【初めての不動産売買も安心】不動産売買契約書のすべて~基本・重要事項から手続き、注意点まで徹底解説~
土地や建物の売買に慣れている売主と買主でない限り、不動産売買契約書の内容を一度で理解することは難しいです。
特に個人間で売買契約を締結する場合は不動産会社が仲介しないことから予想外のトラブルが発生することも多く、スムーズに取引を完了できないことも多いです。
また、不動産会社が契約書類を準備していたとしても記載内容を十分に理解できなかったり勘違いしてしまい、後から大きな損害を被ることも少なくありません。
このような契約のトラブルを避けるためには不動産売買契約書と重要事項説明書の内容について、重要なポイントを事前に確認しておくことが大切です。
この記事では不動産売買契約書の重要なポイントと雛形の入手方法、契約の流れや費用、税金について解説します。
これから不動産の売買を検討している人は参考にしてください。
- 不動産売買契約書のチェックポイントと雛形の入手方法
- 売買契約の流れと費用、税金
- 不動産売買契約書の保管方法とアフターフォロー
空家ベースは不動産事業にチャレンジしたい人や、地方に空き家を買って移住したい人に日本全国の空き家を紹介するポータルサイトです。
空家ベースは空き家再生を通して空間を作ることの楽しさを広め、起業へのファーストステップを応援します。
公式LINEでは未公開物件の配信なども行なっていますので、ぜひ登録してチェックしてください。
不動産売買契約書とは?初めての住宅購入で知っておくべき役割と重要性
不動産売買契約書とは土地や建物、マンションといった不動産の売買を締結するために必要な「約束事」を明記した書類のことで、物件の所在地や契約金額、解除の条件、解約手付と引渡し期日などが条項としてまとめられています。
不動産会社が仲介する場合は不動産会社が作成し、宅地建物取引士が契約書に記名押印したうえで売主と買主に提示されます。
売主と買主は署名押印することで合意したものとみなし、それぞれの責任と負担によって引き渡しの準備を進めることになります。
このように、不動産売買契約書には取引を円滑に進めるために必要な決まり事が文書にまとめられているため、署名押印する前にしっかりと契約内容をチェックすることが必要です。
売買契約書と土地売買契約書、何が違う?
売買契約書と土地売買契約書はほとんど同じとなっており、売買契約書は建物売買も兼ねていますが土地売買契約書は土地に特化しているという点が異なります。
一般的に売買契約書であれば不動産種別を問わず重要な内容を網羅していますので、ひな形を選ぶ場合は売買契約書を選ぶのがおすすめです。
混同しやすい重要事項説明書とは?
不動産会社が仲介に入ると不動産売買契約書と同タイミングで重要事項説明書が交付されますが、契約書とは別の意味を持つ書類です。
契約書は売買契約を締結したことを証明する書類であり、重要事項説明書は契約前に取引の重要事項を説明するための書類となっています。
重要事項説明書は宅地建物取引士の資格保持者でしか説明することができず、不動産売買契約書は誰でも説明が可能です。
2つの書類はこのような位置づけになっていることから、重要事項説明書に重要なポイントを記載する傾向にあります。
ただし、重要事項説明書の説明義務は「買主」に対してのみであり、売主については説明義務はありません。
なぜならこれから不動産を手放す売主は不動産の詳細を把握する必要がないからであり、署名押印のみで説明をしないケースは多いです。
一方、不動産売買契約書には売主と買主がそれぞれやるべきことが記載されていますので、必ず双方に説明することになります。
不動産売買契約書のココが重要!初めての契約で確認すべきポイント
不動産売買契約書には「契約不適合責任」や「滅失・損傷」など、聞きなれない単語が乱立しています。
そのため不動産売買に慣れていない売主と買主は内容を全て把握することができないケースも多く、分からないまま署名押印してしまうこともあります。
不動産会社が作成する不動産売買契約書であれば不動産会社が分かりやすく説明してくれるものの、正しく理解しなければトラブルになるポイントもあります。
そこで、この記事では不動産売買契約を締結するうえで押さえておきたいポイントを紹介しますので、契約前にチェックしてください。
売買物件の詳細と売買代金のチェックポイント
契約書の1ページ目左上には「売買物件の詳細」が記載されており、左下には「売買代金」が記載されています。
売買物件の詳細とは「所在」「地番」「地目」「地積」「持分」となっており、建物がある場合は「床面積」や「建物の種類・構造」「家屋番号」も追記されます。
不動産の特徴を表示していることから売主と買主は全部事項証明書と照らし合わせながらチェックする必要があり、万が一相違している場合は不動産会社に修正を依頼しなければなりません。
特に土地の面積が異なる場合は資産価値に直結しますので、注意が必要です。
これ以外にも地目が「田・畑」になっている場合は農地転用の届出もしくは許可が必要になり、費用が発生するためチェックすべきポイントです。
売買代金は買主から提示された購入申込書の内容がそのまま転記されています。
価格に齟齬がないか、しっかり確認することをおすすめします。
契約不適合責任・危険負担とは?
決済前と決済後の責任負担についても不動産売買契約書に明記されています。
契約を締結してから決済まで、売主は処分する不動産であっても大切に取り扱わなければなりません。
民法では「善管注意義務」という考え方があり、他人に譲渡することが確定していても自分の所有物であるかのように管理する必要があります。
そのため引渡し前までは売主が、引渡し後は買主が不動産を管理することになります。
一方、決済後で所有権が売主から買主に移転した場合であっても、一定期間売主の責任負担は残ります。
契約不適合責任と呼ばれるこの責任は、契約によって定められた期間内に買主が目的を達成できないような障害が発生した場合、売主が対応するという内容です。
契約不適合に該当する可能性が高いトラブルとして、次のような事例があります。
- 雨漏り
- シロアリの発生
- 水道管の腐食
- 躯体や柱、梁など重要な部分の破損・腐食
- 地中内にあるコンクリートや瓦、産業廃棄物
不動産売買契約書にはこうした危険負担や契約不適合責任について細かく明記されており、特に売主にとって決済後のリスクになることから正しく理解しておく必要があります。
手付金・契約解除・違約金に関する特約条項
手付金・契約解除の条件・違約金の発生条件については売主と買主どちらにも重要であることいえますので、重要なチェックポイントです。
それぞれの特徴は次の通りです。
手付金
契約締結のタイミングで買主から売主に支払われ、売買代金の一部として充当される。手付解除の期間内に買主が契約を解除したい場合は手付金を放棄し、売主が解除したい場合は手付金の倍額を支払うことで解除が成立する。
契約解除の条件
手付解除以外の条件として「天災地変により不動産が破損した場合の解除」「契約違反による解除」「買主の住宅ローンが否決になった場合の解除」「暴力団排除条例による解除」「契約不適合責任による解除」がある。
違約金
売主と買主が契約書に定められた責任を全うせず契約が不成立になった場合に支払う損害賠償金のこと。「住宅ローンの審査をうっかり忘れていた」「約束の期日までに振り込みがなかった」「売買代金を振り込みしたのに所有権が移転されなかった」といったケースが該当する。
不動産売買契約書の雛形とは?入手方法と確認すべき項目
不動産会社に仲介してもらうことなく個人間で売買する場合、契約書類を売主と買主で作成しなければなりません。
しかし専門的な知識がないまま契約書を作成すると重要な条項が抜けてしまったり法令違反になる可能性があります。
そのため宅建協会が公開している雛形を活用するのがおすすめです。
この章では雛形の入手方法と注意点について、解説します。
不動産売買契約書の雛形はどこで手に入る?
不動産売買契約書の雛形はいくつかあり、管轄の宅建協会によって多少の違いはありますが概ね記載事項は同じです。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の雛形は以下のリンクからダウンロードできますので、参考にしてください。
【参考サイト:不 動 産 売 買 契 約 書】
雛形を見る際に特に注意したいポイント
不動産売買契約書の雛形ですが、正しくは宅建業法37条書面と呼ばれており、宅建業者が仲介に入る際に交付することが義務付けられている書面です。
そのため厳密に言えば不動産売買契約書ではなく、「不動産売買契約書として取り扱っても問題のない書面」ということになります。
売主と買主の取り決めによっては不利になる内容が記載されている可能性があることから、雛形をそのまま活用せず末尾の特約事項に円滑な取引ができるよう追記することをおすすめします。
不動産売買契約書の雛形を活用する際に注意しておくべきポイントは、以下の通りです。
- 確定測量によって売買対象面積が変動した場合、どのように対応するか
- 残代金の支払い方法は現金もしくは小切手となっているか、可能かどうか
- 印紙代は双方もしくはどちらか片方が負担するのか
- 公租公課(固定資産税及び都市計画税)の日割り精算はどのように行うのか
不動産売買契約の手続きの流れ
不動産の売買は車や時計といった動産物に比べて手続きは複雑になり、準備物も多いです。
そのため円滑に取引を完了するためにはあらかじめ流れを理解し、なるべく早めに準備物を用意しておく必要があります。
この章では不動産売買契約を締結するための流れと準備物について、解説します。
契約締結までの流れと手続きの進め方
買主は購入したい不動産が見つかった場合、購入申込書を記載して売主に提示します。
購入申込書には買主の住所、氏名、購入したい不動産の所在地などを記載しますが、同時に契約日と購入したい価格を記載することが可能です。
たとえば3,000万円の物件に対して2,900万円と記載した場合、「2,900万円であれば購入します」という意思表示をしたことになります。
これに対して売主は承諾、否決、妥協案を提示し、買主と合意すれば売買契約に進むことになります。
売買契約を締結する日には売主と買主は認印と身分証明書を準備することになりますが、買主は追加で手付金の準備が必要です。
また、売主と買主双方が契約書の原本を保有する場合、印紙は2枚必要ですが売主が複写を保管する場合は買主のみが収入印紙1枚を準備することになるため、事前に確認しておくべきポイントといえます。
売主・買主別に解説!準備すべき書類と注意点
契約書の記載内容で注意すべきポイントと書類は異なります。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。
売主に必要な書類と注意点
売主の準備物は次の通りです。
- 身分証明書
- 認印と実印
- 登記識別情報通知
- 固定資産税評価証明書
- 土地と建物を取得した際の売買契約書
- リフォームした箇所が分かる資料
- 管理規約・使用細則・駐車場規則・大規模修繕工事計画書
1から4は必ず必要ですが、5から6はなくても契約締結は可能です。
7については管理会社に請求することで入手することができます。
売主は不動産を手放す側になるため細かい仕様や要件を理解する必要はありませんが、手付解除期限や融資特約期限など契約が解除になる可能性がある期日はチェックポイントです。
また決済後の契約不適合責任についても影響が大きいことから、契約不適合責任の期限も知っておくことが大切です。
買主に必要な書類と注意点
買主の準備物は次の通りです。
- 身分証明書
- 認印と実印
- 手付金
- 印紙もしくは印紙代
売主と違って買主は印紙もしくは印紙代を必ず用意することになるため、注意ポイントです。
契約内容についても買主はこれから不動産を活用する側になることから、面積や越境の有無など細かくチェックすることをおすすめします。
不動産売買契約にかかるお金:印紙税と賢く使える電子契約
売買契約には印紙税という税金がかかり、印紙を契約書に貼付して消印することで納税となります。
そのため事前に印紙税額をチェックしておく必要がありますが、電子契約や複写の保管など節税する方法もあります。
この章では売買契約にかかる印紙税について、解説します。
印紙税の仕組みと税額一覧
不動産売買契約書は課税文書のため印紙税が発生することになり、売買代金によって次のように変動します。
売買価格 | 印紙代 |
---|---|
10万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 60,000円 |
5億円を超え10億円以下 | 160,000円 |
10億円を超え50億円以下 | 320,000円 |
50億円を超える | 480,000円 |
用意した印紙を契約書に貼付し、割印することで納税となります。
割印は買主のみでも問題ありませんが、売主と買主が割印するケースが多いです。
なお、印紙税は不動産売買契約書の原本のみが対象となることから、原本の複写を保管するのであれば印紙税は免除されます。
電子契約のメリット・注意点
電子契約は課税文書である不動産売買契約書とは異なった書式であることから印紙税が発生せず、さらにオンラインで締結できるというメリットがあります。
ただし署名押印するためのツールがダウンロードされている必要があるなど制約も多く、さらに売主と買主のどちらかが電子契約を拒否した場合は締結できなくなってしまいます。
そのため電子契約を行う際には事前に打ち合わせし、問題ないことを確認したうえで進めなければなりません。
売買契約書の作成上の注意点
売買契約書の内容に沿って売主と買主は契約履行に必要な準備を進めるため、誤解を招く内容や間違いがあってはいけません。
そのため、不動産会社が売買契約書を作成した場合であっても事前に契約書案を入手し、内容を確認することをおすすめします。
この章では売買契約書の作成上の注意点を紹介します。
金額・日付・物件情報…契約前に必ずチェックすべき項目
売買契約書で必ずチェックすべき項目は、次の通りです。
- 物件情報の詳細
- 売買金額
- 各解除条件の期日
- 引渡し期日
- 契約不適合責任の期日
- 確定測量の有無と費用負担
- 建物解体の有無と費用負担
- 停止条件の内容
停止条件とは、ある条件を満たすことで契約書の効力が発生するという特約のことです。
たとえば「売主が住み替え先の所有権を取得できること」や「カーブミラーを希望の位置に移設できること」といった条件が停止条件として扱われます。
このようなチェックポイントについては疑問点が残らないよう、質問することも大切です。
不安な条件や不明な点は遠慮せずに確認!質問リストのすすめ
事前に売買契約書の内容が分かっていれば必ず質問リストを作成し、署名押印前に疑問点を解消できるよう準備しておくことも重要です。
特に契約不適合責任や公租公課の日割り精算は一度の説明で理解できないことも多く、聞き流してしまうと後から大きな損害に繋がってしまうこともあります。
そのような失敗をしないためにも、気になる点を質問リストにまとめておくことがおすすめです。
不動産売買契約書の保管方法とアフターフォロー
売買契約が締結されると売主と買主は書類を保管することになりますが、保管方法にもコツがあります。
また、万が一のトラブルに備え相談先も調べておくことがポイントです。
保管期間や保管場所のポイント
売主は譲渡所得税の申告、買主は住宅ローン控除の申告で引渡しの翌年に確定申告を行います。
そのため売買契約書は押し入れの奥にしまうのではなく、すぐに取り出せる場所に保管しておくことをおすすめします。
また、火災や地震など避難を余儀なくされるケースに備え、玄関近くに保管しておくこともポイントです。
トラブル時の相談先や専門家
不動産関連のトラブルはまず仲介した不動産会社に相談すべきですが、対応が良くない場合は宅建協会や消費者相談センター、弁護士の無料相談などを活用する必要があります。
特に宅建協会は一般人からのトラブル相談に対しスピーディーに対応してくれることが多いので、不動産会社の対応に満足できない場合にはおすすめの相談先といえます。
まとめ
不動産売買契約書に記載されている内容は非常に重要ですが難解な専門用語で記載されており、理解できないという人もいます。
そのため売買契約書は事前に入手し、疑問点を質問リストにまとめてから契約当日を迎えることがポイントです。
また売買契約が締結され円滑に引渡しを完了するためには準備しておく書類や手続きがあり、売主と買主は事前にチェックしておく必要があります。
このことからも、分からないことがあればすぐに不動産会社へ連絡し、確実に準備を進めることが大切だといえます。
空家ベースは不動産事業にチャレンジしたい人や、地方に空き家を買って移住したい人に日本全国の空き家を紹介するポータルサイトです。
空家ベースは空き家再生を通して空間を作ることの楽しさを広め、起業へのファーストステップを応援します。
公式LINEでは未公開物件の配信なども行なっていますので、ぜひ登録してチェックしてください。

空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!