電柱敷地料とは?電柱がある土地のメリット・デメリットを解説
戸建て投資を検討している際、購入を考えている物件の敷地内に電柱が立っているのを見て、以下のような疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
「賃貸物件としての価値や将来の売却に影響はないか」
「電柱敷地料が収益の一部になるのか」
電柱がある土地では、電力会社や通信事業者(NTT東西など)から「電柱敷地料」という形で使用料を受け取れるメリットがある一方で、景観の悪化や資産価値の低下といったデメリットも存在します。
本記事では、電柱敷地料の基礎知識から、電柱がある土地の購入・売却におけるメリットとデメリット、さらには移設・撤去の可能性や税金・確定申告について詳しく解説します。
資金は少ないが不動産事業に挑戦したい方や、副業として戸建て投資を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 電柱敷地料の仕組みや受け取れる金額
- 電柱がある土地の購入・売却におけるメリット・デメリット
- 電柱の移設や撤去の可能性と手続き
- 電柱敷地料の確定申告について
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電柱敷地料の基礎知識
電柱敷地料とは、電柱の設置スペースを提供する土地所有者に支払われる賃料であり、不動産投資における副収入のひとつになります。
ただし、電柱の設置位置や本数によっては、賃貸物件としての見た目や売却時の評価に影響する可能性もあるため、収益面だけでなく物件全体への影響も考慮すべきです。
そもそも電柱とは?設置目的と管理主体
電柱敷地料を正しく理解するには、電柱の役割と管理会社の違いを知る必要があります。
電柱には主に2種類あり、電力会社が電気の供給のために設置する「電柱(電力柱)」と、通信会社が通信ケーブルを通すために設置する「電信柱」があります。都市部などでは、両方の用途を兼ねた「共用柱」も使われており、電力会社と通信会社のプレートが一緒に掲示されています。
各電柱には管理者名や電柱番号が記載されたプレートが付いており、管理会社に連絡する際はこの電柱番号を控えることで手続きがスムーズになります。敷地内にある電柱がどの会社の管理下にあるのか、事前に確認しておいてください。
電柱敷地料の仕組みと算定方法
電柱敷地料とは、電力会社や通信会社が敷地内に設備を設置する見返りとして支払う地代です。金額は法令(電気通信事業法施行令など)により基準が定められており、所有者側からの個別交渉による増額はできません。
金額は、地目(宅地・田・畑・山林など)ごとに年間料金が異なり、敷地の用途によって決まります。支払い方法は通常、3年分をまとめて一括で振り込まれるケースが多く、一部の事業者では毎年の支払いも選択可能です。
敷地料を受け取るには、土地所有者が契約手続きをする必要があり、電柱番号を確認のうえ、各事業者に連絡して申請を進めます。
電柱敷地料はいくらもらえる?
電柱敷地料は地目ごとに異なり、宅地は年間1,500円、田は1,870円、畑は1,730円です。
戸建て投資の場合は宅地である場合が多く、電柱1本で年間1,500円、3年で4,500円が支払われます。支線も1本としてカウントされるため、電柱と支線の本数分だけ敷地料が加算されます。
大手電力会社や通信会社も、基本的に同じ料金体系を採用しています。
参考:電気通信事業法施行令(昭和六十年政令第七十五号)(抄)|総務省
電柱がある土地を購入するメリット
空き家や戸建ての敷地内に電柱が設置されている土地は、見た目や利便性に課題があるように感じるかもしれません。しかし、不動産投資の視点から見ると、電柱敷地料による定期収入や、売買時の価格交渉が可能になる点など、複数の利点があります。
電柱を障害と決めつけるのではなく、収益向上の機会としてとらえることで、資金効率を高めた運用が可能です。
メリット①:電柱敷地料が継続的に入る
敷地に電柱が設置されていると、電力会社や通信会社から年間1,500円前後の電柱敷地料が支払われます。支線がある場合は別途料金が加算され、多くのケースで3年分を一括で受け取る形式です。
電柱敷地料の収入は空室や解約の影響を受けず、不動産収益に上乗せできる安定した副収入になります。ただし、受け取るには電柱番号を控えて申請し、管理会社と契約を交わす手続きが必要です。
未申請のままでは支払対象外となるため、電柱の有無と契約状況を事前に確認しておくことが重要です。
メリット②:価格交渉ができる可能性
電柱がある土地は、景観や使い勝手の面で敬遠される傾向があり、市場価格が下がる可能性があります。この特徴を踏まえると、購入時に値下げ交渉の根拠として活用しやすくなります。
実際に相場よりも安く取得できれば、投資初期の資金負担を抑えつつ利回りの向上につながります。投資効率を重視する層にとって、大きな魅力となる要素です。
なお、すでに価格に反映済みの可能性もあるため、現地調査や売買履歴の確認などをして、冷静に判断することが求められます。
電柱がある土地を購入・売却するデメリットと注意点
空き家や戸建ての敷地に電柱がある場合、電柱敷地料による収入が見込める反面、いくつかのデメリットも存在します。景観の悪化や動線の制限、定期的な作業員の立ち入りが生活環境に影響する可能性があります。
物件の購入・売却を検討する際は、収益面だけでなく、これらの影響も踏まえて総合的に判断することが、不動産投資の安定運用につながります。
デメリット①:景観や安全面への影響
電柱や電線が視界に入ると、建物の外観や開放感が損なわれる可能性があります。室内からの眺望にも影響し、住環境に対する印象が悪くなる場合があります。また、電線には鳥が集まりやすく、糞による外壁や屋根の汚損、修繕費の増加も懸念されます。
支線がある場合は、人の出入りや駐車の動線が制限されるケースもあり、敷地設計の自由度が下がります。駐車場の出し入れが難しくなる場合もあるため、日常の利便性にも注意が必要です。
こうした影響は、賃貸募集時の印象や競争力に影響する要因になり得ます。電柱の配置や支線の位置は、物件選定時に確認すべきポイントの一つです。
デメリット②:資産価値の低下や作業員の立ち入り
電柱がある土地は、景観や利便性の面から資産価値が下がる可能性があります。移設が困難な場所にある場合や、周辺との位置関係が悪い場合は、買い手から敬遠される傾向があります。
また、定期的な点検や緊急工事の際には、電力会社や通信会社の作業員が敷地に立ち入ります。通常は事前連絡がありますが、停電や故障などの緊急対応では、夜間の立ち入りが発生する場合もあります。こうした状況に対して、入居者がプライバシーの不安を感じるケースも少なくありません。
このような要素は、物件の募集活動や将来の売却時にマイナスに作用する可能性があります。戸建て投資家は、収益性だけでなく、こうしたリスクも含めた判断が求められます。
電柱の移設や撤去は可能?手続きの流れ
電柱は公共インフラであるため、個人の都合だけで移動や撤去はできませんが、条件を満たせば対応可能です。新設の拒否や敷地内での位置変更、撤去などには事前の協議が求められます。
手続きは、まず電柱に貼られたプレートで管理会社と電柱番号を確認し、電力会社や通信事業者に連絡するところから始まります。移設の可否や対応方法は、現地確認のうえ事業者側が判断します。
現実的には、同一敷地内での移動が主な対応となり、公道への移設は安全性や条例の観点から難航するケースが多くあります。実施できたとしても、工事費は20万〜25万円程度の自己負担となる場合があります。
一方、敷地内での移設は原則費用が発生せず、生活動線の確保や建築計画に応じた柔軟な対応が可能です。スムーズな交渉のためにも、電力会社とは対立ではなく協力の姿勢で調整を進めることが大切です。
電柱敷地料と税金・確定申告の関係
電柱敷地料は、設置されている土地の地目に応じて金額が定められており、宅地では1本あたり年間1,500円が基準とされています。支払いは電力会社ごとに異なり、多くは3年分をまとめて振り込む形式です。
受け取りには、所有者から電柱番号を添えて申請し、管理会社と契約を結ぶ必要があります。契約が完了していなければ、電柱があっても敷地料は発生しません。
電柱敷地料の収入は不動産所得に分類され、給与以外の副収入が年間20万円を超える場合は、確定申告の対象となります。電柱敷地料も申告が必要な副収入に含まれるため、忘れずに記載してください。
また、財務省は国有地を電柱敷地として貸す場合の基準を通達で示しており、電気通信事業法施行令や電力会社の内規に基づく金額で対応されています。金額はあらかじめ法律で定められているため、個別の交渉による増額は認められていません。
参考:No.1370不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁
まとめ
本記事では、電柱敷地料の基本的な仕組みや、電柱がある土地の利点・不利な点、移設の可否、税金との関係までを整理しました。
宅地に設置された電柱には、年間1,500円程度の敷地料が発生し、多くのケースで3年分で支払われます。安定収入になる反面、景観や使い勝手の悪化、作業員の立ち入りといった懸念も無視できません。
移設は可能な場合もありますが、工事費や近隣対応を含めた検討が必要です。また、敷地料は不動産所得に含まれ、副収入が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
電柱がある土地を購入する際は、収入とリスクの両面を見極めたうえで、自身の投資方針に合うかどうかを判断してください。
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さらに、投資用物件をお探しの方にとっても、空家ベースは有益な選択肢です。収益物件としての可能性を持つ空き家を見つけたい場合は、ぜひ空家ベースの掲載情報をご覧ください。

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