことをおすすめします。

諸費用(仲介手数料、印紙税など)

不動産売却にかかる諸費用として仲介手数料や印紙税があり、売買代金によって変動します。
不動産会社から査定額や売却プランと合わせて説明を受けるケースがほとんどですが、価格や引渡し条件の交渉を受けることで査定時から変更になることも多いです。
そのため売買契約を締結する前に必ず再確認することが重要です。
なお、印紙税は売買契約書の原本を保有する人が負担するのが一般的なため、契約書が不要であれば免税にすることもできます。
その場合は署名押印、印紙の消印済みの契約書をコピーしてもらい、確定申告まで保管しておく必要があります。

売買契約の流れ

売買契約 流れ
売買契約は次のような流れで進みます。

重要事項説明書の確認

宅地建物取引主任士から重要事項説明書の説明を受け、内容を確認します。
重要事項説明書には売買する不動産の面積や法令制限、道路制限、その他重要な取り決めが記載されています。

普段聞きなれない専門用語が多く記載されていますので、分からないポイントを後から質問できるよう、メモしておくことが大切です。

契約書への署名・捺印

重要事項説明書の説明が終われば売買契約書の読み合わせを行います。
売買契約書に記載されている多くの内容は重要事項説明書に記載されていますので、内容を双方が確認して問題なければ署名捺印します。
なお、このタイミングで用意していた印紙を契約書に貼付し、消印することで納税とみなされます。

手付金の受領

重要事項説明書と契約書に署名捺印すれば手付金を受領します。
契約書で定められた期間内で買主が契約を解除したいと申し出た場合、手付金をそのまま受け取ることで残代金を解除することができます。
一方、売主から解約を申し出た場合は手付金を変換し、さらに手付金と同額の金銭を支払わなければなりません。
このことからも受け取った手付金は使わず、手付解除期間内は金庫などで保管することをおすすめします。

契約後の手続き

全ての手続きが終われば不動産決済日や今後の日程を決め、解散です。
全体で1時間半から2時間程度の時間がかかりますので、余裕を持ってスケジュール調整しておくことが大切です。

引渡しと決済

契約が締結されれば物件の引き渡しと決済を行い、不動産取引は完了となります。
ただし売主は翌年度に確定申告が必要となりますので、忘れず必要書類を準備しておくことがポイントです。
また、残代金の受領と物件の引き渡しは同時に行うことが一般的です。
そのため必要書類や準備物に間違いがないか、最終チェックすることが重要といえます。
この章では売買契約締結後の手続きについて、解説します。

残代金の受領と引渡し

不動産決済は買主が住宅ローンを借りる金融機関で行い、その後司法書士が法務居に所有権移転登記のために法務局へ向かいます。
そのため平日の午前中に行うのが一般的であるため、仕事の調整がつくか早い段階で確認しておく必要があります。
決済当日は司法書士から必要書類の確認と所有権移転登記の説明を受けることになり、委任状に署名捺印します。

引渡し前の最終確認事項

引渡し時に書類の不備や準備物に不足があると決済できず、契約書の内容によっては買主からは契約不履行を理由に損害賠償を請求されることもあります。
このようなリスクを避けるためにも、不動産決済前に不動産会社と一緒に準備物の最終チェックをすることが重要です。

鍵の引渡し

買主に渡す鍵を全て準備し、数を数えておきます。
一戸建てのカギは取得した時点よりも合鍵が増えていることもありますので、用意し忘れがないか入念に確認する必要があります。
玄関ドア以外にも、倉庫や勝手口の鍵も紛失していないかチェックすることがポイントです。

登記申請書類の確認

登記識別情報通知書がなければ通常の方法で決済することができず、司法書士と本人確認するなどの手間や費用がかかってしまいます。
また、不動産決済当日に登記識別情報通知書を忘れてしまうと所有権移転登記ができず、代金の引き渡しも受けられなくなってしまい、この場合は決済をやり直すか違約解除となります。
登記識別情報通知書以外にも印鑑証明書や実印も用意しなければならないケースもありますので、登記申請書類に間違いがないか入念に確認することをおすすめします。

税金と確定申告の注意点

不動産決済が完了すると翌年度に確定申告を行い、譲渡所得税の税額を確定します。
譲渡所得税は不動産売却によって利益が発生した場合に課税される税金で、売却益が課税額となります。
また所有期間によって税率が変わることから、確定申告が原則必要です。
ただし「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれる特例を利用することで課税額から3,000万円を控除することができ、免税にできるケースもあります。
このような特例はいくつか公開されていますので、確定申告前にチェックしておくことで節税することが可能です。

【引用サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

売却を成功させるためのコツ

戸建て 売却 成功のコツ
一戸建ての売却は押さえておくポイントが多いため、思い描いた通りに売却を完了させるのであればコツを知っておく必要があります。
この章では不動産売却を成功させるコツを紹介しますので、一戸建てを売却する前にチェックしてください。

売却時期の選定

売却時期はいつでも良いというわけではなく、購入希望者が増えるタイミングで公開することが重要です。
たとえば4月や9月は人の移動が増えるため反響は増加し、お盆休みや年末年始は減ります。
また競合物件が多く公開されているタイミングに公開すると購入希望者は目移りしてしまい、決断できない可能性が高くなってしまいます。
これ以外にも所有してから5年以内に売却してしまうと譲渡所得税が高くなってしまい、手残り額が減る原因になります。
このように、売却時期は不動産売却において重要ですので、慎重に判断することが大切です。

不動産会社との連携

不動産会社と連絡を密に取り、公開物件の情報を細かく修正することも大切です。
室内や外観の画像を定期的に変更したりホームステージングしたリビングの画像を使うなど、購入希望者が興味を持つ工夫が必要です。
一般媒介契約以外の契約であれば販売報告を受けられますので、反響内容を確認しながら販売戦略を修正することがポイントとなります。

資産価値を高めるリフォームや清掃

資産価値を高めるためには給湯器やリビングの壁紙をリフォームする必要があり、見た目がキレイになると内覧時の反応が良くなります。
ただし大規模なリフォームをしてしまうと手残り額が減ってしまうため、リフォーム箇所は十分に検討する必要があります。
なお、リフォームをしなくても清潔感のある物件にする必要があるため、日常的な清掃は必須といえます。

内覧時のアピールポイントを作る

売却している一戸建ての良いポイントをまとめ、内覧時にアピールできるよう準備しておくことも大事です。
購入希望者にキッチンまで歩いてもらい家事動線の良さをアピールしたり、断熱性の高い家であれば洗面室やバスルームとの温度差を体感してもらうことで家の良さを理解してもらえます。
このようにアピールポイントをまとめたうえで購入希望者にしっかり伝えることで、成約に至る可能性を高くすることができます。

まとめ

一戸建てを売却するためには必要書類を準備して不動産会社に査定を依頼し、査定額と売却プランを比較検討して販売を任せる不動産会社を選ぶ必要があります。
不動産会社に販売を委託するためには媒介契約を締結することになりますが、媒介契約には種類があるため自分にあった契約形態を選ばなければなりません。
また、物件の価格設定や内覧時の対応、価格交渉の協議など売主が検討しなければならないポイントは多いです。
そのため、一戸建ての売却を成功させるためには信頼できる不動産会社に売却を依頼し、売主としてやるべきポイントと必要書類や準備物、売却スケジュールを共有してもらいながら進めることが大切だといえます。