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ペット可賃貸は儲かる?やめた方がいいとされるリスクや対策を解説

空家ベース編集部

ペット可賃貸は一見すると人気物件を作れる手堅い投資先のように思えますが、安易に始めると経営の失敗につながるおそれもあります。空室対策や家賃アップの可能性がある一方で、原状回復や近隣トラブルなどのリスクも見逃せません。

本記事では、ペット可賃貸のメリットとデメリットを客観的に整理し、収益性を高めながらもトラブルを回避するための具体策を紹介します。これから物件活用を考える方にとって、ペット可物件が本当に適した戦略かどうかを見極める判断材料としてお役立てください。

この記事でわかること

  • ペット可賃貸の需要とメリット
  • ペット可物件のリスクと対応策
  • 成功するためのポイントと判断基準

空家ベースは空き家を売りたい人と買いたい人を繋ぐプラットフォームです。全国の物件が対象となっているため、都市部に限らず、郊外の不動産も掲載可能です。不動産事業に興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

さらに、ペット可対策をしながら投資用物件をお探しの方にとっても、空家ベースは有益な選択肢です。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。

ペット可賃貸の需要は増加傾向にある

ペット可賃貸
戸建て賃貸市場では、ペット可物件に対する入居者のニーズが明確に高まっています。
犬を例にあげると新規飼育数はここ数年で増加しており、ペットとの生活を希望する世帯が都市部・地方を問わず増えています。

一方、全国の賃貸住宅全体においてペット可物件が占める割合は依然として少なく、物件数が供給不足の状態が続いています。
集合住宅では管理規約によりペット飼育が制限されるケースも多く、入居希望者が諦めざるを得ないケースも目立ちます。

こうした背景から、ペット可戸建て賃貸への潜在的な需要は大きくなっており、賃料単価の維持や長期入居につながる可能性もあります。
需給ギャップを適切に捉えることで、空室リスクを抑えつつ、周辺エリアとの差別化を図る施策として不動産投資の運用効果が期待できます。

参考:令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査_主要指標サマリー_4頁|一般社団法人ペットフード協会
参考:LIFULL HOME’S がペットとの住まい探しの実態調査を発表!ペット可物件のニーズを不動産会社は実感しつつも、物件数は全体の2割に届かず。|LIFULL

ペット可賃貸の3つのメリット

ペット可賃貸 メリット
ペット可の戸建て賃貸は、収益性と競争力の両面で投資家に有利な選択肢です。
空室リスクを軽減しやすく、長期入居を見込めることに加え、初期費用の調整による利回り確保にもつながります。競合が多いエリアでも差別化が図れ、他物件と比較して選ばれやすくなるのが利点です。
また、原状回復コストを見込んだ家賃・敷金の設定により、収支計画の精度も上げやすくなります。
少子高齢化や単身世帯の増加を背景に、市場縮小が見込まれる中でも、ペット需要を捉えた運用は、将来を見据えた合理的な経営判断といえます。

空室対策と入居率の向上につながる

ペット可の戸建て賃貸は、空室対策として有効な手段のひとつです。一般社団法人ペットフード協会の調査では、犬の新規飼育数は近年増加しており、ペットオーナーが拡大しています。一方、ペット可賃貸の割合は供給が不足しています。

集合住宅では規約上ペット飼育が難しく、多くの希望者が戸建てに流れる状況です。このようなニーズを捉えて物件を貸し出せば、「ペット可」という条件自体が強力な訴求ポイントとなり、他物件との差別化が可能です。その結果、一般的な不便や築年数の古さといった欠点も受け入れられやすくなり、空室リスクの低減につながります。

参考:令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査_主要指標サマリー_4頁|一般社団法人ペットフード協会

長期入居による安定経営を目指せる

ペット可物件に住む入居者は、飼育環境の変化を避けたいという思いから、長く住み続ける傾向があります。条件に合う賃貸物件が限られるため、一度契約した物件に定着しやすいのが特徴です。ペット可物件は、長期入居による空室期間の短縮が見込めます。

また、入居者の入れ替えが減少すると、原状回復費や広告費の頻度も減り、コスト面でも有利です。結果として、毎月の家賃収入が安定し、収支予測の精度が高まります。安定収益を目指す戸建て投資家にとって、長期入居の傾向は収益基盤の強化に直結する要素です。

家賃・敷金の引き上げで収益アップを目指せる

ペット可の戸建て賃貸は、家賃や初期費用を高めに設定しても需要が維持されやすい傾向があります。ペット不可物件と比較して供給が少なく、相場より5〜10%高い家賃設定が可能になる場合もあります。また、退去時の原状回復費用は1.5〜2倍になるケースがあり、100万円近くに達する場合もあります。

これに対応するため、「ペット敷金」や追加の礼金などを設定し、初期費用を確保しておくと安心です。修繕費の備えとなり、実質的な利回り低下を防げます。加えて、契約書には国土交通省のガイドラインに沿って、原状回復の範囲や責任分担を特約として明記するのが欠かせません。入居前に合意を得ることで、退去時のトラブル回避と収益の安定化が両立できます。

参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について|国土交通省

ペット可賃貸のデメリットと経営上のリスク

ペット可賃貸 デメリット
戸建て賃貸をペット可に設定する場合、空室対策や収益性向上といったメリットと引き換えに複数のリスクを抱えることになります。物件の損耗や近隣トラブルへの対応、運用方針の柔軟性の低下といった問題は、経営の安定性を損なう原因になりかねません。

特に修繕コストの増加や他入居者の退去リスクは、長期的な資産価値や収益力にも影響を与えます。また、一度ペット可として運用を始めると、後から方針を変えることが難しく、結果として運用の自由度を損ねる恐れがあります。導入前には、収支シミュレーションだけでなく、中長期的な視点での判断が求められます。

原状回復費用と修繕コストが増大する

ペット可賃貸にすると、退去時の原状回復費用や修繕コストが想定以上に膨らむ可能性があります。爪による壁や柱の傷、床へのマーキング、尿の臭いなど、ペット特有の損耗は一般の賃貸物件よりも補修内容が広範囲になります。

フローリングやクロスの張り替え、消臭クリーニングなどの費用は合計で数十万円以上になることも珍しくありません。中には原状回復費用が通常の1.5〜2倍、100万円近くに達するケースもあります。国土交通省のガイドラインでは、通常使用を超える損耗は借主負担とされていますが、入居時の契約内容次第では回収が困難になる場合もあります。

トラブルを防ぐためには、賃貸借契約書にペット飼育に関する特約を明記し、ペット敷金の徴収や負担割合の取り決めなど、具体的な条件をあらかじめ合意しておくことが不可欠です。

近隣トラブルとクレーム対応が大変

ペットの飼育を許可した賃貸物件では、騒音・臭い・毛の飛散などが原因で、他入居者や近隣住民との間にトラブルが発生するリスクが高まります。集合住宅の場合、犬の鳴き声や足音が騒音クレームに発展しやすく、隣戸・上下階との関係悪化につながるおそれがあります。

アレルギーや衛生面への懸念からペットに否定的な入居者がいる場合、退去や苦情対応の負担がオーナーにかかってくる可能性もあります。もともとペット不可だった物件を途中から条件変更すると、既存の入居者とのトラブル発生リスクが高まり、引っ越し費用の請求といった想定外の対応も必要になる場合があります。

途中から条件変更する対応は、入居率や物件の評判にも悪影響を及ぼします。そのため、入居前に飼育予定の有無を確認したり、共用部分でのルールや飼育マナーについて規約を定め、説明を徹底するなど、事前の仕組みづくりがオーナーに求められます。

ペット不可への変更は難しい

ペット可物件として一度運用を始めると、後からペット不可に変更するのは難しくなります。入居中の飼育者がいる限り条件変更はできず、契約期間が残っている場合も制約を受けます。

仮に全室退去したとしても、ペットの臭いや汚れを完全に除去するためには、大規模な消臭や修繕が必要になるケースが多く、追加コストがかかります。さらに、物件が過去にペット可であった事実は、ペットを飼わない希望者にとって不安要素になりやすく、集客にも影響します。

「ペット不可」として募集しても、消臭不足やトラブル履歴によって敬遠される場合もあります。こうした背景から、ペット可への変更は慎重な検討が求められ、原状復帰が困難である点を踏まえた長期的な運用判断が欠かせません。

成功事例に学ぶ!トラブルを防ぐための対策

ペット可賃貸 成功するポイント
ペット可賃貸を運営する際は、事前の対策次第でトラブルを回避し、安定収益につなげられます。ペットによる物件の損耗や近隣トラブル、退去時の高額な原状回復費用は、入居前の取り決めと物件設備の工夫、保険による備えによってリスクを軽減できます。

具体的には、賃貸借契約書に明確な飼育ルールを定めること、ペット対応設備をあらかじめ導入すること、火災保険や賠償責任特約などを活用して法的リスクを軽減することが求められます。事前の準備を徹底すれば、デメリットを抑えながらペット可賃貸の長所を活かした運営が実現できます。

契約書に盛り込むべきペット飼育ルール

ペット可賃貸を円滑に運営するには、賃貸借契約書に明確な飼育ルールを記載し、入居者と合意形成を図ることが不可欠です。

対象となる動物の種類・サイズ・頭数は、「小型犬・猫のみ可」「2匹まで」などの具体的な条件で制限します。また、共用部でのマナーも明文化し、「ベランダでの毛づくろい禁止」や「玄関・エレベーターではキャリー使用」などの行動ルールを設定します。さらに、原状回復に関しては、国土交通省のガイドラインを根拠に、ペット由来のキズや臭いは借主負担とする旨を特約で明記し、金額の目安まで具体的に示すのが望ましいです。

オーナーは契約時にルールを丁寧に説明し、入居後の確認体制も整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

初期投資でトラブルを予防する

ペット可賃貸でのトラブルを防ぐためには、設備面の初期投資による予防策が有効です。

たとえば、ペットの足音を軽減し、傷が付きにくいクッション性のある床材の採用や、消臭効果のある壁紙の設置は、物件の損耗を抑えながら快適性も確保できます。また、防音・防臭の強化、ペット用の足洗い場などの導入により、近隣住民への配慮と入居者満足の両立が図れます。

設備面の工夫は、競合との差別化にもつながり、集客力や家賃設定の面で優位に立てます。初期費用はかかりますが、退去時の修繕費用の削減や長期入居による収益安定を考慮すれば、合理的な投資といえます。

オーナー保険と法的リスクヘッジ

ペット可賃貸を安定運営するには、保険と契約上の対策を組み合わせたリスクヘッジが欠かせません。

基本的な火災保険・地震保険に加えて、第三者に損害を与えた際の「賠償責任特約」や、災害による空室で家賃収入が減る場合の「家賃収入特約」などを活用すると安心です。さらに、退去時の費用負担に備えて、契約書にペット飼育のルールと負担条件を明記し、入居時に明確な同意を得ておくことも必要です。

保険と契約上の対策により、突発的な損害や法的トラブルに強い経営体制が整います。リスクに備える姿勢は、投資物件の資産性と収益の安定を守るうえで欠かせないポイントです。

まとめ|ペット可賃貸は儲かる?最終的な判断のポイント

戸建て賃貸をペット可に設定すると、空室対策や長期入居につながり、家賃や敷金を上乗せできる可能性があります。ペットの飼育増加により需要は高まっており、入居率や収益性の改善を期待できます。一方で、物件の損耗による原状回復費用が通常の1.5〜2倍、100万円前後に及ぶケースもあります。また、鳴き声や臭いによる近隣トラブル、ペット不可への変更が難しくなる運用リスクも無視できません。

これらに対応するには、契約書に飼育条件や原状回復の特約を明記し、入居者と具体的に合意しておくことが必要です。あわせて、傷や臭いに強い床材や壁紙など、予防的な設備導入も効果的です。さらに、賠償責任特約や家賃収入特約の活用、長期修繕計画の策定、修繕共済や保証制度の導入により法的リスクを軽減できます。

収益とリスクを総合的に評価し、対策を講じた上で運用方針を定めることが、ペット可賃貸での投資を成功させるポイントです。

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さらに、ペット可対策をしながら投資用物件をお探しの方にとっても、空家ベースは有益な選択肢です。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。