大家さんになるには?初心者が知っておくべき基礎知識と成功ステップ
会社員として働きながら、不動産収入を得る「大家さん」に関心を持つ人が増えています。とはいえ、物件の選び方や融資、入居者対応など、未経験では不安も多いはずです。
本記事では、初心者が知っておきたい「大家さんの役割」や「物件の種類」、実際に始めるまでの流れをわかりやすく解説します。空室や家賃滞納などのリスク対策も紹介していますので、資金が限られている副業希望者や、不動産事業に挑戦したい方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 大家さんの役割と始め方
- 物件タイプ別の特徴と選び方
- 購入・融資・管理までの流れと注意点
大家さんとは何をする人?
大家さんは、不動産を貸し出して家賃収入を得る賃貸経営者です。
所有するだけでなく、入居者対応や建物管理など多岐にわたる業務を担います。
入居者関連では、募集・審査・家賃回収・トラブル対応・退去手続きなどが発生します。
建物面では、共用部の清掃・設備点検・修繕計画の作成などが求められます。
これらの業務をすべて一人で行うのは負担が大きくなりやすく、副業で取り組む方には現実的ではありません。
国土交通省の調査では、大家の約8割が管理会社へ業務を委託しており、実務の多くは外部に任せています。
参考:賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)|国土交通省
どんな種類の物件を扱う?
不動産投資では、物件の選択が初期費用や管理負担、収益性に直結します。
扱う物件は、一棟アパート・区分マンション・戸建ての3種が中心です。
それぞれ投資額や管理の手間が異なるため、資金計画に応じて選定する必要があります。
戸建ては中古活用でコストを抑えやすく、資金が限られた投資家にも適した選択肢です。
一棟アパート経営のメリット・デメリット
一棟アパートは、複数の入居者から家賃収入を得られるため、空室時の影響を分散できます。団信付ローンを使えば、債務免除による資産承継も可能です。
税制面では、住宅用地の特例による固定資産税軽減や、評価額圧縮による相続税対策が期待できます。
一方、物件価格は高額になりやすく、購入時に1,000万円単位の自己資金が必要なケースもあります。外壁や屋根の修繕もすべてオーナーが担うため、長期の修繕費用を想定した資金準備が求められます。
参考:固定資産税|総務省
参考:No.4124_相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
区分マンション投資のメリット・デメリット
区分マンションは、1,000万〜2,000万円程度で購入可能な物件が多く、比較的手軽に始めやすい点が特長です。ローンを利用しやすく、会社員など安定収入がある層は金融機関の信用も得やすくなります。
不動産資産はゼロになりにくく、売却や相続対策としても一定の価値が残ります。
一方、部屋が1戸のため空室が出ると収入が途絶える点がリスクです。
安定した需要を見込める立地や設備の整備が不可欠で、税負担や流動性の低さにも注意が必要です。
戸建て不動産投資のメリット・デメリット
中古の戸建ては価格帯が幅広く、数百万円台から始められるケースも多いため、資金が限られている方に適しています。ファミリー層や転勤者など、長期入居の見込み層に需要がある点も特長です。
また、空き家活用による地方移住を目指す投資家にも現実的な選択肢となります。
ただし、入居者がいなければ家賃収入はゼロになり、収支が不安定になります。
建物の劣化状況によっては、1部屋あたり50万〜300万円のリフォーム費用がかかる可能性もあります。
購入時には、取得税や仲介手数料などの諸経費も現金での支払いが必要な場合があるので事前に確認することをおすすめします。
大家さんになるまでの主な手順
大家になるには、物件購入だけでなく、目的の明確化・資金計画・契約・管理まで一連の手順を踏む必要があります。不動産は高額な取引であり、法律・税制・利回り計算の理解を事前に深めておくことが前提です。
知識と段取りを押さえれば、資金が少ない方でも段階的に大家業へ進めます。ここでは具体的に大家さんになるまでの手順を解説します。
①資金計画を立てる
物件価格の1〜2割に加え、取得税・仲介手数料などの諸費用も自己資金で用意します。
戸建て投資なら、500万円の物件に対して100万円以上の現金が必要になるケースが一般的です。
融資を使う場合でも、自己資金が多ければ、借入額を抑えて返済条件が有利になります。
さらに、空室時に備えた運転資金(50〜100万円)も別途確保しておくと安心です。
②物件探しと購入
予算内で物件を選ぶ際は、長期的な賃貸需要が見込める立地を重視してください。
駅からの距離・生活施設の充実度・治安・人口推移などを総合的に判断します。
戸建ての場合は、構造や築年数に応じて修繕コストを見積もることが欠かせません。
購入前には、収支シミュレーションと現地調査を実施し、実質利回りを基準に検討します。
③融資の検討と契約
物件が決まったら、融資を検討しつつ売買契約の準備に入ります。
会社員は収入が安定しているため、審査に通過しやすい傾向がありますが、頭金として物件価格の2〜3割を求められるケースが一般的です。
契約時には、宅建士から重要事項説明書の説明を受けて、法的な確認を済ませてから手付金を支払います。返済額と家賃収入のバランスを重視し、ローンの金利や頭金の比率も調整しておくことが必要です。
④入居者募集と物件管理
物件取得後は、空室期間を短くするため、速やかに入居者募集を開始します。
全国の大家の多くが、不動産管理会社に委託して客付けやトラブル対応を任せています。
賃貸条件を明確にし、入居審査を丁寧に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。副業として運営する場合は、管理会社を活用しながらストレスの少ない運用体制を構築することが現実的です。
必要な資金と融資のポイント
大家業を始めるには、初期費用と融資条件を正確に把握する必要があります。
戸建て投資など低予算で始める選択肢もありますが、自己資金・諸費用・運転資金の準備が欠かせません。
金融機関からの融資を活用するには、返済能力と担保評価に応じた戦略が求められます。
キャッシュフローを意識した事業計画が、安定経営につながる基盤になります。
自己資金はどのくらい必要?
物件価格の10〜20%程度が自己資金の目安とされています。
たとえば2,000万円の物件であれば、200〜400万円の現金を用意します。
戸建て投資なら、500万円の中古物件に対して100万円以上あれば購入が視野に入ります。
購入時には、仲介手数料や取得税など物件価格の5〜10%の諸費用も別途必要です。
空室対策や突発的な修繕費に備え、50〜100万円の運転資金も確保しておくと安心です。
ローン審査で気を付けること
会社員は給与所得の安定性により、返済能力が評価されやすい傾向があります。
一方、借入可否は年収・資産・既存借入・物件評価によって決まります。
金融機関は担保物件の収益性や流動性など5原則に基づき融資判断を行います。
年収の10〜20倍が借入限度の目安とされ、提携先金融機関を利用すると手続きがスムーズです。頭金は物件価格の2〜3割が推奨され、借入額を減らすことで金利条件も有利になります。
返済シミュレーションの確認
購入前に、家賃収入と支出のバランスを可視化する返済計画が必要です。
単なる表面利回りではなく、実質利回りで収益性を正確に判断します。
管理費・修繕費・税金・空室率を反映させ、収益シミュレーションを行うことで赤字リスクを回避できます。
中古物件の場合は、将来の修繕費も見積もり、計画的な積立も意識します。
頭金を増やし低金利ローンを選ぶことで、返済負担の軽減につながります。
リスクと失敗を防ぐポイント
大家業は、リスクを把握し事前に対策を講じることで失敗を防ぐことができます。特に、空室や滞納、災害による損壊などは避けられない懸念です。資金に余裕のない投資家は空室による収入途絶で経営が不安定になりやすいため、物件選びや管理体制を整える必要があります。
信頼できる不動産管理会社の選定や、設備投資による入居者確保が対策になります。ここでは、大家業における代表的なリスクと、それに対する具体策を解説します。
空室リスクへの対策
家賃収入が止まると経営が不安定になります。戸建ては1戸の空室でも収入ゼロとなるため、空室リスクは特に重くなります。
立地選びでは、駅からの距離や生活施設の有無、地域の人口推移などを総合的に確認してください。築年数が古い物件は、リフォームや設備更新をして、入居者のニーズに合う仕様に整える必要があります。
インターネット無料や宅配ボックスの導入も有効です。家賃設定は周辺物件と比較して、競争力を維持してください。
入居募集や客付けは、実績ある管理会社に委託することで空室期間を短縮できます。
家賃滞納やトラブルの対応
入居後のトラブルもリスク要因です。家賃滞納やクレーム対応は、精神的負担が大きくなる傾向があります。
契約前に保証会社の利用を条件とし、家賃回収の担保を確保する仕組みを導入してください。既存入居者付き物件では、購入前に滞納履歴を確認することが必要です。
募集前には賃貸条件を明示し、ペット可否・設備使用ルールなどを事前に定めておくとトラブルを避けやすくなります。
クレーム対応や夜間トラブルには、24時間体制の管理会社との契約が有効です。
火災・災害リスクと保険の活用
自然災害や火災による損傷も、経営を揺るがす大きなリスクです。
被害発生時には多額の修繕費や建て替え費用が必要となるため、火災保険・地震保険の加入が必須です。物件選定では、ハザードマップや地盤状況を確認し、災害リスクの少ないエリアを選んでください。
築年数が経過した物件では、将来的に大規模修繕費がかさむ可能性があるため、早期から積立を計画しておく必要があります。
国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」などを活用し、長期修繕計画を立てることが推奨されます。
成功する大家さんの共通点
成功する大家さんは、物件を「経営の対象」として捉え、長期的な視点で計画的に管理しています。建物の老朽化に備えて費用を積み立てるなど、利益を急がず堅実に運用している点が特徴です。
多くの業務は無理に自力で行わず、専門知識を持つ管理会社と連携して効率化を図っています。
ターゲット層に合わせた物件づくり
空室対策には、入居希望者のニーズに合った設備や間取りの整備が欠かせません。
宅配ボックスやネット無料など、需要の高い設備を導入することで物件価値を維持できます。
入居者が単身かファミリーかに応じて、設備や立地の選定基準も変わります。
物件選定前に周辺の家賃相場や競合の空室率を調査し、需要のある層を想定して準備する必要があります。
プロとの連携や管理会社の選定
安定経営には、信頼できる管理会社の活用が現実的な選択肢となります。
管理会社は家賃回収やクレーム対応を代行し、副業でも負担を抑えた運営が可能になります。
対応が丁寧か、空室対策に実績があるかなど、慎重に委託先を選定してください。
不動産業者や他の大家からアドバイスを受けるなど、周囲の知見を取り入れる姿勢も成果を後押しします。
まとめ
大家さんとして安定した副収入を得るためには、物件の選定から資金計画、リスク対策まで段階的に準備することが欠かせません。本記事で紹介した手順やポイントをもとに、少額から始められる区分投資や空き家購入など、初心者でも現実的にスタートできる手段があります。
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さらに、投資用物件をお探しの方にとっても、空家ベースは有益な選択肢です。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。



空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!
