コラム
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不動産投資

不動産投資におけるポートフォリオとは?作り方や見直し方まで解説!

空家ベース編集部

不動産投資におけるポートフォリオとは、複数の資産に分散して投資することでリスクを抑え、安定した収益を目指すための資産構成のことです。

特に不動産投資は、株式や債券といった金融資産とは異なる特性を持つため、ポートフォリオに組み込めばさまざまなメリットが期待できます。

本記事では、なぜ不動産投資でポートフォリオが重要なのか、不動産をポートフォリオに組み込むメリット、具体的な作り方、リスク分散の方法、そして市場環境の変化に応じた見直し方まで、戸建て投資家が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

これから不動産事業にチャレンジしたいと考えている方や、ご自身の資産運用を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 投資におけるポートフォリオの考え方と分散投資との違い
  • 不動産をポートフォリオに組み込むメリット
  • 不動産ポートフォリオの具体的な作り方と資産配分の決め方
  • 不動産ポートフォリオのリスク分散方法
  • 不動産ポートフォリオの定期的な見直しと最適化の重要性

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投資のポートフォリオとは?

投資ポートフォリオは、株式・債券・不動産・現金などの資産クラスに対し、どのような配分で資産を保有するかを設計する行為を指します。資産構成は、運用目標の違いや年齢、世帯構成、リスク許容度などの要因によって最適なバランスが異なります。

資産の増加を重視する投資家は、ある程度リスクのある資産への比重を高める必要があります。一方、元本の保全を重視する方は、よりリスクの低い資産への配分が中心となります。

また、ポートフォリオは一度決めて終わりではなく、経済状況やライフイベントの変化に応じて定期的な見直しと再構成が投資をするうえで重要になってきます。

ポートフォリオと分散投資の違い

ポートフォリオと分散投資は密接に関連していますが、概念としては異なります。ポートフォリオは投資対象資産の全体的な構成と配分を示す設計図であり、分散投資はリスクを抑えるための具体的な実践手法です。

具体的には、不動産・株式・債券・現金といった異なる資産クラスへ資金を分配したり、複数地域に分散して投資したりすれば、特定の資産が値下がりした場合でも損失を限定できる仕組みが構築されます。不動産においても同様で、複数の物件への投資や金融商品との組み合わせによって、空室や自然災害などのリスク分散が可能になります。さらに、「時間の分散」として購入タイミングを複数に分ける投資スタイルも有効です。言い換えれば、資産・地域・時間を分散させる戦略を描くプロセス自体が、ポートフォリオ設計そのものと言えます。

ポートフォリオに不動産を組み込むメリット

不動産投資をポートフォリオに取り入れれば、株式や債券では得にくいメリットを享受できます。定期的な収益や資産保全、レバレッジの活用など、不動産独自の利点が存在します。

インカムゲインが得られる

最大の特徴は、物件の賃貸によって得られる安定的な家賃収入です。金融商品が値動きに左右されやすい中で、毎月得られる収入はキャッシュフローの安定につながります。低金利時代において、利回りの高い資産として家賃収入は重要な収益源となるのです。ただし、空室や修繕費などの不確実性にも備える必要があるため、運用コストを見込んだ計画的な資金管理が求められます。

インフレ対策ができる

不動産はインフレ時にも価値が維持されやすい実物資産です。物価の上昇に伴い、家賃も上昇する可能性があるため、実質的な収益と資産価値の両方を保ちやすい特性があります。将来の不確実性に備えたいサラリーマン層や少額資金の投資家にとって、インフレ耐性のある資産を持つことは投資において重要です。

初期投資の自己負担を少額にすることも可能

不動産投資では、金融機関の融資を活用することで、自己資金が少なくても規模の大きな投資が可能になります。さらに、クラウドファンディング型不動産投資を通じて、数万円単位の少額から始められる仕組みも登場しています。奥州市や関市、栃木市の事例では、小規模不動産の流動化を促す地域施策が進められており、初期費用を抑えながらも資産形成に参入できる道が広がっています。

参考:第15回不動産投資市場政策懇談会_資料3不動産投資市場に係る政策動向|(事務局)国土交通省

ミドルリスク・ミドルリターンである

不動産投資は大きな利益は見込めないが、預金よりも高いリターンが得られる中間的な投資手法として位置づけられています。本業で安定収入があるサラリーマンが、副業として不動産投資をする際にも、リスクを過度に取らずに堅実な運用を目指せる点が評価されています。

もちろん、空室・災害・価格変動といったリスクは避けられませんが、地域や物件の分散、管理体制の強化などを通じてリスクは一定程度コントロール可能です。

不動産の割合は50〜80%ほどにする

ポートフォリオに占める不動産の割合は一律ではなく、目標や資産背景、年齢などに応じて柔軟に調整する必要があります。資産三分法では、不動産・現金・有価証券をそれぞれ約33%ずつ保有する考え方が基本です。

収益を重視する場合は、不動産の比率を50%まで引き上げる構成も視野に入ります。ただし、不動産に過度に偏るのは、流動性リスクや売却難への備えを弱める原因にもなり得ます。そこで、不動産50%、株式や債券などの有価証券30%、現金・預金20%といったバランス重視の配分を一例として検討してもよいかもしれません。

重要なのは、複数の資産に分散して偏りを避けること。一人ひとりの投資スタイルやライフプランに合った比率を見つけるのが、資産形成をするうえで大切です。

不動産ポートフォリオの作り方

不動産ポートフォリオとは、複数の不動産や他資産を組み合わせて運用リスクを分散させるための投資設計を意味します。異なる投資商品は常に同じ値動きをするわけではないため、不動産に加えて株式や債券などの金融資産を組み合わせれば、市場変動による資産への影響を抑える効果が期待できます。

なかでも不動産は、地域や取得時期を分けることでリスクを分散しやすい資産です。たとえば、特定のエリアで経済的な変動があっても、他地域の物件がカバーする可能性があります。自然災害や需要の変化といった地域特有のリスクを抑えるには、立地を分散させた運用が効果的です。また、一度にまとめて購入するのではなく、タイミングを分けて取得すれば、価格変動リスクを軽減できます。
こうした分散戦略は、長期的な視点と判断力をもつ投資家にとって、不動産の魅力をより高める要素になります。さらに、余裕資金がある場合は他の資産と組み合わせることで、不動産の安定性と成長性のバランスが取れたポートフォリオを構築できます。

投資目標とリスク許容度を明確にする

ポートフォリオを設計する第一歩は、目指す資産運用のゴールと受け入れ可能なリスクの範囲を明確にすることです。老後資金の形成や家賃収入による安定的なキャッシュフローの確保など、目的が異なれば資産構成も変わります。

また、どの程度の価格変動や損失を許容できるかを把握すれば、適切な投資戦略を選択しやすくなります。不動産投資はインフレ耐性や相続対策の面でも有効な手段とされますが、運用期間については投資スタイルにより異なります。たとえば、たとえば、短期での売却益を狙うケースと、20年以上の長期保有によって安定収入を目指すケースとでは、求められるリスク管理や資金計画がまったく異なります。こうした違いを理解したうえで、自身の状況に合った運用方針を明確にしておくと良いかもしれません。
そのため、目標とリスク許容度を軸に、保有期間や物件種別を含めた最適なポートフォリオ構成を検討するのをおすすめします。

資産配分を決める

次のステップは、各資産クラスへの投資比率を決定するプロセスです。具体的には、不動産・株式・債券・現金などへ、どの程度の割合で資金を分配するかを決めます。資産ごとの値動きは必ずしも連動しないため、組み合わせることで全体としてのリスクを抑える効果があります。

不動産の場合も、地域や用途の分散によって一極集中のリスクを軽減できます。さらに、購入時期を分ける「時間の分散」や、不動産投資ローンの適切な活用も資金計画における重要な視点となります。

具体的な投資対象を選定する

資産配分の方針に従って、投資する物件や商品を具体的に選定します。不動産であれば、マンション・アパート・戸建て・不動産特定共同事業(不特事業)を通じた空き家再生など、さまざまな選択肢があります。

利回りだけで判断せず、立地・周辺需要・将来性などを加味した精査が必要です。長期的に安定した収益が見込める、空室リスクの低い物件を選ぶ視点が重要になります。

また、不動産は短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、長期での保有と運用を前提に設計することが基本です。価格の上下に惑わされず、継続的な需要が見込める地域やターゲット層を選ぶことで、安定したポートフォリオ運用につながります。とくに初心者の場合は、即時の利益を追うよりも、時間をかけて堅実に資産形成を進める意識を大切にしてください。

不動産ポートフォリオのリスク分散

不動産投資においてリスク分散をするのは、安定した資産運用を実現するための基本戦略のひとつです。ポートフォリオとは、こうした分散投資の考え方をもとに、異なる資産や物件の組み合わせを設計することを指します。

特に、限られた資金で投資をする会社員や、戸建てといった特定の不動産に投資する個人投資家にとっては、地域や物件タイプにリスクが偏らないよう配慮した計画が求められます。資産の種類や投資タイミング、立地などを多様化すれば、市場の急変や個別物件のトラブルによる損失を軽減できます。ここでは、リスク分散の具体的な実践方法について解説します。

物件タイプ(一棟貸し、戸建て賃貸など)で分散する

異なる物件タイプを組み合わせることにより、賃貸需要の変動による影響を抑える効果が期待できます。戸建て賃貸、マンションの一室、一棟アパートなどをバランスよく組み合わせれば、市場環境の変化による偏りを最小限に抑える構成が可能となります。

特に戸建て中心の投資家であれば、同種物件への依存を避けるために、居住用・商業用・不動産特定共同事業(不特事業)などを組み合わせる工夫が必要です。不特事業では、空き家を再生してコワーキングスペースなどに活用する取り組みも進んでおり、地域課題の解決と投資機会の創出を両立できる手段として注目されています。

さらに、少額投資が可能な仕組みも整備されているため、初期資金が限られていても多様なポートフォリオを構築できる点も魅力です。物件選定の際には、各物件タイプの特徴やリスク・収益性を事前に把握し、適切なバランスを取った構成を意識してみてください。

築年数分散でリスクを低減する

築年数の異なる物件を組み合わせることも、修繕費用や収益性の観点からリスクを抑える効果的な手段です。築古物件は購入価格が抑えられる反面、設備更新や修繕が頻発するリスクがあり、築浅物件は維持費は少ないものの、投資額が高くなる傾向があります。

築年数の異なる物件をバランスよく取り入れれば、投資コストの平準化と収益性の両立が図れます。とくに築古物件を扱う際には、耐震性や省エネ性能の改善が求められるケースもあるため、国の「耐震・環境不動産形成促進事業」などの支援制度を活用するのも視野に入れるとよいかもしれません。

このような外部支援を活用しながら、築年数の異なる物件を戦略的に組み合わせれば、長期的に安定した不動産ポートフォリオの構築が可能になります。

参考:耐震・環境不動産形成促進事業|環境省

地域・エリア選定と空室リスクの軽減

不動産投資におけるリスク分散の基本は、投資対象地域の分散です。単一の地域に投資先が集中すると、地域の経済情勢や自然災害、人口減少などによる影響を強く受けやすくなります。

エリアを複数に分けて物件を保有すれば、地域特有のリスクを相互に緩和し合う構成が可能となり、収益の安定化にもつながります。戸建てを中心に運用する場合でも、地方都市や空き家再生対象エリアなどを含めて広範囲に検討する視点を持つことをおすすめします。

地域選定では、価格の安さだけでなく、賃貸需要や将来の人口動態、地域活性化政策などの公的データをもとに判断することが求められます。こうした情報を活用して、空室リスクの低い地域を選定するのが、長期的なポートフォリオの安定性向上に直結します。

不動産ポートフォリオの見直しと最適化

不動産ポートフォリオは構築した時点で完成ではなく、定期的な見直しと最適化によって成果を最大化する運用体制の構築が重要です。市場環境は常に変化しており、投資家自身のライフプランや資産運用の目標も時間とともに変化するため、柔軟に対応できるポートフォリオ設計が求められます。

定期的にポートフォリオを点検すれば、目標との整合性やリスク管理の適切さをチェックでき、現状に応じた売却や新規取得の判断にもつながります。特に、個別物件の影響が大きい戸建て投資においては、物件ごとの状況や地域の変化を把握したうえでの細やかな対応が安定運用のポイントとなります。

定期的な資産評価と戸建て市場の状況把握

不動産ごとの評価を定期的に実施し、戸建て市場全体の動向を把握しておくことは、効率的なポートフォリオ運用に直結します。個々の戸建てについて、現在の市場価格・賃料水準・稼働率などの基本指標を把握しておくことで、物件の収益性や資産価値の変動に即座に対応可能です。

あわせて、地域別や全国の戸建て市場全体の傾向も把握しておくのがおすすめです。国土交通省が提供している既存住宅販売量指数(毎月末発表)を確認すれば、既存戸建て住宅の流通状況や市場の活況度を定量的に捉えられます。

こうした定期的な評価と情報収集により、ポートフォリオが現在の投資環境や目標に適しているかどうかを判断するための指標が得られます。

参考:既存住宅販売量指数_令和7年1月分を公表(試験運用)~全国において、前月比5.7%上昇~|国土交通省

不動産売却・買い増しの検討タイミング

ポートフォリオの見直しを通じて、売却または買い増しの判断をする最適なタイミングを見極めるのが不動産投資において重要です。たとえば、物件価格が高騰している時期や修繕費の増加が見込まれる場合は、売却によってポートフォリオの質を高める選択肢が考えられます。

一方、異なるエリアや新たな物件タイプの追加によって分散効果を高めたい場合には、新規購入の検討も有効です。空き家を活用したコワーキングスペースへの転用など、不動産特定共同事業を活用する方法も広がっており、少額投資で多様な資産にアクセスできる選択肢も増えています。

売却や買い増しのタイミングの判断は、資金状況・目標・市場流動性・将来予測といった要素を総合的に勘案して下す必要があります。

売却を見据えたポートフォリオ構築

不動産投資は、購入から保有、そして売却に至るまでの出口戦略を視野に入れた計画的な構成が重要です。保有期間の目標を設定し、その期間に応じて最終的にどう資産を処分・活用するかを明確に設計することをおすすめします。

長期保有を前提とした投資主体(ゼネコン・デベロッパー・保険会社・J-REITなど)に共通する戦略を参考に、個人投資家も自らの保有方針と出口計画を一致させた資産選定が求められます。

また、売却時にかかる税負担・仲介手数料などのコストも事前に把握しておけば、より精度の高い判断が可能です。加えて、環境性能や地域貢献といった要素が評価される社会的インパクト不動産への注目も高まりつつあり、将来的な売却価値の向上要因として意識すべき視点となります。

戸建て不動産ポートフォリオで困ったら誰に相談すべきか

不動産ポートフォリオの運用に迷った際は、信頼できる専門家の助言を得るのが欠かせません。売買や管理の一般的な相談は不動産会社、税務処理や確定申告などは税理士、契約や法的なトラブルについては弁護士や司法書士が適任です。

特に、初めて不動産投資を行う方や、資金に限りがあるサラリーマン投資家の場合、専門的な知見を持つ第三者の視点が意思決定において大きな支えとなります。課題に応じて最適な専門家を選び、状況に即したアドバイスを受けながら、持続的かつ戦略的なポートフォリオ運用を進めていくことをおすすめします。

まとめ

本記事では、不動産投資におけるポートフォリオの意義やメリット、効果的な構築方法、リスク分散の考え方、そして定期的な見直しと最適化について解説しました。不動産をポートフォリオに適切に組み込めば、インフレ対策や安定収入確保において有効です。

戸建て投資家の皆様がご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて最適なポートフォリオを構築し、市場状況やライフプランの変化に応じて柔軟に見直していくのが、長期的な成功につながります。必要に応じて専門家の意見も参考にしながら、堅実な資産形成を目指すことをおすすめします。

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