コラム

不動産を使って賃貸経営する際には購入した物件の内、建物の減価償却をどのように計上するのかで収益計画が変わります。
建物が持つ会計上の資産は法定耐用年数までの年数によって大きく変わり、さらにRC造や木造など構造によって耐用年数は異なります。
そのため中古物件は新築よりも減価償却がしにくいというデメリットがありますので、償却資産としての価値と価格のバランスを見極めることが大事です。
この記事では賃貸経営や土地活用をする際に税務上知っておくべき知識として、建物の耐用年数と減価償却を計算する方法について解説します。
住宅用ではなく不動産投資を目的として木造アパートや中古住宅の購入を検討している人は、参考にしてください。

この記事で分かること

建物の耐用年数は何年?

住宅やアパート、マンションといった建物には耐用年数という考え方があり、構造や使用の仕方によって年数は異なり国税庁の耐用年数表によって確認することができます。
別の考え方に「寿命」がありますが厳密にいえば建物に寿命はなく、耐震工事や大規模修繕といったメンテナンスをすることで何十年経っても安全に利用することができます。
そのため耐用年数と寿命は全く別であることを理解し、耐用年数は経過年数によってどのくらい資産価値が減価したのかを判断する指標であることを知っておきましょう。

法定耐用年数とは

法定耐用年数とは、不動産などの固定資産において会計上の資産価値が残存する期間のことです。
固定資産は使用頻度や経過した期間によって劣化するため資産価値も減少することから、一定の価値を永久に担保できるものではありません。
そこで国税庁は固定資産の価値が消滅してしまう期間を構造別・用途別に定めており、耐用年数表を公開しています。
これにより期間中は減価償却できることが可能となり事業経営者は税金を節税できることから、設備投資しやすくなるというメリットがあります。
耐用年数表をあらかじめ確認し物件の購入を検討することで償却費を収益計画に組み込むことができ、より精度の高い経営ができるようになるでしょう。
このことからも法定耐用年数と減価償却について正しく理解することは、費用とリスクを分散するという意味でも必要なポイントといえます。
【参考サイト:耐用年数表

中古住宅の耐用年数

中古住宅の耐用年数には「物理的耐用年数」「法定耐用年数」「経済的残存耐用年数」の3つがあり、それぞれ次のような特徴となります。

耐用年数の種類
物理的耐用年数:建物が劣化して使えなくなる年数のことで、メンテナンスすることで年数を伸ばすことが可能
法定耐用年数:減価償却資産が残存する年数のことで、耐用年数超過後は会計以上の資産価値はゼロになる
経済的残存耐用年数:購入してから市場での不動産的価値がなくなるまでの年数のことで、法定耐用年数と同じような位置づけで利用されるのが一般的

減価償却の計算式では法定耐用年数のみを利用することになりますが、中古住宅の場合は構造によっては法定耐用年数を購入時点で既に超過しているケースもあるため、注意が必要です。
超過していた場合は法定耐用年数の20%に相当する年数を見積耐用年数とすることになり、例えば法定耐用年数22年の住宅で10年超過していた場合の見積耐用年数は次のようになります。

22年×20%=4.4年=4年

なお、計算上の見積耐用年数は2年以下の場合は2年とし、小数点は切り捨てになるというルールがあることを知っておきましょう。
【参考サイト:No.5404 中古資産の耐用年数|国税庁

事業用不動産の耐用年数

事業用不動産とは事務所用や店舗用などに利用する不動産のことで、貸付用物件ともいわれます。
不動産の取得費用を減価償却によって耐用年数分のみ経費に計上できることから事業用不動産を保有している人にとって大きな経費削減となるため必ず利用しておきたい方法といえ、メリットも多いです。
さらに中古資産を事業用に変更する場合は法定耐用年数ではなく事業用として利用開始した以降の使用可能期間を見積年数に加算することができます。
これにより償却期間を住宅用よりも長く設定することができ、長期間償却することが可能となります。
使用可能期間の年数を見積もることが難しい場合は簡便法と呼ばれる方法がおすすめで、資産の全部が超過するかどうかで計算方法が次のように異なります。

法定耐用年数の一部を経過した資産:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20/100
法定耐用年数の全部を経過した資産:法定耐用年数×20/100

ただし購入時に取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合は上記の方法は使えませんので、注意しましょう。

建物の構造・種類別耐用年数の一覧

国税庁が公開している耐用年数表によると建物の構造と種類によって法定耐用年数は異なることが分かるため、所有している固定資産をあらかじめチェックしておくことをおすすめします。
また同じ構造であっても仕様や利用用途によっても変わり、特に鉄筋コンクリート造は鉄骨材の厚みが耐用年数に大きく影響します。
この章では建物の構造別、種類別耐用年数について国税庁の公開データを基に紹介しますので、不動産を所有し減価償却する予定がある人はチェックしてください。

鉄筋コンクリート造(RC造)の耐用年数

鉄筋コンクリート造は鉄筋によって補強されたコンクリートのことで、柱や梁がコンクリートによって強度アップされた建物です。
使用方法によって次のように耐用年数が異なりますので、どのように建物を使うのかが減価償却において重要なポイントといえるでしょう。

使用方法 耐用年数
事務所用 50年
住宅用 47年
飲食店用
(延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの)
34年
飲食店用
(上記以外)
41年
旅館用・ホテル用
(延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの)
31年
旅館用・ホテル用
(上記以外)
39年
店舗用・病院用 39年
車庫用 38年
公衆浴場用 31年
工場用・倉庫用のもの
(一般用)
38年

鉄骨造(S造)の耐用年数

鋼で柱や梁といった重要な躯体が鉄骨造となっており、コンクリートをさらに追加すると前述した鉄筋コンクリート造となります。
強度は骨格材が大きく影響することから耐用年数は骨格材の厚みによって分けられるという特徴があります。
鉄骨を主軸としたハウスメーカーはそれほど多くありませんが、テナントが多い賃貸マンションなどは鉄骨造で建築されがちです。
そのため、耐用年数の違いは知っておく必要があるでしょう。

使用方法 耐用年数
事務所用
(骨格材の肉厚:4㎜超)
38年
事務所用
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
30年
事務所用
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
22年
店舗用・住宅用
(骨格材の肉厚:4㎜超)
34年
店舗用・住宅用
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
27年
店舗用・住宅用
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
19年
飲食店用・車庫用
(骨格材の肉厚:4㎜超)
31年
飲食店用・車庫用
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
25年
飲食店用・車庫用
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
19年
旅館用・ホテル用・病院用
(骨格材の肉厚:4㎜超)
29年
旅館用・ホテル用・病院用
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
24年
旅館用・ホテル用・病院用
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
17年
公衆浴場用
(骨格材の肉厚:4㎜超)
27年
公衆浴場用
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
19年
公衆浴場用
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
15年
工場用・倉庫用(一般用)
(骨格材の肉厚:4㎜超)
31年
工場用・倉庫用(一般用)
(骨格材の肉厚:3㎜超4㎜以下)
24年
工場用・倉庫用(一般用)
(骨格材の肉厚:3㎜以下)
17年

木造・合成樹脂造の耐用年数

木造や合成樹脂によって作られた一戸建てやアパートは多く不動産投資用の物件を探している人によっては頻繁に見かける構造といえますが、鉄骨よりも全体的に耐用年数は短い傾向にあります。
耐火性も鉄骨やレンガ造よりも劣るケースが多いことから、火災保険などの諸費用も確認した上で購入を検討すべきといえます。
他の構造と同様に、木造・合成樹脂造も使用方法によって耐用年数は次のように異なります。

使用方法 耐用年数
事務所用 24年
店舗用・住宅用 22年
飲食店用 20年
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用 17年
公衆浴場用 12年
工場用・倉庫用(一般用) 15年

レンガ造・石造・ブロック造の耐用年数

レンガや石、ブロックによって作られた建築物は木造やRC、SRC造ほどみかけることはありませんが比較的耐用年数が長いという特徴があるため、投資に向いている構造です。
また耐火性や耐久性に優れていることからメンテナンス費用が少なくてすむというメリットもありおすすめですが、購入費用が高額になりやすいというデメリットもあります。
そのため購入を検討する際には次の耐用年数を使ってどのくらい減価償却できるのかをチェックし、収益計画が成立することを確認しておくことが大切です。

使用方法 耐用年数
事務所用 41年
店舗用・住宅用・飲食店用 38年
旅館用・ホテル用・病院用 36年
車庫用 34年
公衆浴場用 30年
工場用・倉庫用(一般用) 34年

減価償却費の計算方法と耐用年数の関係

減価償却費を計算する方法には定額法と定率法があり、基本的な計算方法は次のようになります。

定額法:取得価額×定額法の償却率(2007年4月1日以降に取得した建物の場合)
定率法:未償却残高×定率法の償却率

2007年4月1日以前に取得した建物を定額法で計算する場合、取得価額×90%×旧定額法の償却率という計算方法が採用されます。
そのためどのタイミングで取得したのかが重要といえ、物件の取得金額は事前にチェックしておきましょう。
なお、平成28年度の法改正によって2016年4月1日以降に取得した建物と建物付属設備の償却は定額法を採用することが決まっており、定率法は利用できなくなりました。
これにより定率法を使って減価償却の計算ができるのは機械及び装置、船舶、航空機、車両運搬具、工具並びに器具、備品ということになります。
つまり不動産投資を目的として購入した物件であれば全て定額法で計算することになるため、定額法の計算方法をメインに把握することをおすすめします。
【参考サイト:減価償却に関する改正

減価償却の基本的な計算方法

定額法で減価償却を計算するためには建物の取得金額と経過年数、耐用年数、償却率を調べる必要があります。
建物の取得金額が分からない場合、消費税が分かっていれば「消費税÷購入時の消費税率」で算出することができますが、居住用であれば国税庁が公開している建物の標準的な建築価額表を使って調べる方法もあります。

その後、これにより定額法の計算で必要となる取得金額と償却率を求めることができ、掛け合わせることで減価償却費を算出することができます。
【参考サイト:建物の標準的な建築価額表
【参考サイト:「減価償却費」の計算について|国税庁

中古不動産の減価償却費の計算方法

中古不動産と新築不動産では減価償却に大きな違いがあり、新築不動産は耐用年数が長いため減価償却はゆっくり進み、中古不動産は急激に進みます。
これは法定耐用年数における残存期間が少ないことが理由となっており、中古不動産を購入する際には残存期間がどのくらいあるのかが重要な判断材料になるといえます。
そのためなるべく築浅の中古不動産を購入したいと考える人は多いですが、築浅になると購入金額が高くなるため、バランスの見極めが大切です。
購入価格と減価償却の最適なバランスを知るという意味でも、中古不動産における減価償却の計算方法は正しく理解しておくことをおすすめします。
具体的な計算方法のステップは、次のようになります。

  1. 国税庁の法定耐用年数表を使って法定耐用年数と残存期間を調べる
  2. 減価償却資産の償却率表を使って耐用年数に合わせた償却率を調べる

中古不動産は新築とは別の計算式が用意されており、事業所得や不動産所得といった必要経費に算入される償却費の累積額を考慮することになります。
将来不動産を売却する際には売却益に応じて譲渡所得税が発生し、譲渡所得課税額の計算をする際には減価償却費を差し引くことになります。
居住用財産を売却する場合は譲渡所得税が高くなりすぎないよう減価償却費は小さく計算されることで取得費を多く計上できるようになっていますが、中古の事業用不動産、賃貸用不動産の減価償却計算においては経過年数が耐用年数を超えるかどうかが重要なポイントです。
たとえば鉄筋コンクリート造で建物の取得金額が4,000万円だった場合、経過年数によって法定耐用年数は次のようになります。

経過年数10年:47年‐10年=37年
経過年数20年:47年×20%=9.4年=9年

鉄筋コンクリート造の償却率は0.015であることから、それぞれの経過年数で計算した場合の減価償却費は次の通りです。

経過年数10年:4,000万円×0.015×37年=2,220万円
経過年数20年:4,000万円×0.015×9年=540万円

このように中古不動産は耐用年数の残存期間によって償却費用が大きく異なることが分かり、購入するタイミングまでに償却費をある程度イメージしておくことが大切だといえるでしょう。

まとめ

不動産を購入した賃貸経営や事務所、店舗として活用する人にとって、減価償却費は経営における重要な判断材料です。
購入費用が高額になっても長期間減価償却できるのであれば所得税を減らすことができるため結果的に多くの利益を見込むことができ、減価償却費が少ないと購入金額が安くても損をすることもあります。
また減価償却は建物の構造や使用方法によって耐用年数が大きく変わり、耐用年数と残存期間が償却期間を決める要素であることから、不動産を購入する時点であらかじめチェックしておくべきポイントといえるでしょう。
特に中古不動産の購入は残存期間が元々短いだけでなく耐用年数を超過するかどうかで計算方法が変わるため、中古不動産ならではの注意点といえます。
減価償却をうまく活用することで所得税を節税し、投資資金を増やすことが不動産投資のセオリーといえます。
このことからも不動産投資をこれから始める人は勿論ですが、現在様々な固定資産を保有し経営を実践している人も減価償却に関する法律はチェックし、節税に関連する最近の情報として習得することをおすすめします。

土地や建物を投資目的で購入し賃貸経営を試みる場合、自己資金だけでなく金融機関から融資を受けるケースも多いですが、融資額が少ない場合に「共同担保」を検討する投資家も多いです。
共同担保を設定することで本来受けられない額の融資を受けることもでき、さらに融資条件が良くなることもありますので、投資ローンを検討する人にとってはメリットのある方法といえます。

その一方で共同担保にはデメリットやリスクもある上に設定するための物件には条件があることから、注意が必要です。
この記事では不動産を活用した資産運用を考えている人向けに、共同担保のメリットやデメリット、基礎知識について解説します。
融資を利用した上で不動産投資を検討している人は、参考にしてください。

この記事で分かること

共同担保とは

共同担保とは抵当権を設定する物件とは別の不動産に担保権を設定することで、自分だけでなく他人が所有している物件であっても合意があれば設定が可能という特徴もあり、主に融資額が不足する際に利用する資金調達方法です。
たとえば郊外にある空き家や築年数が古い戸建ては修繕費が高くなるため物件購入価格を超過した融資を検討することもありますが、物件によっては資産としての価値が低いと判断されてしまい、その結果希望額よりも低い融資になってしまうことがあります。
そこで別の不動産を担保として提供することで金融機関からの融資額を増やし、思い描いた不動産投資を実現できるようになります。
共同担保は個人の投資家だけでなく分譲地や分譲住宅の開発業者も積極的に活用していることから、投資の幅を広げたい人に向いている方法といえます。

共同担保のメリット

共同担保 メリット
共同担保を活用することで本来受けられない融資を受けることができますが、それ以外にもメリットがあります。
この章では共同担保設定が持つメリットについて、詳しく解説します。

よりよい条件で融資を受けられる可能性がある

金融機関や債務者の属性、購入予定の物件によっては共同担保を設定した方が有利な条件で借入できることもあり、今後の投資活動に良い影響を与えられることもあります。
債権者である金融機関にとってはリスクの少ない債権である方が好条件を提示しやすく、資産価値の高い不動産を担保に入れることは信用性の高い債務者として判断されます。
こうした信用は通常よりも低い金利で借入するために利用できることから、長期的に借入を検討する投資家にとっては大きなメリットといえます。

土地と建物をセットにすると価値が上がる

土地と建物をセットで共同担保に設定することで評価額を高くすることができるため、融資額も増やすことができます。
特に購入予定の物件が前面道路以外にも私道に隣接している場合などは不動産の活用方法が広がることになるため、積極的に共同担保を検討するケースも多いです。
これ以外にも土地と建物の所有者が分かれている場合は共同担保を設定することでトラブルを回避できる、といったメリットもあります。

借入期間が優遇される可能性がある

共同担保設定は融資額を増やすだけでなく、借入期間が優遇されることもあります。
なぜなら共同担保によって担保に入れる物件の資産価値が増えることになるため債務リスクが下がり、金融機関としても好条件が提示しやすくなるからです。
そのため、購入する予定の物件だけでも十分な融資を受けられる場合であっても共同担保を設定するケースもあります。

共同担保のデメリット

共同担保 デメリット
有利な条件で融資を受けることは不動産投資において重要なポイントであるため、共同担保を積極的に活用する投資家も多いです。
しかし共同担保には知っておかないといけないデメリットと注意点があり、大きな損失に繋がるリスクも抱えています。
この章では共同担保のデメリットについて解説しますので、前述したメリットと合わせてチェックしてください。

単独では売却や借り換えができなくなる

共同担保が設定されている物件の登記事項証明書には共同担保設定した不動産情報が記載されることになり、抹消の手続きをしなければ売却ができません。
抵当権や担保権は所有権を阻害する権利であるため、売却した後に債務者が支払いを放棄してしまうと不動産を購入した人は所有権を失ってしまう可能性があります。
このようなリスクを避けるためにも、不動産を売却する際には抵当権抹消だけでなく共同担保の設定も解除する必要があります。

またローンの借り換えも共同担保を含めた借入を一度全て完済しないと受付してくれない金融機関も多く、自由に資金調達ができなくなってしまうトラブルが発生しやすくなります。
このように共同担保設定は不動産投資において有利になるだけでなく不利になるケースもあり、大きなデメリットです。

一度つけた共同担保は外せないことが多い

共同担保はあくまでも抵当権を設定する不動産に対する「担保の補完」であるため、ローンを完済して抵当権を抹消するなどの対応をしなければ共同担保を外すことは難しくなります。
そのため共同担保を設定した不動産を売却したりさらに別の融資に対して担保設定する場合は金融機関の合意が必要となりますが、金融機関としてはただリスクが増すだけのため合意することはほとんどありません。
つまり共同担保は物件の流動性を極めて低下させる可能性が高いといえるため、注意が必要です。

金融機関の対応エリア外では共同担保にできない

金融機関は細かく対応エリアが設定されており、エリア内の物件でなければ共同担保に設定することはできません。
特に地方銀行や信用金庫は同じ都道府県でもエリアが分かれることがあるようですので、共同担保に利用できる物件かどうか事前に確認する必要があります。

自宅を失う可能性がある

自宅に共同担保を設定し融資額を増やすケースは多いですが、万が一支払いが滞納してしまい返済不能になってしまうと自宅を競売によって失う可能性があります。
購入物件だけに抵当権が設定されていた場合であれば支払いが滞納しても任意売却や債務整理によって完済できる可能性は残りますが、自宅に担保権が設定されると同一の資産として差し押さえの対象になってしまいます。
これにより投資用物件だけでなく自宅も失うことになり、人生が大きく変わってしまうことにもなりかねません。
このようなリスクを避けるためにも、自宅を共同担保に設定する場合は十分に検討した上で判断することをおすすめします。

共同担保にできる物件

共同担保はデメリットとリスクを把握することがポイントで、正しく活用することで不動産投資に有効な方法となります。
しかしどのような物件でも共同担保が設定できるわけではないことも、知っておきましょう。
この章では共同担保にできる物件の代表的な特徴を紹介します。

残債が半額以下もしくは完済している物件

抵当権を設定する不動産では不足する資産価値を担保するのが共同担保の目的となることから、設定する物件には所有権を阻害する抵当権が設定されていないことが条件です。
そのため相続や贈与などで取得した物件やローンが完済された物件などが共同担保の対象物件となりますが、物件や金融機関の判断によっては残債が残っていても半分以下であれば設定できるケースもあります。
ただし残債が残っている場合はその分担保評価額も下がってしまい、たとえば3,000万円の価値がある物件でも残債が半分あると2,500万円以下の評価額になってしまいます。
このことからも担保額が足りない場合は一度ローンを完済し、抹消手続きをした上で担保設定するという方法も検討する必要があります。

金融機関が営業しているエリアの物件

金融機関によって営業エリアが限定されていることがあり、信用金庫や労働金庫、信用組合などは地域に根付いた融資を優先する傾向にあります。
そのため共同担保が設定される物件も同じエリアである必要があり、どれだけ資産価値が高くても遠方にある物件に共同担保は設定できないことが多いです。
一方、財閥系大手金融機関であれば全国展開しているため営業エリアの限定はなくなりますが、離島や郊外など利便性が悪い場所にある物件は断られることがあります。
このように共同担保を設定する前提で融資を組む場合は、まず複数の金融機関に相談し、設定できる物件かどうかを確認した上で決断することがポイントです。

共同担保目録とは?

共同担保目録は全部事項証明書に記載されている項目の一つで、最下段に記載されます。
所有している不動産に共同担保が設定されている場合に表示され、共同担保目録に記載されている物件全てが共同担保ということになります。
全部事項証明書は法務局で誰でも閲覧、取得ができる書類となっており、購入を検討している人は抵当権と合わせてチェックします。
そのため共同担保目録に記載されている物件が多いと抹消手続きに時間がかかる可能性が高いといえ、購入に時間がかかると考える投資家もいます。
このように共同担保は融資を受ける上で便利である一方で売却時に担保権の情報を開示することになり、場合によっては売却に影響が出てしまうことも注意点です。

まとめ

不動産投資において資金の調達は重要なポイントであり、共同担保は他の不動産を担保として提供することで好条件の借入が期待できるため積極的に活用する人もいます。
また担保設定することで資産価値が向上するケースもあり、使い方次第では非常に有効な資金調達方法といえます。
しかし共同担保が設定できる物件には条件があり、さらに共同担保が設定された物件と抵当権が設定された物件はどちらも売却することが難しくなり、自宅を担保として提供した際には自宅を失うリスクを抱えることになります。
このように共同担保は不動産投資がうまくいかなかった場合の損失が生活に影響を与えるほど大きくなる可能性があるといえることから、共同担保を使う必要がある場合は融資を依頼する金融機関だけでなく、不動産会社や身近にいる投資家に相談することをおすすめします。

不動産売却を検討する際には土地や建物の価値を正しく把握する必要がありますが、土地総合情報システムは不動産の相場を知る上で便利なシステムとなっており、おすすめです。
不動産会社が売却査定の参考として活用するケースも多く、戸建てやマンションの相続税や贈与税を調べる際にも利用できます。
この記事では土地総合情報システムの概要と使い方、検索の方法について解説します。

この記事で分かること

土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)とは?

土地総合情報システムは円滑な不動産取引を目的としており、取引価格やハザードマップ、周辺施設など価格決定において必要な情報を一元管理しています。
不動産は車や時計のように誰もが判断できる相場価格がなく、価格に影響する要素が多いことから売主が自由に価格設定できてしまいます。
そのため不動産に詳しくない人が相場よりも高い金額で購入したり相場よりも安い金額で売却してしまうトラブルが起きることもあり、不動産を安全に流通させるためには解決しなければならない問題です。
土地総合情報システムはこうした問題を解決すべく重要なオープンデータを簡単に検索できるようになっており、これにより不動産のプロから一般人まで同じデータを使って価格の検証をすることができるようになりました。

国土交通省が運営するWEBサイト

SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトは民間の企業が運営していますが、土地総合情報システムは国土交通省が運営しています。
そのため正確な情報が公開されており、公示価格や路線価といった不動産鑑定に必要な情報も確認することが可能です。
不動産売却における物件の価格設定にも役立てることから、不動産のプロだけでなく一般の売主も有効活用できるシステムといえます。
なお、土地総合情報システムは令和6年3月をもってサービス終了となっており、不動産情報ライブラリに統一されました。
【参考サイト:建設産業・不動産業:不動産取引価格情報提供制度 – 国土交通省
【参考サイト:不動産情報ライブラリ

地価公示・都道府県地価調査を確認できる

地価公示とは地価公示法に基づいて不動産鑑定士が全国にある標準地を毎年1月1日時点の価値として鑑定し、国土交通省土地鑑定委員会によって公示される指標です。
これに対して都道府県地価調査は7月1日を基準日とした標準価格を都道府県知事が公表する指標となっており、どちらも公共事業用地の取得や相続税、贈与税の算出に使用されます。
不動産を所有している所有者が不動産を相続したり贈与する場合、正確な税額が分からなければ迂闊に所有権を移転することができなくなってしまいます。
税理士や会計士に税額計算を依頼することもできますが費用がかかってしまうため、不動産情報ライブラリで公開されている情報を使って自分で計算するのがおすすめです。

不動産取引価格情報検索ができる

不動産を売却する際には売却価格を決める必要がありますが、成約価格が分からなければ適正価格で販売することは難しいといえます。
SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトでは販売中の物件価格をチェックできますが実際にいくらで売れたのかは分からず、価格交渉の落としどころで悩んでしまう売主もいます。
その点不動産情報ライブラリでは実際に取引された価格イメージを確認することができ、売却価格の重要な判断材料にすることができます。
価格の根拠としても効力がありますので、すぐに閲覧できるようホームページをお気に入り登録している売主も多いです。

不動産購入者がアンケートに回答した内容に基づいている

不動産情報ライブラリは不動産を実際に購入した人がアンケートに回答し、その内容をデータとして活かしています。
主な活用目的に「公示地価の判定」や「基準地価の判定」、「不動産取引価格情報の提供」があり、不動産鑑定士の算出結果と実際の成約事例を精査することで精度の高い価格データを維持しています。
公示価格や路線価の鑑定は取引事例が多ければ精度が高くなりますが、過疎地や山奥などは取引が少ないため、サンプリングデータが少ない状態で算出することになります。
そこで実際の取引情報を取り入れることで計算を補完し、信頼性の高いデータとして抽出している点が、不動産情報ライブラリの特徴です。
【参考サイト:アンケートの目的

土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)では何ができる?

不動産情報ライブラリでは一般の人でも閲覧することができ、住宅や農地、山林の価格相場や戸建て、マンションの成約相場を調べることができます。
不動産の取得や売却において重要な情報となりますので、この章では具体的に知ることができる情報を紹介します。

土地単価の相場が分かる

不動産情報ライブラリでは地価公示・都道府県地価調査を確認することができ、さらに不動産取引価格情報を検索することができます。
これにより全国の土地単価を調べることができ、不動産売却の価格設定だけでなく相続税や贈与税の課税額を算出することも可能です。
不動産銃砲ライブラリは誰でも閲覧できるため、当事者間で価格や価額を判断する上で公平なデータとして共有するケースも多いです。

農地や林地の相場が分かる

農地や林地は取引事例が少ないものの面積が大きく、価格や課税額のイメージが持ちにくいという特徴があります。
たとえば500坪の農地を売却する場合、坪単価を2万円にすると売却価格は1,000万円ですが5万円にすると2,500万円です。
坪単価が3万円前後することは不動産取引においてよくありますが、面積が大きいとこのように価格へのフィードバックも大きくなってしまいます。
そこで不動産情報ライブラリを活用してなるべく精度の高い相場で売却価格を設定し、トラブルを起こすことなく売却することができるようになります。

戸建てやマンションの土地と建物の総額が分かる

不動産情報ライブラリは検索画面で宅地、土地、土地と建物、マンション、農地、林地を選択することができますので、気になるエリアの不動産種別相場を全てチェックすることができます。
この情報は不動産査定や売却価格だけでなく投資目的の物件を検討する際にも有効活用することができることから、投資家にもおすすめの検索方法です。

土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)の使い方

この章では実際の不動産情報ライブラリ画面を参照しながら、使い方を解説します。
調べたい用途別に紹介しますので、不動産情報ライブラリを使う際の参考にしてください。

土地の価格調査をする

土地の価格調査方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
価格情報を選択し、不動産取引価格情報を選択。
任意のエリアをズームして青い丸をクリックし、詳細表示を選択。
検索結果一覧に土地価格が表示される。上記のタグを開くと不動産種別や時期を変更することができる。

①インターネットで「不動産情報ライブラリ」を検索し、トップ画面から「地図から探したい方へ」を選択します。
不動産情報ライブラリ 使い方01
特定の地域から探したい場合は「地域から探したい方へ」を選択します。

②日本の地図が表示されますので「価格情報」を選択し、プルダウンの中から「不動産取引価格」にチェックを入れて検索します。
不動産情報ライブラリ 使い方2
不動産情報ライブラリ 使い方3
③地図の中から任意のエリアをズームすると青い丸が表示されますのでクリックし、「詳細表示」を選択します。
不動産情報ライブラリ 使い方4
④検索結果一覧で土地価格を確認できるようになります。
不動産情報ライブラリ 使い方5
なお、上記画面の上部には「条件設定を開く」というボタンがあり、都道府県と市区町村、価格情報区分、不動産種別、時期を選択することができます。

ハザードマップの確認をする

ハザードマップの確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
防災情報を選択し、調べたいハザードマップを選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って危険度をチェック。

①日本地図の画面が表示されれば「防犯情報」をクリックし、ハザードの種類を表示して決定をクリックします。
不動産情報ライブラリ 使い方6
不動産情報ライブラリ 使い方7

②任意のエリアをズームすると、ハザードマップが該当しているエリアがハッチングされます。
たとえば洪水浸水想定区域(想定最大規模)を選択した場合は上記のような色で表示され、左側の凡例を開くと浸水想定の高さを確認できるようになります。
ただしハザードマップはある程度ズームしなければ表示されませんので、注意が必要です。
不動産情報ライブラリ 使い方8

近隣の学校・病院・公園を調べる

近隣の学校・病院・公園の確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
周辺施設情報を選択し、調べたい施設を選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って施設情報や範囲をチェック。

①日本地図の画面が表示されれば「周辺情報情報」をクリックし、調べたい周辺施設を表示して決定をクリックします。
不動産情報ライブラリ 使い方9

②任意のエリアをズームすると、調べたい施設が表示されます。
上記の表示は小学校と中学校のエリアが表示されており、クリックすると学区を表示することができます。
これ以外にも病院や福祉施設などを同時に表示することができますが、これらの施設は記号でマッピングされます。
不動産情報ライブラリ 使い方10
不動産情報ライブラリ 使い方11

都市計画情報を確認する

都市計画情報の確認方法は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
都市計画情報を選択し、知りたい都市計画や用途地域などを選び決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って情報をチェック。

①日本地図の画面が表示されれば「都市計画情報」をクリックし、知りたい情報を表示して決定をクリックします。
不動産情報ライブラリ 使い方12
不動産情報ライブラリ 使い方13

②下記のように該当する情報を地図にマッピングすることができますが、ハザードマップと同様にある程度ズームしなければ表示されませんので、注意が必要です。
不動産情報ライブラリ 使い方13

周辺人口・将来推計人口を確認する

周辺人口・将来推計人口は次のようになります。
地図表示もしくは地域選択を選択。
人口情報等を選択し、知りたい情報を選んで決定を選択。
任意のエリアをズームし、凡例を使って必要な情報を確認。

①日本地図の画面が表示されれば「人口情報等」をクリックし、知りたい情報を表示して決定をクリックします。
不動産情報ライブラリ 使い方14
不動産情報ライブラリ 使い方13

②このデータは国土地理院の国勢調査などをベースにしていることから、確認時期によっては古い情報が使われていることもあります。
不動産情報ライブラリ 使い方15

そのためあくまで参考情報として取り扱うことをおすすめします。

土地総合情報システム(不動産情報ライブラリ)とレインズは何が違う?

不動産の成約事例を調べるデータベースには不動産情報ライブラリ以外にもレインズがありますが、用途と利用の自由度に違いがあります。
レインズは公益社団法人が運営しているシステムのことで、販売中と成約済みの物件情報を閲覧、ダウンロードすることができます。

建ぺい率や容積率、面積、価格などが表示される点は不動産情報ライブラリと同じですが、レインズはさらに売主の属性や販売業者の連絡先の確認と資料のダウンロードが可能です。
また購入申し込みが入っている場合には左側に「申込あり」と表示されるため、物件がまだあるか一目で判断することができます。
このようにレインズは公開物件や成約物件を確認するのに特化しており、不動産情報ライブラリとの大きな相違点といえます。
ただしレインズは宅地建物取引業社しか利用できないという制限があり一般の人は使えませんので、注意が必要です。

まとめ

国土交通省が公開している不動産情報ライブラリは公示価格や路線価、不動産取引価格情報を調べることができ、誰でも利用することが可能です。
そのため不動産会社や司法書士だけでなく不動産を売りたい所有者もよく利用するシステムとなっており、不動産の価値を調べる上で必要な情報を簡単に検索できるという特徴があります。
また不動産の資産価値だけでなくハザードマップや都市計画情報、人口推移を調べることもできるため、購入を検討している人にとっても便利なシステムといえます。
無料で何度も利用できますので、不動産の取得や売却を検討している人はすぐに見れるブックマークしておくことをおすすめします。

不動産会社に仲介してもらった上で不動産売買や賃貸を行う場合、売主と買主、貸主と借主は不動産業者へ仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は成約した時点で媒介契約書に記載された手数料を報酬として支払うことになりますが、売買価格に応じて上限金額が設定されています。
そのため不動産売買で必ずかかる費用として予算確保しておくべきですが、具体的なサービス内容や支払いタイミングを知っておくことで納得した上で支払うことができます。
また個人間売買を選択することで仲介手数料を無料にすることができますが、リスクが高いためおすすめできません。
この記事では不動産売買における仲介手数料の仕組みや支払いタイミングについて、解説します。
個人間売買のリスクについても紹介しますので、これから不動産売買を検討している人は参考にしてください。

タイトル

不動産の仲介手数料は仲介を依頼した人が払う

そもそも不動産取引は不動産会社の仲介をしなくても進めることができ、売買契約時に書類を取り交わす必要もありません。
しかし内容の確認不足や勘違い、引渡し時にトラブルが発生しやすくなり、さらに急速な市街化によって土地や建物の形状が複雑になることで専門知識のない当事者間での取引が難しくなりました。
そこで昭和27年に宅地建物取引業法が施行され、法律に沿った円滑な売買契約が推奨されることになり、不動産会社が仲介に入ることが一般的になりました。
不動産の売買では売主、買主ともに仲介手数料の請求を受けることになりますが、納得した上で支払うためにもそれぞれのサービス内容を知っておくことが大切です。
この章ではどのようなサービスに対して仲介手数料が発生するのかについて、解説します。

売主から見た仲介手数料

不動産売却を検討する売主にとっては、手間をかけることなくスピーディーかつ高値で物件を売却することが重要なポイントとなります。

立地が良い中古住宅や土地であれば看板を置いておくだけでも売却できるかもしれませんが、実際には多くの人に検討してもらうため広告を出さなければなりません。
さらに不動産を売却する際には告知書の作成や契約不適合責任の設定、確定測量や解体実施の有無など売主にとって決めなければならないことは多いです。
不動産会社は売主に対して売買価格の相場となる査定額と売却プランを提案し、多くの反響を得るために紙媒体やインターネットを通じて物件を広告します。
値引き交渉や契約条件の交渉もサービスに含まれていますので、売主は不動産会社に仲介を依頼することで安心して売却できることが分かります。
なお、依頼する不動産会社は媒介契約の種類によって変わり、たとえば専属専任媒介契約や専任媒介契約を選んだ場合は1社しか選択できません。
どの媒介契約を選んでも売却時の仲介手数料や売却価格は変わりませんので、次の特徴をチェックした上で判断することをおすすめします。

媒介契約の種類 同時依頼できる不動産会社の数 自己発見取引 契約の期間上限
専属専任 1社 不可 3ヶ月
専任 1社 可能 3ヶ月
一般 制限なし 可能 制限なし

買主から見た仲介手数料

不動産会社が買主に行う仲介業務として情報の提供と安全に購入するための段取りがあります。
具体的には広告を見て問い合わせした買主への物件紹介や案内の誘致、値引きの交渉、契約の調整が主な業務となっています。
住宅ローンの斡旋や税金を含めた諸費用の確認、資金計画の作成も業務に入っていることから、買主にとっても不動産会社の仲介は重要です。
このように買主は不動産会社に仲介を依頼することでスピーディーな情報収集だけでなく契約成立までに必要なアドバイスを受けることができ、仲介手数料に含まれているサービスといえます。

同じ不動産会社が仲介を行う場合

売主と買主が依頼する不動産会社が全く同じとなった場合、どちらかが仲介手数料無料になったり半金になるのではなく1つの会社に対して双方とも満額の手数料を支払うことになります。
ただし売主と代理契約を締結している場合は買主の仲介手数料はゼロになり、負担が軽減されるケースもあります。
こうした取引態様は物件ごとに設定されておりSUUMOやアットホームでも確認することができますので、買主は物件選定時にチェックしておくことがポイントです。

不動産の仲介手数料を払うタイミングはいつ?

不動産売買において仲介手数料は売買契約が締結された時点で支払い義務が発生することになり、契約時や決済のタイミングで支払うケースが多いです。
地域や不動産会社によって「契約時に半額、決済時に半額」や「決済時に全額」というように支払いタイミングが変わり、媒介契約書に明記されることになります。
そのため支払いタイミングは事前に知ることができますが、契約時に支払う場合は住宅ローンに仲介手数料を組み込むことができませんので注意点といえます。

不動産の仲介手数料はいくら?

不動産売買の仲介手数料は国土交通省によって上限が設定されていますが、計算式がありますので不動産会社と媒介契約を締結する前に調べることが可能です。
また売却価格が一定以下の空き家や空き地については特例が設けられていることから、空き家の所有者にとっては注意点といえます。
この章では仲介手数料の上限額を計算する方法について解説します。

不動産仲介手数料の計算方法

仲介手数料の上限額は売買代金によって計算式が異なり、「200万円以下」「200万円超400万円以下」「400万円超」の3段階で次のようになります。

200万円以下の部分:売買代金×5%+消費税
200万円超400万円以下の部分:売買代金×4%+消費税
400万円超の部分:売買代金×3%+消費税

たとえば100万円の不動産を取引する場合、税抜きで5万円が仲介手数料の上限となり、500万円の場合は200万円×5%+ 200万円×4%+ 100万円×3%=21万円です。
このように価格帯を超える部分に応じた計算式を使って算出することになりますが、間違えやすいため次のような速算式がよく使われます。

売買代金が200万円以下:売買代金×5%+消費税
売買代金が200万円超400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円超:売買代金×3%+6万円+消費税

上記の速算式を使うと売買代金500万円の場合は500万円×3%+ 6万円=21万円と簡単に計算できるようになります。

低廉な空き家等の仲介手数料の特例

不動産会社は特別な事情がない限り仲介手数料の上限額で請求しますが、売買代金によって変動するため、安価な不動産の取引は赤字になる可能性があります。

物価や人件費高騰の影響を受けることで儲けが少ない不動産の売却を断られるケースも増えており、特に山奥や郊外にある空き家や空き地は査定すらしてくれないこともあります。
このような状況に対応するため国土交通省は売買・交換特例に係る低廉な空家等の取引については特例を設けており、800万円以下の空き家、空き地の売買では30万円+消費税が上限となっています。
そのため800万円以下の空き家や空き地を取引する際には注意が必要です。
【参考サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

仲介手数料がかからない個人間売買の注意点

売主と買主が知り合いだったり親族の場合は不動産会社に仲介を依頼せず取引するケースがあり、個人間売買と呼ばれています。
この方法は当事者間で話し合いをして取引をするため、契約書や重要事項説明書、告知書などを作成せずに取引完了するケースも少なくありません。
売主と買主は仲介手数料をコストカットできるというメリットがある一方、思わぬトラブルが起きたり司法書士や土地家屋調査士などの手配を全て当事者が行うことになるというデメリットもあります。
場合によっては仲介手数料以上の費用負担が発生することもありますので、個人間売買はなるべく避け不動産会社に依頼することをおすすめします。

まとめ

不動産売買は不動産会社に仲介を依頼し、契約の成功報酬として仲介手数料を支払うのが一般的です。
仲介手数料を支払うサービスとして、売主は売却する不動産の査定や物件の公開、価格の交渉対応があり、買主は物件の紹介や内覧の準備、住宅ローンの斡旋があります。
また仲介手数料は円滑に契約を締結し所有権移転登記をするための必要経費として考える必要がありますが、仲介手数料の計算式は国土交通省から公開されているため事前にチェックすることができます。
そのため不動産取引をする際にはどのくらい仲介手数料がかかるのかを調べておき、売買にかかる費用を正しく把握することがポイントです。


不動産を売却したり購入する際には不動産会社に仲介を依頼し、円滑に取引できるようサポートしてもらうのが一般的です。
仲介手数料はこうしたサポートに対する報酬として支払う費用となっていますが、いくら支払う必要があるのか事前に知っておくことも重要といえます。
売買代金によっては通常の仲介手数料よりも高くなるケースもありますので、売買をする前に不動産会社から説明を受けておくことをおすすめします。
この記事では不動産売買でかかる手数料について、解説します。

この記事で分かること

不動産売買の仲介手数料早見表

仲介手数料は一律ではなく売買代金によって変動することから、どのくらいの額になるのか事前にイメージしておくことが大切です。
この章では不動産売買でかかる仲介手数表をおおまかな価格帯で分けて表にしていますので、参考にしてください。

50万円から400万円

売買代金が50万円から400万円の取引では、次のようになります。
仲介手数料 早見表 50万円から400万円

200万円までは同じ計算式で計算することができ、200万円を超えると計算式が変わる点がポイントです。

450万円から800万円

売買代金が450万円から800万円の取引では、次のようになります。
仲介手数料 早見表 450〜800万

400万円を超えると計算式が変わりますが、この金額ライン以降は「売買代金×3%+ 6万円+消費税」の計算式で計算できます。
ただし売買する不動産が一定条件を満たす800万円以下の空き家もしくは空き地の場合は後述する「低廉な空家等の媒介特例」が適用されますので、注意が必要です。

850万円から1200万円

売買代金が850万円から1200万円の取引では、次のようになります。
仲介手数料 早見表 850万円から1200万円

1300万円から2000万円

売買代金が1300万円から2000万円の取引では、次のようになります。
仲介手数料 早見表 1300万円から2000万円

不動産売買の仲介手数料の計算方法

不動産を売却したり購入する際にかかる仲介手数料は売買価格に応じた計算式が用意されているため、自分で計算して事前に確認することも可能です。
仲介手数料の計算は一定の金額ラインを超える度に売買代金を分割して計算しなければならないことから、慣れない人が計算すると間違えることも多いです。
そのため速算式も用意されていますので、正規の計算式と速算式の両方を知っておくことがポイントです。
ただし一定条件を満たす800万円の空き家、空き地については別の上限額が設定されているため、注意が必要といえます。
この章では仲介手数料の計算方法について解説しますので、これから不動産売買を検討している人は参考にしてください。

仲介手数料の計算式

仲介手数料の上限額は売買代金によって計算式が異なり、「200万円以下」「200万円超400万円以下」「400万円超」の3段階で次のようになります。

200万円以下の部分:売買代金×5%+消費税
200万円超400万円以下の部分:売買代金×4%+消費税
400万円超の部分:売買代金×3%+消費税

たとえば100万円の不動産を取引する場合、税抜きで5万円が仲介手数料の上限となり、1000万円の場合は200万円×5%+ 200万円×4%+ 600万円×3%=36万円です。
このように価格帯を超える部分に応じた計算方法を使って算出することができますが、200万円を超える場合は売買代金を分割して計算するため間違えやすいことから、次のような速算式がよく使われます。

売買代金が200万円以下:売買代金×5%+消費税
売買代金が200万円超400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円超:売買代金×3%+6万円+消費税

売買代金が400万円超の場合は18万円(200万円×5%+200万円×4%)が必ず含まれていることから上記の速算式が利用でき、売買代金1,000万円の場合は1,000万円×3%+ 6万円=36万円と簡単に計算できるようになります。
この速算式は不動産会社も利用している代表的な計算方法となっており、売買を検討している不動産の仲介手数料を事前に計算するのに便利です。

仲介手数料の上限は法律で決まっている

仲介手数料は国土交通省によって上限が設定されていますが、上限額で請求しなければならないというルールはありません。
しかし仲介手数料は不動産業者にとって主な収入源となっているため上限額で請求するのが一般的となっており、理由もなく仲介手数料の値引きに応じる不動産会社はほとんどいないと考えておく必要があります。
中には最初から仲介手数料が上限額よりも安い不動産会社もありますが稀なケースであるため、不動産取引にかかる費用を見積もる際には手数料を上限額で想定しておくことをおすすめします。
ただし売主が宅建業者であったり仲介している不動産会社が売主と代理契約を締結している場合、買主に限り仲介手数料が値引きされることもあります。
このような特例は取引態様が「売主」や「代理」となっているケースで適用されますので、不動産を購入する際には物件情報の取引態様をチェックすることがポイントです。

低廉な空家等の媒介特例

山奥や郊外にある不動産を売買する場合は売買金額が相場よりも低くなる傾向があり、その結果仲介手数料も安くなってしまいます。
不動産仲介業者は仲介手数料が主な収入源となっていますので、販売金額によっては消極的な対応をする会社もあります。
しかし不動産の売却は不動産会社の販売力に依存する部分が多いことから、不動産会社が赤字にならないよう価格が安い物件の取引については通常の計算式とは別に上限額を設定する必要がありました。
そこで国土交通省は売買・交換特例に係る低廉な空家等の取引については特例を設け、これにより800万円以下の空き家、空き地の売買では30万円+消費税が上限となっています。
このことからも、800万円以下の空き家や空き地を取引する際には注意が必要です。
【参考サイト:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

不動産売買における仲介手数料とは

不動産売買をする際には仲介手数料を支払う前提で資金計画を組む必要がありますが、不動産会社に仲介を依頼するメリットや支払うタイミングを知っておくことで円滑な売買が可能となります。
売主と買主が直接売買する個人間売買でも取引は可能ですが、その場合は契約書類の作成から司法書士の手配など全て当事者で行うことになり、非常に手間がかかります。
また法令を遵守していない手続きをした場合には後から大きなトラブルになったり損失が発生することもありますので、個人間売買ではなく不動産会社に仲介を依頼することがおすすめです。
この章では仲介のメリットと支払いタイミングについて解説しますので、参考にしてください。

仲介手数料は不動産会社に支払う報酬

仲介は売主と買主のどちらにもメリットがありますが、それぞれ不動産会社から受けるサービスの内容が異なります。
売主が不動産売却をする際には不動産会社に査定を依頼し、売却価格と依頼する不動産会社を決めます。
査定額はエリアの成約価格をベースにして算出していることから、売主は査定を通じて相場を知ることができます。
物件価格が決まれば不動産会社が物件を紙媒体やインターネットを通じて公開し買主を募集してくれますので、売主は基本的に反響を待つだけで問題ありません。
このように売主は不動産会社に仲介を依頼することで最適な価格で販売することができ、手間をかけることなく物件を売却することができます。
一方、買主は不動産会社が公開した物件をチェックし購入を検討するようになりますが、物件の詳細確認や内覧をするためには不動産会社のサポートが不可欠です。
さらに売主と買主の条件が整えば契約書類に署名捺印し代金の支払いと所有権移転を行うことになりますが、書類の作成と決済の段取り、住宅ローンの進捗確認、司法書士の日程調整は全て不動産会社が実施してくれます。
仲介手数料はこのような不動産会社の仲介業務に対して支払われる成功報酬となっており、専門知識がない売主と買主がスムーズに不動産取引を完了させるために必要なサポートといえます。

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料の支払いタイミングは不動産会社と締結した媒介契約書に記載されており、「売買契約時に全額支払い」や「売買契約時に半額、不動産決済時に残額支払い」、「不動産決済時に全額支払い」などいくつかパターンがあります。
不動産会社のルールや地域によって変わりますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、契約締結後に契約が解除になった場合は仲介手数料の支払い義務が発生するケースと発生しないケースがあります。
支払いが必要なケースは契約締結時に不動産会社から説明を受けますので、不明点がないよう正しく理解することが大切です。

仲介手数料には消費税がかかる

仲介業務は「事業者が事業として対価を得て行うサービス」であるため課税対象となり、消費税がかかります。
土地や戸建て、マンションの販売価格には消費税がかからないため混同しやすいことから、注意が必要です。
これ以外にも登記費用や測量費、解体費、水道メーター負担金なども消費税がかかります。

まとめ

安心かつ安全な不動産取引をするのであれば専門知識を有する不動産のプロが仲介する必要があり、不動産会社は仲介手数料の支払いを受ける代わりに売主と買主の円滑な不動産取引を実現しています。
そのため仲介手数料は支払う前提で考えておくべきですが、仲介手数料の上限額は売買代金さえ決まれば事前に計算することができるため、資金計画に組み込むことができます。
支払いタイミングや契約後の支払い義務発生については不動産会社から説明を受けられますので、取引をする前に相談しておくことがおすすめです。

不動産売買をする際には売主と買主は不動産会社へ仲介手数料を支払う必要がありますが、仲介手数料は売買金額によって異なるため注意が必要です。
仲介手数料は国土交通省によって上限額が設定されている上に計算方法も公開されていることから、事前にいくらかかるのか自分で計算しておくことも大切です。
個人間売買によって仲介手数料が無料となるケースもありますが、不動産業者の仲介業務は安全な売買を実現する上で重要な役割を担っていますので、仲介手数料は必ず発生する初期費用として考えておくことをおすすめします。
この記事では不動産売買の仲介手数料相場と計算方法、注意点について解説します。

この記事で分かること

不動産売買における仲介手数料とは

不動産売買は賃貸よりも取引金額が大きく、不動産の売却と購入を安全に完了させるためには法律と売買の条件を遵守した手続きが不可欠です。
しかし専門知識を持っていない売主と買主だけではリスク回避や取引の進め方が分からず、その結果大きな損失に繋がることも少なくありません。
そこで宅地建物取引業法では宅建業者が売主と買主が円滑に取引できるようサポートし、契約の成功報酬として仲介手数料を請求することが定められています。
不動産会社の具体的なサポートとして査定額と売却プランの提案、物件の公開、買主の問い合わせや値引き交渉の対応、住宅ローンの斡旋、売買契約書類の作成、士業の日程調整があります。
つまり、不動産会社に仲介手数料を支払うことで不動産取引に必要な作業を一任することができるといえ、不動産取引において重要なサポートだといえます。

不動産売買の仲介手数料は法律で上限が決められている

不動産売買の仲介手数料は国土交通省で上限額が設定されており、計算式も公開されていますので事前に費用をチェックすることができますが、一定条件を満たす物件については特例の上限額が設定されています。
この章では仲介手数料の計算方法を紹介しますので、正しく仲介手数料を計算するためにもチェックしてください。

不動産売買の仲介手数料の計算方法

国土交通省が定める仲介手数料の上限額は次の計算式で算出することが可能です。

売買代金が200万円以下:売買代金×5%+消費税
売買代金が200万円超400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
売買代金が400万円超:売買代金×3%+6万円+消費税

たとえば売買代金2,000万円の中古一戸建てを売買した場合、2,000万円×3%+ 6万円=66万円が税抜き価格となります。
ただし新築の戸建てや新築マンションには売買代金に消費税が含まれてますので、仲介手数料を計算する際には税抜き価格に割り戻して算出する必要があります。
この場合は物件資料に記載されている売買代金で計算した仲介手数料よりも安くなることがポイントです。
売買する不動産の種類と売買代金によって仲介手数料は変動しますので、正しく計算することが資金計画で失敗しないコツといえます。

低廉(ていれん)な空家等の売却における仲介手数料の特例

不動産会社にとっては仲介手数料は重要な収入源ですが売買代金によって請求できる金額が大きく変わるため、金額が安い物件を売買してしまうと赤字になることがあります。
このような問題を解決するために国土交通省は売買・交換特例に係る低廉な空家等の取引については特例を設けており、この特例によって物件価格が800万円以下の空き家、空き地の売買では30万円+消費税が上限となりました。
そのため800万円以下の空き家や空き地を取引する際には通常の計算方法とは別の上限額が設定されることになり、売主と買主にとっては大きな注意点といえます。
【参考:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し

不動産売買の仲介手数料の相場とは

ほとんどの不動産会社は仲介手数料の上限額で請求しており、特別な事情がなければ値引きすることはありません。
そのため不動産売買の予算を検討する際には必ず仲介手数料の上限額で組み込むことがポイントです。
おおまかな売買代金と仲介手数料を知りたい人は、「不動産仲介手数料 早見表」の記事をチェックしてください。

不動産売買で仲介手数料以外にかかる費用

不動産売買では仲介手数料以外にも「印紙税」や「登録免許税」、「司法書士への報酬」、「譲渡所得税」がかかります。
この章ではそれぞれの諸費用について、詳しく解説します。

印紙税

印紙税とは契約書類に貼付する印紙代のことで、仲介手数料と同様に売買価格に応じて次のように課税額が変わります。

印紙はコンビニやショッピングモールでも購入可能ですが1,000円を超える印紙は郵便局や法務局でなければ取り扱っていないため、注意が必要です。

売買価格 印紙代
10万円を超え50万円以下 200円
50万円を超え100万円以下 500円
100万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 30,000円
1億円を超え5億円以下 60,000円
5億円を超え10億円以下 160,000円
10億円を超え50億円以下 320,000円
50億円を超える 480,000円

なお、印紙は契約書の原本に貼付するのがルールとなっており、不動産を手放す売主は契約書の原本ではなくコピーを保管するのであれば印紙は不要です。

【参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

登録免許税

不動産の所有権移転や抵当権の設定、新築マンションや新築戸建てを法務局に登記する場合には登録免許税がかかり、後述する司法書士への報酬と合わせて支払うのが一般的です。
居住用財産の登記については次のような軽減税率が設定されています。

〈土地〉
所有権移転登記:固定資産税評価額×1.5%(令和8年3月31日まで)
〈建物〉
所有権保存登記:固定資産税評価額×0.15%(令和9年3月31日まで)
〈抵当権〉
抵当権設定登記:債権額×0.1%(令和9年3月31日まで)

(参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁)

司法書士の報酬

司法書士に登記を依頼する場合は報酬が発生し、登録免許税と合わせて「登記費用」という名目で資金計画に組み込まれます。
地域によって報酬額は変動しますが、1万円〜10万円前後であることが多いようです。

譲渡所得税

不動産売却において売主が売却することで利益が発生した場合、利益を課税額とした税金が発生します。

譲渡所得税と呼ばれるこの税金は、以下の計算方法で課税額を計算することができます。

売却価格-売却にかかった諸費用-購入価格-購入時の諸費用

たとえば3,000万円で購入した不動産を4,000万円で売却した場合、売却時と購入時の諸費用が共に150万円とすると700万円が譲渡所得課税額です。

この課税額に税率を掛け合わせることで譲渡所得税を計算することができますが、税率は税率は所有期間によって次のように変動します。

物件の所有期間が5年以内:39.63%
物件の所有期間が5年を超える:20.315%

課税額700万円のケースでは、5年以内に売却すると譲渡所得税は約277万円となり、6年目以降であれば約142万円です。

このことからも、不動産を売却する際には売却価格だけでなく取得期間も注意する必要があるといえます。

なお、売却する物件がマイホームの場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を利用することができ、利用することで課税額から3,000万円を控除して譲渡所得税を計算することができます。

このように特定条件を満たすことで節税する方法がありますので、利用できる特例がないか不動産会社に相談しておくことも大切です。

【参考サイト:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

まとめ

不動産を売却したり購入する際には不動産会社に仲介手数料を支払いサポートしてもらうケースが一般的であり、安全に不動産取引を完了するためにも必要な諸費用として考えておく必要があります。
仲介手数料の上限額については計算式が公開されているため、事前に計算しておくことも可能です。
また仲介手数料以外にも不動産売買では費用が発生しますので、不動産会社に諸費用の総額を計算してもらうことも重要です。