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【戸建て投資家向け】住宅ローンと不動産投資ローンの違いを徹底解説

空家ベース編集部

不動産を購入して家賃収入を得る不動産投資は物件の購入費用やリフォーム費用といった初期費用が必要になるため、不動産投資ローンを利用する投資家は多いです。
また自宅を購入する目的で住宅ローンを組むこともあり、住宅ローンから投資ローンに乗り換えを検討することもあります。
その場合はローンの仕組みを正しく理解しておかなければ、予想外の出費が発生することもあります。
さらに、二つのローンを併用する場合は融資を受ける順番によって審査の条件や金利が変わるケースもあり、注意点といえます。
この記事では住宅ローンと不動産投資ローンの違いと併用時の注意点、おすすめの活用方法について解説します。
これから賃貸経営をしつつ居住を目的として住宅を購入する予定のある人は、参考にしてください。

この記事で分かること

  • 住宅ローンと不動産投資ローンの基本的な役割と目的
  • 住宅ローンで投資用物件を購入するリスク
  • 住宅ローンと不動産投資ローンの借り換えポイント
  • 住宅ローン・投資ローンの基礎知識

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住宅ローンと不動産投資ローンの基本的な役割と目的

金融機関から借り入れを受け、毎月返済するという意味では住宅ローンと不動産投資ローンに差はありませんが、融資の目的が投資物件とマイホームという点が異なります。
そのため融資審査の判断ポイントも2つのローンでは大きく異なっており、審査基準について事前に確認しておくことが重要です。
この章では住宅ローンと不動産投資ローンの基本的な役割と目的の違いについて、解説します。

借入目的でこんなに違う!住宅ローン vs 投資ローン

戸建てやマンションに自分で住む目的で不動産を購入するための借入が住宅ローンで、収益物件を購入するための借入が投資ローンです。
2つのローンには融資額の上限や金利、審査基準、返済期間という点で次のように異なり、借入を受ける際にはあらかじめ把握しておくべき大切なポイントといえます。

住宅ローン 投資ローン
融資額の上限 年収or所得の8~9倍 年収or所得の10~20倍
金利(変動) 0.3%~3% 1.5%~4%
審査基準 個人の年収or所得 個人の年収or所得+物件の収益性
返済期間 満70歳になるまで 原則なし

それぞれの違いについて、次章で詳しく解説します。

融資額、金利、審査基準…投資家が知っておくべき違いとは?

住宅ローンの融資額は年収の9倍以下に設定されることが多く、個人の属性が良くても10倍程度ですが、投資ローンの場合は20倍近くまで借入金額を増やすことができる可能性もあります。
また返済期間も投資ローンは住宅ローンのように原則制限はなく、返済原資である収入が返済額を超えていれば借入を継続することができます。
ただし投資ローンは住宅ローンよりも金利が高く、さらに購入する投資用不動産の収益性も審査対象になってしまいます。
そのため購入したいと考えている収益用不動産ではローンが通らず、物件を再検討しなければならないという失敗事例も多いです。
特に築年数の古いマンション投資や再建築ができない戸建てを活用した投資には金融機関も慎重に判断する傾向がありますので、注意が必要です。

担保と年齢制限:投資ローン特有の条件を理解する

投資ローンを返済するための原資は家賃と売却益であるため、債務者の年齢はあまり影響ありません。
たとえば住宅ローンの場合は個人の給与収入が原資となるケースが多く、一般的に定年退職後は給与所得が下がるため返済期間に上限が設定されていますが、不動産投資は所有者の年齢に関係なく収益を得ることができます。
一方、住宅ローンの原資である給料は毎月支払われることが多いため安定して返済が可能ですが、投資ローンは空室が増えたり滞納があると家賃が減ってしまい、返済が滞る可能性があります。
こうした理由から投資ローンの場合は購入しようとしている物件について細かく審査されることになり、収益性が低い物件だと個人の属性が良くても否決になることも少なくありません。
そのため不動産投資を検討する際には物件だけでなく投資ローンが通りそうか不動産会社に相談しておくことが大切です。

危険!住宅ローンで投資物件を買うのはNG?不正利用のリスクと対策

投資ローンは金利が高く、住宅ローンは投資ローンに比べて金利が低くなるケースがほとんどです。
そのため居住目的だと偽って投資ローンを組むことで低金利の不動産投資を実現できるように思えますが、不動産投資目的で住宅ローンを組むことは非常に危険です。
投資家としてだけでなく人生にも大きな影響が出る損失を抱えることにもなりかねませんので、不動産投資は投資ローンを利用することをおすすめします。

これが不正利用!住宅ローンで投資とみなされるケース

住宅ローンの融資を受けたにもかかわらず自ら居住せず、他人に賃貸として貸し出してしまうと不動産投資としてみなされます。
ただし、急な海外転勤などによって長期間家を空ける場合は例外的に認められるケースもあり、事前に金融機関へ相談することで賃貸に出していても投資目的とみなされないこともあります。
また、居住用部分が50%を超える併用住宅の場合も住宅ローンを利用することが可能です。
このことからも、金融機関に事前相談もなく最初から投資目的で住宅ローンの融資を受けた場合に、不正利用とみなされることが分かります。

バレたらどうなる?住宅ローン不正利用の罰則とリスク

万が一住宅ローンの不正利用が金融機関にバレた場合、借入額の残債を一括返済しなければなりません。
住宅金融支援機構の商品であるフラット35には、次のような注意点が公開されています。

フラット35は第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金にはご利用いただけません。機構では、転送不要郵便にて融資住宅あてに融資額残高証明書をお送りすること等により、申込ご本人またはそのご親族の方が実際にお住まいになっていることを定期的に確認しています。確認の結果、第三者に賃貸するなどの投資用住宅としての利用や店舗・事務所などの目的外の利用が判明した場合は、お借入れの全額を一括して返済していただきますのでご注意ください。
(引用元:フラット35

実際に金融機関の担当者が購入した戸建てを訪問したり近隣住民に聞き込みを行い、不正利用が発覚し一括返済命令を下したケースもあります。
このように多額の返済額を自己資金で支払うことになりかねませんので、注意すべきポイントです。

戸建て投資家必見!住宅ローンと投資ローンの賢い併用術

住宅ローンを使って投資物件を購入することはできませんが、住宅ローンと投資ローンを併用して住宅と投資物件を両方所有することは可能です。
こうしたローンの併用はどちらの融資を先に受けるかが大切ですので、住宅と投資物件の両方を所有したい人はこの章で解説するポイントを参考にしてください。

投資物件とマイホーム、購入の順番で何が変わる?

結論からいうと投資物件とマイホームであれば、投資物件を先に購入した方がローン審査は有利になります。
なぜなら投資物件を購入し賃貸経営することで収入を増やすことができ、次の住宅ローン審査では年収だけでなく賃貸収入も合算できるからです。
これにより借入額や金利が有利になる可能性が高くなり、金融機関の選択肢も増えることになります。
一方、住宅ローンを先に組んでしまうと借入額が投資ローンに影響してしまい、減額になることも多いです。
また、住宅ローンは年収+賃貸収入で審査できますが、投資ローンはあくまでも賃貸収入のみで判断するため、投資ローン先行時のような優遇は受けにくくなります。
このことからも、一般的には住宅ローンと投資ローンの併用を検討する場合は投資ローンを先に借りる方が有利だとされています。

投資ローン審査のカギは?住宅ローン残高との関係

投資ローンを先に借りる場合の返済原資は賃貸収入ですが、住宅ローンのように個人の収入や勤務先、所有している財産、預金残高も審査対象になります。
つまり、投資ローンを組むタイミングで既に住宅ローンを組んでいたり他の返済がある場合は審査に影響することになり、現時点の借入額を考慮した融資額が回答されることも少なくありません。
そのため住宅ローンなどの返済額が多すぎると投資ローンの融資額が減額されてしまう原因になってしまうため、注意が必要です。
これ以外にも、住宅ローンと投資ローンを同じ金融機関で借り入れすると多少審査や条件が優遇されるケースもあり、押さえておくべきポイントです。

借り換えで有利に?住宅ローン・投資ローンの乗り換え戦略

不動産投資ローンを組んで投資物件を購入し、後から住宅ローンに切り替えられるケースはほとんどありませんが、住宅ローンを投資ローンに乗り換えするケースはあります。
受付している金融機関もありますので、ライフステージの変化などで投資ローンを利用したいと考えた場合にはなるべく早い段階で融資先に相談することをおすすめします。
この章では住宅ローンから投資ローンに切り替えすることのメリットとデメリット、有効になるケースについて解説します。

住宅ローンから投資ローンへ:切り替えのメリット・デメリット

居住を目的とした住宅ローンは年収などを審査基準にしていることから、会社員の場合は定年退職の時期までしか借入することができません。
そのため65歳もしくは70歳までを借入限度期間に設定している金融機関がほとんどとなっており、借入期間が短い時期から住宅ローンを組むと月々の返済額が高くなってしまうこともあります。
そこで住宅ローンから投資ローンに乗り換えし、返済期間を延ばすことで月々の支払額を抑えつつ融資を受けることができるようになります。
なぜなら投資ローンであれば給与所得だけでなく家賃収入を踏まえて審査することができるからで、住宅を収益性の高い収益物件にできる可能性が高ければ融資額を増やすこともできます。
住宅ローンから投資ローンへの乗り換えにはこうしたメリットがありますが、デメリットもあるため注意が必要です。
投資ローンに乗り換えするためには手数料を支払うことになり、借入額によっては数百万円かかることもあります。
また住宅ローンに比べて投資ローンは金利が高く、総支払額は増えてしまいます。
このことからも住宅ローンから投資ローンへの乗り換えは慎重に判断する必要があるといえ、金融機関と相談しながら検討することが大切です。

投資ローンから住宅ローンへ:こんな場合に有効

投資ローンから住宅ローンに変更することで安い金利で借入できることから、投資ローンでは返済が困難になった場合に有効といえます。
また住宅ローンは団体生命信用保険への加入が義務付けられており、債務者が万が一死亡したり重大な障害状態になってしまうと残債の返済が免除されることになります。
このことからも様々なリスクに対応できることから、投資ローンから住宅ローンへ変更できるのであれば検討することをおすすめします。
ただしほとんどの金融機関は投資ローンから住宅ローンへの変更を承認していないため、注意が必要です。
仮に不動産投資を終了して所有者が住むようにした場合でも難しく、その場合は自己資金を使って投資ローンを完済してから再度住宅ローンを組むことになります。
そのため、あくまでも投資ローンのみで賃貸経営をすることをおすすめします。

借り換え成功のポイント:審査と手数料の注意点

ローンを乗り換えするということは現在組んでいるローンを一度完済することになりますが、返済期間満了前の完済には手数料がかかります。
また投資ローンの審査は個人の返済能力だけでなく物件の資産価値や収益性もチェックされるため審査が厳しく、否決になるケースも少なくありません。
投資ローンへの乗り換えにはこうしたデメリットがあるためなるべく早い時期に金融機関へ相談し、手数料の額や審査通過の見通しを把握しておくことが大事です。

【Q&A】投資家が疑問に思う住宅ローン・投資ローンの基礎知識

投資家であれば投資ローンの利用を一度は検討することになりますが、そもそも住宅ローンと投資ローンの関係性や基本的な仕組みを把握していない投資家も多いです。
より多くの収益を得るためには初期投資も増えることになり、その結果投資ローンを利用する機会は増えます。
また副業の自由化を推奨する企業が増えたため、これまで投資に縁のなかったサラリーマンが不動産投資をスタートすることもあり、既に住宅ローンを組んでいる人が投資ローンの相談をするというケースも少なくありません。
このように住宅ローンと投資ローンは誰でも検討する可能性がある融資だといえますので、基礎知識は知っておくことをおすすめします。
この章では投資家が疑問に感じやすい住宅ローンと投資ローンのポイントを紹介しますので、これから不動産投資を予定している人はチェックしてください。

投資ローンが通らない…見直すべきポイントは?

住宅ローンが通過しても投資ローンが通らないことはあり、その場合は「個人」と「物件」に分けて原因を模索することがポイントです。
たとえば個人に問題があるケースとして、住宅ローンなどの借入が残っていたり過去に借金や税金の滞納があるとローンは否決になりやすいです。
これ以外にも永住権を取得していない外国人や社会人になって3年以内の若手社員なども、信用面からローンが通らないこともあります。
永住権の取得や勤続年数が問題であれば比較的簡単に解消することができ、滞納がある場合は滞納を解消してから5年もしくは7年経過すればローンを組めるようになります。
ただし、どの原因であっても時間を要しますので、投資計画を見直す必要はあります。
また、物件に問題がある場合もローンが通りにくくなり、担保設定する物件の築年数が古かったり再建築が難しいなど、資産価値が融資額と釣り合わない場合も減額や否決の理由になってしまいます。
この場合は時間では解決できず、投資物件を変更するか自己資金で対応するしかありません。
このようにローンが通らない理由によって対策が異なりますので、ローン否決の理由はできる限り詳しく金融機関にヒアリングすることが重要です。

住宅ローンがあっても投資ローンは組める?審査のコツ

住宅ローンがある状態で投資ローンを組む場合は審査が通常よりも厳しくなってしまいますが、組めないわけではありません。
たとえば住宅ローンの残債や投資ローンの借入額が少ないのであれば金融機関にとってリスクの少ない融資となるため審査は通りやすくなり、収益性の高い物件を担保にできる場合も承認を得やすくなります。
また不動産投資の実績が豊富で何度も同じ金融機関から融資を受けていると返済計画の信頼性が高くなり、融資を受けやすくなります。
これ以外にも住宅ローンと投資ローンを同じ金融機関から融資を受けるなど、金融機関の信頼を獲得することが大切なポイントです。
このことからも、住宅ローンを組んだ後に投資ローンを組むためには金融機関が融資しやすい状態にすることが重要だといえます。

固定金利 vs 変動金利:戸建て投資に最適なのはどっち?

ローンの借入方式には「固定金利」と「変動金利」があり、どちらにも次のようなメリット・デメリットがあります。

借入方式 金利の特徴 メリット デメリット
固定金利 一定期間固定 固定期間中は金利変動があっても影響を受けることがなく、
返済計画が立てやすい。
金利は変動金利よりも高くなり、
金融機関によっては途中から変動金利に変わるケースも多い。
変動金利 数ヶ月単位で変動 金利が低いため総支払額は固定金利よりも安くなる。
また、金利変動が起きても5年間は変動せず、
変動幅も25%以内というルールがある。
金利変動の影響を受けることになり、
さらに5年ルールと25%ルールによって返済されず残った利息は
返済期間満了時に一括返済しなければならない。

1戸の戸建てで何十年も不動産投資ローンを組む投資家は少なく、一定期間賃貸経営を継続すれば売却して利益確定するのが一般的です。
そのため低金利の変動金利を選択するケースが多いですが、金利変動が激しい時期であったり今後金利が急上昇する可能性が高いのであれば固定金利も検討すべきといえます。
どちらの返済方式が正解というわけではなく投資のタイミングや物件によって異なりますので、総合的に判断することをおすすめします。

まとめ:住宅ローンと投資ローンを理解して、賢い戸建て投資を実現

住宅ローンと投資ローンは目的が大きく異なり、住宅ローンは居住用物件、投資ローンは収益物件に対して融資を受けることになります。
住宅ローンの方が投資ローンよりも条件や金利が良くなりますが、住宅ローンで投資物件を購入することは禁止事項にあたり一括返済のリスクを抱えるため避けるべきといえます。
また住宅ローンと投資ローンの併用や住宅ローンから投資ローンへ乗り換えするケースもあり、それぞれメリットとデメリットがあります。
このように不動産を購入するために利用する「ローン」には様々なチェックポイントがあるといえ、正しい知識を習得し仕組みを理解したうえで利用することが重要です。

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