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不動産投資

連棟式建物とは?普通の戸建てとの違い・再建築や売却リスクまで徹底解説

空家ベース編集部

格安の中古戸建てを探していると、「連棟式建物」という言葉を目にすることがあります。

周辺の一戸建てと比べて価格がかなり安く、「この価格なら利回りも悪くないかも」と気になる人もいるでしょう。

ただ、連棟式建物は一般的な戸建てとは構造が異なります。そのため、安いという理由だけで購入すると、後から思わぬ制約に気づくことがあります。

例えば、自由にリフォームできるのか、建物が傷んだ場合に自分の判断だけで建て替えや解体ができるのか。将来売却するときに買い手が見つかるのかどうかも、購入前に確認しておきたいポイントです。

連棟式建物が安く売られている背景には、築年数だけではなく、こうした構造上の制約が関係しているケースもあります。

この記事では、連棟式建物とはどのような建物なのか、購入前に確認したいポイントや購入を判断する際の考え方、売却するときの選択肢、調査時のチェック項目について解説します。

空家ベースは、連棟式建物をはじめ、一般的な不動産サイトではあまり見かけない格安物件を多数掲載しています。価格が安い物件にはそれぞれ理由や注意すべき点がありますが、その特徴を理解したうえで探せば、自分の目的に合った物件が見つかるかもしれません。気になる方は、ぜひ掲載物件をチェックしてみてください。

連棟式建物とは?普通の戸建てとの違い

連棟式建物とは

連棟式建物は、複数の住戸が横方向につながり、隣の住戸と壁や柱を共有している建物を指します。2戸だけのものもあれば、5戸10戸と長く連なるものもあります。外観は一戸建てが並んでいるように見えますが、建物としては1棟でつながっている点が特徴です。

各住戸ごとに玄関があり、その住戸ごとに所有者が異なります。建物の登記は住戸ごとに区分されているケースと、1棟全体で1つの登記になっているケースの両方があります。敷地についても、住戸ごとに分筆されている場合と、全体を共有持分で持ち合っている場合に分かれます。

こうした構造のため、連棟式建物では見た目だけでは分からない部分があります。購入する際は、建物がどのようにつながっているのかだけでなく、登記や敷地の権利関係もあわせて確認することが大切です。

長屋・テラスハウスとの違い

呼び方が複数あるため混乱しやすい部分ですが、指しているものはおおむね似たような構造の建物です。整理すると次のようになります。

呼称 意味・特徴
長屋 建築基準法上の用語で、各住戸が共用部分を介さず、直接屋外(道路または敷地内通路)に出られる形式を指します。共用廊下や共用階段を持たない点が定義上の分かれ目になります。
テラスハウス 不動産流通の現場で使われる呼称で、各戸が専用の庭を持ち、敷地が各戸ごとに分筆された低層の連棟住宅を指すことが多い言葉です。分譲時の販売名称として使われてきた経緯があります。
連棟式建物 不動産実務や販売図面上の表記として使われることが多い言い方で、建物が連なっている状態そのものを表しています。登記簿上の正式な分類は「長屋」または「区分所有建物」です。

いずれも各建物が独立して所有される点は共通しています。共用廊下を持つ共同住宅(マンションやアパート等)とは、建築基準法上の用途区分(長屋か共同住宅か)および共用廊下・共用階段の有無の点で扱いが異なります。

名称の違いより、登記の形と敷地の持ち方を確認するほうが、今後に役立ちます。

一般的な一戸建てとの違い

一般的な一戸建てと連棟式建物の違いをまとめると、以下のようになります。

項目 連棟式建物 一般的な一戸建て
壁・構造 隣家と共有し、構造がつながっている 独立している
解体 隣家への影響があるため制約を受ける 単独で判断できる
リフォーム 外壁・屋根は隣家との調整が必要な場合がある 比較的自由に行える
隣家の影響 老朽化や空家化の影響を受けやすい 受けにくい
価格 相場より低く設定されやすい 相場水準

建物を自由に使いにくかったり、売却するときの買い手が限られたりする点が価格に反映されるのが連棟式建物の特徴です。取得価格が安ければ表面利回りは高くなりますが、その分、出口で売却しにくくなることもあります。解体や修繕にかかる費用も考え、実質的にどれくらい利益が残るのかまでの見通しを持って比較することが大切です。

連棟式建物で注意したい3つの制限

自由に解体できず、費用も高くなりやすい

連棟式建物は、隣家と壁や柱、基礎などの構造がつながっているため、自分の住戸だけを壊す工事ができません。自分の住戸を壊すと隣家の側面がむき出しになるため、雨水が入らないような防水処理が必要で、場合によっては構造補強も必要です。

こうした事情から、切り離しをともなう解体は、通常の解体よりも手間がかかり、費用も高くなりやすい傾向があります。実際に当社で切り離し工事をおこなった物件では、一般的な戸建ての解体費用を上回る金額となりました。

大阪府にある木造2階建ての連棟式建物で、全体の延床面積は約700㎡。対象の延床面積約55㎡の1戸だけを切り離して解体した案件です。このケースでの費用は約92万円でした。専有部分は坪換算で約16.6坪のため、坪あたり約5.5万円という計算になります。

木造戸建ての通常解体が坪3〜5万円前後で収まることを考えると、一般的な解体よりも高い単価になっています。切り離し工事では、隣接する建物への影響に配慮しながら作業する必要があるため、その分の費用が上乗せされやすいといえます。

再建築できないケースがある

連棟式建物では、1棟全体で1つの建築確認が下りているケースも見られます。自分の所有する1戸だけを取り壊して建て直そうとすると、切り離したことで残った部分が建築基準法上の要件を満たさなくなり、単独での建て替えができない場合があります

加えて、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していない物件も一定数あります。接道義務を満たさない敷地では、単独での再建築が認められません。建蔽率や容積率が現行基準を超えている既存不適格の状態であれば、同じ規模での建て替えは難しくなります。

隣人の承諾が必要になるケースがある

過去の判例では、区分所有法第62条の建て替え決議に準じる手続きとして、全区分所有者の4/5以上の承諾が必要とされた事例もあります。少なくとも隣家所有者からは書面で承諾を得ておき、建物全体に関わる工事であれば、他の所有者についても承諾が必要か確認しておきましょう。

切り離しによって隣家の壁面に手を入れることになるため、どこまで工事するのか、工事後にどのような状態に戻すのかも、あらかじめ話をつけておく必要があります。工事内容によっては、実印と印鑑証明を添えた承諾書を求められることもあります。

承諾が必要になるのは、切り離し解体だけではありません。屋根や雨樋が隣家とつながっていたり、給排水管を共有していたり、境界を越えて庇が出ていたりすることもあります。こうした状態は連棟式建物では珍しくなく、修繕や設備の交換でも隣家との調整が必要になることがあります。

また、隣家が空家になっていたり、相続登記が済んでおらず所有者がはっきりしなかったりするケースもあります。相続登記は2024年4月1日から義務化されていますが、施行前の相続については2027年3月31日まで猶予期間があるため、現在も未登記だったり、所有者不明の物件は存在します。所有者を確認して承諾を得るまでに時間がかかることもあります。

一方で、自己所有部分の内装であれば、通常の戸建てと同じようにDIYやリフォームを行えるケースがほとんどです。制約が出やすいのは、外壁・屋根・基礎など、建物の構造や他の住戸に関わる部分です。構造に影響する工事は他の区分所有者や専門業者への確認が必須ですが、室内を自分好みに整えて賃貸に出すといった使い方であれば、連棟式建物でも十分にできます。

再建築できるか、解体できるかは、敷地の条件や自治体の判断によって変わります。この記事では一般的なケースを整理していますので、実際に検討する際は、物件所在地の自治体や専門家にも確認しておくと安心です。

連棟式建物は買うべき?見送るべき?投資判断の基準

連棟式建物は、一般的な戸建てと比べて購入価格を抑えやすい一方、再建築や売却、修繕などで独自の制約がかかります。そのため、単純に「安いから買う」「連棟式だから避ける」と決めてしまうのではなく、購入後の収支や将来の売却まで見据えて判断することが大切です。ここでは、連棟式建物を投資対象として検討する際に、買ってもよいケースと見送った方がよいケース、購入前に確認しておきたいポイントを整理します。

買ってもよいケース

購入を前向きに検討しやすいのは、次のような条件がそろっている物件です。

✓ 接道を満たし再建築が可能:将来的に建て替える選択肢が残るため、出口で一般の実需層まで買い手を広げられます。

✓ 敷地が分筆され単独所有になっている:持分共有と比べて権利関係が単純で、売却手続きが進めやすくなります。

✓ 隣家所有者が明確で連絡が取れる:修繕や解体の協議が必要になった際、話が前に進む見込みが立ちます。

✓ 賃貸需要のある立地:連棟式であっても、駅からの距離や生活利便性が満たされていれば入居付けが期待できます。

✓ 修繕履歴が残っている:屋根や外壁の更新時期が読めるため、保有中の突発的な支出を抑えやすくなります。

また、連棟式建物は、土地を有効に使う必要がある都市部や市街地にも多く見られます。当社でも東京都世田谷区のような都市部で連棟式建物の売買が成立しており、連棟式だからといって、必ずしも需要が低いとは限りません。立地によっては、戸建てより取得しやすい価格帯であることが強みになる場合もあります。投資対象として検討する際は、建物の形状だけでなく、そのエリアの賃貸需要や売買価格まで見て判断することが大切です。

見送った方がよいケース

一方で、慎重な判断が必要になるのは次のような物件です。

✓ 接道がなく再建築不可:融資が付かず現金購入層に買い手が限られるため、売却まで時間がかかりやすくなります。

✓ 隣家が空家で所有者が不明:承諾を要する場面で手続きが止まり、修繕も解体も進められない状態に陥りやすくなります。

✓ 共有壁に構造的な損傷がある:補修範囲が隣家に及び、費用負担の協議が必要になるため、修繕費が読みにくくなります。

✓ 敷地が共有持分または借地:単独では処分できず、売却時に他の権利者や地主の同意が前提になります。

✓ かかる制限に見合う価格になっていない:相場より安いだけでは足りず、制約分の値引きが反映されているかが収支を左右します。

これらに該当する物件は、表面利回りが高く算出されても、売却時に想定価格を下回りやすい傾向があります。保有期間中のキャッシュフローと、出口で回収できる額を分けて見積もる姿勢が求められます。

購入前に確認すべきポイント

判断材料を項目ごとに整理すると、次のように分かれます。

確認項目 主に影響する場面
接道・再建築可否 売却しやすさ
敷地の権利形態 売却しやすさ
空室率・賃貸需要 利回り
修繕履歴・劣化状況 利回り
隣家の使用状況 売却しやすさ
越境・配管の共有 利回り

連棟式建物は、一般的な戸建てよりも購入しやすい価格で売り出されていることがあります。ただし、その価格には再建築や売却、修繕などに関する制約が織り込まれている場合もあります。「いくらで買えるか」だけでなく、その価格で購入したあとにどこまで収益を残せるかを考えることが大切です。

投資判断では、出口戦略から逆算して考えることも重要です。再建築可能な物件なら実需層への売却まで視野に入りますが、再建築不可であれば基本的に投資家間での売買が中心になります。想定する買い手層によって、求められる利回りの水準も変わってきます。個別物件の評価は現地や書類の状況によって変わるため、判断に迷う段階では不動産会社や建築士に確認しておくと安心です。

連棟式建物は売れる?売却・処分方法を比較

連棟式建物を相続したり、賃貸に回していたものの退去があったタイミングでそろそろ手放したい…となったりした場合、まず考えたいのが保有し続けることのコストです。使わないまま放置していても固定資産税はかかり続けますし、老朽化が進めば倒壊のリスクや、近隣からの苦情に発展するケースもあります。手放すこと自体を迷っている段階でも、どんな売り方があるのかを知っておくと判断しやすくなります。

仲介で売る

不動産会社に仲介を依頼し、一般の購入希望者を探す方法です。市場価格に近い水準で売却できる可能性がある点が、金額面での利点になります。

一方で、連棟式建物は住宅ローンの審査が通りにくく、買主が現金または条件の良い属性に限られます。募集期間が数か月から1年以上に及ぶケースもあり、その間の固定資産税や管理の手間は所有者側の負担として続きます。時間に余裕があり、価格を優先したいという方に選ばれる傾向があります。

投資家へ売る

賃貸経営や再販を目的とする投資家に直接売却する方法です。投資家は再建築不可や連棟という条件を織り込んだうえで検討するため、話が進みやすくなります。現金決済が中心となることから、契約から決済までの期間も短くなりやすい傾向があります。

価格は利回りから逆算されるため、仲介での想定価格より低くなることが一般的です。家賃相場と修繕費の見立てが価格に直結するため、賃貸需要のあるエリアであれば条件は改善します。早期の現金化を重視する、この方法が有力な候補になります。

訳あり物件専門業者へ売る

再建築不可物件や権利関係が複雑な物件を専門に扱う買取業者へ売却する方法です。買主が業者本人となるため、内見対応や広告掲載が不要で、査定から決済まで短期間で完了します。残置物やリフォームの対応を求められないケースも多く、手間の面では最も軽くなります。

価格は3つの方法の中では低めに設定されることが多く、その分をスピードと確実性で補う構図になります。隣家の承諾が得づらい、相続人の調整が難航しているといった事情があるなら、この選択肢が現実的です。

連棟式建物は、一般の住宅市場よりも投資市場で評価されることが多い物件です。売れないと決めつける前に、どの市場に出すかを選び直すだけで結果が変わるケースもあります。売却の可否は物件そのものより、価格・スピード・手間のどれを優先するかという設計の問題として整理できます。

連棟式建物で失敗しないためのチェックリスト

連棟式建物は、一般的な戸建てより確認すべき項目が多い建物です。すべてを自分で調べる必要はありませんが、購入前に知っておきたい情報がどこで確認できるのか、以下にリストアップします。売主や仲介会社から資料を取り寄せ、足りない情報があれば自力で確認することも可能です。

法務局で確認するもの

  • ✓ 登記事項証明書(建物・土地):所有権者、持分、抵当権の有無を確認します。1棟全体で1つの登記になっていないかも確認しておきましょう。
  • ✓ 公図・地積測量図:敷地の形状と分筆状況を確認し、単独で売却できる土地かどうかを判断する材料にします。
  • ✓ 建物図面・各階平面図:専有部分の範囲や隣家との接合状況を確認し、切り離しの可否を検討する際の資料にします。

書類はオンラインでも申請できます。取得方法や手数料などは、法務局のホームページで最新の情報を確認してください。

役所で確認するもの

    ✓ 建築確認済証・検査済証の有無:適法に建てられたかを確認し、再建築や増改築を検討する際の材料にします。

    ✓ 前面道路の種別と幅員:建築基準法上の道路に該当するかによって、再建築の可否が変わります。

    ✓ 用途地域・建蔽率・容積率:現行の基準で建て替えた場合、どの程度の規模にできるかを確認するために必要です。

    ✓ 既存不適格の該当有無:現在の建物が現行法に適合しているかを確認し、建て替えや増改築への影響を把握します。

問い合わせ先は各自治体の建築指導課などが中心になります。自治体によって担当部署や確認方法が異なるため、物件所在地の自治体に問い合わせるのが確実です。

現地で確認するもの

    ✓ 共有壁のひび・傾き:構造上の不具合が隣家にまたがっていないかを確認し、修繕費の規模を見積もる材料にします。

    ✓ 境界標の有無:境界が未確定だと、売却や測量の際に確定作業が必要となり、費用と時間がかかることがあります。

    ✓ 屋根・雨樋・配管の接続状況:設備が隣家と共有されている場合、単独での修繕や更新が難しくなることがあります。

    ✓ 隣家の居住状況:空家か居住中かによって、修繕や工事などで協議が必要になった際の進めやすさが変わります。

現地では、見た目だけでなく、隣家とどの部分がつながっているのかを確認しておきましょう。外から確認できない部分もあるため、必要に応じて内覧をしたり、専門業者に見てもらうことも検討してください。再建築の可否や工事すべき範囲など、自分だけでは判断しにくい部分は自治体や専門家に確認しておくと安心です。

まとめ

連棟式建物は、一般的な戸建てと比べて価格を抑えて購入できることがある一方、解体や再建築、権利関係、隣家との調整などに制約があります。そのため、「連棟式だから避ける」「価格が安いから買う」と一律に判断するのではなく、どのような制約があり、それが収支や将来の売却にどう影響するのかを確認することが大切です。

投資対象として検討するなら、再建築の可否や敷地の権利形態、隣家との関係、賃貸需要、修繕状況などを確認しておきましょう。特に再建築できるかどうかによって、将来の買い手層や売却方法も変わります。購入価格だけでなく、保有中の収支と売却まで含めて考えることで、その物件が自分の投資目的に合っているか判断しやすくなります。

また、必要な情報をすべて自分で調べる必要はありません。まずは売主や仲介会社から登記事項証明書や建築関係の資料などを取り寄せ、分からない点や重要な部分を確認していくとよいでしょう。再建築の可否や権利関係など、判断が難しい部分については、自治体や専門家に確認することで、購入後のトラブルを防ぎやすくなります。

連棟式建物は、制約があるからこそ一般的な戸建てよりも価格が抑えられていることがあります。その制約を把握したうえで、購入価格・賃貸収入・修繕費・売却価格まで含めて収支が合うかを確認することが、投資判断のポイントです。

空家ベースでは、連棟式建物や再建築不可物件など、一般的な不動産会社では判断が難しい物件の購入相談にも対応しています。気になる連棟式建物があれば、物件資料をもとに購入可能か、どのような点に注意すべきかをご相談いただけます。購入を検討している物件について不安な点があれば、まずはお気軽にご相談ください。