一戸建ての固定資産税はいくら?平均や計算方法、いつ払うのかも解説
不動産は「固定資産」と呼ばれており、1月1日時点でこれらの不動産を所有している人に対して固定資産税が課税されます。
不動産の用途に限らず固定資産税は必ず納税すべき税金となりますので、維持費として考えておく必要があります。
また、一戸建ての固定資産税は土地と建物で計算方法と軽減措置が異なるため、購入前に固定資産税を確認する際の注意点といえます。
この記事では一戸建ての固定資産税を計算する方法や支払い方法、注意点について解説します。
この記事で分かること
- 一戸建ての固定資産税額の平均額
- 一戸建ての固定資産税額の計算方法と軽減措置
- 空き家を所有している場合の注意点
一戸建ての固定資産税は平均10〜15万円
一戸建ての固定資産税平均額は10〜15万円といわれています。
ただし、地域や建物のスペックや築年数によって大きく変動します。たとえば同じエリアであっても中古一戸建てと新築住宅、マンションでは家屋の固定資産税額が変わり、新築住宅の中でも注文住宅の固定資産税額は高くなりやすいです。
また土地の形状や方位の影響も受けることから固定資産税の「相場」はないといえ、物件を購入する前に正しく把握しておくことがポイントとなります。
なお、固定資産は総務省によって土地と家屋、償却資産に分けられており、次のように定義されていることから全ての不動産が対象になるわけではないことが分かります。
固定資産の種類 | 固定資産の例 |
---|---|
土地 | 田んぼ、畑、住宅用地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地 |
家屋 | 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物 |
償却資産 | 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など |
【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税】
一戸建ての固定資産税の計算方法
一戸建ての固定資産税を計算する場合、土地と建物に分けて税額を計算した後に合計します。
固定資産税は「固定資産税評価額×税率」で計算することができ、税率は一定のため固定資産税評価額が分かれば正しい固定資産税を調べることができます。
この章では具体的な計算方法を紹介しますので、購入を検討している人は参考にしてください。
土地の固定資産税
土地の固定資産税を計算するためには固定資産税評価額を調べる必要がありますが、評価額は土地の購入価格とは別になりますので注意が必要です。
この章で詳しく解説します。
土地の固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額は「固定資産税課税明細書」「固定資産評価証明書」「固定資産課税台帳」などで調べることが可能です。
固定資産税課税明細書は毎年5月頃に送付される納税通知書に同封されていますが、固定資産税評価証明書と固定資産税課税台帳は自治体で取得もしくは閲覧することになります。
そのため土地の所有者以外が固定資産税評価額を調べるためには納付書を見せてもらうか委任状を使って市役所などに出向く必要があります。
ただしおおまかな評価額を知りたい場合は「地価公示価格×70%」で概算することもできますので、不動産情報ライブラリを使って公示価格を調べ、概算の評価額で計算するケースもあります。
【参考サイト:不動産情報ライブラリ】
土地の固定資産税評価額に税率をかける
固定資産の税率は1.40%となり、たとえば固定資産税評価額が2,000万円の場合は28万円が税額となります。
ただし市区町村によっては特例で税率が変わることもありますので、あらかじめ自治体に確認しておくことをおすすめします。
建物の固定資産税
建物の固定資産税は新築と中古で税額が大きく変わることから、固定資産税を算出する際には注意が必要です。
建物の固定資産税評価額を調べる
建物の評価額は現在建っている建物を一度解体し、再建築した場合の価格を評価額とする方法が一般的となっており、「再建築価格方式」と呼ばれる方法です。
再建築価格方式は再建築価格に対して、築年数に応じた経年減点補正率を掛け合わせて経年劣化によって損失した部分を補正することになり、経年減点補正率は法務局によって定められています。
そして自治体が設定した評点を掛けることで建物の固定資産税評価額は算出することができ、計算式にまとめると次のようになります。
家の固定資産税評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点(通常は1評点=1円)
なお、建物の固定資産税評価額を概算で知りたい場合は「再建築価格×60%」で計算するという方法もあります。
【参考サイト:経 年 減 価 補 正 率 表】
建物の固定資産税評価額に税率をかける
たとえば固定資産税評価額が2,000万円の場合、税率の1.40%を掛けると28万円が固定資産税となります。
ただし建物は経年劣化するため築年数の経過によって評価額は減額されることがあり、逆に建て替えやリノベーションによって高くなることもあります。
固定資産税評価額は3年に1度の評価替えで見直しされますので、次回評価替え年度の令和9年に発行される納税通知書は細かくチェックすることをおすすめします。
経年減点補正率をかける
経年減点補正率は築年数に応じて変わるため、評価額が2,000万円であっても築10年と築15年では評価額が異なります。
・築15年の場合:2,000万円×0.37=740万円
また、自治体が設定する評点は1評点=1円で計算するのが一般的ですが、家の設備によっては1円以上になりますので注意が必要です。
土地と建物の固定資産税を合わせる
土地と建物の固定資産税が計算できれば合算し、一戸建ての固定資産税として確認します。
以下の条件で固定資産税をシミュレーションしましたので、参考にしてください。
・建物の築年数:10年
・評点:1円
2,000万円×1.4%+2,000万円×0.5×1.4%×1=42万円
なお、実際の固定資産税は100円未満は切り捨てされて計算されるため、計算した評価額よりも安くなるケースがほとんどです。
一戸建ての固定資産税の軽減措置
一戸建ての固定資産税は地域や築年数によっては高額になるため、家計を圧迫することも少なくありません。
そこで固定資産税の軽減措置が設けられており、税金が不動産の所有に対して負担にならないよう対策されています。
ただし、軽減措置を受けるためには翌年の3月31日までに自治体へ申請する必要があり、自動的に適用されるわけではないという注意点もあります。
この章では土地と建物の軽減措置について詳しく解説しますので、あらかじめ軽減額を調べたうえで期間内に申請することをおすすめします。
土地の固定資産税の軽減措置
土地の地目が「宅地」の場合、200㎡以下の部分について課税額を6分の1、200㎡を超える部分について3分の1に軽減させることができる特例があります。
たとえば土地面積が250㎡の一戸建てを購入した場合、課税額が2,000万円であれば次の軽減額が適用されます。
・200㎡を超える部分:2,000万円×20%×1/3=600万円
軽減額の合計:約867万円
このように課税額を約1,133万円軽減させられますので、大きな節税効果といえます。
【参考サイト:総務省|地方税制度|固定資産税の概要】
建物の固定資産税の軽減措置
令和8年3月31日までに新築した住宅に対して軽減措置が設けられており、固定資産税評価額を半分にすることができます。
ただし一般住宅は3年間、長期優良住宅は5年間と建物によって軽減期間が異なるため、注意点といえます。
これ以外にも住宅の居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下という条件もありますので、購入前に建物のスペックはチェックしておくことをおすすめします。
【参考サイト:新築住宅に係る税額の減額措置 – 国土交通省】
一戸建ての固定資産税の納付時期と納付方法
固定資産税は5月頃に納税通知書が送付されるため、納付書を使ってコンビニや郵便局、金融機関が支払うことができますが、自治体によっては電子決済も可能です。
また納付書は4枚綴りになっておりそれぞれ納付時期が明記されていますので、納付書をチェックするか自治体に連絡して時期を確認することが大切です。
空き家の固定資産税は6倍になる?
一戸建てを購入して自ら住んでいる場合は問題ありませんが、引っ越して空き家になったり空き家を相続した場合は固定資産税の税制優遇が撤廃され、6倍になることもあります。
そのため空き家を所有することになった場合は想定外の固定資産税になることがありますので、注意が必要です。
この章では空き家を所有している人向けに、固定資産税が高額になるリスクについて解説します。
特定空き家・管理不全空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる
空き家は年々増加しており、街の景観が悪くなるという社会問題になっています。
特に管理されていない空き家は害虫や害獣の温床になりやすく、建物の劣化が進んでしまうと倒壊や火災発生のリスクを抱えることになります。
このような状態で放置しておくと景観の悪化だけでなく近隣住民に被害が発生することもありますので、管理されていない空き家を減らす対策が必要です。
そこで国土交通省からは平成26年に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、倒壊の危険性が高い家屋を「特定空家」に認定し所有者に対して指導や勧告などの対応を行ってきました。
さらに令和5年の法改正によって管理が不十分な状態を「管理不全空家」として自治体が認定できるようになり、認定されてしまうと管理不全空家と特定空家は固定資産税の税制優遇が撤廃されるリスクを抱えることになります。
住宅の軽減措置である「固定資産税評価額×1/6」や「固定資産税評価額×1/3」が適用されなくなり、軽減前の固定資産税評価額で計算されてしまいますので、空き家は放置せず管理しなければならないことが分かります。
【参考サイト:空家法とは】
管理できない場合は売却がおすすめ
管理不全空家や特定空家に認定されないためには管理が必要ですが、定期的に草むしりや掃除をしたり外壁や屋根のメンテナンスには工数も費用もかかってしまいます。
そこで有効活用する予定のない空き家は売却してしまうのがおすすめです。
売却することで維持するための工数や費用から解放され、さらに固定資産税の支払いも不要となりますので、空き家を活用しないことが決まっていればなるべく早く不動産会社に相談し査定と売却プランの提示をしてもらうことがポイントとなります。
ただし空き家の状態や建築されているエリアによっては不動産仲介による売却は難しくなり、販売が長期化するケースも少なくありません。
そのため空き家をスピーディーに処分する場合は空き家に特化したポータルサイトを利用することが重要です。
まとめ
一戸建てを所有していると毎年固定資産税の支払いが必要になりますので、所有後のランニングコストを調べるうえでも固定資産税を事前に計算することが大事です。
土地と建物では固定資産税の計算方法と税制優遇の内容が異なり、土地面積や建物のスペックも影響します。
このことからも、不動産の固定資産税を計算するためには、ある程度所有している不動産についても調べておく必要があります。
また、所有している一戸建てが空き家の場合、空家法で定められる管理不全空家や特定空家に認定されてしまうと固定資産税が増額されてしまうこともあり、活用していない空き家はなるべく早く売却するのがおすすめです。
空家ベースは空き家専門のポータルサイトとなっており、全国を対象として空き家の売買を斡旋しています。
気軽に空き家を情報公開し、閲覧できることから海外の投資家にも注目されており、スピーディーに不動産取引したい人に人気です。
仲介だけでなく買取の相談も受け付けしていますので、空き家の管理で悩んでいる人は空家ベースにお問い合わせください。
【参考サイト:空家ベース】
空家ベース編集部です。空家と書いて「ソライエ」と読みます。Twitter・Instagram・公式LINEなどでも物件情報を随時配信しています。空き家を買って再生したい方、他では売れないと言われてしまった空き家をご所有の方はぜひご相談ください!